AlmightyTrainsite サイトマップヘルプ

キハ185系気動車




概要

国鉄が分割民営化の直前に四国向けに開発した特急型気動車です。
また、急行型のキハ58系なども置き換え対象とし、四国の急行列車を特急に格上げする目的もありました。
なお、国鉄が最後に設計した特急型車両ともなっています。
本形式の特徴は、運転台付き普通車と普通車・グリーン車合造車の2種類しかなく、今までの特急型気動車と違い短編成での運用を考慮した設計になっていることです。
従来の特急型気動車は長大編成を前提とし、発電用ディーゼルエンジンを一部車両に搭載し、そこから各車両へサービス電源や冷暖房電源を供給していました。
しかし、この方式は編成の組み方に制約が生じ、特に短編成での運行に不向きでした。
四国では比較的輸送量が少なく、また時期による変動も大きいため、短編成での運行が可能で、柔軟に編成を組み替えられる車両が求められました。
そこで、本形式では冷暖房を一般型気動車と同じく、走行用エンジンもしくは専用小型エンジンで駆動し、冷暖房を各車両で完結するようにし、最短で2両編成での運行が可能になるなど、編成の自由度を向上させました。
一方で、国鉄時代の四国の路線は高速化が進んでおらず、幹線である予讃本線や土讃本線ですら最高速度95km/hとなっていたことから、将来の高速化への余裕を考慮しても、本形式の最高速度は110km/hと控えめに設定されました。
走行機器としては250PSを発揮するDMF13HS形ディーゼルエンジンを各車に1基ないし2基ずつ搭載しており、このエンジンは一般型気動車であるキハ31形やキハ38形と同一のものでした。
キロハ186形についてはエンジン1基のみの搭載であり、それを含む編成では従来のキハ181系よりは総出力が劣ることになりますが、軽量ステンレス車体を採用したことや、サイズダウンしたエンジンを搭載することにより大幅に軽量化しており、キハ181系と同等の加速性能を持っています。
車内設備も従来車より改良されており、普通車の座席のシートピッチはキハ181系より30mm拡大した940mmとなっていますが、機器室を不要としたことでキハ181系よりも座席定員はむしろ増えています。
冷暖房やドアエンジン等にはバス用の汎用部品を活用し、部品点数を削減するなど、国鉄末期の財政事情を踏まえてコストダウンも考慮されています。
エアコンの吹出口は乗客が自由に風向き・風量を変更できるものとなっており、これはバス用のものを使用しているためで、鉄道車両としては珍しいものとなっています。
また、急行型車両の置き換えも目的であったことから、普通列車での運用も想定されており、乗降扉は各車2箇所ずつ設けられており、扉は折戸となっています。

本形式では普通車のみの先頭車と、普通車とグリーン車の合造車である中間車の2種類しかなく、先頭車のトイレの有無を区別しても3種類しかないことになります。

国鉄末期に投入され、そのままJR四国に継承され、更にJR四国に転換後も製造され、四国内の特急列車のフラッグシップとも言える車両になりました。
しかし、四国にも高速道路網の整備が広がるとより高速性能を高めた後継車となる2000系気動車が導入され、次第に本形式も置き換えられるようになりました。
そのようにして、本形式は余剰となるようになりますが、同時期に「由布」「火の山」など急行列車の車両置き換えを検討していたJR九州と、本形式の活用を考えていたJR四国の思惑が一致し、20両がJR九州に売却されることになりました。
JR九州に譲渡された編成は塗装変更の他、勾配の多い久大本線や豊肥本線への投入にあたりキロハ186形へのエンジン追加、グリーン席廃止などの改造が実施され、更に後年には「九州横断特急」「くまがわ」の運行開始に合わせてワンマン運転対応工事を実施し、車内を木材を多用した明るい雰囲気にリニューアルするなどの更新がされ、その後エンジンも換装されました。

また、JR四国に残った車両についても普通列車仕様に改造した3100番台が登場したり、予土線・土讃線・瀬戸大橋線で運行されているトロッコ列車の控車に転用されるなどしました。

更に本形式を改造して観光列車に仕立てることも行われ、JR四国では「四国まんなか千年ものがたり」を皮切りに、「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」といった観光列車の種車になり、キハ40系の改造車を使用していた「伊予灘ものがたり」の2代目車両にも本形式が使用されたことから、オリジナルのスタイルを残す車両はわずかとなっています。
また、JR九州でも本形式を改造した観光列車「A列車で行こう」を登場させています。

