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キハ100系・キハ110系気動車




概要

JR東日本が非電化各線に残っていた国鉄型気動車の置き換えを目的に開発した一般形気動車です。
大きく分けると16m級車体のグループであるキハ100系と、20m級車体のグループであるキハ110系に大別され、更にそれぞれキハ100形とキハ101形、及びキハ110形とキハ111形・キハ112形に分類できますが、基本設計が共通しており、それらを一括して本ページで解説していきます。

元々は東北地方の非電化ローカル線に多く残ってきたキハ20系やキハ45系などの国鉄型車両の置き換えとローカル線の輸送改善を目的に開発され、富士重工業、及び新潟鐵工所(現:新潟トランシス)にて製造され、デザインは剣持デザイン研究所が担当しました。
基本的にはローカル線の普通列車向けとして投入された本形式ですが、キハ110系0番台は急行列車用として登場した区分であり、回転式リクライニングシートを備えており、JRグループにおいては急行列車用として製造された最後の車両となっています。

車体は普通鋼製ですが、角を落とした形状やいわゆる肉抜き、プラグドア化及び固定窓化による板厚の削減により軽量化を図りつつ、従来型の気動車に匹敵する全面強度も確保しています。
塗装はキハ101形を除いては白を貴重に住みなどにダークライムグリーンを配した共通のものが採用されていましたが、後に特別仕様として新たな塗装が登場した他、本形式を改造した観光列車なども登場しており、現在では塗装のバリエーションも豊富になっています。
また、キハ100系については両運転台のみですが、キハ110系については両運転台と片運転台が存在しており、大きく分けると16級両運転台、20m級両運転台、20m級片運転台の3パターンがあることになります。

車内は回転式リクライニングシート、セミクロスシート、オールロングシートの3パターンが存在し、オールロングシートはキハ101形のみ、回転式リクライニングシートはキハ110形0番台のみで、それ以外はローカル線向け車両として一般的なセミクロスシートとなっています。
冷房は機関直結式で、暖房はエンジン排熱を利用する温水・温風方式ですが、下り勾配での暖房能力不足に対応するため、コンバータブレーキでの変速機オイルの排熱も利用できます。
乗降扉はいずれも片側2箇所ずつで、車内保温のため半自動扱いも可能です。

エンジンはキハ100系では定格330PSを発揮するコマツ製DMF11HZ形、新潟鐵工所製DMF13HZ形、カミンズ製DMF14HZのいずれか、キハ110系では定格420PSを発揮する新潟鐵工所製DMF13HZA形、カミンズ製DMF15HZA形のいずれかを搭載しており、いずれも直列6気筒直噴式ディーゼルエンジンであり、ターボチャージャー、及びインタークーラーを備えており、国鉄型車両より小型・軽量のエンジンを採用しています。
また、エンジン出力も向上しており、いずれの形式でも25パーミルの上り勾配でも、乗車率100%で60km/h以上の均衡速度を達成しています。
変速機はキハ100系ではDW14B形、キハ110系ではDW14A-B形液体変速機を採用し、コンバータブレーキにも対応しています。
ブレーキは応荷重装置付き電気指令式ブレーキで、耐雪、抑速ブレーキにも対応します。

以下でそれぞれの番台区分について解説すると、まずはキハ100形0番台は、キハ100系グループの基本形式であり、16m旧車体の両運転台にセミクロスシートの車内設備となっており、非電化ローカル線の多くに投入されました。
キハ101形は左沢線用に導入されたグループであり、左沢線は非電化路線にしては混雑が激しく、乗車時間が短いという特徴から、オールロングシートととし、車内トイレも省略するなど、本形式の中では特異な仕様となっています。
外観も本区分は当初から専用塗装とされ、登場以来左沢線でのみ運用されています。
キハ103形は小海線の観光列車「HIGH RAIL 1375」用に登場した区分であり、キハ100形を改造の上でキハ103形710番台に区分されています。

