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小田急3000形電車




概要

車体の構造などについて、従来の小田急電鉄の車両と比べて大幅な見直しを図り、製造・運用コストの削減、環境への負荷の低減、バリアフリーの推進を図ることを目的に登場した通勤形電車が小田急3000形です。6、8両編成がそれぞれ製造され、箱根登山鉄道への乗り入れにも対応した地上線専用車両です。
当系列の増備中に「通勤・近郊電車の標準仕様ガイドライン」が制定され、これを考慮して製造年時により細部の仕様が異なることが特徴です。1次車では2000形に準じた仕様が採用されていましたが、2次車では先述のガイドラインを参考に汎用的な部品の使用を増やし、3次車以降はガイドラインに沿った標準仕様の機器などを採用した「標準型車両」とされました。
車体は2000形に引き続いてオールステンレス車であり、光沢を押えるために全面ダルフィニッシュ仕上げとなっていますが、ドア部分はヘアライン仕上げとして単調になりがちな車体にアクセントを付けています。また、2600形から2000形に至るまで続いてきた車体断面の裾絞り構造の採用をせず、直線構造になっています。8次車以降は2005年4月に発生したJR福知山線の脱線衝突事故を受け、部材などを変更することで車体強度の向上を図っています。パンタグラフは小田急30000形(愛称:EXE)で採用実績のあるシングルアーム式のものを取り付けています。
前面は小田急2200形以来、47年ぶりの非貫通型となったため、従来の小田急電鉄の通勤形電車のイメージとは大きく異なります。また、前面下部にはスカートが設置されましたが、3次車以降は形状が変更され、側面にもスカートが多少広がったことで乗務員ステップと一体化されました。
ドアについてですが、1次車では2000形と同じ幅1.6m(乗務員室すぐ隣のドアのみ幅1.3m)となっていましたが、2次車以降は全てのドアが幅1.3mになり、側面窓についても1次車では戸袋窓と小型の窓がそれぞれ配置されていましたが、2次車以降は戸袋窓を廃止して大型の窓をドアの間に配置するデザインに変更されました。そして側面の窓ガラスには全てUVカット遮光ガラスを採用したため窓の日除けカーテンは省略され、小田急の通勤形電車では初めて妻面の窓が最初から廃止されています。方向幕はLED式のものを採用しましたが、2次車の後期製造車から視認性の向上を図るためサイズが拡大され、さらに7次車以降は大型フルカラーLED式のものに変更されています。
車内の座席は通勤形電車では標準的なロングシートで、2000形に引き続きバケットシートを採用しました。先頭車には車椅子スペースも設けられています。なお、2次車以降は座席の袖仕切りのデザインが変更されています。
床面はホームとの段差を縮小するために従来の通勤形車両よりも3cmほど低くされました。ドア上部には車内案内表示器を設置していますが、3次車まではLED式のものを、4次車以降は液晶ディスプレイ式のものを採用しています。なお、自動放送装置も標準装備しており、自動放送装置が未設置の在来通勤形電車と併結している際はそちらの車内にも自動放送を流すことができます。
運転台にはワンハンドル式マスコンを採用しており、見通しの改善と居住空間の拡大を図るため運転席の位置が若干車体の中央に寄せられています。走行制御装置にはVVVFインバータを採用しましたが、2次車までは180kwのものを使用していたのに対し、3次車以降は190kwのものに変更され、出力が増強されています。また、ブレーキ方式は従来とは異なる新型のものになりましたが、2000形で使用試験が行われたブレーキ読み替え装置を搭載しているため、登場当時の在来通勤形車両(小田急2000形は除く、小田急4000形は未登場)と相互に連結が可能です。

歴史

当系列は2001年から運転を開始し、2006年までに300両以上が製造されました。当系列は高度経済成長期からオイルショック期にかけて登場し、製造から30年前後が経過していた小田急2600形、旧4000形、5000・5200形、9000形の各系列を一気に置き換えた結果、小田急電鉄の通勤形電車の中で最多の系列となりました。
2003年以降に製造された3次車のうち、沿線への騒音低減試験のために3263編成は床下全体がスカートと一体型の防音カバーに覆われた状態で登場し、注目を集めました。2006年には電動車の台車付近のみの装着に変更され、2008年には試験終了のため防音カバーは全て取り外されました。また、2005年には比較のため、3265編成の電動車のみに防音カバーを設置しています。なお、この試験に使用された両編成には後に全密閉式主電動機が搭載されています。
2011年8月からは、小田急小田原線の向ヶ丘遊園駅付近に藤子・F・不二雄ミュージアムが開館することを記念し、3093編成に作者の作品に登場するキャラクターをデザインしたラッピングを施した上で、車内にも装飾を行った「小田急 F-Train」の運転が開始されました。しかし、東京都屋外広告物条例に抵触していると都側から指摘されたため、当初1年間の運転予定だったものが9月末に終了するという事態となりました。
しかしファンからの問い合わせが相次いだこともあり、小田急電鉄と沿線自治体との協議の結果、キャラクターの絵柄を小さくし、その数は増やすという方法で条例をクリアした上で、2011年7月から「F-Train II」としてラッピング電車の運行が再開されています。
2010年からは6両編成に新造された中間車4両を挿入し、10両編成にする組み換えが行われています。2013年からは、これまで試運転でのみ行っていた小田急8000形リニューアル車との連結運転が営業運転においても開始されました。

現状

現在は小田急電鉄の新しい主力車両として、特急以外の全種別で全線にわたって活躍しています。ただし、2012年3月に箱根登山鉄道 鉄道線への定期乗り入れは終了しています。

走行音

1、2次車(電動機出力180kw)
録音区間:下北沢~経堂(急行)(お持ち帰り)
3次車以降(電動機出力190kw)
録音区間:新松田~小田原(急行)(お持ち帰り)

走行線区(特記無い場合は全線)

小田急電鉄 小田急小田原線、小田急江ノ島線、小田急多摩線

フォトギャラリー

画像をクリックすると拡大できます。

1次車 海老名駅にて

1次車 大和駅にて

1次車 先頭部分側面

シングルアーム式パンタグラフ

LED式方向幕

2次車 片瀬江ノ島駅にて

3次車~6次車 成城学園前駅にて

2次車以降の先頭部分側面

2次車以降の中間車連結部分

大型LED式方向幕

LED式車内案内表示器

7次車以降 本鵠沼駅にて

フルカラーLED式方向幕

運転台

乗務員室部分

液晶ディスプレイ式車内案内表示器

ドア内側部分

車椅子スペース

2次車以降の車内

2次車以降の車内仕切り扉部分

下北沢駅付近地下化告知マーク 新宿駅にて

小田急 F-Train 狛江駅にて

F-Train II 下北沢駅にて

同車 先頭部分側面
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