歴史

国鉄末期の1986年に製造が開始され、JR四国発足後の1988年まで増備が続きました。
初期は全車がJR四国に継承されますが、後継の2000形の登場により本形式は余剰となり始め、1992年にJR九州へ20両が売却され、「ゆふ」「あそ」にて運用を開始しました。
2004年には「あそ」が廃止され、「九州横断特急」と「くまがわ」が運行開始され、JR九州所有の本形式にはワンマン運転対応工事が実施されました。
また、2008年にはJR九州所有の本形式はエンジンを低公害のコマツ製SA6D125HE-1形に換装し、加減速性能が向上しました。
2011年には新たな観光列車「A列車で行こう」専用車としてJR九州所有の本形式のうちの1編成が改造され、本形式初の本格的な観光列車となりました。
JR四国でも2017年に本形式を改造した観光列車「四国まんなか千年ものがたり」を登場させ、2020年には「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」が登場しました。
2022年には「伊予灘ものがたり」の2代目車両として本形式が投入されました。

現状

JR四国では特急「剣山」「むろと」など徳島県内の列車を中心に使用される他、多客期に「いしづち」「しまんと」が繁忙期に高松~多度津間単独運転となる場合には本形式が使用されることがあります。
普通列車仕様は松山運転所に所属し、愛媛県内の路線を中心に運用され、「四国まんなか千年ものがたり」「志国土佐 時代の夜明けものがたり」「伊予灘ものがたり」ではそれぞれの専用車両が運用されています。
その他の運用としては瀬戸大橋線・土讃線・予土線のトロッコ列車の控車としての運用もあります。
JR九州では「ゆふ」「九州横断特急」「あそ」の全列車で使用される他、観光列車「A列車で行こう」にも専用車両が使用されています。
なお、2024年6月15日にJR西日本で381系の定期運用が終了したあとは、本形式が国鉄時代にデビューした特急型車両としては最後の定期運用を持つ車両となっています。

走行音

JR四国所有車(オリジナルエンジン) 録音区間:蔵本~徳島(剣山8号)(お持ち帰り)
JR九州所有車(エンジン換装後)
録音区間:武蔵塚~光の森(九州横断特急6号)(お持ち帰り)

走行線区(特記無い場合は全線)

JR四国 うずしお号 高徳線
剣山号 牟岐線(海部~徳島)、徳島線、土讃線(畑~阿波池田)
むろと号 牟岐線(海部~徳島)、徳島線、土讃線(畑~阿波池田)
※ただし、徳島線区間は牟岐方面行きのみ運行
普通列車 牟岐線(牟岐~海部)、予讃線(松山~宇和島)、内子線
JR九州 九州横断特急号 日豊本線(大分~別府)、豊肥本線、鹿児島本線(熊本~八代)、肥薩線(八代~吉松)
くまがわ号 鹿児島本線(熊本~八代)、肥薩線(八代~人吉)
ゆふ 鹿児島本線(博多~久留米)、久大本線、日豊本線(大分~別府)
A列車で行こう 鹿児島本線(熊本~宇土)、三角線

フォトギャラリー

画像をクリックすると拡大できます。

外観(JR四国)

国鉄塗装(リバイバル)

方向幕(JR四国)

トレインマーク(JR四国)

乗降扉

乗降扉(閉扉時)

座席(JR四国)

座席テーブル(JR四国)

アンパンマントロッコ

アンパンマントロッコトレインマーク

アンパンマン列車のロゴマーク

外観(九州横断特急)

外観(ゆふ)

エアコン吹出し口

方向幕(JR九州)

九州横断特急のロゴ

運転台

車内(JR九州)

車端部テーブル(JR九州)

外観(A列車で行こう)

方向幕(A列車で行こう)

車番(A列車で行こう)

A列車で行こうのロゴ

A列車で行こうの車内のステンドグラス

車内1(A列車で行こう)

座席(A列車で行こう)

車内2(A列車で行こう)

カウンターバー

四国まんなか千年ものがたり(1号車)

四国まんなか千年ものがたり(2号車)

四国まんなか千年ものがたり(3号車)

方向幕(四国まんなか千年ものがたり)
目次に戻る