京王1000系電車

概要

京王井の頭線用の車両として長らく製造され続けた、京王3000系の後継車として設計された通勤形電車が京王1000系で、3000系以来34年ぶりの新型車両となりました。当系列は井の頭線で初のVVVFインバータ制御車両ですが、グループごとに製造会社と使用素子が異なっており、初期製造車の奇数番号編成グループが東洋電機製造製でGTO素子を使用、偶数番号編成グループが日立製作所製でIGBT素子を使用、中期製造車グループが東洋電機製造製でIGBT素子を使用、後期製造車グループが日立製作所製でIGBT素子を使用(かつ新型のもの)、という仕様になっています。また、初期製造車は軽量ステンレス製の車体に大出力の主電動機を載せることでMT比2M3Tを実現したため、VVVfインバータ制御と相まって3000系よりも消費電力を抑制することに成功しました。ただ、これらの初期製造車は後に雨天時で空転や滑走を起こしがちであったため、初期製造車の偶数番号編成グループについては台車にセラジェット噴射装置を搭載する対策を施しています。
車体は3000系では18m級だったものを井の頭線用の車両では初の20m級に延長し、それに伴いドアが片側3ドアから4ドアに増えたほか、車内の天井も約10cm高くなりました。これにより車内定員が増えたため輸送力増強に貢献しています。先頭部分は3000系更新車をイメージしたデザインとなっていますが、新たに非常用貫通扉を設置したため3000系とは印象が少し異なります。なお、先頭部分の四隅に灯火を配置するデザインやパノラミックウインドウについては京王5000系を意識して採用されたものです。当系列の最大の特徴は、編成ごとの先頭部分および側面に巻かれた帯にレインボーカラー(パステルカラー)7色が使い分けられていることで、これも3000系以来の井の頭線用の車両の伝統を受け継いでいます。
運転台には井の頭線用の車両としては初のワンハンドル式のものを採用したほか、京王電鉄の車両としては初の電子警笛が装備されています。定速制御機能も備えていますが、井の頭線では頻繁に加減速を行うために使用する機会はあまりありません。その他に車体側面には車外放送スピーカーが設置され、方向幕にはLED式のものを採用しています。

歴史

中期製造車からは、当初より車内にLED式車内案内表示器とドアチャイムが設置され、パンタグラフもシングルアーム式のものが搭載されており、これらは2004年度に初期製造車にも設置されました。
2008年から投入された後期製造車グループは3000系のイメージにさらに近づけるため、先頭部分は大幅なデザイン変更が行われています。車体側面のドアはJR東日本のE231系で採用されたドアと類似したものに変更され、戸袋の車内側の縁には注意喚起を促す黄色い線が引かれています。また、方向幕は大型でフルカラーLED式のものを、車内案内表示器は液晶ディスプレイ式のものを使用するように変更されています。そして、井の頭線で近い将来予定されているATCを使用した運転の開始に対応するために運転室には当初からATCを搭載しています。
2012年からは一部の編成の車内照明が蛍光灯からLED照明に取り換えられています。また、同年より後期製造車の1編成が先頭部分の色を白に変更した上で、井の頭線のイメージカラーであるレインボーカラーの帯を巻き、沿線の観光名所など表現したステッカーを貼付した特別ラッピング車両として運行を開始しました。この編成から液晶ディスプレイ式車内案内表示器の1面から2面への増設、自動放送装置の設置が行われており、現在も進行中です。