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183・189系電車





概要

国鉄が千葉方面への急行列車の特急格上げのために導入した直流特急形電車です。
総武本線の複々線化の完成と同時に地下線として延伸された錦糸町~東京間に乗り入れるため、当時の防火基準である「A-A基準」に適合する車両となっています。
また、派生系列として信越本線横川~軽井沢間の通称「横軽」区間におけるEF63形電気機関車との協調運転に対応した189系も存在しています。
なお、第16回鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞しています。

車体、及び外観デザインは概ね交直流特急形電車である485系に準じていますが、いくらか異なる点も見られ、「冬期の山岳区間への乗り入れを考慮して耐寒耐雪構造を採用」「中央本線高尾以西への乗り入れのため、運転席上の前照灯を省略」「運用予定の線区に未嵩上げのホームがないことから乗降扉のステップを省略」「併結時の編成間の移動、及び地下線での非常時の脱出のため貫通扉を設置」「間合い運用での普通列車運用を考慮し、各車に2箇所ずつのドアを設置」などの違いがあります。
車内設備面でも、座性は回転クロスシートから簡易リクライニングシートへの変更、トイレを和式のみとする一方、地下線への乗り入れを考慮し、当初より循環式汚物処理装置を設置、波動輸送への充当を考慮して70コマ対応の方向幕を搭載、短距離列車中心の運用を想定したため、食堂車とビュッフェは当初より計画されなかったなどの違いがあります。

モーターは定格120kWのものを抵抗制御・直並列組合せ・弱め界磁により制御し、最高速度は120km/hです。
ブレーキは発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキで、勾配線区を考慮して抑速ブレーキも搭載します。
また、EF63形電磁直通ブレーキとの協調運転機能を持たない183系においても、横軽区間を通過するための「横軽対策」と呼ばれる設備を持っており、東日本全域の直流電化区間で幅広く使用できるような汎用的な設計がされました。

当初は計画通り、房総方面への特急列車用として用いられましたが、汎用的な設計だったことから増備のために活躍の幅を広げ、上越線特急「とき」、東海道線「あまぎ」、高崎線・吾妻線「白根」などでも活躍しました。
上越新幹線開業で特急「とき」が廃止されると千葉地区への転用が行われた他、改造の上で189系に編入されたり、横須賀線・総武快速線の普通列車グリーン車や485系のグリーン車などに転用される例もありました。
189系は「横軽」区間のために開発されたと言ってもいい車両であり、従来から「横軽」を通過する特急で使われていた489系に加えて、「横軽」区間を通過して直流電化区間のみを走行する特急用として189系が導入されました。

国鉄分割民営化では、元々東日本地区での運用が主だったこともあり、全車がJR東日本へ継承されました。
JR東日本では、高速バスとの対向のため、車内設備を改良した「グレードアップ編成」を登場させ、塗装の変更、シートピッチの拡大、化粧板や床面の変更、仕切りドアの自動ドア化、車内案内表示器の設置、洗面所のリニューアル、グリーン車トイレの洋式化、車内チャイムの変更などの内容でした。
また、JR東日本では本形式を改造したジョイフルトレインをいくつか製作しており、「シルフィード」「リゾートエクスプレスゆう」「彩野」などがあります。
北陸新幹線(当時は「長野新幹線」)の長野開業で特急「あさま」が廃止されると、189系はEF63形との協調運転を活かす場面を失いますが、「あずさ」「かいじ」や間合い運用のホームライナー、長野地区の「おはようライナー」、夜行急行「アルプス」などで活躍を続けました。

一方、JR西日本では485系・489系の改造で183系に編入した車両を保有したことがあり、485系から交流用の機器を撤去もしくは使用停止したグループを183系に編入したという位置づけになります。
背景には七尾線の直流電化があり、乗り入れる北陸本線は交流電化であることから、七尾線の普通列車向けに交直流型電車が必要になりました。
一方で、JR西日本管内の福知山地区にて運用されていた485系は、交流電化区間を走行する機会がなくなっており、余剰となる交流用機器を485系から撤去し、それを183系に編入、撤去した交流用機器を113系に取り付け、交直流電車の415系に編入するという流れがありました。
元々485系と183系の類似点が多いこともあり、JR西日本が改造・編入した183系も大まかな構造は国鉄が製造しJR東日本に継承した183系と類似する部分も多いですが、細部は異なっています。

歴史

1972年に183系が登場しました。
1973年に第16回鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞しました。
1975年には189系が登場しました。
1987年の国鉄分割民営化では全車がJR東日本に継承されました。
1987年~1992年にかけて「グレードアップ改造」が実施されました。
1991年にJR西日本により485系からの改造により183系が登場しました。
2013年にはJR西日本の183系が運用終了し、JR西日本からは本形式が消滅しました。
2015年にはJR東日本の183系も運用終了し、189系のみが残る形になりました。
2019年には最後まで残っていた189系も引退し、本形式は消滅形式となりました。

現状

全車引退済みであり現存しません。
ただし、クハ183-1529(国鉄色)が群馬県伊勢崎市の華蔵寺公園にて、クハ189-506(国鉄色)、クハ189-5(あさま色)、モハ189-5(あさま色)が群馬県安中市の碓氷峠鉄道文化むらにて、クハ183-1009、クハ183-1020、モハ189-31、モハ188-31(いずれも国鉄色)が埼玉県さいたま市の鉄道博物館にて、クハ183-21、クハ183-1527(いずれも国鉄色)が千葉県いすみ市のポッポの丘にて、クハ183-1002(あずさ色)が長野県上田市の夢ハウス・あずさ号(民宿)にて保存・展示されています。

走行音

録音区間:品川~東京(ムーンライトながら号)(お持ち帰り)

走行線区(廃形式につき省略)

フォトギャラリー

画像をクリックすると拡大できます。

国鉄色(JR東日本の車両)

小型カバーで覆われた連結器

先頭部分の後部の様子

JRマーク

側面車号表記(切り抜き文字)

側面車号表記(塗装文字)

車体側面のサボ(行先表示)

中間車連結部分

国鉄色(JR西日本)

JR西日本リニューアル色

同編成の座席

あさま色 姨捨駅にて

同車内

同座席

同ロゴ

あずさ色

同方向幕

あずさ色(モモずきんラッピング編成)

同編成 先頭部分側面

乗務員室の後部窓

屋根上の空気取り入れ口

台車

モモずきんラッピング編成 方向幕部分

同編成 中間車連結部分

車外銘板

車外所属・仕様表記

同編成の車内

同編成の座席

同編成 車内仕切り扉部分

同編成の洗面台

グレードアップあずさ色

同ヘッドマーク

同編成札

同国鉄特急シンボル

同方向幕

同JRロゴマーク

同車内

同座席

同車端部テーブル

同ベンチレーター開口部

同車番表示(車内)

同デッキ部

同乗降扉(閉扉時・車内より)

同乗降扉(開扉時・車内より)
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