青春18きっぷの旅へ

このページでは、18きっぷを使って実際に旅に出る時に必要な知識や計画のコツなどを解説します。
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いざ旅立つその前に

基礎編を読んで18きっぷの旅に出てみたくなって頂けたら、ページを作った甲斐があるというものですが、基礎編だけでは、実際に旅に出るには不十分と言わざるを得ません。
なぜなら、基礎編は18きっぷがどんな切符かという解説をしたに過ぎないからです。必ずこのページも読んでから18きっぷの旅を検討して頂きたいと思います。

まず行程を作ろう

指摘される前に書いておきます。基礎編において「ぶらりと旅に出られる」ことを魅力の1つに上げました。
しかし、実際にそれをやるのは、なかなかリスクの伴うことです。なぜか、それは目的地まで行けるか、あるいか帰りつけるかという保証がないからです。
どういうことかというと、地方へ足を伸ばせばローカル線と呼ばれるような路線を利用することになります。そういう線区では、本数自体も少なく、最終便が21時前ということも珍しくありません。ぶらりと途中下車したはいいが、帰りの列車がなく、ホテルも見当たらず、やむなく野宿する、なんてことは避けたいですよね。
それを防ぐ方法こそ、行程を作っておくことなんです。この列車に乗って、この駅で乗り換えて行けば何時頃にどこどこに着ける、そういう情報があるだけでその場その場での行動決定は断然しやすいです。
なお、行程表作りには当サイトで無償配布中の行程表作成ツール「TravelSchedule2」をぜひご活用ください。

行程ってどうやって作れば?

まず、その旅の目的地を決めましょう。目的地が決まったら、今度は目的を決めましょう。なお、目的を決めてから目的地を決めるというのももちろんありです。
行先が決まれば、時刻表とにらめっこになります。目的地には何時までに着きたいか、あるいは何時以降に出発したいか、それを先に決めておくとスムーズです。
それから、自宅の最寄り駅と目的地の駅の間のルートを決めます。近距離であればそんなに悩むことはないと思いますが、数百kmを移動するような大規模な行程になってくると、よほど鉄道に詳しい方でないとぱっといいルートが浮かばないでしょう。
そういう時は、ネットで他の方が行った旅行の行程表が公開されていることがありますので、出発地・目的地が似通った場所であれば参考になる可能性があります。
また、時刻表サイトなどで、乗り継ぎ検索をしてみる手もあります。その際は特急や新幹線・飛行機を除外して検索できるサイトをおすすめします。

スムーズに行程を組み立てるコツ

ルート中に極端に本数が少ない区間を含む場合は、その区間で利用する列車を先に決めてしまうといいでしょう。なぜなら、出発地から順に乗り継ぎ列車を調べていっても、その区間の手前の駅で数時間も待ちぼうけになったりした場合、また出発地から行程を練り直さなければならないからです。
夜行快速を利用する場合も、先にその列車の時間を調べ、それからその前後の組んでいくといいでしょう。

行程を作る際の注意

「机上の空論」という有名なことわさがありますが、実は行程作りでも当てはまります。数字や文字が並んだ行程表を見るのと、実際にその通りに旅をするのでは全然違います。
旅をしている途中でも疲れたり、お腹が空いたり、トイレに行きたくなったりと色々なことがあります。それだけでなく、乗り継ぎ時間も1分で可能な駅もあれば、10分は見ておいたほうが良い駅もあります。
実際に旅に出てから後悔しないように、以下の点に注意して行程を作りましょう。

1.時々休憩時間を作る

長時間列車に揺られ続けることになる18きっぷ旅行では、一息つける時間を用意しておくべきでしょう。
これは単にトイレや食事の時間ではなく、列車が遅れたり乗り遅れてしまった場合に備えてでもあります。

2.食事を確保できる場所を把握しておく

特急や新幹線であれば車内販売や自動販売機で手軽に食べ物や飲み物が手に入ります。しかし、普通列車ではまずそういったサービスはありません。
となれば、食事は乗り継ぎ時間などを利用して確保することになります。田舎の駅ともなると飲食店どころかコンビニすらないということもありますので、比較的大きな駅で時間を取っておくか、早めにコンビニなどで調達しておくとよいでしょう。

