AlmightyTrainsite サイトマップヘルプ

キハ31形気動車




概要

国鉄分割民営化に先立って、九州地区の古い車両を置き換え、JR九州の経営基盤の整備を図るために製造された一般型気動車です。
車両はメンテナンスがしやすく軽いステンレス製とされ、廃車発生品の部品を利用するなどコストダウンをはかっています。
九州に多い急勾配での使用を考慮し、車体を軽量化して勾配でもパワフルに登れるように設計されました。

車体は軽量ステンレス製で、同時期に登場したキハ54形やキハ32形と共通する部分も多く、製造は新潟鐵工所(現:新潟トランシス)と富士重工業にて行われました。
車体サイズは17m級と従来車より小型とされ、軽量ステンレス車体も相まって軽量な車体に仕上げることでパワーウェイトレシオを改善し、走行性能を確保する設計となっています。
エンジンは定格250PSを発揮するDMF13HS形ディーゼルエンジンで、これはキハ37形で採用されたDMF13F形を横型に設計変更したものです。
変速機は廃車発生品の神鋼造機製TC2A、及び新潟コンバータ製DF115Aを再利用しており、コスト削減を図っています。
走行性能としては2両編成を組んだ際にキハ58形+キハ28形と同等の加速性能となっており、最高速度は95km/hです。
ブレーキは自動空気ブレーキ、及び直通予備ブレーキで、保安装置はATS-SK、ATS-DKを搭載しています。

車内は転換クロスシートで、1人がけと2人がけを左右に設置し、3列配置としており、座席は0系新幹線の廃車発生品を改造の上で装備しています。
また、ワンマン運転にも対応すべく、運賃箱、運賃表示器、整理券発行機の搭載を前提にした構造とし、運転席から車内を見渡しやすい構造にもなっています。
なお、後年には一部座席をロングシートに変更されたものもあります。
トイレは設置されておらず、冷房は当初からバス用のものを流用したサブエンジン式のものを搭載していますが、冷房能力が低いため、補助として扇風機も設置しています。
暖房はエンジン冷却水を循環させる方式で、これもバス用の部品を使用しています。

国鉄末期の1987年2月に営業運転を開始し、同年4月には国鉄分割民営化により全車がJR九州に継承されました。
JR九州に継承後の改造としては、ワンマン運転対応化、一部座席のロングシート化、観光列車「いさぶろう」「しんぺい」向けに一部座席を畳敷きにする簡易お座敷車化といったものがあります。
JR九州では非電化ローカル線を中心に活躍していましたが、トイレがないことから乗車時間の長い長距離列車への充当は避けられる傾向がありました。
また、急行「くまがわ」の特急格上げによりくま川鉄道への乗り入れがなくなった際に、くま川鉄道での輸送力確保のため、本形式1両は譲渡され、KT31形と呼ばれ活躍しました。

歴史

1987年2月に運用を開始しました。
1987年4月には国鉄分割民営化に伴い、全車がJR九州に継承されました。
1988年からはワンマン運転を行うべく改造が施工されました。
また、1997年頃より大分地区の5両が一部ロングシート化されました。
2004年には本形式1両がくま川鉄道に譲渡され、KT31形として活躍し始めました。
2008年にはドアチャイムの設置、スカートの設置などの改造が施工されました。
2013年にはくま川鉄道に移籍したKT31形が引退し、本形式としては初の廃車となりました。
2019年3月16日のダイヤ改正をもって本形式の定期運用が消滅し、同月23日の原田線でのラストランをもって全ての営業運転を終了し、同年中に全車が廃車され、本形式は廃形式となりました。

現状

くま川鉄道へ移籍したKT31形を含め全車引退済みで現存しません。

走行音

録音区間:東水巻~中間(お持ち帰り)

走行線区(廃形式につき省略)

フォトギャラリー

画像をクリックすると拡大できます。

外観

行先表示板(通称サボ)

所属表記

乗降ステップ(車外より)

乗降口(車内より)

ドア開閉ボタン(車内)

車内

いさぶろう・しんぺいの車内

車内設置扇風機

整理券発行機

非常ブレーキ弁

運賃表示器

車番表示(車内)

運転台
目次に戻る