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300系新幹線




概要

JR東海が東海道・山陽新幹線向けに開発した新幹線車両です。
従来使われていた0系や100系からは大幅にスピードアップを果たし、最高速度270km/h運転を実現し、新たな東海道・山陽新幹線の種別である「のぞみ」の登場の立役者でもあります。

デザインは量産先行車では元日産自動車のデザイナーだった福田哲夫氏が担当し、量産車では手銭正道氏、戸谷毅史氏、松本哲夫氏、木村一男氏が担当しました。
製造は日本車輌製造・日立製作所・川崎重工業・近畿車輛が担当しました。
本形式は主に「のぞみ」に使用されていたこともあり、500系や700系が登場するまでは「のぞみ型車両」とも呼ばれていました。

本形式最大の目的は高速化であり、「スーパーひかり」という構想のもと、東海道新幹線の高速化を目指すことになり、そのための車両として開発されたのが本形式でした。
この背景として東京~大阪間の輸送では航空機との競合が激しく、飛行機では飛行時間は1時間程度だったものの、出発地から空港へ、更に空港から目的地への移動や搭乗手続き・保安検査等のタイムロスがあることから、新幹線が東京~新大阪間を2時間30分程度で結ぶことができれば、航空機からシェアを奪えると踏んでのことで、東海道新幹線の線路規格などを考慮した結果、270km/hでの運転を目標として設定されました。
そのため、まず270km/hという目標が設定され、どのような車両であればそれを実現できるかというプロセスで開発が進められ、0系の220km/h走行時と同等の騒音・振動に収めるためにはどこまで軽量化すればよいかというテストのため、0系のうち一部をテスト車両とし、走行機器を撤去して44tまで軽量化した車両を用意し、更に水を積んで64tにした車両なども用意して引っ買う検討した結果、軸重を11.3t以下にすれば現行車両と同等の振動・騒音で270km/h運転が可能であることが分かり、300系は軸重11.3t以下になるように設計されました。

車体は前述の軽量化のため、東海道・山陽新幹線向け車両では初めてアルミニウム合金製のシングルスキン構造となり、0系・100系より軽量な車両に仕上がっています。
走行機器はGTO素子によるVVVFインバータ制御となり、これに連続定格300kWのかご形三相誘導電動機を組み合わせています。
0系・100系では直流モーターを使用していましたが、本形式より交流モーターとなり、出力は30%向上しているものの重量は半減させることに成功し、更に直流モーターより高速回転が可能であることも高速化に寄与しています。
また、回生ブレーキも搭載され、これはVVVFインバータ制御の新幹線車両としては初でした。
回生ブレーキが使えない付随車については渦電流ブレーキを搭載していますが、渦電流ブレーキ装置の重量がモーターよりも重く、更に付随車に主変圧器を設置した影響もあって、本形式では電動車より付随車の方が重くなっています。
台車についても新幹線では初となる軽量ボルスタレス台車を採用しており、本形式は新機軸を多く採用した形式となっています。
パンタグラフは下枠交差型を採用し、大型カバーを取り付け、編成あたり3基設置されており、進行方向の後ろ側2基を使用して走行していました。
各車両間には特高圧引通線を通しており、高速走行中でも安定して受電することができます。
この特高圧引通線を採用するために本形式投入にあわせて東海道新幹線の電化方式をBT饋電方式からAT饋電方式に変更しています。

編成は16両固定編成であり、うち3両がグリーン車となっており、以後に登場する東海道新幹線向けの車両の基本を築きました。
ユニットは3両1ユニットでユニット中電動車2両、付随車1両の構成となっています。
なお、本形式では500系や700系などのように山陽新幹線内専用の編成や「こだま」などへの転用が行われることがなかったため、16両編成以外のバリエーションはありません。

登場後は「のぞみ」を中心に東海道・山陽新幹線の花形車両として活躍しますが、登場初期は故障が頻発しマスメディアから批判を受けることになりました。
また、従来の流線型から改めた剣先のような先頭部形状も、レール面から近すぎるために上面と下面で大きな圧力差が発生し、最後尾車両においては「尻振り」と呼ばれる不快な振動が発生し、乗り心地が悪化することも問題になりました。
この減少は300系開発段階では知られておらず、本形式以後の500系や700系の開発ではこれを防ぐ形状へと改良されています。
内装も高速化のための軽量化が再湯煎された結果、車内の振動や騒音が100系より悪化したという声が聞かれ、座席も軽量化のため座り心地がよくなく、乗客からの評価は必ずしもよいものではなかったという側面もあります。
これを受け、本形式以後に開発された新幹線車両では高速化のみならず、居住性や乗り心地も意識した開発姿勢となり、営業開始前の長期耐久試験を実施するようにもなりました。
前述の乗り心地の問題については、後年に後期に製造された編成を対象に改良工事が施され、セミアクティブサスペンションや改良型左右動ダンパ・非線形空気ばね・ヨーダンパなどを設置することで対処されました。

運用面では当初は「のぞみ」を中心に「ひかり」でも運用されますが、後継となる500系・700系が登場してくると「のぞみ」からは徐々に撤退していき、「ひかり」「こだま」での運用が中心となっていきます。
この頃には100系と共通運用とするために本形式を使用する列車でも最高速度を220km/hとした列車も設定されており、性能を持て余すことも多くなっていました。
更に本形式の置き換えを目的とするN700系の登場により、引退を迎えることになりました。
500系や700系が山陽新幹線内の「こだま」で余生を送ったのに対して、本形式はそういった転用はされずに引退となり、対象的な末路となりました。

歴史

1992年3月14日に運用開始されました。
2012年3月13日をもって定期運用を終了し、同年3月16日のさよなら運転をもってすべての運用を終了しました。
同年10月20日に最後の編成が廃車となり、本形式は廃形式となりました。

現状

全車引退済みであり、走行可能な車両は現存しません。 ただし、保存車両があり、322-9001が「リニア・鉄道館」(名古屋市)に保存・展示されています。
また、大阪府の関西新幹線サービックの敷地内にも保存されていますが、これは清掃作業の訓練用で通常は非公開であるものの、稀に公開されることもあります。

走行音

録音区間:小倉~新下関(こだま734号)(お持ち帰り)

フォトギャラリー

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外観

方向幕

号車表記

乗降扉&乗務員扉

乗降扉

連結面

車内(客室)

窓ガラスとブラインド

荷物フック

3人掛けの座席

2人掛けの座席

座席番号表示

座席テーブル(格納時)

座席テーブル(展開時)

車端部テーブル

荷棚

車内案内表示器

デッキ

デッキの列車名表示

くず物入れ

車内公衆電話

車内(客室)
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