青春18きっぷ

近年、インターネット上を始め、書籍やテレビなどでも紹介される青春18きっぷですが、一旦どんなきっぷでどうやって使えばいいのでしょうか。
このページはそういう疑問を解決します。

そもそも青春18きっぷとは

※2024年冬シーズンより「青春18きっぷ」の内容が大幅に変更されています。
従来のルールとは異なる点がありますので、過去に18きっぷを利用したことがある方も、改めて確認することをおすすめします。
簡潔に言うと、「期間中の連続した3日間ないし5日間、全国のJR線の普通列車が乗り放題」のきっぷです。
5日間用と3日間用があり、5日間用は12,050円、3日間用は10,000円で、例年、春・夏・冬に発売されます。
また、5日間用と3日間用は購入後に変更することは出来ません。
なお、発売期間や利用期間は変更の可能性もありますので、各自でJRのサイトなどでご確認下さい。
年齢制限はなく、どなたでもご利用になれますが、子供用の設定はありません。

青春18きっぷのメリット

なんといっても"安さ"でしょう。5日間用の場合は1回あたり2410円の計算ですが、うまく乗り継ぐと東京からなら青森や北陸、中国エリアまで到達できます。この距離を2410円で移動できる手段は18きっぷの他にはありません。
安さだけでなく、全国のJR線が乗り放題という点を活かせば、あえて行き先を決めずに列車を乗り回しぶらりと旅をすることもできます。

乗れる列車・乗れない列車


18きっぷを使うに際して、まず知っておかねばならないのは、どの列車に乗れて、どの列車に乗れないのかということです。
まず、最初の説明にある通り「普通列車」は問題なく乗れます。また、この「普通列車」はいわゆる各駅停車だけではなく、「快速」「新快速」「特別快速」「通勤快速」「区間快速」なども含まれます。
その他、宮島口~宮島間の宮島航路と、条件付きではありますが第三セクターの青い森鉄道の青森~八戸間、あいの風とやま鉄道の富山~倶利伽羅間、IRいしかわ鉄道の倶利伽羅~津幡間、ハピラインふくいの敦賀~越前花堂間にも乗れます。
※宮島航路を利用する場合は別途「宮島訪問税」(100円)が必要です。
その条件とは、指定区間内で途中下車しない通過利用であり、前後ともJR線と連続利用する場合です。

例えばJR高山本線で富山駅に到着し、そのままあいの風とやま鉄道に乗車して高岡駅から氷見線、ないし城端線へ乗り継ぐ場合、あるいは高岡を通り越してIRいしかわ鉄道に入り津幡駅から七尾線に乗り換える場合や、湖西線・北陸本線・小浜線で敦賀駅へ到着し、ハピラインふくいを経由して越前花堂駅から越美北線に乗り継ぐ場合、青い森鉄道では奥羽本線・津軽線で青森駅に到着し、そのまま青い森鉄道に乗り継いで野辺地駅から大湊線、あるいは八戸駅から八戸線に乗り継ぐ場合であり、対象区間であってもJR線と連続利用しない場合や対象区間からはみ出して利用する場合は、乗車した区間に応じた運賃を別途支払う必要があります。
具体例をあげると、青い森鉄道に青森駅から乗車し八戸駅で下車する場合や奥羽本線・津軽線から乗り継ぐものの、野辺地駅や八戸駅で大湊線・八戸線へ乗り継がずにそのまま下車する場合、青い森鉄道の八戸以南まで乗り通す場合などです。

普通列車限定だが例外も・・・

ここで私はさっきまで書いたことと矛盾したことを言わなければなりません。
それは、実は特急列車にも乗れるケースがあるのです。具体的には以下の区間の自由席(石勝線は指定席の空席)を利用する場合です。
・石勝線 新夕張~新得
・奥羽本線 新青森~青森
・宮崎空港線 宮崎~宮崎空港
・佐世保線 早岐~佐世保
石勝線については、この区間に普通列車が運行されていないためです。
なお、同じく普通列車が運行されない新幹線や博多南線、上越線のガーラ湯沢~越後湯沢間にはこの特例は適用されませんのでご注意を、残り3つは、近距離利用時の便宜を図るためです。
いずれの区間でも言えることですが、まず自由席利用の場合(石勝線については自由席を連結した列車が運行されていないため指定席の空席利用)のみ適用されます。指定席やグリーン車を利用する場合は指定席券やグリーン券の他にその区間の乗車券も必要です。
また、特例区間の外にまたがって乗車した場合は区間外となる区間だけでなく、全区間の特急券・乗車券が必要となります。
宮崎空港線を例に説明すると、宮崎空港~宮崎間で特急を使う場合は18きっぷのみでOKですが、宮崎空港~延岡間で特急を使う場合は、乗車券・特急券は宮崎~延岡ではなく、宮崎空港~延岡で必要となります。
あと、この項目の趣旨とは少し違いますが、特急型車両を使用した普通列車はもちろん乗れます。

