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キハ66系気動車




概要

国鉄が山陽新幹線の博多開業に先立ち、北部九州地区の新幹線連絡輸送のために開発した車両です。
一般型気動車に分類されるもの、急行型気動車であるキハ58系をも凌ぐ性能と接客設備を持っており、実際に急行として使われたこともあります。
このため、汎用気動車などと呼ばれることもありましたが、同趣旨の車両が続いて現れなかったこともあって、この呼称は定着しませんでした。
一方で、当時の国鉄としては意欲的な設計であり、従来車よりパワーアップした性能や地域事情にマッチした設備などが評価され、鉄道友の会ローレル賞を受賞しています。

車体は20.8m級と急行型に準じた大型の車両であり、キハ66形とキハ67形でペアを組む2両固定編成で運用されます。
扉は片側2箇所ずつ両開き扉を設けており、温暖な九州向けとされたためデッキは備えていません。
また、気動車としては初めて方向幕を搭載しました。

車内はドア付近がロングシートである以外は転換クロスシートとされており、当時としては新幹線並みの設備を持っていました。
また、当初より冷房を搭載するなど、従来の車両とは一線を画する設備となっていました。

エンジンはキハ91系・キハ65形・キハ181系などで実績のあるエンジンを改良した180°V型12気筒過給器付きDML30HSHエンジンを採用し、定格500PSを発揮するハイパワーエンジンとなっています。
当時の国鉄としては最大級の高出力エンジンでしたが、複雑な構造も起因してオーバーヒートやトラブルが多いという問題もあったため、本形式に採用するにあたっては構造の改良に加えて、出力を440PSに制限することでトラブルを回避することとなりました。
ただし、後に冷却不良によるオーバーヒートが多発したため、屋根上に冷却水循環用の電動ポンプを設置するなどしました。
変速機はキハ181系で実績のあるDW4形をベースにしたDW9形液体変速機ですが、当時の技術的な問題から伝達効率は良くないとされています。
ブレーキはキハ65形と同等のもので、応荷重増圧装置付き電磁自動空気ブレーキです。
最高速度は95km/hと従来の気動車と同等ですが、高出力エンジンのおかげで走行性能は向上しており、本形式の後継となるキハ200形気動車の代走を務めた際も所定ダイヤで運転できたという逸話もあります。
しかし、本形式では騒音・振動対策が不十分だったという指摘もあり、発車直後や上り勾配区間走行中の車内では、会話が成立しないほどの轟音が響いたという逸話もあります。
このようにハイスペック仕様の本形式ですが、車体重量が重く入線できる線区が限られることや、経営の悪化していた当時の国鉄の財政的な問題もあって、本形式は30両の製造に留まり、以後はキハ40系がメインで製造されることとなりました。

JR九州に継承された後の1993年にはエンジンを直噴式横形直列6気筒のDMF13HZA形(定格420PS)に換装した他、変速機も交換され、エンジン出力は若干下がりましたが、変速機や補機類の効率化・軽量化の成果で全体的な走行性能は向上しています。

当初は開発の目的通り、筑豊本線・笹口線の快速を中心に運用された他、「はんだ」「日田」などの急行列車でも運用されました。
国鉄分割民営化では、全車が九州に配置されていたことからJR九州のみへ継承され、引き続き篠栗線や筑豊本線を中心に運用されました。
篠栗線・筑豊本線が電化されると本形式は長崎地区へ転用されることとなり、長崎本線・大村線・佐世保線の快速「シーサイドライナー」や同区間を走る普通列車に投入されました。
また、一時期は松浦鉄道へ乗り入れていたこともあります。
その後は後継となるYC1系の投入により置き換えが進み、本形式はそれ以上の転用されず、引退となりました。

歴史

1975年3月ダイヤ改正より運用を開始し、筑豊本線・篠栗線を中心に運用されました。
1987年の国鉄分割民営化では、全車がJR九州に継承され、引き続き篠栗線・筑豊本線を中心に運用されました。
2001年10月に篠栗線・筑豊本線が電化されると、本形式は長崎地区への転用が決まり、シーサイドライナー塗装に変更されました。
2020年より後継となるYC1系が投入開始され、本形式の置き換えが始まりました。
2021年6月30日をもって本形式の運用が終了しました。
2023年までに全車が廃車され、本形式は消滅形式となりました。

現状

全車引退済みで現存しません。
ただし、キハ66・キハ67のそれぞれのトップナンバー車が車席を残したまま保管されているという情報もあります。

走行音

録音区間:高田~長与(お持ち帰り)

走行線区(廃形式につき省略)

フォトギャラリー

画像をクリックすると拡大できます。

リバイバル国鉄色

同車番表記

同車端部銘板

同車端部表記

同乗降扉

シーサイドライナー色

同ロゴ

同方向幕

同所属表記

同車端部銘板

同車端部表記

ハウステンボス仕様

運賃箱

運賃表示器

車内車番表記
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