HC85系気動車
概要
JR東海がキハ85系の置き換え用として導入した特急型気動車です。
ディーゼルエンジンで発電した電力をバッテリーに蓄えて、電気モーターで走行するシリーズ・ハイブリッド方式となっています。
形式名の「HC」は"Hybrid Car"の略となっており、数字部分はキハ85系から踏襲したものとなっています。
車体は日本車輌製造で製造され、外観デザインは「漆器の持つまろやかさや艶のある質感」をテーマとし、白とオレンジのラインを配し、先頭部には黒をあしらっています。
車内は原則として2+2列の回転リクライニングシートとなっており、グリーン車も普通車も配列は同じであり、シートピッチが異なっています。
また、バリアフリー対応のため、キハ85系で採用されていた座席を通路より高い位置に配置する方式は採用されず、車椅子対応席が増やされ、車椅子対応トイレも設置されました。
全座席にコンセントを設置しており、フリーWi-Fiのサービスも行われます。
グリーン車のみ313系5000番代で実績のあったセミアクティブ制振制御を搭載しており、乗り心地の向上を図っています。
車内チャイムは音楽デュオ「スギテツ」が国鉄時代の気動車の車内チャイムとして使われていた「アルプスの牧場」をアレンジしたものを採用しており、観光放送は沿線の高校の生徒が担当しています。
「ひだ」では岐阜県立岐阜高校、「南紀」では三重県立木本高校の生徒が担当しています。
走行機器は336kWを発揮する直噴式直列6気筒ディーゼルエンジンに、245kW出力可能な発電機を組み合わせ、145kW定格の永久磁石同期モーターを駆動します。
モーターの制御はVVVFインバータ制御となっています。
本形式は気動車でありながら、各車両の形式名には電車に用いられる「モハ」や「クモハ」が採用されているのが特徴であり、運転する運転士には電車の免許である「甲種電気車運転免許」か、気動車の免許である「甲種内燃車運転免許」のいずれかを取得していれば、講習と訓練を追加で受けることで運転が可能となっています。
編成は2両固定編成と4両固定編成の2種類があり、4両固定編成につちえはグリーン車がある編成とない編成の2種類があります。
また、鉄道友の会「ブルーリボン賞」を受賞しており、これはJR東海が単独開発した車両としては初のことでした。
歴史
2017年に「時期特急車両」としてハイブリッド方式を導入する旨が発表され、2018年には内外装デザインなどの概要が、2019年には形式名やロゴデザインが発表されました。
2019年に試験走行車として4両編成1本が落成し、長期試験を開始しました。
2022年7月1日より「ひだ」の一部で運用を開始し、名古屋~高山間での営業運転が開始されました。
同年12月1日より富山駅発着列車にも充当されるようになり、JR西日本管内も走行するようになりました。
2023年3月18日ダイヤ改正より「ひだ」は定期列車は歩形式で統一され、同年7月1日より特急「南紀」での運用も開始し、キハ85系の置き換えを完了しました。
現状
特急「ひだ」「南紀」の定期列車の全てにて運用中です。
走行音
録音区間:岐阜~名古屋(ひだ8号)(お持ち帰り)
走行線区は準備中です。
フォトギャラリー
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外観
ロゴマーク
行先表示器
車番
車内
座席(普通車)
座席(車椅子対応)
座席テーブル
車端部テーブル
座席コンセント
車椅子スペース
荷物スペース
車番(車内)
非常通報ボタン
デッキ部
車内トイレ
洗面所
AED(自動体外式除細動器)
ナノミュージアム(デッキ部)
乗降扉(車内より)