今回はとある遠征の足として使った「杉崎高速バス」の乗車レポートとなります。
最近の傾向として高速バス乗車レポートはそれ単体でお求めの方も多いようなので、遠征レポートの本編からは分離させる傾向となっており、今回もそれに従った形です。
「杉崎高速バス」の概要
まず最初に今回レポートのメインとなる「杉崎高速バス」の概要について説明します。
「杉崎高速バス」は杉崎観光バスが運行する都市間高速バスの名称であり、JRバスが運行する「ドリーム号」みたいな感じで愛称みたいなものですね。
母体は「杉崎運輸」という運送会社であり、1986年にバス部門として「杉崎高速バス」が発足し、都市間の高速ツアーバスが広まると、主にオリオンツアーが主催する都市間ツアーバスの運行を受託するようになりますが、制度変更で都市間ツアーバスが運行できなくなると、高速乗合バスとして「杉崎高速バス」の名称で都市間バスを運行するようになりました。
観光バス会社としては新参というわけではないですが、都市間バスについては都市間ツアーバスブームの頃に参入した形になりますね。
本社は小田原にありますが、東京と小田原に営業所を構えており、
東京を起点に浜松・名古屋・京都・大阪・神戸・鳥取・岡山・富山・金沢・福井などにネットワークを広げているようです。
そんな中で私が乗車したのは東京~名古屋の路線(SG103便)であり、以前にも同じ区間を高速バスで移動したことがありましたが、前回はJRバスという大手のバスだったのに対し、今回は(失礼かもしれませんが・・・)あまり聞いたことのないバスにどんなものかという好奇心から乗ってみたという感じですね。
また、タイトルにもある通り、格安バスとしての側面が強く、最安値で2300円から、私が乗車した時でも東京から名古屋まで3200円という破格の安さで利用できたため、それも選んだ理由の1つになったのは言うまでもないですが、逆にあんまりの安さに「本当に大丈夫か?」と心配になる方もいるでしょうし、このレポートで杉崎高速バスの本当の姿を確かめて頂ければと思います。
乗車レポート
説明も済んだところで、いよいよメインの乗車レポートへと入っていきます。
東京での乗車地は「東京駅鍛冶橋駐車場」となっており、「駐車場」という名前になっていますが、列記としたバスターミナルです。
このあたりは「高速ツアーバス」の時代の名残もあるんでしょうが、現在は「高速ツアーバス」の運行自体が規制されていて、「高速バス」であれば乗合免許に基づく路線であるはずなので、法的な位置づけにおいてJRバスなど大手のバス会社が運行する高速バスと差異はありません。
ただし、この「鍛冶橋駐車場」というのは東京駅から微妙に離れた位置にあるので、初見の方は事前にしっかり道順などを調べておいて、なおかつ実際に向かう時は時間に余裕を持った方がいいと思います。
ビジネス街としての顔もある八重洲地区を歩いて鍛冶橋駐車場へ向かいます。
ここがそうみたいですね。
夜の夜行バス出発のピークに当たる時間帯だったこともあり、バスターミナルに入りきらないバスが路上で待機していることもあってそれが目印になってすぐに分かりましたw
さて、バスターミナルの様子もばっちり写真付きでレポート!
・・・と思ったのですが、敷地に入るなり「撮影禁止」の貼り紙が・・・
最初は出入り口付近は狭いので立ち止まって撮影されると通行の邪魔になるという意味での撮影禁止だと思って、奥に入れば撮影できるのでは?と思っていたのですが、その貼り紙はいたる所に貼ってありましたので、敷地内は全面撮影禁止と解釈してよさそうです。
ただし、この撮影禁止という規制がなかったにしても十分なレポートができたかというとそれには疑問符が付きます。
理由は・・・あまりに激しい混雑!
内部に入るとプレハブっぽい簡素な作りの待合室があり、その中には椅子や自販機、トイレなどのバスを待つのに必要な設備が整っているのですが、待合室のキャパが明らかに足りておらず、座るどころか待合室に入るのすら困難なほど人だらけでした。
結局、大多数の人は待合室には入らず、乗り場付近の広場に立って待っているのですが、どこを見ても人!人!人!という状況なので、仮に撮影OKでもまともに使える写真は撮れそうにありませんでした。
初めて訪れる場所ということで早めに到着するようにしたのが災いして、いつもなら乗車前の暇つぶしとして定番の撮影という行為も取り上げられた今、ただただスマホをいじり私が乗車するバスが入ってくるのを待つのみとなりました。
それにしても乗車したのは普通の平日であり、連休中とか帰省シーズンでもないのにこの混雑では、本当の繁忙期はどんな惨状になっているんでしょうかね・・・w
そうそう、バスが到着するまでの流れを説明しておくと、乗客が待機するスペースと乗り場は明確に分かれており、自分の乗車するバスが到着するとアナウンスと発車標みたいな案内パネルで案内されるので、それを合図に指定された乗り場へ移動していくという流れであり、イヤホンで音楽を聞いていたり、同行者とのおしゃべりに夢中でこれを見落としたりすると置いていかれる可能性があります。
また、その時その時で空いている乗り場にバスを入れるスタイルらしく、事前に乗り場が分からないのも痛いですね。
そんなこんなでようやく私が乗るバスがやってきて、乗り場へ向かうとスタッフの方が氏名の確認をしに来るので、名前を告げると席を教えてくれてそのままバスへ乗り込みます。
