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415系電車




概要

国鉄が交流区間と直流区間の直通運転を実施するために開発した交直流近郊型電車です。
交流電化区間での周波数が50Hzの路線と直流電化区間を走行できる401系と、同60Hzの路線と直流電化区間を走行できる421系がまず開発され、その後これらの出力増強型である403系・423系が開発されました。
それらを発展させ、交直流電化対応かつ交流電化区間の周波数である50Hzと60Hzのどちらにも対応できる車両として開発されたのが本形式です。
まず基本番台である0番台、次にクロスシート座席の幅を拡大した100番台、そして常磐線の混雑緩和を目的に最初からロングシートで製造された500番台、
JR西日本が北陸地方で使用していた485系を山陰地区の特急列車に使用するため、183系に改造する際に発生した交流機器を113系に搭載した改造車である800番台、そして最後に211系によく似たステンレス車体の1500番台があります。

車体は1500番台を除いて153系をベースとした普通鋼製となっており、全金属製セミ・モノコック構造となっています。
1500番台については211系をベースとした軽量ステンレス車体となっています。
交流区間での絶縁距離を確保するためにパンタグラフと特高圧機器を搭載する部分は低屋根構造となっています。

車内は近郊型車両ということでセミクロスシートを基本としますが、ラッシュ輸送を考慮してロングシートに改造されたものも存在します。
ドアは片側3箇所で両開きとなっています。
また、長距離を走行する列車にも使用されることから、トイレを設置しています。

走行機器は電動カム方式の抵抗制御で、MT46A形直巻整流子電動機を改良したMT46B形を搭載しています。
駆動方式は中空軸平行カルダン駆動方式で、ブレーキは発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキとなっています。
最高速度は100km/hとなっており、モーターの定格出力は120kWとなっています。
本形式は交直流型であり、交流区間では車載機器で交流を直流に変換した上で使用しますが、整流器はシリコン整流子を採用した全波整流単相ブリッジ式となっています。
また、交流と直流の切り替えはデッドセクション通過中に運転士が車上の切り替えスイッチを操作する車上切替方式で、惰性走行中に硬直切替スイッチを操作すると自動的に停電し、再び通電区間に入ると自動的に電源が入る仕組みです。
万が一切替操作を失念して防振した場合は、交流設定のまま直流区間に入った場合はヒューズが溶断し、直流設定のまま交流に入った場合は保護継電器が作動して電源が落ちる安全装置も備えます。

本形式の前身である401系と421系はそれぞれ常磐線と山陽本線・鹿児島本線に投入され、さらにそのパワーアップ版である403系・423系も登場しました。
401系・403系は50Hz専用、421系・423系は60Hz専用と交流区間では周波数によって運用可能な線区が制限されていましたが、50Hz/60hzの双方に対応できる車両として登場したのが本形式です。
国鉄時代は交流と直流が混在する常磐線や水戸線、及び関門トンネルを渡って山陽本線と鹿児島本線を直通する列車などに投入されましたが、九州内では交流電化区間のみを走る普通列車用の電車にも本形式が投入されたため、九州の普通列車を代表する形式となりました。
また、国鉄末期の1986年からはモデルチェンジ車両として211系をベースにした車体を持つ1500番台・1600番台が製造され、大きく外観が異なるグループとなりました。
外観以外にも車体幅の拡大、空気ばねを採用した台車への変更、座席のロングシート化といった変更点があります。

国鉄分割民営化後はJR東日本とJR九州に継承され、JR東日本では常磐線向けにグリーン車用の2階建て車両が投入されたりといった展開がありました。
また、JR西日本は国鉄から本形式を継承しなかったものの、七尾線を電化するにあたり、北陸本線は交流電化だったものの七尾線は絶縁破壊の問題から直流電化とすることになり、これらを直通する普通列車用として交直流電車が必要になり、保有していた113系に、福知山運転所所属の485系から撤去した交流機器を移植することで交直流化するという手法がとられ、これも本形式に編入され、800番台に区分されています。
その他、常磐線にE531系が導入され、本形式が置き換えられた際には、500番台・600番台・1500番台をJR九州に譲渡しています。

こうして、JR東日本・JR西日本・JR九州の3社で運用された本形式ですが、JR東日本では常磐線ではE501系・E531系への置き換えでまず東京近郊区間から撤退し、友部以北の区間と水戸線のみの運用になり、2016年3月ダイヤ改正でこれらからも撤退して、JR東日本からは消滅となりました。
続いてJR西日本では北陸新幹線が第三セクター「IRいしかわ鉄道」に転換された後も七尾線と同線を直通する普通列車として使用し続けていましたが、2021年春ダイヤ改正をもって521系に置き換えられる形で引退し、JR西日本からも本形式が消滅となりました。
JR九州でも本形式の置き換えが進行中であり、運用範囲は縮小しつつあり、2022年秋ダイヤ改正をもって鹿児島車両センター、大分車両センター所属の本形式は運用終了となりました。
しかし、本形式はJR九州が保有する唯一の交直流電車であることから関門トンネルを通る下関~門司間では本形式が唯一運用可能な形式であり、この区間の全ての定期普通列車を担っています。
また、2024年現在では前述の関門トンネルを通る列車を中心に鹿児島本線・日豊本線、長崎本線でもわずかながら運用されており、最後の本形式の生き残りとなっています。

歴史

1961年に本形式の前身である401系・421系が登場しました。
1962年には鉄道友の会ローレル賞を受賞しています。
1965年には401系・421系のモーター強化版である403系・423系が登場しました。
1971年には415系が登場し、以後は本形式に統一されることとなります。
1986年には外観が大きく異なる1500番台が登場しました。
1987年には国鉄分割民営化により、JR東日本とJR九州に継承されました。
2016年3月ダイヤ改正でJR東日本での運用を終了しました。
2021年3月ダイヤ改正でJR西日本での運用を終了し、800番台は廃区分となりました。
2022年秋ダイヤ改正でJR九州所有車のうち、鹿児島車両センターからは撤退し、また西九州新幹線開業に伴う長崎本線の一部非電化化により、長崎県への乗り入れを終了しました。
また、100・200番台と50・600番台はこれにより全廃されたため、残るは1500番台のみとなりました。

現状

JR東日本とJR西日本では全車引退済みであり現存しません。
JR九州では1500番台のみ運用中で、福岡県内を中心に佐賀県・大分県内の鹿児島本線・長崎本線・日豊本線でも活躍しています。

走行音

録音区間:小倉~門司(お持ち帰り)

走行線区(特記無い場合は全線)

JR九州 1500番台 山陽本線(下関~門司)、鹿児島本線(門司港~荒尾)、長崎本線(鳥栖~佐賀)、日豊本線(西小倉~大分)
2024.09.01現在

フォトギャラリー

画像をクリックすると拡大できます。

500番台

100番台同士の連結

車番表記

ミレミアム記念復刻版の0番台国鉄色 下関駅にて

0番台の車内

100番台の車内

100番台 福北ゆたか線仕様の黄色幕

JR東日本の1500番台

同方向幕

同車内

同優先席

JR九州の1500番台 小倉駅にて

JR九州の1500番台の側面

JR九州の1500番台のパンタグラフ

JR九州の1500番台の車内

JR九州の1500番台の方向幕

800番台(七尾線新塗装)

同乗降扉(車外より)

同車内

同座席

同優先座席

800番台(七尾線電化20周年ラッピング)

800番台(UFOラッピング)

同トレインマーク

同側面(その1)

同側面(その2)

800番台(金箔ラッピング)

800番台(わくたま号)

同ロゴ

同側面
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