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381系電車




概要

国鉄が曲線の多い電化路線のスピードアップのために開発した振り子式直流特急型電車です。
一見すると485系に似ていますが、曲線を高速で通過することができる装置「振り子装置」を搭載しているため性能は全く違います。
振り子装置の効果を最大限活かすため軽量化と低重心化が図られており、車体は軽量なアルミニウム合金製であるほか、冷房機などの重量物を極力床下に配置したため屋根上はパンタグラフなどの必要最小限のものがあるだけですっきりしています。
また、振り子装置作動時の車両限界への接触対策のために、485系などの特急型電車などと比べ車体下部の裾絞りが大きいデザインとなっています。
このように485系などの特急型電車と比べ特殊な装備が多いため、当系列の製造費用はかなり高価になりました。
この「振り子装置」の効果でカーブを本則+20km/hで通過することが出来るようになり、、本形式を投入した中央西線・篠ノ井線の名古屋~長野間では従来より30分以上も短縮する3時間10分台で結ぶことに成功し、カーブの多い区間でも高速運転を実現し、亜幹線の高速化に貢献しました。

本形式で採用された「振り子式」は、カーブ通過時に車体をカーブの内側に傾けて遠心力を相殺することで一般的な車両より高速での通過を可能にする技術であり、このような方式を実用化した例としては国内初の事例でもありました。
しかし、本形式で採用されたのは「自然振り子式」という、カーブ通過時の遠心力を利用して車体を傾けるものであり、カーブに入ってからワンテンポ遅れて車体が傾き始めて、一気に最大角度まで傾斜するという挙動(振り遅れ・揺り戻し)をしてしまうため、乗客が乗り物酔いを起こす事例が多発し、車内の各座席にはエチケット袋が用意され、車掌が酔い止め薬を常備していたという逸話も残っています。
このことから、本形式が投入された列車名である「くろしお」「やくも」と嘔吐を意味する言葉をかけ合わせて「げろしお」「はくも」などと揶揄されることにもなりました。
これを受けて、本形式以後に車体傾斜装置を搭載する形式では「制御付き自然振り子式」と呼ばれる、カーブに差し掛かる前に動力を加えてあらかじめ車体を傾け始める力をかけて、この「振り遅れ」「揺り戻し」の問題を克服した方式が採用されることとなり、自然振り子式を採用するのは本形式が唯一となりました。
なお、当系列が振り子装置を作動させて営業運転を行えるのは架線の張り方を変えるなどの線路の改良を施した路線に限られるため、それ以外の路線では振り子装置の使用を止めて運転することになります。

国鉄時代には「しなの」を皮切りに「くろしお」「やくも」などカーブの多い線区を走る特急列車に順次投入され、「ひだ」「北近畿」にも投入される構想もありましたが、これらは実現しませんでした。
国鉄分割民営化後はJR東海とJR西日本にそれぞれ引き継がれ、その後は時代に合わせてアコモデーション改善がされたり、パノラマグリーン車が登場したりといった変遷を遂げました。
JR東海では後継車種の383系登場により比較的早い時期に引退しているのに対し、JR西日本では「やくも」「くろしお」として長期にわたって運用が続くこととなり、リニューアルが施されるなど新たな展開もありました。

歴史

1973年に「しなの」としてデビューしたのを皮切りに、1978年に「くろしお」、そして1982年に「やくも」に投入され、今までディーゼル特急型電車が使用されていた各路線のスピードアップに大きく貢献しました。
1987年の国鉄分割民営化により、JR西日本とJR東海に引き継がれました。
1990年からはJR東海において本形式の後継車となる383系の開発に向けて、本形式を使用した各種試験が実施され、1994年~1996年にかけて383系の投入が始まると、本形式は徐々に置き換えられていき、1996年12月1日ダイヤ改正をもってJR東海では本形式の定期運用が消滅しました。
以後は長野オリンピックに伴う波動輸送など臨時列車を中心に活躍するも、2008年までに全車引退となり、JR東海からは本形式が消滅することとなりました。
一方、JR西日本では「くろしお」では2015年10月30日まで本形式が定期運用されていましたが、287系・289系投入による置き換えで順次撤退し、一部編成は「やくも」に転用されたり、福知山電車区へ転出し同区の183系を置き換えるといった転用がなされました。
福知山電車区に転出した編成も2015年10月31日より289系の投入が始まると置き換えが始まり、2017年3月31日をもって同区の本形式は消滅となりました。
そうして、最後まで381系を定期運用する列車となった「やくも」では他線区に比べると置き換えは遅く、2021年3月に「踊り子」から185系が撤退すると、国内で唯一定期運用される国鉄特急形電車となりますが、翌2022年には「やくも」向けの新型茶寮273系の投入計画が明らかになり、2024年3月より置き換えが始まり、同年6月15日をもって定期列車の全車が置き換えられ、本形式の定期運用は消滅することになりました。
このように「やくも」は最後の国鉄型特急電車となったことから、JR西日本では過去に存在した381系の塗装を再現する『特急「やくも」リバイバル企画』が展開され、国鉄色・スーパーやくも・緑やくも(旧やくも)がリバイバルされ、最後の花道を飾りました。
以後は臨時列車などで運用される可能性はありますが、定期運用はなくなりました。

現状

既に定期運用は無くなっており、今後は臨時列車として運行される可能性があるのみです。

走行音

録音区間:新大阪~京都(くろしお6号)(お持ち帰り)

走行線区(特記無い場合は全線)

JR西日本 くろしお 東海道本線(京都~吹田)、梅田貨物線、大阪環状線(西九条~新今宮~天王寺)、阪和線(羽衣支線を除く)、紀勢本線(和歌山~新宮)
こうのとり 東海道本線(新大阪~尼崎)、福知山線、山陰本線(福知山~城崎温泉)
きのさき 山陰本線(京都~城崎温泉)
やくも 山陽本線(岡山~倉敷)、伯備線、山陰本線(伯耆大山~出雲市)

フォトギャラリー

画像をクリックすると拡大できます。

外観(くろしお)

特急シンボルマーク

トレインマーク

外観(くろしお・パノラマ編成)

方向幕と「パンダ列車」ロゴ

JR西日本ロゴ

車番(車外)

車内(くろしお編成)

座席(くろしお編成)

車番(車内)

座席テーブル

パンダシート

外観(スーパーやくも編成)

外観(やくも旧塗装)

同編成 中間車改造の貫通車

外観(ゆったりやくも)

同編成 先頭車側面

同編成 パノラマグリーン車

行先表示器&ロゴ(ゆったりやくも)

外観(リバイバル国鉄色)
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