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205系電車





概要

国鉄が首都圏の103系の置き換えのために開発した電車です。
同様の目的で201系が開発されていますが、中核をなす電機子チョッパ制御が割高であるため、コストダウンを図った車両が205系です。
国鉄の車両としては初めて軽量ボルスタレス台車・軽量ステンレス構造・電気指令式ブレーキを採用するなど、多くの新機軸を盛り込んだ車両でもありました。
本形式と同じく省エネを目的に開発された201系では電機子チョッパ制御を採用していましたが、電機子チョッパ装置が高価であり、財政難が問題になっていた国鉄ではさらなる増備は難しく、本形式では従来の抵抗制御をベースとして、界磁調整器のみチョッパ制御を導入することで高価な半導体を使用する部分を少なくする「界磁添加励磁制御」を採用し、界磁調整器用では扱う電力が低いこともあって大幅なコストダウンを果たしました。
従来の抵抗制御は発進~加速時に余分な電力を抵抗器で熱に変換して捨ててしまっていたため電力の無駄が発生していたのを改善したのが電機子チョッパ制御でしたが、界磁添加励磁制御では基本構成は抵抗制御なのでこの点は改善されないことになります。
しかし、もう1つのメリットである走行エネルギーを回収し架線に戻し他の電車に使用させることで再利用する「回生ブレーキ」の使用が可能となっており、抵抗で熱に変換して捨ててしまう損より回生ブレーキで回収できる電力の方が圧倒的に多いため、界磁添加励磁制御では省エネ性能を回生ブレーキによる運動エネルギーの回収に特化させることでコストパフォーマンスを向上させつつ、省エネ性能を向上させるという方針で開発されました。
このようにコストパフォーマンスと省エネ性能を両立させた本形式は高コストのために増備が進まなかった201系に変わり、首都圏や京阪神地区での通勤型車両の標準型として広く採用されることになりました。

車体は101系以降採用され続けている20m級4ドア車体を踏襲するものの、材質を普通鋼からステンレスに変更し、軽量化と共に塗装を省略できることによる保守作業の効率化も実現しています。
また、埼京線や山手線など特に混雑の激しい路線向けとして、6ドア化された車両もあります。
6ドア化された車両では座席は格納式とし、ラッシュ時間帯は座席を格納することで乗車定員を極限まで増やしていましたが、ホームドア設置に伴いドア位置を統一する必要が生じたことから、短期間で姿を消すことになりました。
走行装置は界磁添加励磁制御で、車体の軽量化も相まって201系よりも消費電力を抑えることに成功し、103系との比較では最大で31%ほどの節電になっています。
モーターは一般的に使用されていた直巻式のMT61形で、これもシンプルで保守性に優れ、低コストな車体とすることに貢献しました。
この界磁添加励磁制御は本形式を端緒に、近郊型の211系や215系、特急型では251系・253系・651系で採用されることになりました。
また、最高速度は基本設計では100km/hですが、一部仕様変更や改造により110km/hや120km/hに対応した編成も存在しています。
ブレーキは国鉄の在来線用車両としては初となる全電気指令式ブレーキとなり、回生ブレーキにも対応することで省エネルギー化を実現しています。

国鉄分割民営化後はJR東日本とJR西日本に引き継がれ、更にJR東日本・JR西日本でも増備がされ、引き続き首都圏や京阪神地区での通勤輸送を担いました。
JR東日本では制御装置をVVVFインバータに変更したものが登場したり、他線区への転用に際して短編成化される際、不足する先頭車を補うために中間車を改造して先頭車化したものや、京葉線・武蔵野線では前面デザインを変更した、通称「メルヘン顔」と呼ばれる車両、相模線向けのデザインが大幅に変更された車両(500番台)も存在します。
JR東日本とJR西日本に引き継がれたあとも、長年にわたって通勤輸送を担いましたが、徐々に後継車両に置き換えられる形で主要路線からは撤退していき、郊外線区や地方線区に転用されるようになりました。
首都圏では当初は山手線・京浜東北線・埼京線・南武線・京葉線・武蔵野線・横浜線といった路線で運用され、後に相模線・鶴見線・南武支線・八高線・川越線などに転用され、更に栃木県内の東北本線(宇都宮線)や日光線、宮城県の仙石線などでも活躍しました。
また、本形式を改造した観光向け車両「いろは」も導入されました。
京阪神地区では東海道・山陽本線(京阪神緩行線)での運用から始まり、207系や321系に置き換えられる形で京阪神緩行線から撤退すると阪和線へ転用され、更に阪和線の輸送力増強用として増備もされました。
その後は阪和線からは撤退し、転用先として奈良線での運用も開始され、JR西日本での本形式の運用は奈良線に集約されることとなりました。

