相鉄7000系・新7000系電車
概要
当時、相模鉄道の標準車両であった相鉄新6000系の設計を基に、アルミ製車体の次期主力車両として製造された通勤形電車が相鉄7000系です。その後、前面デザインや塗装が大幅に変更された新7000系が製造され、これは後の新系列に採用されることとなった数多くの新機軸を導入しています。新7000系は4、5、6両編成と相鉄では初となる10両編成が製造されており、10両編成では運用の柔軟性が失われていますが、中間に先頭車を挟まないので結果的に編成全体の定員が増加しています。
外観・走行機器
当系列は車体長20mの4ドア車として製造されました。車体は基本的に相鉄2100系・新5000系に準じたものですが、車体をアルミ製にするなどしてさらなる合理化・軽量化を図ったことで、重量を大幅に軽減することに成功しました。塗装にはアルミ地を生かしたクリアラッカー塗装を採用しています。7000系の前面形状は車体と同じく2100系・新5000系とほぼ同じ形状ですが、前照灯と車体裾部分に若干の違いがあります。またアクセントを付けるために前面貫通扉は赤に近いオレンジ色に塗装され、側面上下には同色の飾り帯を巻いています。この飾り帯は外板とフレームのつなぎ目を隠す役目もあります。
側面には方向幕ではなく種別表示器のみを設置していますが、これは相鉄の列車行先のバリエーションがあまりなく、行先は前面の方向幕に表示するだけで十分と考えられたからです。走行装置には、抵抗制御と相鉄伝統の直角カルダン駆動方式が採用され、ブレーキには相鉄6000系から採用されている、通勤形電車にはあまり見られないディスクブレーキを採用しています。
新7000系では数々の仕様変更が行われています。まず前面形状が大幅に変更され、窓周りを黒色に塗装することで大きな1枚窓のような印象を与える「ブラックフェイス」デザインが相鉄では初めて導入されました。窓下には社名の頭文字の"S"をあしらったフィルムステッカーが施されています。前面の貫通扉は非常用とされ、7000系とは異なり先頭車を中間車として使用した際の通り抜けができなくなっています。また、7000系で採用された側面上下の飾り帯はなくなり、窓下にフィルムステッカーが巻かれるスタイルに変更されています。1988年以降に導入された編成は走行制御装置が変更され、相鉄3000系で実用試験が行われた、GTO素子を使用したVVVFインバータ制御を採用しています。
車内
車内の座席は通勤形電車では標準的なロングシートで、当時の相鉄の標準であったオレンジ色のモケットが採用されました。側面の窓は相鉄で積極的に採用されてきたパワーウィンドウで、乗客がボタン操作で開閉することができます。その他、車内ドア脇には鏡も設置されています。当系列は全車両が新造時から冷房装置を搭載しており、一部の車両は試験的にヒートポンプ式のものを採用しています。7000系の天井には扇風機が併設されており、乗務員室内のメインスイッチを入れた状態であれば乗客が車内のスイッチで自由に扇風機を動かすことができます。
新7000系の車内には、新たに地図上でおおまかな現在位置を表示する車内案内表示器が設置されています。新7000系の第1編成には、貫通路上部にもこれが設置されました。加えて7000系で設置されていた天井の扇風機はラインデリアに変更されています。新7000系の最終編成は、一部の車両に試験的にセミクロスシートを採用しており、これは乗客に好評だったため、後の新系列にも引き続き採用されることとなりました。
歴史
7000系は1975年から10年間、製造が続きました。4両編成と6両編成が製造され、当初は4両×2本を組み合わせた8両編成や6両編成単体で使用されていましたが、後に1本を除くほぼ全ての編成が7両編成に組み替えられました。またその後、全ての編成がラッシュ時10両編成、閑散時8両編成で使用できるように再び組み替えられました。新7000系は1986年から3年間にわたり製造されました。10両編成以外も半ば固定編成扱いとされ、6両+4両もしくは5両×2本の10両編成で使用されています。2007年までは、新7000系の1編成が広告貸切専用車である"GreenBox"編成として使用されていました。
新7000系の最終編成が製造されて約15年が経過していた2000年代の中ごろより、新系列とのサービス面での格差を解消することなどを目的として、当系列に対して段階的に更新工事が行われるようになりました。まずパンタグラフはシングルアーム式のものに交換され、前面と側面に相鉄のロゴが貼られました。また、早期廃車が予想された7000系1次車を除いて、中間車連結部分には転落防止幌が設置されました。これは編成組み換えによって中間車として使用されることが多い7000系の先頭車にも装着されています。そして将来予定されているJR東日本との相互直通運転に備えて、ATSはJR東日本に準じたものに変更され、新たにEB装置を搭載しています。
新7000系にはさらに電子笛の設置が行われ、塗装は新コーポレートカラーをモチーフにしたものに変更されました。加えて、編成の中間車として使用されている先頭車の前面貫通扉には幌が設置され、通り抜けができるようになりました。あわせて中間車と同様の転落防止幌も装着され、また前面の方向幕類も抜かれたために事実上の中間車化改造となっています。車内には車椅子スペースとドアチャイムが設置されています。
当系列(特に7000系)は、編成数に対して先頭車の数が多いことなどもあって、比較的柔軟な運用が可能なため、当系列を使って8両編成と10両編成の運用数の調整が行われることが多く、そのために一部に休車車両が発生しています。2005年から翌年にかけて、余剰となった7000系4両が事業用車であるモヤ700形に改造されています。この改造以降、余剰となった7000系については廃車が進行しています。
現状
現在、7000系は相鉄で最古の車両系列となっており、新系列の導入に伴う廃車が進行中ですが、8両編成が主に各駅停車で活躍しています。新7000系についてはまだしばらく使用が続く見込みで、休車となっている2両を除くほぼ全ての車両が現役で活躍中です。
走行音
7000系
録音区間:瀬谷~大和(お持ち帰り)
新7000系(抵抗制御)
録音区間:いずみ中央~ゆめが丘(お持ち帰り)
新7000系(VVVFインバータ制御)
録音区間:ゆめが丘~湘南台(快速)(お持ち帰り)
フォトギャラリー
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7000系 希望ヶ丘駅にて
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7000系 西横浜駅にて
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7000系 先頭部分側面
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7000系 連結器周辺部分
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7000系 台車
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7000系 シングルアーム式パンタグラフ
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7000系 乗務員室部分
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7000系 車内
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7000系 車内扇風機
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7000系 乗務員室貫通路部分
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7000系 先頭車・中間車連結部分
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7000系 プラレール発売記念号 相模大塚駅にて
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新7000系 西谷駅にて
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新7000系 相模大塚駅にて
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新7000系 先頭部分側面
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新7000系 連結器周辺部分
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新7000系 側面車号表記部分
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種別表示幕
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菱形パンタグラフ
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新7000系 中間車連結部分
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新7000系 先頭車連結部分
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運転台部分
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運転台上部
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乗務員室操作機器
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前面方向幕の操作表
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新7000系 乗務員室部分
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車内製造銘板
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車内ドア脇の鏡
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車内路線図
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新7000系 車内案内表示器
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新7000系 車内
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車内パワーウィンドウ
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パワーウィンドウのスイッチ
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新7000系 乗務員室貫通路部分
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新7000系 乗務員室渡り板
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新7000系 貫通扉(開放時)
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新7000系 新塗装 いずみ野駅にて
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新7000系 新塗装 弥生台駅にて