知って得する運賃節約術

このページではJRを始めとした鉄道会社の制度をフルに活用して少しでも交通費を節約するための小技を紹介しています。
このページに書かれているものはもちろん全て合法ですが、払い戻しや異常事態の時の対応などで不利になるものも含まれます。リスクと節約できる金額を検討の上、自己責任にてご利用下さい。

タッチの差で割引が効かない・・・

JRでは一般的に利用可能な割引として学生割引と往復割引があり、それぞれ101km以上、601km以上の区間を利用する場合に適用されます。
ということは、学生の方で乗車キロ数が100kmちょうどとか、往復利用するけどキロ数が599kmなんてケースだと、たった数キロの差で割引が受けられないことになります。
学生割引で2割、往復割引で1割の割引きですから、悔しいですよね。かといって駅員に文句を言ったところで「数キロぐらいおまけしましょう」とはなりません。
そこでどうすればいいかというと、発想の転換で距離が足りないなら伸ばせばよいのです。 足りないのが数キロ程度なら予定の駅より数駅先までのきっぷとして申しこめばまず基準のキロ数を超えることができるでしょう。
具体例をあげますと、東京駅と新大阪駅を往復利用するケースですと、営業キロが556.4kmで44.6km足りないため往復割引は適用されずに往復運賃は17820円ということになります。
しかし、これを新幹線で2駅先の西明石駅まで購入するとキロ数は612.3kmで601km以上になりますので往復割引が適用でき、17620円となります。たった200円の差と考えるか新幹線の車内で飲み物を1本買えると考えるかは人それぞれでしょうが、この方法はきっぷの申し込む区間を変えるだけでお手軽ですし、これといってリスクもないのでお勧めです。
また、今回は伸ばしたキロ数が比較的長かったため安くなる額は小さかったですが、本当に599kmとかでしたらもう少し大きな差になります。
なお、この方法を使う場合の注意点ですが、新大阪や大阪で下車する場合は「途中下車」として下車して下さい。
そのままそのきっぷは使用を終えることになりますが西明石まで権利が残っているわけですから「途中下車」扱いになります。
逆に新大阪や大阪から乗るときはそのまま改札に通せば問題なく通れるはずです。このように本来乗車する権利がある区間を乗らないことを「乗車放棄」と言ったりします。
JRの場合で唯一この方法のデメリットといえるのが、発着地が特定都区市内制度の範囲内である場合で、特定都区市内の外の駅まで延長して購入した場合、普通に買えば適用される特定都区市内制度が適用されず、新幹線や特急の停車駅から更に乗り継いで市内の何処かへ移動する場合はそこの部分の運賃が別途必要になってしまいかえって高く付く可能性が出てきます。
先程の例で考えると大阪での目的地が天王寺だった場合、普通に買った場合、東京都区内→大阪市内の乗車券ですからそのまま天王寺まで乗ることができますが、西明石まで買った場合、大阪→天王寺は別途運賃が必要となり、この区間は200円ですから往復とも天王寺~大阪間の運賃を支払うと西明石まで買って浮かせた200円が相殺されるどころかかえって高く付きます。行程によって得か損かはケースバイケースなのでよく検討の上ご利用下さい。
私鉄ではこのようなタイプの割引は少ないですが、距離に応じて適用されるかどうかが決まるタイプの割引制度であれば私鉄にも適用可能です。
ポイント!
・JRで101km・601kmにわずかに足りない場合、少し先の駅まで買うと安くなる
・特にデメリットはないが、降りるときは途中下車扱い

乗車券分割購入

これは耳にしたことがあるかもしれませんが、具体的にはあえて乗車券を途中で区切って(分割して)購入することです。

基本的な原理

乗車券というものは基本的には長距離ほど1kmあたりが安くなるという「遠距離逓減制」を採用しているため、途中で分割すると高く付くことになります。
しかし、運賃というのは基本的には「○○km~○○kmが○○円」という風に決まっていて、長距離になるほど同じ運賃になる範囲が広がっていきます。
例えば、JRで601km以上ですと運賃表の刻みは40kmごとになります。つまり、601kmも640kmも同じ運賃なのです。
601kmの区間を利用する場合、600kmちょうどと1kmに分割すると600kmの運賃は9460円、1kmの運賃は150円(いずれもJR本州三社で幹線の場合)で合計9610円と通して買った場合(601km~640km)の9790円より安くなります。
分割購入して安くなる原理はこういうことです。きっぷを分割して購入したら、分割する駅でいちいち降りなければならないのではないかと思われるかもしれませんが、きっぷが分かれていても、複数のきっぷで利用するルートを形成できていればそのまま通して乗車することができます。
ただし、改札を通さない乗車券が出てくることになるので、降りるとき自動券売機は通過できないことがありますので、その場合は駅員のいる改札に行って事情を説明の上、通してもらって下さい。
また、注意して欲しいのは必ずすべての区間に有効な乗車券を揃えるということです。1区間でも欠けていればいわゆるキセルになってしまいます。

定期券でも可能

定期券も距離に応じて運賃表に当てはめて値段を決めるというルールは同じなので、同じ原理で分割購入して安くなることがあります。
片道乗車券では数百円程度の差がほとんどですが、定期券となると元々の金額が高いですから結構な違いが出ることもあります。
こちらの注意点としては通学定期券では基本的にできないことが挙げられます。
なぜ通学はダメなのかというと、通学定期券は「学校の最寄り駅と自宅の最寄駅の間」でしか発売できないことになっています。分割するということは学校とも自宅とも関係無い駅までの定期券を買うということですから必然的に不可能です。
また、複数枚の定期乗車券を1枚のきっぷにまとめて発行することもできるため通常は1枚の定期券を持ち歩けば済みますが、あまりに分割する枚数が多い場合や複数社の路線を跨る場合は複数枚の定期券を持ち歩かなければならないケースもあります。

リスクも

分割購入は長距離であれば一手間で交通費を浮かすことができる便利な小技ですが、リスクもあります。
第一に払い戻しをする場合の手数料です。1枚の通しの乗車券として購入していた場合、払い戻す場合の手数料は220円で済みますが、分割していると分割した枚数×220円が必要になります。
分割購入で安くなる金額がせいぜい数百円ということを考えると払い戻した場合はかえって損をすることになります。
第二に運行不能となった場合の扱いです。A駅→B駅→C駅→D駅と4駅ある路線があったとして、A駅からD駅まで行くとします。普通にA駅発D駅行きの乗車券を購入していたAさんとA駅→B駅とB駅→D駅で分割購入していたBさんがいたとします。
二人とも同じ列車に乗っていましたが、B駅からC駅の間を走行中にC駅~D駅間で災害や事故などが原因で不通になったとします。通しで乗車券を買っていたAさんは乗車券の経路が始まる駅であるA駅まで引き返すことができますし、全額払い戻しを受けることができます。
しかし、Bさんは引き返せるのはB駅までで、払い戻してもらえるのもB駅→D駅の乗車券のみです。これはA駅→B駅の乗車券はB駅を過ぎた時点で「運送契約が終了した」とみなされているためです。
こういったリスクを考慮の上、分割購入されるかどうかご検討下さい。
ポイント!
・分割購入は安くなる場合とそうでない場合がある。
・分割購入すると運行不能時には不利になる。
・定期券でも可能だが通学定期券では不可能