私の場合、ネット予約でクレジットカード決済にしたので物理的なチケットは手元になく、予約完了の画面をすぐに提示できるように用意していたのですが、結局氏名を告げるだけで乗車できました。
乗車して、カーテンの隙間から撮った1枚
この鍛冶橋駐車場は元々バスターミナルとしての使用を想定した作りではないみたいで、頻繁にバスが出入りする想定ではないのか、出入り口が狭く入ってこようとする後続のバスと出発しようとするバスが交錯してなかなか進まない一幕もありました。
いよいよ大通りに出てようやく走り始めますが、ここで流れるアナウンスに思わず吹き出しそうになりましたw
変わっているのはアナウンスの内容ではなくて、そのイントネーションでして、ネットで手に入るフリーソフトの音声合成ソフトに喋らせたような、例えるならば外国人が話す片言の日本語とでもいうような、独特のイントネーションでした。
音声合成ソフトでも高機能なものであれば違和感のないイントネーションに調整してくれるでしょうし、本当にフリーのソフトに喋らせて一切の調整をせずに出力したって感じの音声でした。
↑そのアナウンスですw
なお、運転士さんの氏名の部分は無音化していますのでご了承下さい。
ただ、イントネーションこそアレですが、担当する運転士さんの氏名やら、休憩箇所の詳細やら、内容は事細かであり、「休憩箇所や時間は運転士が案内します」とか言ってお茶を濁してしまう高速バスの放送もある中、その点は評価できるなと思いました。
私が乗ったSG103便は東京駅鍛冶橋駐車場を起点とし、横浜駅、海老名、東名秦野BSにて乗車扱いをしてから東名高速道路を通って名古屋を目指します。
そのため、まずは横浜を目指して首都高速1号羽田線・横羽線を南下していきます。
一般道では深夜特有のタクシー渋滞や、工事で車線規制されていたりでなかなか進まずイライラが募りますが、首都高速に乗ってしまえば快調な走りです。
いつしか神奈川県内に入り横浜駅に到着するとぞろぞろと乗り込んできて、東京駅鍛冶橋駐車場を出た時は半分以上空席だったのがほぼ満席となりました。
運転士さんのマイク放送によればあとは東名秦野で乗ってくる人が1名いるだけですが、今日は満席だとのことです。
普通の平日で満席というのは驚きましたが、需要が少ない時期に極端な低運賃を設定して極力満席にして運行することで利益を上げるという戦略なのでしょうね。
飛行機の格安チケットもこれと同じ理屈ですが、同時に繁忙期はとんでもなく運賃がインフレを起こすということでもあり、最安値で2300円で利用できるSG103便も、例えば5月の連休期間中は8600円という設定になり、最安値からすると約3.7倍もの値上がりです。
需要と供給から言えば当然の結果でしょうが、私なら8600円払って4列の格安バスに乗るなら2000円足して新幹線の自由席を選びますかねw
横浜を過ぎると隣の席にも人が来て窮屈になったこともあって眠りに落ちました。
海老名と東名秦野は停まった記憶もないまま、バスは最初の休憩地となる足柄サービスエリアに到着しました。
隣の人は爆睡中のようでしたが、トイレにも行きたいし喉も渇いたということで申し訳ないと思いつつ起こさせてもらってバスを降ります。
ここでようやくバスの写真を撮れますw
全体的に落ち着いた色合いの塗装ですね。
深夜のサービスエリアというのも何だか好きなのでトイレだけでなく売店にも行きました。
休憩時間も長めにとってくれているので落ち着いて買い物ができるのは嬉しいです。
それではバスに戻ります。このあとは流石にずっと寝ており、2度目の休憩地は全く記憶になく、バスは気がつけば愛知県内の一般道を走っていて、もうすぐ名古屋駅という放送で目を覚ましました。東京側ではちょこちょこと停車してこまめに乗客を拾っていましたが、名古屋側は名古屋駅のみ停車で素直なルート設定です。
4列シートということで流石に体のあちこちが痛くなり「ケツの肉が取れる夢」こそ見ませんでしたが、快適性重視の人にはおすすめできないなと思いました。
まあ、この点は杉崎高速バスだけでなく、4列夜行バス全体に当てはまる話ではあろうと思いますが・・・
名古屋駅に到着です。
停留所名としては「名古屋駅前(ミッドランドスクエア前)」ということになるらしく、名古屋駅周辺の路上に停留所があります。
これは、高速ツアーバス時代に路上駐車していた場所を正式に停留所として申請した感が強い立地ですw
名古屋の駅ビル「JRセントラルタワーズ」が出迎えてくれました。
最後に乗車した感想を簡単にまとめると、4列のスタンダードタイプということで、快適性はお世辞にも良いとは言えませんが、乗り場が大手のバスとは違うなどの相違点に注意すれば格安な移動手段としては有用であり、快適性よりも低運賃を選ぶという人は検討してみてはいかがでしょうか?
(車両の整備や乗務員の勤務状況なんかは一利用者の立場では分からない部分も多いですし、かといって事業者の規模で選んでも、大手であっても事故を起こすことはありますからそこはもう信じるしかないというところでしょうか・・・)
と言ったところでレポートは以上です。
このあとはそのまま遠征の活動となりますが、それは追って別記事でレポートしますのでしばらくお待ち下さい。
それでは!
名古屋到着後の活動はこちら