今回は珍しく鉄道と関係ないネタですが、日産自動車がドライバーの運転を一切必要としない自動運転車を2020年を目標に発売すると発表しました。
自動運転車の概要
従来から技術的には可能とされる自動車の自動運転ですが、道路側に専用のケーブルを埋設し、ライントレーサのようにそれに沿って走るだけだったり、高速道路など特定の条件下でのみ可能な定速運転装置のようなものだったりでした。
しかし、日産が発売しようとしているのは標識や道路状況を備え付けのカメラで認識し、人工知能が適宜判断し、ハンドル・ブレーキ・アクセルなどを操作するとのことです。
そのため、通常の道路でそのまま走行でき、様々な状況に対応できるようです。
なお、こうした技術は世界初だとのことです。
ニュース記事(時事ドットコム)
法制面は?
しかし、気になるのはやはり法制面です。
当ブログでも以前の記事で触れたことですが、ドライバーがいない自動車で事故を起こした場合の責任の所在です。
交通事故になれば被害者がいるわけですから誰かが責任を取らなければなりません。しかし、運転している人がいない以上、車の所有者ということになるでしょうが、特にアメリカでは車の不具合のせいだとか主張してメーカーに賠償金を求める訴訟が起きたりしそうです。
こういうことを想定してか、アメリカの自動車業界は将来の実用化に備えて自動運転車についての法整備を求める動きも出ているようですが、日本の自動車業界では今のところそういう話は聞きません。
水面下で動いているのかもしれませんが、せっかく技術は完成しても法律が足かせになって発売できないなんてことになったら、ものづくりの国の名が廃りますからね。
このような問題は家電品のスマホでの遠隔操作でも起こっています。
経路の選択方法
道路状況に合わせて走ると言っても、行先に応じて適切な交差点で右左折をしたり、目的地付近では適切な駐車場を探して車庫入れするといった動作も求められます。
公道上の経路はカーナビの技術を応用出来るとしても、どの車線を走るべきかといった情報まで地図ソフトに含めておかなければなりません。
駐車場内の移動もカメラによる認識で対応するのか、別途駐車場内の地図を用意するのか、そもそも駐車だけは手動で行うという仕様になるのか。
いずれにせよ発売までに対応する地図ソフト開発も必要ですね。
融通は効くのか?
ドライブ中によくある適当に走りながら見つけたお店に入る、といった芸当が自動運転でも出来るのかということです。
長距離ドライブでは急に催して道の駅やSA/PAなどに立ち寄るといった事も考えられます。
カーナビで行先を変更するように複雑な操作をしなければならないのであれば、操作に手こずっているうちに入りたいと思ったお店や施設を過ぎてしまうなんてことも考えられます。
高齢者の需要を見込んでいるようですが、そういった操作を簡単にしないと肝心の高齢者が扱えない製品になってしまいかねません。
安全面
基本的な状況判断は人工知能でも出来るでしょうが、日本でも後を絶たない自転車の無謀運転や歩行者の飛び出し、他の車の交通違反など、交通ルールを守っているだけでは対処できない状況というものも道路上では発生します。それにも対応出来るだけの人工知能なのでしょうか。
それから、考えられるのが地図ソフトの誤りで道を間違う程度ならまだいいですが、道ではない場所が道であると地図に出ていた場合、無理やり突っ込んでいって事故を起こすなんてことも考えられます。
これは地図ソフトを間違いのない完璧なものにすればいいわけですが、人間が作るものですから間違いが0というのはなかなか難しいのではないでしょうか。
こんな感じで私なりの意見を書いてみましたが、遠い先の話だと思っていた自動運転車がたった7年後には実現しているなんてすごい話です。
車が便利になると公共交通機関としては逆風になりますが、7年後には車と公共交通機関がうまく共存できるようになっていることを祈りましょう。