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キハ20系・キハ52系気動車




概要

国鉄が1950年代に開発した気動車です。
それまでのエンジン出力不足のための苦肉の策として小型化されていた気動車とは異なり、新技術の導入で軽量化が可能となり当時の一般的な客車並みの大きさで製造されました。
なお、キハ20系とは正式な形式名ではなく、キハ20形、キハ21形、キハ22形、キハ25形、キハ26形、キハ52形とそれらの派生形式の総称です。
基本形式のキハ20形や、その寒冷地仕様のキハ21形、更に防寒性能を強化したキハ22形、キハ20形を片運転台にしたキハ25形、その郵便荷物車版のキハユニ25形、更にその暖地向けのキハユニ26形、更にキハ21形を改造した郵便荷物車のキユニ21形、そして最後に勾配線区向けにエンジンを2基搭載としたキハ52形があります。

車体は初めての客車・電車並の大型気動車として成功したキハ55系準急型気動車の成功を受けて、キハ55系に準じた設計とされ、柱や梁だけでなく、側板などにも強度を負担させる準モノコック構造とされ、従来車より軽量な車両に仕上がったことで、従来型のエンジンを使いつつも車体を大型化することができ、ゆとりある車内とすることができました。

エンジンは従来から使われてきたDMH17B形ディーゼルエンジンで、定格160PSを発揮します。
なお、後に燃料噴射ノズルの改良で高出力化した170PS仕様や、180PS仕様も登場しています。

国鉄のローカル線向け気動車のベストセラーとして全国各地で幅広い活躍を見せますが、キハ21形、キハ25形、キハユニ25形、キハユニ26形は国鉄時代のうちに全廃され、JR各車に引き継がれたのはキハ20形、キハ22形とキハ52形の2形式のみでした。
JR東海以外の各車に継承され、引き続きローカル線を中心に活躍を続けましたが、キハ20形とキハ22形は1995年までに引退し、キハ52形のみが残ることになりました。
これはキハ52形は2基エンジン搭載のお陰で出力に余裕があり、後継とされたキハ40系に比べても性能が遜色なく、単行運転できる高出力気動車として需要があったためです。
JRグループではJR九州、JR東日本で運用が終了すると、JR西日本が最後まで本形式を運用する事業者となりましたが、これも2010年3月をもって定期運行を終了しました。

一方で、国鉄が開発した本形式ですが、国鉄・JRから私鉄や第三セクターへ譲渡されたり、本形式と同等の車両を導入するケースもあり、国鉄・JRからの譲渡の例としては、下北交通、津軽鉄道、弘南鉄道、秋田内陸縦貫鉄道、阿武隈急行、関東鉄道、鹿島臨海鉄道、茨城交通(現:ひたちなか海浜鉄道)、いすみ鉄道、水島臨海鉄道、島原鉄道、南阿蘇鉄道の例があり、同型車両を導入した例としては雄別鉄道、羽幌炭礦鉄道、留萠鉄道、津軽鉄道、小湊鉄道、島原鉄道の例があります。
これは、国鉄・JRと相互直通運転をするケースや国鉄・JRの車両と併結運転をする場合に有利であるなどの理由があります。
また、茨城交通については、「性能が安定しており長寿命で故障が少ない」という理由から、全国各地から本形式やその同型車を集め、多数運行してきた実績がありますが、現在はキハ20形を譲り受けたキハ205形を最後に2024年までに運行を終了し、オリジナルの姿を保つキハ20形としては全廃となりました。
キハ52形についてはJR西日本での引退後、いすみ鉄道に移籍し「観光急行」として活躍していましたが、それも2025年をもって運行終了となり、キハ52形としては消滅形式となりました。
なお、小湊鉄道キハ200形は本形式をベースに開発されており、現在でも現役であり、これが本形式最後の生き残りという見方もできます。

歴史

1957年に初期車が登場しました。
1980年代には簡易お座敷車やカーペット車へ改造される例が出ました。
1987年の国鉄分割民営化では、JR東海以外のJRグループ各車へ継承され、JR北海道にはキハ22形103両が、JR東日本にはキハ20形11両、キハ22形52両、キハ52形30両が、JR西日本ではキハ20形8両、キハ52形13両が、JR四国にはキハ20形20両、キハ52形3両が、JR九州にはキハ20形14両、キハ52形27両がそれぞれ継承されました。
JRグループへの継承後はワンマン化対応や車両更新などが行われましたが、1995年までにキハ52形以外が引退しました。
そして、2010年3月にJR西日本に残っていたキハ52形が引退し、JRグループからは全廃となりました。
その後は、ひたちなか海浜鉄道、いすみ鉄道、水島臨海鉄道で運用が継続されますが、水島臨海鉄道では2014年に定期運用を終了し、1両のみ残ったものの2017年に廃車となりました。
キハ20形としては最後の生き残りとなったひたちなか海浜鉄道の車両ですが、それもキハ100形をJR東日本から譲り受けることから、これと入れ替わりになる形で2024年までに運行を終了しました。
いすみ鉄道に譲渡されたキハ52形は元々JR西日本で運用されていたもので、その後キハ28形とペアを組み「観光急行」として活躍しますが、2025年をもって運行を終了しました。
これをもって本形式は完全引退となり、消滅形式となりました。

現状

譲渡車も含め全車引退済みです。
なお、前述の通り、本形式をべースにした小湊鉄道キハ200形は現在でも活躍中です。
保存車は全国各地に存在しますが、主なものを抜粋すると、北海道小樽市の小樽市総合博物館、北海道三笠市の三笠鉄道記念館、群馬県安中市の碓氷峠鉄道文化むら、岡山津山市の津山まなびの鉄道館などで保存・展示されています。

走行音

録音区間:常磐~栄(お持ち帰り)

走行線区(廃形式につき省略)

フォトギャラリー

画像をクリックすると拡大できます。

島原鉄道所属のキハ20系国鉄色

島原鉄道所属の首都圏色

島鉄トロッコのキハ20系

島原鉄道色

水島臨海鉄道色

島原鉄道所属車の車内

同座席(クロスシート部)

同座席(ロングシート部)

同行先表示板(通称サボ)

同手動開閉が特徴的なドアです。

同ドア(車内より)

同運転台

同ドア開閉ボタン

同手ブレーキ

水島臨海鉄道車の形式表記

いすみ鉄道所属のキハ52形

いすみ鉄道所属のキハ52形首都圏色

同先頭部側面

同前照灯

同先頭部車番表示

同側面車番表示

同行先表示板(サボ)

同列車名札

同所属表記

同車内(その1)

同車内(その2)

同整理券発行機とドア

同乗降ステップ

同ボックス席

同ロングシート

同窓ガラス

同座席設置栓抜き

同車内設置扇風機

同扇風機スイッチ

同運賃表示器

同運賃箱移動用レール

同運転台

ひたちなか海浜鉄道キハ2000形

ひたちなか海浜鉄道キハ222形

同ヘッドマーク

同車番表示

同車内

同ボックス席

同ロングシート

同床面

同運転席側面空間

同運賃箱

同乗降扉

同運転台
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