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キハ37形気動車




概要

国鉄が閑散なローカル線の合理的な運営に役立つ車両として、コスト削減を重視して導入した一般型気動車です。
ローカル線向けとしてはキハ40系が既に存在していましたが、キハ4系は長距離運用やある程度の高速運転も念頭に置いた設計となっており、一部では空気ばね台車を用いるなど、ローカル線向けとしてはやや過剰性能な面もあり、更にエンジンや変速機は古い設計のままであり走行機器の陳腐化ゆえの燃料費や整備費などのコストも問題になていました。
本形式では製造・維持コストの低減を重視し、設備は必要最小限とし、エンジンは長年に渡って採用され続けていたDMH17系などの古い形式のエンジンでは非力で燃費も悪いことから、本形式では直噴式ディーゼルエンジンを採用すると同時に、廃車発生品の再利用をすることでコストも抑えました。

車体は普通鋼製ですが、キハ40系に比べるとやや小ぶりなサイズとなり、標準型としては片運転台、片側2扉のロングシート、トイレ無しという設備ですが、投入先の線区の事情に合わせて両運転台やトイレの設置、クロスシートの設置などのオプションの装備が可能な設計です。
車内はロングシートを基本とし、トイレ付きとトイレなしの車両で編成を組むことが多かったです。
押込み式ベンチレーターと扇風機を設置し、暖房としてはエンジン排熱を利用した温水式暖房を設置しています。
ワンマン運転に対応した設計ですが、本形式では最後までワンマン運転が実施されることはありませんでした。
エンジンは定格210PSを発揮する過給器付き直噴縦型ディーゼルエンジンのDMF13Sを搭載し、従来の予燃焼室式に比べて10%程度燃費を改善した上、メンテンナンスの効率化やエンジンの信頼性や始動性にも優れるといった特徴がありました。
また、基本設計は船舶用エンジンのものを鉄道向けにアレンジしたものであり、設計段階でもコストカットを図っています。
変速機は廃車発生品のTC2AもしくはDF115A形液体式変速機を搭載しています。
最高速度は95km/hと従来の車両と同じですが、エンジンの変更と車体の軽量化の成果で、キハ40系に比べると低速域での加速性能が向上した他、上り勾配での均衡速度も25パーミル時でキハ35系が28km/hほど、キハ40系が33km/hほどなのに対し、本形式では38km/hほどまで向上しています。

投入先としては久留里線・北原線(現:いすみ鉄道いすみ線)・加古川線・高砂線・三木線(後の三木鉄道、現在は廃止)・北条線(現:北条鉄道)・鍛冶屋線・境線などがあります。
登場した頃には閑散ローカル線の多くが廃止される時期であったこともあり、製造はわずか5両に留まりましたが、国鉄分割民営化後はJR東日本とJR西日本に継承されました。
JR東日本では久留里線と木原線でのみ運用されていましたが、木原線がいすみ鉄道に転換されると以後は久留里線でのみ運行されることになりました。
その後2012年まで活躍しますが、その後は水島臨海鉄道に譲渡され、そこで第二の人生を送っています。
JR西日本では後に米子地区に集約され、境線や山陰本線米子~出雲市間などで活躍しましたが、2009年までに引退しています。
JR西日本とJR東日本では後にバス用サブエンジン式冷房装置を設置し、冷房化された他、JR東日本所属車のみエンジンをカミンズ製DMF14HZ形ディーゼルエンジンに換装されています。

歴史

1983年に登場し、姫路第一機関区に配置され、加古川線を中心に運用を開始しました。
1987年の国鉄分割民営化ではJR東日本とJR西日本に継承されました。
1988年に木原線がいすみ鉄道に転換されると本形式の木原線での運用は終了しました。
1994年にはJR西日本所属車が、1999年にはJR東日本所属車が冷房化されました。
また、1999年~2000年にかけてJR東日本所属車のエンジン換装が実施されました。
2000年頃よりJR西日本所属車が米子地区へ転用され、加古川線での運用は終了しました。
2003年のダイヤ改正をもって本形式の定期運用は終了し、2009年1月29日付けで廃車となり、JR西日本からは本形式が全廃されました。
2012年にはJR東日本所属車もキハE130形への置き換えで引退となり、JRグループからは本形式が全廃されましたが、2014年からは水島臨海鉄道に譲渡され、第二の人生を送っています。

現状

JRグループからは全廃されています。
なお、水島臨海鉄道にて元JR東日本所属車が活躍中で、キハ30形・キハ38形と共に平日ダイヤで活躍しています。

走行音

録音区間:常磐~栄(お持ち帰り)

走行線区(特記なき場合は全線)

水島臨海鉄道 水島本線
2025.07.25現在

フォトギャラリー

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外観

久留里線ロゴ

車外車号表記

車端部表示

車内のロングシート

車内車号表記

車内扇風機

水島臨海鉄道に転属後

同先頭部方向幕

同側面車番表示

同車端部表示

同車内

同車内扇風機

同扇風機スイッチ

同乗降扉(閉扉時)

同乗降扉(開扉時)

同乗降ステップ
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