273系電車
概要
JR西日本が特急「やくも」で使われていた381系の後継として導入した特急形電車です。
基本構造は271系をベースにしており、アルミニウム合金製のダブルスキン構造となっていますが、曲線の多い伯備線を走行するため、細部に変更を加えています。
外観は「やくもブロンズ」と呼ばれる鬱金色、黄金色、赤銅色を組み合わせた色を基調としており、列車名の由来である「八雲立つ」にちなんだ雲をモチーフにしたロゴマークを配しています。
デザインは川西康之氏と近畿車輛デザイン室が監修したもので、全車を近畿車輛が製造しています。
編成は4両固定編成のみとなっており、同形式同士の分割・併合を考慮し、貫通扉を備えており、1編成のみの4両編成か、2編成を併結した8両編成で運行されています。
車内は1号車(5号車)のみグリーン車とセミコンパートメント(普通車)の合造車であり、他は普通車となっています。
グリーン車は1+2列配置で、各座席にフットレストを装備しています。
セミコンパートメント席は簡易な仕切り板とテーブルを備えたボックス席状の設備となっており、2人がけと4人がけがあります。
また、座席を展開することでフルフラットとすることも出来ます。
普通車は2+2列配置ですが、車端部の一部に荷物置き場を配置しているため、座席が片側のみとなっている箇所があります。
バリアフリー設備としては3号車の一部座席が車椅子スペースを併設したものとなっています。
また、全車に防犯カメラが設置されている他、フリーWi-Fiのサービスも実施されます。
車内チャイムは米子市・松江市出身のメンバーで構成されるバンド「Official髭男dism」の楽曲を採用しており、上り列車では「Pretender」、下り列車では「I LOVE...」となっています。
走行機器の面では、全車が電動車となっているのが特徴で、各車に付随台車と電動台車を1基ずつ配置する「0.5M」方式となっています。
制御方式はフルSiC素子による2レベルVVVFインバータ制御となっており、定格220kWのWMT110形かご形三相誘導電動機を制御します。
ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキで、応荷重装置、遅れ込め制御、直通予備、救援、耐雪、抑速、駐車ブレーキも備えます。
また、先代となる381系同様、振り子式車体傾斜装置を備えており、曲線を高速で通過できます。
本形式の開発にあたっては、近年採用が増えている空気ばね式車体傾斜装置の採用も検討されたものの、曲線が多い路線環境である伯備線では圧縮空気の消費が激しく、タンク容量の問題で採用が難しいと判断され、従来からある振り子式車体傾斜装置となりました。
振り子装置は「車上型」と呼ばれる車載したジャイロセンサーで現在位置を検出しつつ、車載コンピューターに登録してあるマップデータとの照合により制御を行う方式となっており、より高精度で曲線進入のタイミングを測ることが出来るため、乗り心地の改善を図っています。
車体傾斜の制御装置についてもキハ187系などの従来車では3段階だった制御を、本形式では無段階としており、よりきめ細かい制御が可能となっています。
2024年度グッドデザイン賞「グッドデザイン・ベスト100(鉄道・船舶・航空機)」を、2025年鉄道友の会ブルーリボンを受賞しています。
歴史
2022年に本形式の形式名や車体形状イメージが公表されました。
2023年には最初の車両が落成し報道公開され、最初の2編成が試運転を開始しました。
2024年の2月には大阪駅での見学会、3月にはWESTER会員限定の試乗会が開催され、同年4月6日より「やくも」として定期運行を開始しました。
6月15日までに「やくも」の定期列車全列車が本形式で統一されました。
同年10月16日にはグッドデザイン賞を受賞しました。
2025年5月22日にはブルーリボンを受賞しました。
現状
特急「やくも」の全列車にて活躍中です。
走行音
録音区間:米子~安来(やくも15号)(お持ち帰り)
走行線区(特記なき場合は全線)
| やくも |
山陽本線(岡山~倉敷)、伯備線、山陰本線(伯耆大山~出雲市) |
2025.10.23現在
フォトギャラリー
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外観
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併結部
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乗務員扉
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パンタグラフ
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車番表示(車外側面)
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ロゴマーク
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行先表示器
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車内(普通車)
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座席
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座席コンセント
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座席背面テーブル
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壁面テーブル
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ドリンクホルダー(格納時)
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ドリンクホルダー(展開時)