3.乗り継ぎ時間は余裕を持つ

前述のように、駅によっては階段を登り降りして長い距離を歩かなければならないこともあります。初めて行く駅でしたら10分は確保しておくべきでしょう。
しかし、本数が少ないなどで、ぎりぎりの乗り継ぎをせざるを得ないという場合があるのも事実です。そういう場合はその手前の本数が多い区間で1本早い便に乗るなどするといいでしょう。

夜行でもっと遠くへ

以前は「ムーンライトながら」など、18きっぷで乗車できる夜行快速が多く運行されていて、それを活用することで18きっぷでの長距離移動も便利に行えていましたが、2021年に最後の夜行快速となった「ムーンライトながら」の運行終了が発表され、以後は18きっぷで乗車可能な夜行列車が消滅してしまいました。
しかし、それでも18きっぷで遠くへ行きたいとなると、夜間はホテルで足止めというのは効率が悪いと言わざるを得ません。
そこで活用すべきなのが夜行バスで、鉄道の夜行列車の衰退とは裏腹に地方都市を含めて多くの都市へ夜行バスが運行されており、路線によってはホテルに宿泊するよりも安く済む場合もあります。
18きっぷとは別に夜行バスの運賃が必要にはなりますが、どのみち1日で収まらない長距離移動をするためには宿泊費も必要になりますし、夜行バスは有力な手段と言えるでしょう。

行程作りで行き詰まったら

どうしてもうまく接続するパターンが見当たらず、どうしても行き詰まったら以下の様な方法も考えてみましょう。

ワープ

地方の幹線で、列車の本数が極端に少ない閑散区間というものがあります。極端な例だと日豊本線の佐伯~延岡間は1日1.5往復しか普通列車が走りません。
こういう区間で希望の時間帯に普通列車がないというケースだと、その手前の駅で何時間も待ちぼうけを食らうこともあります。
これを休憩時間や駅前を散策する時間だと割りきるのも1つの手ですが、その区間だけ特急に乗るという手もあります。これを「ワープ」と呼んだりします
もちろんその区間の乗車券・特急券を別途買うということになりますが、短距離であれば1000円~程度で済む場合もあり、その程度の追加で数時間の時短が見込めるなら費用対効果に見合うと言えます。

迂回してみる

JR線は歴史的経緯で同じ区間に複数の路線が走っているケースがあります。
最短となるルートは本数が少なく待ち時間が長いために時間が掛かるが、遠回りとなるルートは接続もよく、結果的に最短ルートより早くつくというケースもあります。
具体例として、長崎本線があります。肥前鹿島~諫早間は特急「かもめ」が30分~1時間ごとに走りますが、普通列車は1日数往復です。従って、うまく連絡する時間帯にそこを通過できない場合、肥前山口や諫早で待ちぼうけとなります。
しかし、肥前山口~諫早間は佐世保線・大村線を経由しても行けます。こちらは普通列車が1時間ごとに運行されますし、大村線は快速もあります。長崎本線の接続が悪ければ佐世保・大村線経由も検討するとよいでしょう。
他にも該当するケースはありますので、接続が悪いなと思ったら少し遠回りなルートも検討してみましょう。

夜行バスを使う

目的地の手前の街から夜行バスに乗って目的地を目指すという手もあります。
近距離の夜行バスですと宿代よりも安上がりなことも多いので検討してみましょう。

思い切って宿泊する

今までは極力宿泊を避ける方法を紹介してきましたが、思い切って宿泊してみましょう。
そうすると行程に余裕ができます。その時間で寄り道をしたりちょっとした観光を入れたりできます。
旅をただの移動ではなく充実したものにしてくれることでしょう。