別のきっぷを追加して乗れる列車

18きっぷに別のきっぷを追加することで乗れる列車もあります。
まず、指定席ですが、普通・快速列車など特急券が要らない列車であれば、指定席券を追加購入することで乗車可能です。
続いてグリーン車ですが、自由席扱いのグリーン車についてはグリーン券の追加で乗れます。
例としては、関東近郊を走る普通列車に連結されるグリーン車などです。
一方、指定席扱いとなるグリーン車は乗車券も買わないと乗れません。例としてはお座敷列車などですね。
それから、ライナー(ホームライナーなど)ですが、ライナー券(乗車整理券とも)の追加で乗れます。
最後に、寝台車ですが、まず普通・快速列車で寝台車を連結する列車が現存しないため、有名無実化しているルールではありますが、寝台車は乗車券も買わないと乗れません。
注意が必要なのが、JR西日本管内の快速・新快速列車などに導入されている指定席サービス「Aシート」「うれしート」で、扱いは普通車指定席であるため、指定席券との併用で青春18きっぷでの乗車が可能ですが、対象は紙の指定席券のみであり、チケットレス指定席券は青春18きっぷとの併用が不可となっています。
青春18きっぷで「Aシート」「うれしート」を利用する場合は、チケットレス指定席券ではなくて、紙の指定席券を購入するようにしましょう。

運転見合わせ・運休など

18きっぷで旅行中に利用予定の路線が何らかのトラブルで運転を見合わせていたり、運休した場合についてです。
18きっぷは運休などを理由として払い戻しや期限の延期はできないことになっています。よって、そのために旅行を中止する場合も、払い戻しや期限の延期はできないと思って下さい。
また、新幹線や私鉄線が並行する区間だった場合に、それらに振替となる場合がありますが、18きっぷ利用者がその対象となるかどうかはその現場の判断となります。
特例的に18きっぷ利用者も振替対象にして貰える場合もありますが、原則的には振替も利用できません。そういったリスクも考慮の上で18きっぷを利用しましょう。
一方、災害などで長期運休になっている場合などで、代行バスが出ている場合は、その代行バスが普通・快速列車の代行である限りは、18きっぷで乗車できます。
当たり前ですが、急行・特急列車の代行バスには乗れません。

注意が必要な列車

JR線以外には乗れないというのは最初の方でも言っていることですし、その点が理解できないという方は恐らくはいらっしゃらないでしょう。
しかし、乗った駅も降りた駅もJRなのに、途中にJR以外の路線があるというケースがあります。
具体的には、伊勢鉄道があります。名古屋から松阪方面へ運行される快速「みえ」ですが、実は河原田~津間は伊勢鉄道という第3セクターになります。
車内改札時に運賃を精算することになりますが、その事を知らずにトラブルになることもあるようです。
他にも、盛岡から大館方面に向かう花輪線がありますが、盛岡~好摩間はIGRいわて銀河鉄道という第3セクターです。
有名な例を上げましたが、JRと直通している私鉄・第3セクターは多いので気をつけましょう。

BRTについて

青春18きっぷの対象は原則としては列車であり、JRグループであるJRバス各社が運行するものであっても路線バスには乗車できませんが、バス路線でありながら鉄道と一体的な運賃制度が適用されている大船渡線BRT、気仙沼線BRT、日田彦山線BRT(ひこぼしライン)については青春18きっぷで利用可能です。
これらは元々鉄道として運行されていたものをBRTに転換したものであり、運賃制度も鉄道に準じて扱われるためです。
その他、JR四国の牟岐線と予土線では一部区間において並行する路線バスとの共通乗車制度を導入しており、対象となる路線バスの共通乗車区間では、青春18きっぷで対象の路線バスに乗車可能です。

北海道新幹線オプション券

2024年現在、鉄道で北海道と本州を往来する手段は北海道新幹線のみとなっており、18きっぷで乗れる列車のみでは北海道と本州を往来することは出来ません。
しかし、「北海道新幹線オプション券」というものを別途購入することで、北海道新幹線の新青森~木古内間(普通車指定席の空席利用)と、道南いさりび鉄道線を片道1回のみ利用できます。
発売期間・利用期間は青春18きっぷそのものと同様で、かつその当日に有効な18きっぷと併用する場合に限り有効となり、1回4500円となっています。
経緯としては、北海道新幹線が開通する以前は本州と北海道の間には特急列車のみが運行されていましたが、青函トンネルを渡る蟹田~木古内間に限って18きっぷで特急列車に乗れる特例があったため、18きっぷのみで北海道と本州を往来できていました。
それが、北海道新幹線の開通により在来線の特急列車が廃止になるとともに、従来はJR線だった木古内~五稜郭間の江差線も第三セクターの道南いさりび鉄道に転換されるなど、状況は大きく変わりました。
一部からは北海道新幹線に18きっぷのみで乗車できる特例が設けられるのではないかと期待する声もありましたが、流石に18きっぷで新幹線に乗れるようにするわけにはいかなかったのか、このようなオプション券という形になりました。
当初は新幹線に乗れるのは奥津軽いまべつ駅~木古内駅間のみで、奥津軽いまべつ駅に隣接する津軽二股駅までJR津軽線を利用する必要がありましたが、津軽線の蟹田以北が旅客線としては廃止されることになり、新青森~木古内間に特例区間が拡大した経緯があり、同時にオプション券の値段も上がりました。

