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N700系新幹線




JR東海とJR西日本が700系の後継、更には100系・300系の置き換えのために開発した新幹線車両です。
700系では最高速度を犠牲にして快適性や経済性などを重視した構成でしたが、N700系は300km/h走行が可能で飛行機との競争力を確保したかったJR西日本にとっては念願の車両で、JR東海にとっても東海道本線の過密ダイヤに対応するため高加減速の車両を求めていたこともあり、両者の要求が一致しそれを具体化したのがこの形式です。
開発の背景には山陽新幹線に比べて線形が劣る東海道新幹線では300km/h走行が可能な500系を投入しても270km/hでしか走れず過剰性能だったことがあり、これを受けて700系ではより経済性を高める代わりに最高速度を285km/hと控えめにしました。
本形式では最高速度300km/hを実現しつつ、経済性・快適性も確保し、更に車体傾斜機構を備えていて、他の新幹線に比べてカーブの多い東海道新幹線でも今までの車両より早く走ることができます。
このように高速性、快適性、経済性を兼ね揃えた車両になっています。
その製造数は累計2992両となり、これは初代新幹線である0系に次ぐもので、国鉄分割民営化後に設計・開発された新幹線車両では最多となります。

形式名は700系に対する後継車両であることから700の数字を踏襲し、"new"や"next"といった英単語の頭文字を付け加えたもので、元々は通称でしたが、後に正式な形式名として採用されるに至りました。

デザインは700系を元にしていますがLEDによる前照灯やフルカラーLEDによる行先表示器、連結部分を完全に覆ってしまう幌など外見上も違いがあります。
元々は700系・500系の後継として開発されたことから、東海道・山陽新幹線での「のぞみ」を中心に運用が始まり、後に「ひかり」「こだま」にも進出し、東海道新幹線の主力車種となるとともに、山陽新幹線の「のぞみ」のほとんどが本形式による運行となりました。
更に、九州新幹線が博多駅まで延伸開業すると山陽新幹線・九州新幹線直通用の車両として本形式を8両編成化した上で内外装デザインを変更した7000番台・8000番台も登場しました。
区分としては東海道・山陽新幹線向けの16両固定編成の0番台(JR東海所有車)・3000番台(JR西日本所有車)の他、前述の山陽・九州新幹線直通用の8両編成の7000番台(JR西日本所有車)・8000番台(JR九州所有車)といったバリエーションがあり、更に後年には本形式の改良型であるN700Aが登場し、こちらは1000番台に区分され、更に元々N700系だった0番台・3000番台も改造によりN700Aと同等の機能・性能をもたせた上でN700Aに編入された通称「スモールA」と呼ばれるグループは元0番台が2000番台へ、元3000番台が5000番台へと改番されました。
このように、本形式はJR東海・JR西日本・JR九州の3社で保有されており、JR3社でそれぞれ所有する形式は本形式が史上初となりました。

車体は700系と同じくアルミニウム合金製の中空押出型材によるダブルスキン構造を採用し、700系の「エアロストリーム型」の先頭部形状を遺伝的アルゴリズムにより改良した「エアロ・ダブルウィング」と呼ばれる形状を採用しています。
この「エアロ・ダブルウィング」は700系よりはノーズ部分が長くなりましたが、500系よりは短く収めることに成功し、300km/h走行と定員を両立することが出来ました。
デザインはTDO(トランスポーテーションデザイン機構)の福田哲夫氏が担当し、0・3000番台は日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞金賞(商品デザイン部門)、及び鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞し、7000・8000番台はブルネル賞・グッドデザイン賞を受賞しています。
また、車端部には全周を覆うようにカバーが設けられ、空気抵抗や騒音を軽減しています。

走行機器はIGBT素子によるVVVFインバータで700系よりも更に強力な定格305kWのモーターを駆動し、起動加速度は新幹線車両としては最高で、通勤形電車並の2.6km/h/sを誇り、発車から270km/hまではわずか3分で到達することができ、東海道新幹線の過密ダイヤでも活躍できる性能を持っています。
編成は16両固定編成では両端の先頭車以外が電動車、8両固定編成では九州新幹線に急勾配があることを踏まえて全電動車となっています。
空気ばね式車体傾斜装置の採用もあって、東海道新幹線でも高速化が実現しました。
消費電力の面でも270km/h走行時ではデジタルATCの導入により余計な加減速をしないで済むことや空力性能の向上もあって目標であった700系の1割減を上回る19%削減を実現しました。

車内は初めから全車禁煙とされており、喫煙車は設けられず、代替としてデッキの一部に喫煙ルームを設置していました。
座席は普通車では2+3列、グリーン車では2+2列配置で、700系などと同じですが、軽量化のために窓の面積が60%程度に小さくなっており、眺望面では劣る部分もあります。
また、7000・8000番台では普通車でも指定席については「ひかりレールスター」のサルーンシートを継承した2+2列配置となっており、デザインは「和のおもてなしの心」をテーマに、木村一男氏(JR西日本デザイン顧問)と水戸岡鋭治氏(JR九州デザイン顧問)が担当し、0・3000番台とはデザインが大きく異なっています。
その他の設備としては乗降扉の上部と乗務員室出入り口に防犯カメラを設置しており、これは鉄道車両としては初の試みでした。
更に「東海道新幹線火災事件」が発生したことを受けて、後にデッキ通路部と車内にも追加で設置されています。
車内案内表示器は新幹線では初めてフルカラー・2段表示が可能になり、より視認性の高いものとなりました。
外部の行先表示器についてもJR東海、及びJR西日本の営業用車両では初めてのフルカラーLED式のものが採用されました。

