321系電車
概要
JR西日本が京阪神地区に残っていた201系や205系などの国鉄型通勤車両の置き換え、および福知山線脱線事故で廃車になった207系の補充のために投入した通勤形電車です。
207系は12年に渡って改良を重ねながら製造され続けていましたが、社会情勢の変化や技術の進歩への対応が困難となり、全面的な設計の見直しとして本形式が導入されました。
車体はSUS304ステンレス鋼を使用して造られており、連続溶接構造を採用しています。
外板厚は2.0mmとなっており、レーザー溶接を採用したこともあり223系を上回る車体強度を持ちます。
前面デザインは207系をイメージを踏襲していますが、フォグランプの追加や三角形の装飾の追加など、変更点もあります。
行先表示器は幕式の種別表示とLED式の行先表示という組み合わせになており、号車表示も可能になっています。
車内は4扉のロングシート構成で、207系とは異なり、薄いグレーの内壁と濃いグレーの床という配色になっています。
座席はバケットシートタイプで、ドア間の座席は207系より1名少ない6名がけとし、その分1人あたりのスペースを拡大するとともに、ドア部分の幅を広げ、円滑な乗降に寄与しています。
また、JR西日本の通勤・近郊型電車では初めて液晶ディスプレイによる車内案内表示器を備えており、天井から吊り下げる形で設置されています。
走行機器はIGBT素子による2レベル電圧型PWMインバータを用いたVVVFインバータ制御となっており、定格270kWのWMT106形自己通風かご形三相誘導電動機を搭載しています。
また、本形式では「0.5Mシステム」と呼ばれる基本的に全ての車両を電動車とし、片方の台車にのみモーターを搭載しており、これにより各車両の重量を均等化でき、編成の自由度が増すことや、機器故障時の冗長性を確保することを目指しています。
ただし、実際には207系とMT比を合わせる意図で付随車を挿入しています。
ブレーキは電気指令式空気ブレーキとなっています。
力行・ブレーキといった司令は台車単位で制御可能で、イーサネットを活用した車内伝送システムなど、多くの新機軸を採用しています。
最高速度は120km/hですが、130km/hへの対応をするための改造の準備工事が行われています。
導入後は207系とともに京阪神地区の東海道本線・山陽本線の緩行線や福知山線、JR東西線、片町線(学研都市線)などで活躍しています。
歴史
2005年12月1日に運用開始しました。
2023年3月にはおおさか東線・大和路線を直通する直通快速の運用が、221系に置き換えられる形で消滅し、おおさか東線・大和路線(奈良~木津間を除く)での運用がなくなりました。
現状
JR京都線・JR神戸線・JR宝塚線・JR東西線・JR学研都市線など京阪神地区の通勤路線の普通・快速列車として活躍中です。
走行線区(特記無い場合は全線)
JR西日本 |
東海道本線(草津~神戸)、山陽本線(神戸~加古川)、福知山線(尼崎~篠山口)、JR東西線、片町線、関西本線(木津~奈良) |
2024.08.30現在
フォトギャラリー
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外観
先頭部連結器
方向幕
パンタグラフ
乗降扉
ドア開閉ボタン(車外)
車内
座席
優先座席
車椅子スペース
吊り革
車内案内表示器
ドア開閉ボタン(車内)
車番表記(車内)