185系電車
概要
国鉄が東海道線で運用されていた153系の置き換え用として導入した特急型電車です。
特急形でありながら、通勤通学輸送にも対応するという斬新なコンセプトで設計されました。
国鉄としては最後に製造した特急型電車であり、国鉄分割民営化に際しては全車がJR東日本に継承されました。
本形式の先代といえる153系は急行「伊豆」や普通列車で使用されていましたが、製造から19年以上が経過し老朽化していたことや、海沿いを走ることによる塩害も深刻であり、代替車両が求められていました。
また、置き換え用に投入する本数を削減する意味で、153系で行っていた普通列車・急行列車双方に運用可能な車両とすることも求められ、当初は117系のような両開き2ドア・デッキ無し・転換クロスシートという計画で構想がまとめられていました。
しかし、急行「伊豆」を特急格上げすることとなり、本形式は普通列車・急行列車の兼用ではなく、普通列車・特急列車の兼用を求められることとなり、居住性向上の為デッキを設置する、ドアを片開きにするなどの変更が加えられてデビューとなりました。
車体は普通鋼製で、各車に片側2箇所ずつの片開きドアを設置し、ドアの大きさも普通列車運用時を考慮して幅広タイプとなっています。
制御方式は抵抗制御・直並列組合せ・弱め界磁制御で、モーターは定格120kWのMT54D形直流整流子電動機となっています。
ブレーキは発電ブレーキ併用電磁直通空気ブレーキで、最高速度は110km/hです。
編成はいくつかのバリエーションがあり、0番台は4両・5両・10両、100番台は4両・6両・7両があります。
番台区分は0番台と200番台があり、0番台は急行「伊豆」置き換え用として登場した基本番台で、200番台は高崎線などでの運用を奏していた耐寒耐雪仕様となっています。
歴史
1981年に登場した0番台は登場後、153系を置き換えて東海道線の普通列車や特急「踊り子」として運用を開始しました。
ただし、普通列車運用では既に混雑が激しくなっていた東海道線東京口では、2ドア車での運用は遅延の原因となり、153系が使用されていた運用のうち、普通列車のみの運用は113系に置き換えられるなどしました。
一方、200番台は高崎線を中心に投入され、急行「あかぎ」「ゆけむり」「草津」「軽井沢」や普通列車用として運用されました。
また、当時建設中だった東北・上越新幹線が土地収用の問題などで大宮駅までの暫定開業となることが決まると、上野~大宮間に設定された新幹線接続用特急列車「新幹線リレー号」にも本形式が使用され、専用塗装が用意されるなど印象的な運用となりました。
東北新幹線が上野駅まで延伸開業すると「新幹線リレー号」も廃止となりますが、高崎線・東北本線では従来の急行列車を格上げした「新特急」を運行することとなり、本形式はこれら新特急「谷川」「草津」「あかぎ」「なすの」といった列車に運用されることになりました。
また、特急列車の間合い運用を活用した着席保証列車「湘南ライナー」の運行も開始されますが、普通列車としての運用は前述の遅延の原因となったこともあり縮小していきます。
1987年の国鉄分割民営化では全車がJR東日本に継承され、引き続き「踊り子」や高崎・東北線の新特急、ライナー列車などに運用されました。
JR東日本では従来の運用に加えて「ホリデー快速」や新潟・信越方面への海水浴・スキー客向けの臨時列車にも充当するなど、幅広い活躍を見せるようになります。
1995年から1998年にかけてはリニューアルが施され、座席を転換クロスシートから回転式リクライニングシートに変更、外観塗装の変更、化粧板の交換、床の塗床加工、客室ドアの自動扉化など、元々急行型として計画されていたがゆえの見劣りする設備を特急にふさわしいものに改修されました。
しかし、客室窓は特急型としては異例の開閉可能なものであるなど、晩年まで他の特急型車両に比べての設備面での見劣りは指摘されることになりました。
1996年には横浜線・中央本線経由で走る特急「はまかいじ」に運用するため、B3・B4・B5編成の3編成にATCの搭載が実施されました。
1997年に北陸新幹線(長野新幹線)の開業で廃止された信越本線の横川~軽井沢間の通称「横軽」での運用が終了しましたが、この区間を通過した最後の列車が本形式でした。
2004年には高崎線での普通列車運用が終了し、本形式を使用した普通列車は東海道線の東京発伊東行きの1本のみとなりました。
2010年からは特急「草津」の運行開始50周年を記念して、本形式には157系の塗装を再現したものと賞名にろのリバイバル塗装が実施されました。
2013年には東海道線での本形式を使用した普通列車がE231系への置き換えで廃止され、本形式を使用した普通列車は伊東線内のみとなりました。
2014年には高崎線系統の特急に使用する本形式が置き換え対象となり、「あかぎ」の1本を除いて651系に置き換えとなり、同時に本形式を使用した普通列車の全廃されました。
2019年には週末のみ運転だった「はまかいじ」が横浜駅ホームドア設置に伴い廃止されることとなり、同時に本形式の横浜線・中央本線での定期運用は終了しました。
これにより本形式の定期運行は東海道線の「踊り子」「湘南ライナー」「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」のみとなりました。
2020年には「踊り子」にE257系を投入することにより本形式の置き換えが実施され、ライナーについても特急「湘南」への格上げとともにE257系に置き換えになりました。
翌2021年には「踊り子」の全列車がE257系に置き換わり、本形式の定期運用は終了となりました。
これにより、JR東日本管内では全ての特急列車から国鉄型車両が引退することとなりました。
以後は6両編成2本が存続し、臨時列車を中心に活躍を続けますが、2024年7月を最後に一般の臨時列車としては運用されておらず、以後は団体専用列車としての運用のみとなっています。
現状
6両編成2本のみが存続しており、既に定期運用はありません。
団体専用列車として断続的に運用されるのみとなっています。
走行音
録音区間:大場~三島田町(踊り子112号)(お持ち帰り)
走行線区(特記無い場合は全線)
※2025年3月現在、定期運用はありませんが、団体列車などで活躍中です。
フォトギャラリー
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0番台「踊り子」塗装
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同先頭部分
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リバイバル国鉄塗装
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リバイバル国鉄塗装
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200番台田町リニューアル車
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200番台前橋リニューアル車
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同側面
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200番台前橋リニューアル車「あかぎ」
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200番台湘南色
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新幹線リレー号塗装(リバイバル)
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同乗降扉
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200番台の方向幕
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同運転室ガラス部分
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列車番号表示器
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トレインマーク
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国鉄特急マーク
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編成札
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先頭部連結器
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号車札
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200番台の車内
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0番台の座席
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座席番号表示
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窓ガラスとカーテン
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座席種別札
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荷物フック
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客室温度計
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車端部テーブル
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デッキ部ドア取っ手
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デッキ部ドア自動/手動切り替えボタン
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デッキ部
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非常用ドアコック
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くずもの入れ