200系新幹線
概要
国鉄が東北・上越新幹線開業にあわせて導入した新幹線車両です。
基本設計は先行して登場していた東海道新幹線向けの0系をベースとしていますが、豪雪・寒冷な地域を走行することから耐寒・耐雪対策をしており、外見上の特徴としては線路上の雪を跳ね除けながら走行できるように「スノープラウ」と呼ばれる構造を排障器に備えています。
受賞歴としては鉄道友の会ローレル賞を受賞しています。
車体は外観こそ0系に類似していますが、0系の鋼製車体からアルミ車体に変更され軽量化を図っています。
なお、0系に類似したデザインの基本番台の他に、100系に類似したデザインの200番台・2000番台があります。
また、前述のスノープラウの他、線路上の氷塊やバラストを巻き上げるトラブルを防止するため、車体下部まで一体化したボディーマウント構造とし、床下機器も2重床の中に収容するようにして、耐雪性能を高めています。
モーター冷却用の吸気口には雪切り室が設けられ、雪が入り込んでモーターが故障することを防いでいます。
車体塗装はクリーム10号を基調に、窓部分に緑14号を配しており、この選定は雪解けの新芽のイメージから選ばれ、登場時は「緑の疾風」という愛称がありました。
車内は0系同様の2+3列配置の普通車と2+2列のグリーン車となっており、0系よりも暖房性能を強化した空調も備えます。
3人がけ座席については0系と同じく回転が出来ませんでしたが、200番台・2000番台の一部は回転に対応し、更にリニューアルによってE4系と同等のものに更新されて回転・リクライニングにも対応しました。
運転台にはモニタ支援装置が装備され、これは国鉄の車両では初めての事例でした。
この画面にはキロ程・時刻・ATC信号・速度・ノッチ位置などの情報が表示されます。
走行機器は0系のタップ制御から改めて、サイリスタと呼ばれる半導体で回路を切り替える方式となり、バーニア連続移送制御によって、定格230kWのモーターを制御します。
モーター出力は0系より向上されており、これは降雪時の走行抵抗や連続勾配を考慮してのことでした。
ブレーキは発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキとなっており、耐雪ブレーキにも対応しています。
パンタグラフは0系と同じく下枠交差型ですが、降雪対策として押し上げ力を向上しています。
また、当初は0系と同じく各ユニットごとに1基必要でしたが、後年に特高圧引通線を引き通し、パンタグラフの使用数を削減し、騒音軽減を図っています。
編成のバリエーションはいくつかあり、まず最初に登場したのがE編成で、12両固定編成で、最高速度は210km/hでした。
そのうちの1両ずつがグリーン車とビュッフェ車に割り当てられていました。
続いて登場したのはF編成で、こちらも12両固定編成ですが、240km/hでの走行に対応していました。
また、先頭部形状が100系に類似した200番台・2000番台もあり、本形式の外観は2種類あることになります。
更に上越新幹線の上毛高原~浦佐間の下り線では長大トンネルと連続下り勾配を活かした275km/h運転を実施することになり、これに対応する車両として本形式の一部が改造され、ATC信号の240を275に読み替えるトランスポンダの設置や騒音軽減のためのカバーなどの設置、発電ブレーキの容量増加といった改良がされました。
これは山陽新幹線で500系が300km/h運転をカイスするまでは国内最速の営業最高速度でした。
その他、利用状況から10両に減車されたG編成、グリーン車を2両に増やし13両固定編成のH編成、8両ないし10両のK編成といったバリエーションがありました。
1990年代後半には比較的車齢の浅い編成を中心にリニューアルが施され、座席をE4系(普通車)、E2系(グリーン車)のものに置き換えたり、内装デザインの変更、車内案内表示器の設置、各種部品の交換、行先表示器をLED式に変更といった内容でした。
また、リニューアルにあわせて塗装も変更されました。
東北・上越新幹線の主力として活躍し、山形新幹線開通後は「つばさ」との併結運転のために自動併結装置を設置した編成が出るなどの変化もありますが、E1系・E2系・E4系などが登場してくると本形式は徐々に活躍の幅を減らしていき、E5系登場で東北新幹線から徹底すると晩年は上越新幹線でのみ運行されていました。
それもE2系などへの置き換えで引退となり、本形式は消滅形式となりました。
歴史
1982年の東北・上越新幹線開業にあわせて運用が始まりました。
1983年には鉄道友の会第23回ローレル賞を受賞しました。
1987年には200・2000番台が登場しました。
1999年~2001年にかけてリニューアルが行われました。
2004年10月23日に発生した新潟県中越地震では上越新幹線を走行中だった本形式のK25編成が脱線する事故が起きました。
新幹線の歴史上初となる営業運転中の脱線事故でしたが、死傷者は0でした。
ただし、該当編成は損傷が激しく後に廃車となっています。
2011年には東北新幹線から撤退し、2013年3月16日ダイヤ改正にて上越新幹線での運用も終了し、定期運用終了となりました。
同年3月~4月にかけて団体専用列車としての運行がされ、3月30日に新潟発上野行きとして運行された「春満喫TYO号」での運行をもって全ての営業運転が終了し、本形式は引退となりました。
同年6月3日に最後の編成が廃車され、本形式は消滅形式となりました。
現状
全車が引退済みであり、走行可能な車両は現存しません。
ただし、保存車両が各地にあり、代表的なところでは「鉄道博物館」(さいたま市)、「新潟市新津鉄道資料館」(新潟市)などで保存展示されています。
また、大宮駅西口の駅前には本形式のうち、東北新幹線開業一番列車に使用されたE21編成の車輪が保存されてます。
走行音
録音区間:上野~東京(とき342号)(お持ち帰り)
走行線区
廃形式につき省略
フォトギャラリー
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外観
外観2
外観3
「がんばろう東北」ロゴ
外観(新津鉄道資料館蔵)
リバイバル国鉄色
JRロゴマーク
行先表示器
パンタグラフ
ドア
デッキ
車内
座席