東急7600系電車
概要
1986年頃から、東急大井町線で使用されていた東急7200系の東急目蒲線と東急池上線への転属が始まり、その際の組み換えで先頭車が余剰となりました。そこで車両の有効活用を図るために、余剰車を電装した上で新しく2両編成を組ませることとなり、その結果として登場した通勤形電車が東急7600系です。
外観・走行機器
屋根には2両に1両の割合で、新しく菱形パンタグラフが2つ設置され、同時に冷房装置も搭載されました。
走行機器には7200系で使用されていたものではなく、当系列が7200系から改造された同時期に製造されていた、東急9000系と同等の最新の走行機器を採用しているため、走行制御装置はGTO素子を使用したVVVFインバータ制御となっています。電動車化に伴い、台車も東急8000系などで使用されていたものに交換されています。
車内
車内は7200系の時とほとんど変化していませんでした。
歴史
当系列は1986年に、6両が7200系から改造され、2両編成3本を組みました。第1・第2編成は未改造の7200系の先頭車2両と組み合わせられた6両編成とされた上で、大井町線での使用が開始されています。第3編成も7200系の電動先頭車1両と組み合わせられた3両編成で、目蒲線で使用されるようになりました。
しかし東急8090系の入線に伴い、7200系の大井町線からの転属が進むと、第1・第2編成は編成を分割した上で、また第3編成はそのままの形態で、池上線で使用されるようになりました。この転属の際、第1・第2編成には電動車の位置を変更する改造工事が行われたため、車号に変化が生じたほか、全編成の車両前面に赤帯が施されました。第3編成はしばらくの間、改造工事を施されることなく使用が続けられていましたが、1990年に電動先頭車の7200系1両を取り外し、新たに7200系の中間電動車1両が7600系で使用されている機器を取り付けられた上で編成の中間に連結されました。この車両は7600系で初の中間車となっています。
1994年、池上線でワンマン運転が開始されるのを前に、当系列に対してその対応化工事が行われました。運転台は東急1000系に準じている、ワンマン運転対応機器を備えた新品に交換され、それに伴ってマスコンはワンハンドル式のものに変更されました。編成の中間に連結されていた先頭車の運転台は撤去され、そのスペースには車椅子スペースと座席が設置されています。ただし、「ダイヤモンドカット」と呼ばれていた先頭部分の形状はそのままとなっており、前照灯類や乗務員扉も残っています。
塗装は、同時期に登場した7700系ワンマン対応車と同じく、通称「歌舞伎塗装」と呼ばれる特徴的な塗装に変更されています。前面の方向幕はLED式のものに変更され、側面にも新たにLED式方向幕が取り付けられています。前面の貫通扉は新しいものに交換されています。内装は7700系に準じたものになるように更新されており、定員着席を促すために、9人掛け座席には座席を3人ずつで区切るための仕切り板が入れられたほか、オレンジとブラウンで1スペースごとに色分けがされました。加えて、車内用の自動放送装置や対話式の非常通報装置も設置されました。これらのワンマン対応化工事によって当系列の性能は大きく変化したため、従来の7200系との連結はできなくなっています。
2007年12月末から後継車両である東急新7000系が運転を開始した後、第3編成が2010年に廃車となっています。
現状
現在は第1・第2編成が、池上線で都市間輸送に、多摩川線で地域間輸送に活躍しています。
走行線区は準備中です。
フォトギャラリー
画像をクリックすると拡大できます。
蒲田駅にて
五反田駅にて
連結器周辺部分
中間車化改造先頭車と先頭車(後部)の連結部分
車外銘板