731系電車
概要
JR北海道が札幌都市圏における混雑緩和と711系の置き換えを目的に開発した交流用通勤形電車です。
JR北海道では初めての本格的な通勤形電車となりました。
なお、形式名は711系・721系に続くという意味で、1桁目と3桁目は711系・721系に順次、2桁目で3番目であるという意味を込めたものになっています。
導入の経緯としては、札幌都市圏で朝ラッシュ時に乗車率が250%を超える状況があり、更に国鉄時代から使用されていた711系は片側2扉で円滑な乗降に向かず、ラッシュ時を中心に遅延が状態化していました。
そこで、本形式ではデッキを廃止し、オールロングシートとするなど、本格的な通勤形電車となりました。
コンセプトとしては「快適で乗り降りしやすい車両」、「環境にやさしい車両」、「雪国に強い車両」、「数多くの列車本数を可能にする車両」を掲げており、デザインは苗穂工場にて行われました。
車体はビード付き軽量ステンレス製で前頭部のみ普通鋼としています。
また、断面はキハ201系と同等となっており車体傾斜装置の搭載を前提に裾絞りの車体形状となっています。
内装はグレーを基調とし、座席はすべてロングシートとなっており、輸送力の増強を図っています。
また、従来の北海道向けの車両には存在したデッキを廃止したため、車内保温のために出入り口にエアカーテンを搭載しています。
その他、半自動ドア、遠赤外線暖房、温風暖房なども備えています。
接客設備としてはドアチャイム、自動放送、3色LED式車内案内表示装置などを備えます。
トイレは和式のものを編成に1箇所のみとなっています。
走行機器はIGBT素子によるVVVFインバータ制御で、定格230kWのN-MT731形かご形三相誘導電動機を搭載します。
ブレーキは鉄道総合技術研究所と開発した電気指令式回生ブレーキ併用空気ブレーキで、苗穂工場製の高粘着鋳鉄製制輪子を搭載し、130km/h走行時であってもいかなる条件下でも600m以内での停止を実現しています。
最高速度は設計上130km/hまで対応しますが、営業運転では120km/hまでとなっています。
編成は中間電動車を制御付随車で挟んだ1M2Tの3両編成で、必要に応じて3両や6両などで運行されます。
また、キハ201系、721系、733系、735系とは併結が可能です。
受賞歴としては鉄道友の会ローレル賞を受賞しています。
歴史
1996年に製造が始まり、同年12月24日に運用が開始されました。
1997年度に鉄道友の会ローレル賞を受賞しました。
現状
札幌都市圏の電化区間の普通列車として活躍中です。
なお、本形式とキハ201系との併結を行う運用もありますが、これは2024年現在国内唯一の電車と気動車の協調運転となっています。
走行線区(特記なき場合は全線)
JR北海道 |
函館本線(小樽~滝川)、千歳線(支線含む)、室蘭本線(沼ノ端~苫小牧)、札沼線 |
2024.09.11現在
フォトギャラリー
画像をクリックすると拡大できます。