乗って楽しい観光列車

遠くへ安く移動するということより、旅そのものを楽しみたいという方には観光列車をおすすめします。観光列車には、トロッコやSL、改造された車両を使っているなど個性あふれるものばかりです。
これらは普通・快速列車扱いである限り、18きっぷでも利用できます。ただし、これらは全車指定席扱いであったり、自由席が少なかったりしますのでご注意下さい。
18きっぷで乗れる観光列車としては以下の様な列車があります。(一例です)
・富良野・美瑛ノロッコ(旭川~富良野)
・くしろ湿原ノロッコ(釧路~川湯温泉)
・流氷ノロッコ(網走~知床斜里)
・SL函館大沼(函館~森)
・リゾートあすなろ(新青森~蟹田・新青森~大湊)
・リゾートしらかみ(秋田~弘前・青森)
・SLばんえつ物語(新潟~会津若松)
・SLみなかみ(高崎~水上)
・SL北びわこ(米原~木ノ本)
・etSETOra(広島~呉~三原)
・奥出雲おろち(備後落合~木次・出雲市)
・SLやまぐち(新山口~津和野)
・みすゞ潮彩(新下関~仙崎)
・清流しまんと(窪川~宇和島)
・大歩危トロッコ(阿波池田~大歩危)
・SL人吉(熊本~人吉)

持っていくもの

ここまで読んで、旅の準備についてはご理解頂けたと思います。
あとは、実際に旅立つわけですが、何を持っていけばいいのか、という点について解説します。
まず、18きっぷ旅行では混雑した車内で過ごさなければならないこともありますので、余計なものは持っていかず、極力少ない荷物にすることをおすすめします。
私の普段の持ち物を上げると、携帯電話・カメラ・ICレコーダー・財布・行程表・電池・携帯充電器・エコバッグ・ビニール袋・時刻表・ちり紙といったぐらいです。
水筒については持って行ってもいいのですが、飲み終わったら捨てられるペットボトルがお勧めですね。ビニール袋は何個か入れておけばゴミ袋に出来ますから便利です。エコバッグについては、環境に配慮ということですね。環境に優しい鉄道で旅をして環境にやさしいことエコバッグというわけです。
ちり紙ですが、トイレに紙がないという事が結構あります。大きい方を済ませたあとで紙がないという事態を避けるためにもバッグに1つは入れておきましょう。

18きっぷトイレ事情

長時間列車に乗り続ける18きっぷ旅行ではトイレも重要な問題となります。定期的に駅で時間を作ってその間に行けるようにするのが1番ですが、駅まで我慢出来ない、あるいは駅で時間が取れないといった場合について解説します。

車内トイレ

乗車時間が長くなる長距離を走る普通列車だと大抵は車内にトイレが設置されています。しかし、特急列車や新幹線のように数はなく、1編成の中に1箇所か、多くて2箇所が多いです。
18きっぱーが集中する列車だと中々空かなかったりすることもあるかもしれません。そうでなくても、車内が混み合っていてトイレまで移動するのが困難だったり、トイレに立っている間に席を取られてしまうということもあります。
非常時の保険程度に考えておいたほうがいいかもしれません。また、長距離を走る列車でも設置されていないことも稀にあります。

停車時間を利用

大抵は10秒~1分程度しか停車しないのでなかなか厳しいですが、特急列車などの通過待ちや、対向列車との行き違いなどで数分~10分程度停車する場合があります。
そういう時はアナウンスで教えてくれますので、その間に駅のトイレに走る手もあります。とはいえ、乗り遅れないようにくれぐれもご注意を。

トイレ停車をお願いする

車内トイレもなく、長く停車する駅もない時にどうしても我慢ができないという時の最終手段です。車掌さん(ワンマンなら運転士さん)に頼んでトイレのある駅で待ってもらいましょう。
まず他の乗客の目がありますから、相当な恥を忍んでということになりますし、数分とはいえ運行に影響を与えてしまうので、本当に非常時の最終手段として考えましょう。窮状を訴えれば大抵は了承してくれると思いますが、本数が多い路線だった場合は後続に乗ってくれと言われるかもしれませんね。