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165系電車





概要

国鉄が導入した直流急行型電車であり、1960年代に都市間幹線の電化が進んだため、電車急行列車を増発するために開発されたました。
国鉄では本形式の前身に当たる153系を運用していましたが、電化区間の拡大により、電車急行の運行範囲が拡大していくと、勾配線区での153系の出力不足が問題になりつつありました。
また、寒冷地・豪雪地帯での運用に課題があるなどの背景もあり、本形式が投入されました。
153系では定格出力100kWだったモーターは、本形式では定格120kWとなり、勾配区間での速度維持に有利なノッチ戻し機能や抑速ブレーキも備え、勾配線区への対応を強化した仕様になっています。
最高速度は110km/hとなっており、153系との併結運転にも対応します。
ブレーキは抑速ブレーキ付きの発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキです。

車体は153系をベースにしており、前面形状など外観も継承しています。
座席は1等車でリクライニングシート、2等車で固定クロスシートとなっており、当時の急行型電車として標準的なものとなっています。
また、冷房は登場時には食堂車のみでしたが、後に1等車、そして2等車を含む全車に搭載されるようになりました。
編成は最小3両での運行が可能で、投入路線により様々なバリエーションが有りました。

その他、派生形式として163系、167系、169系があり、163系は温暖な地域で急勾配がない平坦線区での運用を前提とし、耐寒耐雪構造や抑速ブレーキを省略したグループで、実質的には153系の特徴を有し、153系の増備車という位置付けえでした。
しかし、東海道新幹線の開業で東海道本線の電車急行が大幅に削減されると、163系が適する線区が山陽本線のみとなり、将来的に山陽新幹線の建設も見込まれ、その際の他線区への転用を考慮すると、勾配線区・寒冷地へも対応できる165系で統一することが望ましいという理由から163系としての製造は7両のみで終わり、これは153系用の1等車の増備という位置づけでした。
167系は関東地区の修学旅行列車用として導入されたもので、乗降頻度の少なさから乗降扉が狭くされたり、客席に着脱式のテーブルを装備する程度の違いで、基本的には165系と同一です。
登場からしばらくは修学旅行色と呼ばれる独自の塗装でしたが、後に湘南色に変更されています。
169系は信越本線横川~軽井沢間の通称「横軽」と呼ばれる区間でのEF63形電気機関車との協調運転を可能にした車両で、最大12両編成で横軽区間を通過することが出来ました。
また、形式名は167系に続く連番で決まりましたが、本形式以後、横軽区間での協調運転に対応した形式は末尾を9とする慣例が確立しました。

登場後は目的通り、国鉄の電車急行列車の主力として活躍し、累計で700両を超える数が製造されました。
しかし、新幹線網の拡大や、急行列車の特急格上げの流れにより、急行列車自体が減少したことや、本形式自体の老朽化もあり、活躍の幅を狭めていき、国鉄末期から国鉄分割民営化の頃になるとジョイフルトレインへの改造にも使われるようになり、「なのはな」「パノラマエクスプレスアルプス」「ゆうゆう東海」「シャトル・マイハマ」などが登場しました。
また、地方線区での普通列車用に転用されるなどの例も見られました。
その他、首都圏や京阪神地区の113系のグリーン車や455系の制御者への改造、107系への部品の転用といった活用もされました。
国鉄分割民営化に際してはJR東日本・JR東海・JR西日本の3社に継承され、臨時列車を中心に活躍を続けました。
しかし、それも2000年代前半までに多くが引退し、2003年にJR東日本所属の編成が廃車されたことで、JRグループからは本形式が全廃されました。
なお、北陸新幹線(当時は「長野新幹線」)開業により発足した第三セクター「しなの鉄道」にも169系が譲渡されており、JRグループからの全廃後も活躍していましたが、それも2013年をもって引退し、ついに本形式は全廃となりました。

その他、私鉄への譲渡としては秩父鉄道に譲渡され、3000系と改められ活躍した例や、JR東日本で本形式から改造された「パノラマエクスプレスアルプス」が、富士急行(現在の「富士山麓電気鉄道」)に譲渡され、2000系「フジサン特急」として活躍した例もありますが、いずれも引退済みであり、改造車も含め現役車両はありません。

歴史

1963年に165系が登場しました。
1965年に167系が、1968年には169系が登場しました。
1987年の国鉄分割民営化では、JR東日本・JR東海・JR西日本の3社に継承されました。
1992年には秩父鉄道へ譲渡され3000系として、急行「秩父路」で運用が開始されました。
1997年の北陸新幹線長野開業ではJR東日本所属の169系のうち12両が「しなの鉄道」に譲渡されました。
2001年には「パノラマエクスプレスアルプス」に改造された本形式が富士急行(当時)に譲渡され、2000系「フジサン特急」として運用を開始しました。
2003年にはJRグループ最後の本形式だったJR東日本所属の編成が廃車されたことで、JRグループからは全廃されました。
2006年には秩父鉄道に譲渡された3000系(元165系)が引退し、秩父鉄道からは消滅しました。
2012年には「しなの鉄道」へ譲渡された編成も全車引退となり、オリジナルの姿を保った車両は全廃となりました。
2016年には富士急行(当時)に残っていた2000系(元「パノラマエクスプレスアルプス」)が引退となり、私鉄などを含めても本形式は全車引退となり、現役車両は消滅しました。

現状

JRグループ、及び譲渡先の私鉄でも全車引退済みであり、現存しません。
ただし、クモハ165-108、サロ165-106の2両が名古屋市の「リニア・鉄道館」にて、クモハ169-1、モハ168-1、クハ169-27がしなの鉄道坂城駅付近にて保存・展示されている他、富士山麓電気鉄道ではクモハ169-27の先頭部カットモデルと、クロ165-3(クロ2001)を下吉田駅隣接の「下吉田ブルートレインテラス」にて保存・展示されています。
その他にも保存された例もありましたが、いずれも解体・撤去済みであり、現在でも見られるのは「リニア・鉄道館」「坂城駅付近」「下吉田ブルートレインテラス」の3箇所のみとなっています。
また、かつて東京・秋葉原にあった交通博物館での展示を目的に、日本車輌製造によって実車同様の部品を使用して製造されたモックアップが存在し、交通博物館閉館後はさいたま市の鉄道博物館へ移設され、運転室付近のみのカットモデル状態ではあるものの展示されています。

走行音

録音区間:中軽井沢~信濃追分(お持ち帰り)

廃形式につき省略

フォトギャラリー(しなの鉄道の169系)

画像をクリックすると拡大できます。

軽井沢駅にて

車内

乗務員室部分

運転台

車体側面のサボ(行先表示)

車端部デッキ

クモハ165-108(リニア・鉄道館蔵)

サロ165-106(リニア・鉄道館蔵)
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