その他、富士急行(現在の富士山麓電気鉄道)に譲渡されたり、インドネシアの鉄道事業者である「PTケレタ・コミューター・インドネシア」に譲渡された編成も存在しています。

歴史

1985年に最初の編成が運用開始されました。
1987年の国鉄分割民営化ではJR東日本とJR西日本に引き継がれました。
2018年4月1日より本形式を改造した観光向け車両「いろは」が登場し、日光線で運行されました。
2020年10月19日の武蔵野線での運用をもって東京23区内の路線での運用は終了となり、東京23区内から国鉄型通勤車両が消滅することとなりました。
2023年3月26日をもって「いろは」の最後の運用である団体臨時列車「さよならいろは日光号」をもって運用終了となり、翌々日の3月28日に長野車両センターにて廃車・解体されました。
直近のダイヤ改正をもって栃木県内の205系はE131系に置き換えられたため栃木県内での本形式の運用は終了しました。

現状

国内ではJR東日本・JR西日本・富士山麓電気鉄道にて運用中です。
JR東日本では南武支線・仙石線にて、JR西日本では奈良線にて運用中です。
JRグループ以外では富士山麓電気鉄道とインドネシアの鉄道事業者である「PTケレタ・コミューター・インドネシア」にて活躍中です。

走行音

界磁添加励磁制御車
録音区間:赤羽~十条(お持ち帰り)
VVVFインバータ車
録音区間:新秋津~東所沢(お持ち帰り)

走行線区(特記無い場合は全線)

JR東日本 南武支線・仙石線
JR西日本 奈良線・関西本線(木津~奈良)
2024.08.17現在

フォトギャラリー

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0番台 深緑色

0番台 深緑色 6ドア車組込み編成

JR東日本の205系の一般的な車内

JR東日本の205系の一般的な乗務員室部分

0番台 オレンジ色 前面デザイン変更車

同編成 先頭部分側面

5000番台 小型ドア窓編成 オレンジ色

同編成 先頭部分側面

方向幕

0番台 京葉線塗装 前面デザイン変更車

0番台 京葉線塗装

車外車号表記

0番台 ウグイス色(緑線入り)

同編成のJRマーク

同編成の6ドア車

6ドア車の車内

0番台 南武線塗装 先頭化改造車(1200番台)込みの編成

0番台 南武線塗装

同編成 先頭部分側面

前面方向幕・運行番号表示器

500番台

500番台 側面のJRマーク・方向幕など

500番台の車内

500番台 車内仕切り扉部分

0番台 ウグイス色(緑線入り)と500番台との並び

1000番台(南武支線用)

同車内

1100番台

3000番台

3000番台 先頭部分側面

600番台(湘南色)

600番台(中間車改造先頭車)

同方向幕

600番台(日光線・中間車改造先頭車)

同前面方向幕

同側面方向幕

日光線ロゴ

同ドア開閉ボタン(車外)

「いろは」

同トレインマーク

同車内

同車内その2

座席(ロングシート)

座席(ロングシート・優先席)

座席(ボックスシート)

大型荷物置き場

ブラインド

乗降扉(車内より)

ドア開閉ボタン

つり革

車内案内表示器

3100番台(仙石線)

同方向幕

JR西日本所有車

同車内
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