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東急8090系・8590系電車




概要

有限要素法を用いたコンピュータ解析による車体の設計で、必要な強度と剛性を保ちつつ、従来のオールステンレス車両よりも重量を軽減することに成功した、日本で初めての量産軽量ステンレス車体を採用した通勤形電車が東急8090系です。

外観・走行機器


8090系は20m4ドア車の8両編成で製造されました。従来のステンレス車両にあった車体のコルゲートが廃されたため、車体のひずみ防止のために車体断面は上部が内傾し、裾を絞った卵形になっています。車体側面には、東急のステンレス車両として初めて赤帯を2本巻いています。
前面形状は非貫通構造の3面折妻形状とされています。ちなみに、8090系の設計時には丸みを持たせた前面形状のデザイン案がありましたが、製造コスト削減のために前面形状は必ず切妻形状にするという東急上層部の方針により、却下されています。2次車までの前照灯は赤帯の下に設置されていましたが、4次車以降では赤帯の位置に設置されています。
走行制御装置には東急8000系と同じ界磁チョッパ制御を採用していますが、乗り心地の改善を図るために制御段数が増やされています。また、4次車以降の付随台車にはディスクブレーキを採用しています。

車内


車内の座席には、通勤形電車では標準的なロングシートを採用しています。乗務員室の運転台には、8000系に引き続きワンハンドル式マスコンを採用しています。

歴史

1980年に8090系の1次車1本が7両編成で登場し、東急東横線での営業運転を開始しています。1982年に製造された2次車は8両編成で登場し、それ以降に製造された編成は全て8両編成となっています。ちなみに、1983年には1次車も8両編成に増結されました。1984年から翌年にかけて製造された4次車は機器配置の見直しと編成順序の変更を行い、低運転台構造から高運転台構造に変更されました。なお、それ以前に製造された編成も後に変更工事が行われています。
1988年から翌年にかけて、東横線と将来開業する予定の横浜高速鉄道みなとみらい線との相互直通運転に備え、MT比を5M3Tから6M2Tにすることで編成あたりの出力を上げるために、8090系の編成の組み替えが行われることになりました。それに伴い、地下鉄線乗り入れに必要な非常用貫通扉を備えた電動先頭車が製造され、これを既存の編成から抜かれた中間車と組み合わせることで、8両編成が新たに5本登場しました。この時登場した編成が8590系です。
8590系は登場後、順次東横線での営業運転を開始しています。これは当初から車内用の自動放送装置を装備しており、構造は東急9000系に準じたものとなっています。なお、この8590系を登場させた組み替えの際に、中間車を抜かれて5両編成となった8090系の編成は大井町線で使用されるようになりました。
1997年3月のダイヤ改正によって東横線の運用が減ったため、8590系の第4・第5編成が東急田園都市線に転属しました。その後、第4編成は第5編成の中間車を2両組み込んだ10両編成で運転を開始しましたが、6両編成となった第5編成は予備車となり、営業運転は行われませんでした。2001年に8590系の第3編成が田園都市線に転属すると、予備車であった第5編成が第3編成の中間車4両を組み込んだ10両編成となって運転を開始しました。代わりに、4両編成となった第3編成が予備車となっています。
2003年、田園都市線に東急5000系が導入されると、8590系の第3~第5編成は、以前に東横線で使用されていた時の編成に戻され、東横線に復帰しました。翌年には、8590系の当初の使用目的であった、東横線とみなとみらい線との相互直通運転にようやく使用されるようになりました。
2005年から東横線に5050系が導入されるようになると、8590系の第1~第3編成が順次5両編成に組み替えられた上で、東急大井町線での営業運転を開始しています。第4・第5編成は、大井町線に転属した編成の余剰となった中間車を組み込んで10両編成となり、田園都市線に転属しています。この第4・第5編成は、準備工事自体は行っているものの、東武伊勢崎線への乗り入れ対応機器を搭載しませんでした。そのため第4・第5編成は伊勢崎線に直通しない運用のみに使用され、誤って同線への乗り入れ運用に充当されることを防ぐため、前面非常用貫通扉の窓には「K」マークが貼られました。なお、これらの転属の際に、パンタグラフがシングルアーム式のものに交換されています。
大井町線で使用されるようになった8590系の第1~3編成の前面帯は、2006年3月から同線と田園都市線を直通する急行列車の運転が開始されるのに伴い、誤乗防止のため、赤色単色から赤色と黄色のグラデーションに変更されています。なお、車体には大井町線のステッカーも貼られました。同じく大井町線で使用されている8090系にも、後に前面帯色の変更とステッカーの貼付が行われ、加えて全編成の方向幕をフルカラーLED式のものに、前面の運行番号表示器をLED式のものに交換しており、同時に前面の通過標識灯は撤去されました。
2009年から、大井町線所属の8090系の廃車が開始されており、一部の車両は廃車後に秩父鉄道に譲渡されています。2013年5月からは、残存している編成の、それまで大井町線のステッカーが貼られていた部分に引退を予告するヘッドマークが貼付されています。

現状

8090系の5両編成は、現在大井町線の各駅停車で活躍していますが、2013年度中には引退する予定です。秩父鉄道に譲渡された車両は、同社の7500系と7800系として活躍しています。
8590系の10両編成は田園都市線で、5両編成は大井町線と田園都市線 溝の口~鷺沼の各駅停車で使用されていますが、10両編成は伊勢崎線に乗り入れることができないため、現在は伊勢崎線非乗り入れ運用が多い平日の朝ラッシュ時を中心に、2編成が田園都市線と半蔵門線の相互直通運転で活躍しています。

走行音

録音区間:荏原町~中延(お持ち帰り)

走行線区は準備中です。

フォトギャラリー

画像をクリックすると拡大できます。

8090系 二子玉川駅にて

8090系 田奈駅にて

8090系 先頭部分側面

車号表記と大井町線ステッカー

フルカラーLED式方向幕

8590系 二子玉川駅にて

8590系 二子玉川駅にて

8090系 FINAL RUNヘッドマーク 戸越公園駅にて

8090系 同ヘッドマーク 戸越公園駅にて

前面のFINAL RUNヘッドマーク
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