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253系電車



概要

JR東日本が「成田エクスプレス」用に開発した車両で、当初は0番台が投入され3両編成と6両編成が運用されていました。
足回りは251系に準じたものであり、界磁添加励磁制御となっていますが、いくつか変更が加えられたため最高速度130km/hを誇ります。

車体構造は床材と屋根板がステンレス鋼板で、他は普通鋼製です。
パンタグラフの取り付け位置を低くすることで、車両限界が小さい中央本線への乗り入れにも対応しています。
外観塗装は「北極圏の白」「成層圏の灰色の空」「地平線に輝く赤い太陽」「果て無き黒い宇宙」をイメージした4色を採用し、国際空港である成田空港から世界へ旅立つイメージを反映しています。
デザインはGKインダストリアルデザインが担当し「価値ある移動空間」をコンセプトにデザインされ、製造は東急車輛製造と近畿車輛で行われました。
また、窓ガラスにはサイゴバン社製の熱線反射ガラスを採用しています。
先頭車は品川~錦糸町間で近く間を走るため、貫通扉を備えており、また分割併合を行う運用もあることから貫通幌・自動解結装置も設置されています。

車内は、普通車では特急形車両では珍しい固定式ボックスシートとなっていますが、これは大きな手荷物を持っていることが多い空港利用者が手荷物を座席周辺に置きやすいように配慮されたものでした。
ただし、この構造は一部の利用者からは不評でもあったようです。
グリーン車では4人用個室と座席があり、1+1列(0番台)と1+2列(100番台)の2種類がありました。
その他に車端部にはスーツケースなどを置ける荷物置き場や、この時代ではまだ珍しい車椅子対応の大型洋式トイレを採用するなど、国際空港へのアクセス列車として相応しい車両とすることを目指されました。

走行機器は251系を基本とした界磁添加励磁制御で、ボルスタレス台車、軸バネダンパ、ヨーダンパの採用で乗り心地の改善を図っています。
ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキで、直通予備ブレーキ、抑速ブレーキ、耐雪ブレーキも備えています。

大まかなグループとしては最初に登場した0番台、2002年にFIFAワールドカップ開催に伴う輸送力増強で増備された200番台があります。
0番台は当初3両編成で登場しましたが、後に中間車が増備されて6両編成に変更された編成も存在します。
なお、普通車の座席配置は後年、200番台に準じる形で変更されています。
200番台は0番台の初期グループ登場から10年以上を経ての登場となり、種々の変更点があり、座席の手掛けの追加、ドアチャイムの設置、行先表示器を方向幕からLED式に変更する、車両間転落防止幌の設置、そして最大の変更点として普通車の座席配置が固定式ボックスシートから回転リクライニングシートに変更されました。
また、編成は最初から6両固定編成のみとされており、制御装置としては登場当時、既にVVVFインバータ制御が主流となっていましたが、0番台と仕様を合わせる目的地で界磁添加励磁制御が踏襲され、これは205系をVVVFインバータ制御に改造する際に発生したモーターや機器類を流用して製造されました。

後に「成田エクスプレス」用として後継となるE259系が登場すると、本形式は「成田エクスプレス」からは撤退することとなり、本形式は0番台については後述の長野電鉄への譲渡車を除き廃車、200番台については485系が使用されていたJR-東武線直通特急「日光」「きぬがわ」向けに流用されることとなり、改造を受けて1000番台を名乗るようになりました。
1000番台への改造に際しては内外装のリニューアルや、制御装置を界磁添加励磁制御からIGBT素子によるVVVFインバータ制御に変更といった変更が行われ、地下線への入線や分割併合をする運用がなくなることから、貫通扉・電気連結器も撤去されました。
外観塗装は神橋・二社一寺をイメージした赤色・朱色と、ニッコウキスゲ、紅葉をイメージした黄色の2色となっています。
また、グリーン車の設定は取りやめとなり、全車が普通車となりましたが、奇数号車と偶数号車で座席のモケットの色が変えられました。(奇数号車:オレンジ、偶数号車:ブルー)
その他、シートピッチの拡大、公衆電話の撤去、AED・多目的室の設置といった変更も行われています。