18きっぷの特典

18きっぷ自体がお得で便利な切符ですが、提示で受けられる特典もあります。まず、JR系列の一部ホテルでは18きっぷの提示で割引が受けられる場合があります。
その他、第3セクターを中心に18きっぷの提示で割引切符が購入できる場合があります。各社のサイトやパンフレットを確認してみて下さい。

使用方法

2024年冬より青春18きっぷは自動改札機に対応するようになりましたので、一般の乗車券と同様に自動改札機を通過できます。
また、購入時に使用開始日と有効期間を指定する形になるため、従来のように使用開始時に日付のスタンプを入れてもらう必要もありません。
自動改札機がなく駅員が配置されている駅で乗り降りする場合や、無人駅で降車する場合で乗務員による改札が行われている場合は券面を提示することで改札となります。

5回・3回も使い切れない・・・

2024年夏までの青春18きっぷは有効期間内の任意の日程で利用できたため、使い切れない分の青春18きっぷは金券ショップを利用して端数分を売買したり、知り合い同士で融通し合ったりということが可能でしたが、2024年冬シーズンよりルールが改定され、期間中の連続する5日間ないし3日間での利用となり、有効期間中に他人に譲渡・売買などは出来ないルールに変更されたため、3回ないし5回を使い切る必要があります。
以前より利用しづらい条件になってしまいましたが、計画的に利用すれば有効に活用できるシーンもあることでしょう。

せっかく買ったが計画がパーに・・・

青春18きっぷは有効期間開始前または有効期間内であり、かつ未使用の状態であれば220円の手数料で払い戻すことが可能です。
ただし、1日でも使用してしまっていたら払い戻しはできません。
前述のように有効期間中の譲渡・売買も不可能になったので1日でも使用してしまってから利用できなくなった場合は諦めるしかありません。

類似のきっぷ

18きっぷと似た内容の切符が他にもあります。

・秋の乗り放題パス

例年10月前半に発売&利用可能です。
以前は「鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ」という名前で発売されてましたが、2012年にリニューアルされルールや発売額が変更になりました。
大人7850円、子供3920円で連続する3日間に1人のみ利用可能となり、18きっぷ同様に飛び飛びの日程で利用したり複数人で分けあったりはできません。
乗車できる区間や列車は18きっぷと同じですが、青春18きっぷの3日間用に比べると安価なので3日間で利用した場合は狙い目ですね。
なお、2024年冬シーズンに青春18きっぷのルールが改定されて以後は、まだ秋の乗り放題パスが発売されていないため、今後値段が変更される可能性があります。

・北海道&東日本パス

利用可能エリアはJR東日本&北海道の全線と、北越急行・青い森鉄道・IGRいわて銀河鉄道・富士急行線となります。
18きっぷ同様に普通列車限定ですが、北海道新幹線の新青森~新函館北斗間の相互発着に限り特定特急券を別途購入することで普通車指定席の空席に乗車できます。
また、急行列車についても急行券の別途購入で乗車できます。
有効期間は7日間で価格は大人11330円、小児5660円です。春・夏・冬の各シーズンに発売されます。
有効期間は期間中の連続した7日間で、複数人での利用はできません。
利用できるエリアがJR東日本・JR北海道管内であり、中日本・西日本では利用できないのがネックですが、対象エリア内を旅行する場合は青春18きっぷの代替手段として一考の余地ありでしょう。
また、青春18きっぷでは特例を除いて利用できない第三セクターの青い森鉄道・IGRいわて銀河鉄道、北越急行も利用でき、北海道新幹線についても特定特急券を追加で購入すれば利用できるなど、全体的に青春18きっぷより有利な条件になっています。

・旅名人の九州満喫きっぷ

利用可能エリアはJR九州全線と九州内の私鉄全線です。
基本的には18きっぷ同様普通列車のみ利用可能ですが、西鉄の急行・特急は利用できます。また、市電やモノレール・地下鉄も利用可能です。
ただし、南阿蘇鉄道のトロッコ列車に関してはトロッコ整理券の他に乗車券も必要です。
近年は通年発売されており、3回分で11000円であり、有効期間は購入日より3ヶ月間となります。
2024年夏までの青春18きっぷの用に期間中の任意の日程で利用でき、複数人での共有も可能であるなど、従来の青春18きっぷのスタイルで利用できる貴重なきっぷとなっています。