キハ110系グループでは各番台共通の法則として、キハ110形が両運転台、キハ111形・キハ112形が片運転台となっています。
まず0番台があり、元々急行列車用として登場したため車内は回転式リクライニングシートを備えるなど、他の番台区分に比べて豪華な設備となっています。
前述の通り、JRグループにおいては急行列車用として製造された最後の車両であり、実際に急行「陸中」などに投入されましたが、「陸中」の廃止後はこれを快速格下げした「はまゆり」を中心に運用され、陸羽東線の快速「湯けむり」用には専用ラッピングを施した車両が投入されるなど、快速列車の中でも指定席を連結する列車を中心に運用される他、普通列車としての運用もあります。
また、臨時特急「イブニングウェイ」に投入され、後述の「秋田リレー」以来28年ぶりに本形式による特急運用が登場しました。
100番台は普通列車用として設計されたグループであり、キハ100形と並んで本形式の中心的なグループです。
また、これの増備車、及びマイナーチェンジ版として150番台、200番台もあります。
300番台は秋田新幹線の改軌工事に伴い運休となった田沢湖線の代替として運行された特急「秋田リレー」用として投入されたグループであり、「秋田リレー」があくまでも秋田新幹線開業までの暫定的な運行であったこともあり、当初より他先駆への転用を前提とした仕様となっていたのが特徴です。
座席は特急運用ということで回転式リクライニングシートでしたが、これは当時増備中だったE217系のグリーン車と同等のものであり、「秋田リレー」の運行終了に伴い、本番台は座席を通常のセミクロスシートに改造の上で200番台に編入されています。
また、このときに撤去されたリクライニングシートはE217系のグリーン車に転用されています。
観光列車向けの区分としては「TOHOKU EMOTION」用の700番台、「HIGH RAIL 1375」用であり前述のキハ103形とペアを組む710番台があります。
その他、番台区分はされていませんが、「おいこっと」「POKE'MON with YOU トレイン」などがあります。

登場後はJR東日本のローカル線の代名詞的存在として、幅広い活躍を見せますが、後継となるキハE120系やキハE130系、キハE200形などへの置き換えも発生し、キハ100形の3両がひたちなか海浜鉄道へ譲渡されるなどの例が発生しています。

歴史

1990年にキハ100形が北上線にて、キハ110形が急行「陸中」としてそれぞれ量産先行車が運用を開始しました。
翌1991年には量産車が登場し、磐越東線、山田線、小海線、大船渡線、磐越西線にも運用範囲が拡大しました。 1996年にはキハ110形300番台が登場し、「秋田リレー」として運用を開始しました。
翌1997年には秋田新幹線の開業と入れ替わりで「秋田リレー」は廃止され、300番台は200番台へ改造の上で磐越西線、羽越本線、飯山線へ転用されました。
2007年には水郡線へキハE130系が投入され、本形式は水郡線から撤退し、山田線・岩泉線へ転用されました。
2012年にはキハ100形を改造した「POKE'MON with YOUトレイン」が登場しました。
2014年には岩泉線が廃止され、本形式の運用も終了しました。
2015年にはキハ110形のうち2両が改造され観光列車「おいこっと」となりました。
2017年には東北本線の黒磯駅構内にあった交直切換設備が、駅間のデッドセクションに変更されたことを受け、東北本線の黒磯~新白河でも運用を開始しました。
2020年には東北本線の黒磯~新白河間での運用はE531系に統一される形で終了しました。
また、同年に只見線での運用が開始されました。
2022年には不通となっていた只見線の会津川口~只見間が運行再開され、同区間でも本形式の運用が開始されました。
2024年にはキハ100形の3両がひたちなか海浜鉄道へ譲渡されました。
2025年には特急「イブニングウェイ」の運行が開始され、「秋田リレー」以来28年ぶりに特急運用が復活しました。