また、0番台のうち3両編成2本が長野電鉄に譲渡され、各種改造の上で2100系と改称され運用されています。
受賞歴としては鉄道友の会ローレル賞とブルネル賞近距離列車部門最優秀賞を受賞しています。

歴史

1990年に初期グループが製造され、1991年3月19日に「成田エクスプレス」として運用を開始しました。
1992年にローレル賞・ブルネル賞を受賞しました。
2002年には200番台がデビューするとともに、0番台についても200番台に準じた改造がされました。
後継車両のE259系が2009年より投入されると、本形式の置き換えが始まり、2010年6月30日をもって「成田エクスプレス」からは撤退となりました。
0番台については前述の長野電鉄への譲渡車を除き全車廃車となり、200番台は1000番台へ改造されました。
2010年6月には長野電鉄に本形式が譲渡されたことが公表され、翌2011年2月26日に2100系と改称され、長野電鉄での運用が始まりました。(長野電鉄2100系としての紹介は別ページで行います)
2011年からは東武線直通特急「日光」「きぬがわ」への転用と1000番台への改造が行われ、同年2月には車両展示会も実施され、更には臨時列車として品川・大船・千葉を発着する「日光」を運行することも決まっていましたが、同年3月11日に発生した東日本大震災と、それに伴う電力不足の影響を受けて「日光」「きぬがわ」は運休となり、本形式の投入も見送りとなりました。
「日光」「きぬがわ」自体は同年4月29日より運行が再開されましたが、当面は従来通り485系が使用されました。
その後、同年6月4日より本形式での運用が開始されました。

現状

0番台はJR東日本としては全廃されており、現存しません。
なお、2編成が長野電鉄2100系として活躍中です。
200番台は1000番台への改造により現存せず、1000番台は「日光」「きぬがわ」での定期運用の他、臨時列車や団体列車としても運用されます。
保存車としては長野総合車両センター内にクロ253-1が保存されていますが、長年の放置により傷みが激しいようです。
また、長野市内にてクモハ252-1の前面カットボディが保存されています。

走行音

0番台(長野電鉄2100系)
録音区間:権堂~市役所前(B特急)(お持ち帰り)
1000番台
録音区間:下今市~東武日光(日光1号)(お持ち帰り)

走行線区(特記無い場合は全線)

JR東日本 253系1000番台 日光 湘南新宿ライン(新宿~大宮)、東北本線(大宮~栗橋)、東武日光線(栗橋~東武日光)
きぬがわ 湘南新宿ライン(新宿~大宮)、東北本線(大宮~栗橋)、東武日光線(栗橋~下今市)、東武鬼怒川線(下今市~鬼怒川温泉)
長野電鉄 2100系 スノーモンキー 長野電鉄長野線

フォトギャラリー

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外観(成田エクスプレス時代)

貫通扉

方向幕

デッキ部案内表示

車内案内表示器(デッキ部)

車内案内表示器(客室)

座席テーブル

手元灯とエアコン吹出し口

外観(1000番台)

先頭部種別幕(1000番台)

号車表示(1000番台)

行先表示器(1000番台)

車番表示(車外)

奇数号車車内(1000番台)

偶数号車車内(1000番台)

奇数号車座席(1000番台)

偶数号車車椅子対応座席(1000番台)

座席番号表示(1000番台)

車端部テーブル(1000番台)

車端部テーブル(1人がけ席)(1000番台)

座席テーブル(1000番台)

肘掛けテーブル(1000番台)

窓ガラスとブラインド(1000番台)

車内案内表示器(1000番台)

車番表示(車内)

客室荷棚(1000番台)

大型荷物置き場(1000番台)

客室扉(1000番台)

車内トイレ(1000番台)

洗面台(1000番台)

デッキ部(1000番台)

デッキ部2(1000番台)

デッキ部くず物入れ(1000番台)
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