YC1系気動車
概要
JR九州が長崎地区でのキハ66系・キハ67系などの置き換え目的で導入した一般型気動車です。
ディーゼル・エレクトリック方式のシリーズ・ハイブリッド車両となっており、ディーゼルエンジンで発電した電気を使い、電気モーターで走行する車両となっています。
これにより国鉄型気動車であるキハ66・67系やキハ40系に比べて2割程度燃費を改善しています。
形式名は「優しくて力持ち」のローマ字表記である"Yasashikute Chikaramochi"の頭文字から採られており、従来の車両とは異なる命名規則を採用しました。
車体は同時期に導入された近郊型電車である821系と共通化が図られており、外観も類似点が多くなっています。
乗降扉は3箇所で、座席はロングシートを主体に一部クロスシートも設置しており、編成は2両固定編成ですが、増結用の車両を連結することで3両編成での運行も可能となっています。
キハ66系・キハ67系に比べるとドアの数が増えており、ロングシートを主体としたことで収容力や乗り降りの円滑さが向上している一方で、座席数自体は減ってしまい、着席できなくなったという声が出るなど、問題点も指摘されました。
内装は工業デザイナーの水戸岡氏が担当しており、木をふんだんに使い、QRコード状の模様をあしらっています。
また、車椅子対応の大型トイレも備えています。
走行機器としては発電用のディーゼルエンジンと走行用の電気モーターがあり、更にバッテリーを搭載することで発車から30~40km/h付近まではエンジンを停止しバッテリーからの電力のみで走行し、惰性走行中はエンジン出力が抑えられ、再加速に俊敏に対応できるようにしています。
停車中はアイドリングストップが行われますが、バッテリー残量が低下してくるとエンジンを起動してバッテリーへの充電を行います。
また、減速時はモーターを発電機として使用し、回生電力をバッテリーに蓄えて回収することができ、減速時の運動エネルギーも有効活用できます。
行先表示器は大型のフルカラーLEDのものが搭載され、日本語・英語・中国語・韓国語の4か国語の表示に対応しています。
今後、JR九州で採用する地方線区向け一般型気動車は本形式のようなディーゼル・エレクトリック方式の車両に統一していく方針であるという話も出ています。
歴史
2018年に本形式の概要が発表され、同年中に量産先行者が落成し、報道公開されました。
2019年より試運転が始まり、2020年3月14日ダイヤ改正より営業運転が開始されました。
2021年7月1日には長崎本線(長与経由)と大村線の定期普通・快速列車は本形式で統一されました。
現状
長崎本線(長崎~小長井間・旧線含む)、大村線全線、佐世保線全線にて運用中です。
また、区間快速・快速「シーサイドライナー」も全ての列車に本形式が充当されます。
走行線区は準備中です。
フォトギャラリー
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外観
前面行先表示器
側面部行先表示器
乗降扉
保安カメラ
ロゴマーク
ドア開閉ボタン(車外)
銘板
車内
車内トイレ
座席(ロングシート)
座席(ボックスシート)
床面
運賃表示器
運転台