現状

東北地方、及び八高線の非電化区間の普通列車の他、快速「はまゆり」「しもきた」、特急「イブニングウェイ」などでも運用されます。
本形式を改造した観光列車としては大船渡線の「POKE'MON with YOU」、飯山線の「おいこっと」、小海線の「HIGH RAIL 1375」があり、ローカル線の他、観光列車としても幅広く活躍しています。

走行音

キハ100系(キハ101形)
録音区間:左沢~柴橋(お持ち帰り)
キハ110系
録音区間:中佐都~佐久平(お持ち帰り)

走行線区(特記無い場合は全線)

JR東日本 キハ100形 0番台 普通列車 大船渡線、北上線、釜石線、東北本線(花巻~盛岡・一ノ関~北上)、大湊線
しもきた 大湊線、青い森鉄道線(八戸~野辺地)
200番台 普通列車 大湊線
キハ101形 番台区分なし 普通列車 左沢線
キハ103形 710番台 HIGH RAIL 1375 小海線
キハ110形 0番台 普通列車 東北本線(盛岡~花巻)、釜石線
はまゆり 東北地方(盛岡~花巻)、釜石線
湯けむり 東北本線(仙台~小牛田)、陸羽東線
イブニングウェイ 東北本線(仙台~石越)
100番台 普通列車 山田線、東北本線(花巻~盛岡)、IGRいわて銀河鉄道線(盛岡~好摩)、花輪線、大船渡線、石巻線、気仙沼線、磐越東線、米坂線、磐越西線(会津若松~新津)、信越本線(新津~新潟)、羽越本線(新津~坂町)、白新線、只見線、小海線
はまゆり 東北本線(盛岡~花巻)、釜石線
150番台 普通列車 花輪線、IGRいわて銀河鉄道線(好摩~盛岡)、東北本線(盛岡~花巻)、釜石線
はまゆり 東北本線(盛岡~花巻)、釜石線
200番台 普通列車 大湊線、石巻線、陸羽東線、陸羽西線、羽越本線(新津~坂町・余目~酒田)、米坂線、磐越西線(会津若松~新津)、信越本線(新津~新潟)、白新線、只見線、飯山線、上越線(越後川口~宮内)、信越本線(宮内~長岡)、しなの鉄道北しなの線(長野~豊野)、八高線(高麗川~倉賀野)、高崎線(倉賀野~高崎)
おいこっと しなの鉄道北しなの線(長野~豊野)、飯山線(豊野~十日町)
700番台 TOHOKU EMOTION 八戸線(※団体専用列車扱いでの運行)
710番台 HIGH RAIL 1375 小海線

フォトギャラリー

画像をクリックすると拡大できます。

キハ100形

キハ101形

同乗務員扉

同左沢線ロゴ

同側面

同所属表記

同方向幕

同行先表示器(リニューアル後)

同ドア開閉ボタン(車外)

同ドア開閉ボタン(車内)

同乗降ステップ

同整理券発行機

同車内

同座席

同座席(優先席)

同車番表記(車内)

同運賃表示器

同運転台

キハ110形0番台

同車番表記(車外)

同車内

同座席

同ヘッドカバー

同座席テーブル

同座席番号表示

同レトロラッピング

同ヘッドマーク

同乗降扉

同「湯けむり」ラッピング

同乗降扉

同ドア開閉ボタン(車外)

同車内

同座席

同座席テーブル背面

キハ111・112形100番台

同方向幕

同行先表示器

同乗降扉

同車内

同車内(先頭側)

同座席(1人がけ)

同座席(2人がけ)

同運賃表示器

同車端部貫通通路

同運転台

陸羽西線・陸羽東線塗装

同車番表記

同先頭部ロゴ

同側面部ロゴ

東北色

同行先表示器

同車番表示(車外)

700番台(東北エモーション)

同乗降扉

同行先表示器

同側面ロゴ

同側面ロゴ2

車番表記(車外)

同所属表記
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