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東武9000系・9050系電車




概要

東武東上本線と営団地下鉄(現在の東京メトロ)有楽町線との相互直通運転に対応した車両として製造された通勤形電車です。全編成が10両編成であり、東上本線の森林公園検修区のみに所属しています。東上本線と有楽町線との直通運転開始の6年前、まず試作車が製造されましたが、これはあらかじめ当系列を乗務員の教習訓練に使用し、直通運転開始後に問題なく有楽町線に乗り入れることができるようにする目的があったためです。当系列は東武鉄道で初の10両固定編成であり、また8000系以来18年ぶりの新系列ということもあって、「省エネ形長寿命経済車」を目標に設計され、数多くの新機軸が導入されました。その一つに通勤車としては初の自動式行先表示機(方向幕)がありますが、試作車では側面の方向幕は準備工事にとどまり、有楽町線乗り入れ開始直前まで使用されませんでした。車体は軽量化と長寿命化が図れるコルゲート外板の軽量ステンレス構造を採用し、東武鉄道の優等列車でよく用いられたロイヤルマルーンの帯を巻いています。これは以後の東武ステンレス車の標準仕様となりました。側窓については東武鉄道では初となる窓格子を廃した一段下降式の窓になっています。運転台には機器の故障状況が表示できるモニタ表示盤が設置され、異常時にも迅速に対応できるようになっています。走行制御装置にはAFE(自動界磁励磁)式手回路チョッパ制御を採用し、台車には8000系と同じく空気ばね台車を使用しています。保安装置は東武ATSと営団地下鉄用のATCの機能を一つに集約した「ATC/S装置」が採用され、これによって機器の大幅な小型化を実現しています。試作車で6年間、性能の確認と乗務員の慣らしを行った後、有楽町線との相互直通運転直前までに量産車が増備されました。この量産車は走行制御装置の素子が変更されていたり、1編成あたりのパンタグラフの数が半分に削減されていたりするなどの細かな変更点があります。最終編成については、量産車での変更点に加えて車体側面がコルゲート外板からビードプレス加工のものに変更され、また車内でラジオが受信できるようにラジオ受信装置が新たに設置されています。1994年12月に、有楽町線「新線池袋」駅(現在の副都心線池袋駅)の開業に伴う輸送力増強のため、9000系をマイナーチェンジした9050系が2本新造されました。9050系は9000系の最終編成の仕様がベースになっていますが、前面窓枠内が黒色基調のものになったほか、方向幕はLED式のものに変更され、走行制御装置には新たにGTO素子を使用したVVVFインバータが採用されました。また、自動放送装置と乗降促進ブザーがサービス機器として設置され、側面には車外案内放送用のスピーカーが取り付けられました。車内には車いすスペースが確保され、ドア上部には液晶モニター式の車内案内表示器とドアチャイムが設置されました。

歴史

試作車は落成から約17年目の1997年に手回路チョッパ装置が量産車と同等品へ交換されました。1999年には9050系に設置されていた液晶モニター式車内案内表示器が輝度低下などが原因で撤去されています。2006年度より、2008年に新規開業する東京メトロ副都心線への相互直通運転に対応させるための改造工事が開始されました。この改造では基本的なデザインは変更されていないものの、前照灯がHID化され、前面下部にスカートが取り付けられました。方向幕はフルカラーLED式に変更され、パンタグラフもシングルアーム式のものになっています。車内にはLED式車内案内表示器がドア上部に設置されました。また、副都心線でワンマン運転が行われる予定であったため、乗務員室の機器のほとんどが新型のものに更新されています。9000系には9050系のものと同じ、車外案内放送用スピーカーが側面に取り付けられたほか、車内のリニューアル工事が施工され製造時とは印象が異なるものになっています。自動放送装置については、9000系は新規設置、9050系は更新扱いになっています。ちなみに9000系の試作車は、9000系量産車と9050系とドア位置が異なり、有楽町線の一部と副都心線の駅で設置されているホームドアの使用に支障があるために副都心線対応工事が行われなかったため、現在は東京メトロの路線への直通運用にはついておらず東武東上本線のみで使用されます。

現状

現在は後継車両である50070系とともに、東武東上本線の運用と、同線から東京メトロ有楽町線・副都心線に乗り入れる運用に使用されます。2013年春に開始される予定の、副都心線を介した東武・東京メトロ・東急・横浜高速鉄道との直通運転にも使用される予定です。

走行音

9000系
録音区間:月島~豊洲(お持ち帰り)
9050系
録音区間:坂戸~若葉(急行)(お持ち帰り)

走行線区(特記無い場合は全線)

東武鉄道 9000系 試作車 東武東上本線(池袋~小川町)
量産車 東武東上本線(池袋~小川町)、東京メトロ有楽町線、東京メトロ副都心線
9050系 9000系量産車と同じ

フォトギャラリー

画像をクリックすると拡大できます。

9000系試作車 池袋駅にて

9000系 新木場駅にて

先頭部分側面

9000系 複々線開通記念ヘッドマーク 森林公園検修区にて

9050系 森林公園駅にて
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