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203系電車





概要

国鉄が営団地下鉄千代田線(当時)との直通運転をするために開発した通勤型電車です。
元々千代田線直通には103系1000番台が使用されていましたが、発電ブレーキの発熱がトンネル温度を上げること、また営団6000系よりも電力消費量が大きいことが問題となり、本形式が導入されました。
ベースは201系であり、制御装置は電機子チョッパ制御となっています。

車体は軽量なアルミ合金製とされ、普通鋼製だった201系より軽量化されており、勾配の多い千代田線でも高加減速を発揮する事ができます。
モーターは定格150kWを発揮するMT60形直巻整流子電動機となっており、最高速度は100km/hとなっています。
地下鉄直通を前提としていることから防火基準であるA-A基準に適合し、先頭部には避難用貫通扉を設け、戸袋窓を省略、窓の開口部を小さくするなどの特徴があります。

塗装はアルミ無塗装地に常磐緩行線のラインカラーであるエメラルドグリーンの帯を巻いたものとなっており、側面には国鉄のロゴマークであるJNRマークを配していました。
なお、JR化後はJRマークに書き換えられています。
編成は10両固定編成で、全席ロングシートで片側4ドアという通勤形として一般的な構造になっています。
車内のデザインも201系をベースにしており、JR化後にはモケットの変更が行われています。
また、常磐緩行線向けの車両としては初めて冷房を搭載する車両となりましたが、当時千代田線を運営していた営団ではトンネル全体に対して冷房を効かせる「トンネル冷房」を推進しており、地下鉄線内で冷房を使用するとトンネル内に放熱することになり、これに営団が難色を示したため、冷房の使用は地上線を走行中のみとなりました。

ブレーキは回生ブレーキ併用電磁直通空気ブレーキで、201系と同じく回生ブレーキを搭載していますが、地下鉄への直通を想定したため歯車比が変更されており、高速域でのブレーキ性能は201系より劣りますが、地下鉄で重要な低速域での高加減速性能に振ったセッティングになってます。

保安装置は国鉄のものと営団のものの両方に対応していましたが、千代田線を会して直通する小田急線については小田急の保安装置に対応していないため乗り入れていませんでした。

運用開始後は常磐緩行線に投入され、営団地下鉄千代田線との直通列車に使用されました。
当初は複々線区間が取手まで延伸されたことによる国鉄側の運用数増加に対応する増備という位置づけでしたが、後に103系の置き換え用として更に増備が行われ、常磐緩行線の国鉄側の主力車種となりました。
国鉄分割民営化後はJR東日本に引き継がれましたが、老朽化のため後継としてE233系2000番台を投入することになり、置き換えが始まり本形式は引退となりました。
なお、インドネシアの鉄道事業者である"PT Kereta Commuter Indonesia"や、フィリピン国鉄に譲渡され、海外で第二の人生を送る編成も存在します。
インドネシアでは外観こそ変化していますが、引き続き電車として使用されており、フィリピンでは客車としての運行になっていますが、モーターなどはそのままになっています。

歴史

1982年に量産先行車が製造され、営団・国鉄双方で乗務員訓練などを実施し、同年11月14日の我孫子~取手間複々線完成記念の出発式の記念列車として使用され、翌11月15日より一般営業運転を開始しました。
1987年の国鉄分割民営化により全車がJR東日本に引き継がれました。
2009年からは後継となるE233系2000番台が常磐緩行線・千代田線に投入されることになり、本形式の置き換えが始まりました。
2011年9月1日よりマト55編成にさよならヘッドマークが掲出されました。
そして、同年9月26日に最後の編成が営業運転を終了し、日本国内では本形式は引退となりました。

現状

JR東日本では全車引退済みです。
なお、インドネシアとフィリピンにて本形式が輸出され使用されており、海外ではまだ本形式の活躍を見ることが出来ます。
公式な保存車両はありませんが、クハ203-103が個人に売却されたようです。

走行音

録音区間:赤坂~国会議事堂前(お持ち帰り)

廃形式につき走行線区は省略

フォトギャラリー

画像をクリックすると拡大できます。

外観1

外観2

前面運行番号表示器

前面方向幕

前面のJRマーク

前面灯火類

連結器

先頭部分側面

乗務員室部分

車内車号プレート

方向幕

消されたJNRマークと車側灯

側面ドア間の外観

側面車号表記

菱形パンタグラフ

中間車連結部分

2編成の並び
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