前述のN700Aについては本形式の1000番台に位置づけられ、N700系の改良型という位置づけです。
末尾の"A"は"Advanced"の頭文字であり、車体側面にも専用のロゴマークが刻まれています。
初めからN700Aとして製造された1000番台と、N700系として製造され、改造によりN700Aになった2000番台・5000番台があり、1000番台はロゴマークの"A"が大きく描かれることから通称「ラージA」、2000番台・5000番台はロゴマークの"A"が小さく描かれることから通称「スモールA」と呼ばれています。
主な相違点としてはブレーキディスクの締結方法を変更したことで制動距離を短縮したことや、台車振動検知システムの採用、車体傾斜装置が動作する範囲を拡大、定速走行装置の搭載などがあり、接客設備では座席モケットの色の変更、背もたれのヘッドレストを改良、ドア開閉予告チャイムの搭載、緊急通報装置の搭載などがあります。

また、本形式は海外へ新幹線システムを売り込むことも目的としており、N700-Iと呼ばれる車両が外国向けに発表されています。
最高速度は330km/hと本家より向上している他、編成長も各国の実情に合わせて柔軟に変更できるなどの特徴を持っています。
このデモンストレーションを兼ねて、N700Aを使用した試験走行が行われ、米原~京都間の下り線で深夜に330km/h運転を目指して走行し、結果として332km/hでの走行を達成しました。
これは東海道新幹線にて営業用車両が出したスピードしては過去最高でした。

歴史

2007年7月1日に最初の編成が運用開始しました。
同年10月1日には財団法人日本産業デザイン振興会の2007年度グッドデザイン賞金賞(商品デザイン部門)を、2008年には鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞しました。
2011年3月12日に九州新幹線が博多駅まで延伸開業し、山陽新幹線と直通運転を開始するのに合わせて7000・8000番台が運用開始しました。
2011年8月に7000・8000番台に対してブルネル賞(車両部門)を、同年10月3日にグッドデザイン賞(運輸・産業・土木建築関連車両・船舶・関連機器」を受賞しています。
2012年8月21日にはN700Aの第1編成が落成し、2013年2月8日より運用開始しました。

現状

N700Aは東海道・山陽新幹線の主力車種として「のぞみ」「ひかり」「こだま」として幅広く活躍中です。
また、7000・8000番台は山陽新幹線・九州新幹線を直通する「さくら」「みずほ」を中心に、九州新幹線内完結の「さくら」「つばめ」、山陽新幹線内完結の「ひかり」「こだま」と博多南線にて活躍中です。
その他、試験車両として使われていたX0編成のうちの3両が「リニア・鉄道館」(名古屋市)で保存・展示されています。

走行音

3000番台
録音区間:新神戸~新大阪(のぞみ14号)(お持ち帰り)

7000番台
録音区間:久留米~新鳥栖(つばめ360号)(お持ち帰り)

走行線区(特記無い場合は全線)

JR東海 0・3000・9000番台 のぞみ 東海道新幹線、山陽新幹線
ひかり 東海道新幹線、山陽新幹線(新大阪~岡山)
こだま 山陽新幹線(博多~新下関)、東海道新幹線(東京~名古屋)
JR西日本 0・3000・9000番台 のぞみ 東海道新幹線、山陽新幹線
ひかり 東海道新幹線、山陽新幹線(新大阪~岡山)
こだま 山陽新幹線(博多~新下関)、東海道新幹線(東京~名古屋)
7000・8000番台 みずほ 山陽新幹線、九州新幹線
さくら 山陽新幹線、九州新幹線
つばめ 山陽新幹線(新下関~博多)、九州新幹線
ひかり 山陽新幹線
こだま 山陽新幹線(新大阪~岡山、広島~博多
その他 博多南線
JR九州 7000・8000番台 みずほ 山陽新幹線、九州新幹線
さくら 山陽新幹線、九州新幹線
つばめ 山陽新幹線(新下関~博多)、九州新幹線
ひかり 山陽新幹線
こだま 山陽新幹線(新大阪~岡山、広島~博多
その他 博多南線

フォトギャラリー

画像をクリックすると拡大できます。

外観(0番台)

ロゴ(0番台・初期)

N700Aロゴ(ラージA)

N700Aロゴ(スモールA)

車番(3000番台)

行先表示器(0番台)

非常ドアコック(3000番台)

車内(N700A)

座席(N700A)

車内案内表示器(0番台)

エアコン吹き出し口

窓ガラス

車端部コンセント(3000番台)

壁面コンセント(3000番台)

3000番台 グリーン車の座席(西鉄好き氏提供)

同座席の背面(西鉄好き氏提供)

読書灯(西鉄好き氏提供)

肘掛内のリクライニングレバー(西鉄好き氏提供)

肘掛内のコントロールパネル(西鉄好き氏提供)

フットレスト(閉時) (西鉄好き氏提供)

フットレスト(開時) (西鉄好き氏提供)

3000番台 グリーン車の壁の模様(西鉄好き氏提供)

7000・8000番台 鹿児島中央駅にて

同番台のロゴ

同番台 フルカラーLED式方向幕

同番台の座席

座席テーブル(7000番台)

座席番号表示(7000番台)

車内案内表示器(7000番台)

車端部コンセント(7000番台)
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