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キハ71系・キハ72系気動車




概要

始めに断りますが、キハ71系とキハ72系は厳密には別々の形式ですが、当サイトでは外見が酷似していることや、製造目的が同じであることから両形式を同じページで紹介します。
まず、キハ71系は、JR九州が福岡市と由布市を結ぶ観光特急「ゆふいんの森」用にキハ58系・キハ65系を改造する名目で製造した特急型気動車です。
一方、キハ72系はキハ71系とともに「ゆふいんの森」で使用されていたキハ183系が大村線の特急「シーボルト」に転用されることになったため、代替として製造されました。
キハ71系の増備という位置づけであったため、車体は基本的にはキハ71系に準じたデザインですが、車内の構造や窓ガラスのサイズなどが微妙に違っているほか、外見上のデザインも金色の帯の有無など、若干違いがあります。
こちらは、元祖ゆふいんの森号であるキハ71系に対して、「ゆふいんの森Ⅱ世」などと呼ばれる他、キハ183系が「ゆふいんの森Ⅱ世」と呼ばれていたため、「ゆふいんの森Ⅲ世」と呼ばれることもあります。

キハ71系は、キハ58形・キハ65形の改造名目で製造された特急形気動車ですが、車体は完全に新造されており、エンジンや台車のみ流用されています。
また、後年に走行機器類も更新されたため、現在ではキハ58形・キハ65形の名残を残す要素はほぼなくなっています。
車体は普通鋼製のヨーロッパの流線型気動車を彷彿とする曲線的デザインを取り入れたものになっています。
全車がハイデッカー構造であり、大型の窓ガラスも相まって眺望に配慮したものとなっています。

車内は全車普通車で、リクライニングシートを設けている他、セミコンパートメント席やカフェテリアもあります。
編成は当初3両編成でしたが、後にキハ70-2が増備されて4両編成となりました。

走行機器は当初は先頭車はキハ65形を、中間車はキハ58形から流用したものとなっており、キハ71-1とキハ71-2は定格500PSを発揮するDML30HSD形ディーゼルエンジンを1基、中間車でビュッフェを備えるキハ70-1は定格180PSのDMH17H形ディーゼルエンジンを2基、アートギャラリーを備えるキハ70-2は定格300PSのDMF13HZ形ディーゼルエンジンを2基搭載しており、変速機は全て液体式変速機です。
ブレーキは自動空気ブレーキ、機関ブレーキ、コンバータブレーキ、直通予備ブレーキを搭載します。
最高速度は走行機器類がキハ65形・キハ58形のものであるため、95km/hとなっています。
なお、登場後は乗客の増加による遅延が問題になり、登場当初の性能では不足とされたため、エンジンの高出力化と変速機の変速段に加えて直結2段を加えました。

その後、数度のリニューアルが行われ、その中でも2003年のリニューアルはセミコンパートメント席の新設、和式だったトイレの洋式化などが行われたのに加えて、エンジンの換装も行われ、先頭車のキハ71形はコマツ製の定格360PSのSA6D125HD-1形ディーゼルエンジンに、中間車のキハ70-1はコマツ製の定格300PSのSA6D125H-1A形に更新されましたが、ブレーキ性能の関係上、最高速度は変更されませんでした。
また、後年の2016年にはセミアクティブダンパを設置し、乗り心地の向上を図っています。

キハ72系はキハ71系の増備を目的に導入された特急形気動車で、キハ71形とは違い、走行機器類も含めて完全な新製車となっています。
車体は普通鋼製で、外観はキハ71形のデザインを踏襲しているものの、窓周りや帯の太さなどに若干の差異が見られます。

車内は全車普通車で、セミコンパートメント席を設けているのもキハ71形と共通していますが、回転式リクライニングシートを回転させ向かい合わせのボックス状にした際に背面テーブルが使えないことを考慮し、背面テーブルだけでなく、側面のテーブルお備えています。
また、座席の上にある荷物入れは883系と共通のものとなっており、後に外国人旅行者の増加を受けて、大型荷物置き場も新設しています。
デッキ部については、キハ71形では一度階段を昇り降りしないとデッキの通り抜けが出来ない構造でしたが、キハ72形では通路部分を橋状にし、そこから乗降扉へ向けて階段を配置する構造とすることで、車両間を階段なしで移動できるようにし、ワゴンサービスによる車内販売が可能になりました。
その他、車椅子対応席や車いす対応トイレの設置など、バリアフリー対応もなされています。
編成は当初は4両固定編成でしたが、利用状況の好調を受けて中間車のキサハ72形を新製の上で5両編成化されています。

走行機器はキハ200形をベースとした設計であり、キハ71形と違いキハ72形では全て新製されており、エンジンはすべての車両に定格450PSのDMF13HZA形ディーゼルエンジンを搭載しています。
2号車にあたるキハ72-2のみ2基、それ以外は1基搭載しています。
なお、前述の増備された中間車のキサハ72-4はサービス電源用のエンジンのみ搭載し、走行用エンジンは搭載しない付随車となっています。
変速機は爪クラッチを採用し、加速性能を向上させています。
ブレーキは電気指令式ブレーキで、排気ブレーキ、直通予備ブレーキを併用します。
最高速度は120km/hですが、キハ72形の検査時など、キハ185形による代走を行うことがあるため、ダイヤは最高速度120km/hを前提に組まれはおらず、キハ72形が最高速度を発揮するのは遅延時の回復運転といった状況に限られます。

キハ71系・キハ72系ともに、登場当初から一貫して「ゆふいんの森」号のみに使用され続けていますが、団体列車などとしてハウステンボスや大阪まで走ったこともあります。
これら2形式は予備車がないため、車両検査の間はキハ185系を使用した「ゆふ」号として運転されます。

歴史

1989年にキハ71系が登場し、「ゆふいんの森」として運行を開始しました。
1990年にキハ71系にキハ70-2が増備され、キハ71系が4両編成化されました。
1999年にキハ72系が登場し、「ゆふいんの森」は2編成体制となりました。
2003年にキハ71系のリニューアルが実施され、内装や接客設備の刷新の他、エンジンの換装も行いました。
2015年にキハ72系にキサハ72形が新製され、キハ72系は5両編成となりました。
2016年にキハ71系にセミアクティブダンパを設置し、乗り心地が改善しました。

現状

キハ71系・キハ72系ともに特急「ゆふいんの森」として運行中です。
基本的には毎日運行ですが、キハ71系・キハ72系に予備車がない関係上、検査日は「ゆふいんの森」は運休となり、キハ185形による「ゆふ」を同時刻で運行する代走ダイヤとなるため、運行日は時刻表や公式サイトをご確認下さい。

走行音

キハ71系
録音区間:久留米~鳥栖(ゆふいんの森4号)(お持ち帰り)
録音区間:由布院~大分(ゆふいんの森92号)(お持ち帰り)

走行線区(特記無い場合は全線)

※キハ71系・キハ72系共通
JR九州 ゆふいんの森 鹿児島本線(博多~久留米)、久大本線、日豊本線(大分~別府)

フォトギャラリー

画像をクリックすると拡大できます。

キハ71系

同方向幕

同ロゴ

同乗降扉

同号車札と種別札

同車内

同座席

同座席側面テーブル

同フットレスト

同荷棚

同デッキ部のれん

キハ72系

同方向幕

同行先表示器(LED化後)

同車内

同座席

同座席テーブル(格納時)

同座席テーブル(展開)

同座席側面テーブル

同手元灯

同荷棚

同大型荷物置き場

同車内案内表示器

同乗降扉(車内より)

同車内プレート

同デッキ通路

同運転台
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