YOKOHAMA AIR CABINに乗ってみた

この度、所用で横浜を訪れる機会がありまして、空いた時間で最近開業したばかりのロープウェイ「YOKOHAMA AIR CABIN」に乗ってきましたので久々にレポート記事にしたいと思います。

YOKOHAMA AIR CABINとは

まず初めに「YOKOHAMA AIR CABIN」について解説してからメインのレポートに入っていきたいと思います。
「YOKOHAMA AIR CABIN」は桜木町駅と運河パーク駅を結ぶロープウェイで、泉陽興業という会社が運営しています。
この泉陽興業は全国各地で観覧車やレジャー施設を運営しているようで、みなとみらい地区にある大観覧車「コスモクロック21」も運営しているので、「YOKOHAMA AIR CABIN」とのセット乗車券も発売されているようですよ。
起点の桜木町駅はJR桜木町駅の目の前でアクセスもよく、赤レンガ倉庫なども近い運河パーク駅までの630mを片道5分で結んでいます。
運賃は片道1000円で、往復乗車する場合は割引になり1800円となります。
普通のロープウェイは急勾配のある場所や陸路だと大回りを強いられるような場所にあることが多いので、乗るとなると往復利用が前提になることも多いですが、「YOKOHAMA AIR CABIN」は走っているのが平地で距離も短いので片道は徒歩で地上から景色を楽しんで、片道だけロープウェイで空の散歩を楽しむのもいいですね。

運行形態としては定期点検などでの運休日を除けば原則毎日運行され、10時から20時まで(ただし、これは時短営業とのことなので、コロナ収束後はもう少し遅くまで営業すると思われます)の営業です。また、「YOKOHAMA AIR CABIN」は自動循環式と呼ばれる方式で、ゴンドラが次々に出発するため、運行ダイヤと呼べるものはありませんが、「ジョルダン」では「YOKOHAMA AIR CABIN」も鉄道路線扱いで収録されているようで、1分おきに発車するという時刻表が掲載されていますw

全国に数多くあるロープウェイの中でもこの「YOKOHAMA AIR CABIN」が特筆すべきなのは、「都市型ロープウェイ」であるという点です。
日本ではロープウェイといえば山頂の展望台へのアクセス手段だったり、観光地のアトラクション的な意味合いで導入されるケースが殆どで、都市部を走るロープウェイというのは非常に珍しく、かつて大阪や渋谷でロープウェイが運行されていたケースがあるものの、いずれも廃止されて久しく、その他の事例も大型イベントの会期中限定などの仮設的なものばかりでした。
それが、「YOKOHAMA AIR CABIN」は国内初となる常設型都市型ロープウェイということになるわけです。

乗車レポート

というわけで、桜木町駅からメインのレポートに入っていきたいと思います。


まずはJR桜木町駅に降り立ちました。
初代横浜駅だった駅でもあり、現在はJR根岸線と横浜市営地下鉄ブルーライン、更に東神奈川駅から直通してくる横浜線の電車も乗り入れる実質3路線が利用できる駅であり、貨物線の高島線もここから分岐します。


横浜のまさしくランドマークのランドマークタワーをバックに、既に「YOKOHAMA AIR CABIN」の駅舎が見えています。


こちらが「YOKOHAMA AIR CABIN」の駅舎です。
開業したばかりとあって今風のガラス張りの駅舎ですね。


早速ゴンドラが見えてきました。
自動循環式なので次々やってくるため、ゴンドラを撮る機会はいくらでもあります。


こちらが入口のようですが、思ったより混み合っていて行列が出来ているようです。
情勢的に地方の観光地へ出向くのを控える人たちが、近場で楽しめるスポットとして人気を集めているのかもしれません。


こんなロゴがありました。


順番待ちの間にJR桜木町駅を撮ります。
そういえば、桜木町駅ってちゃんと降りるのは初めてでした。

行列が進んでいきその先でチケットを買うのですが、窓口のほか自動券売機も用意されていて、チケットを買うのはスムーズでした。
私は自動券売機で買ったのですが、Suicaでチケットを買うことも出来て便利でした。
ただし、JRとかの改札と違ってSuicaそのもので乗車できるわけではなくて、Suicaを使ってチケットを買えるだけなので、Suicaを使う場合でも券売機にいってチケットを買う必要はありますから注意です。


改札口です。まさかの自動改札で驚きました。
チケットにはQRコードが印刷されていて、それを改札機の読み取り口にかざすのですが、この方式は飛行機の搭乗口みたいですね。
上の看板がなおさら空港っぽさを出していて、まるで飛行機にでも乗るみたいです。
まあ、ロープウェイも空中を走るので飛行機に近いと言えなくもないかw


と思ったら、「搭乗口」なんて書かれていてますます飛行機に乗るみたいw


改札を過ぎてもまだまだ行列が続きました。
それにしても、ここまで並んでいる人数を考えると流石に行列の進みがおそすぎるような気がします。


こんな事もやっているんですね。
ただ、日没後にやるそうなので、今回は見られなそうです。


ようやく私の順番になりました。
ここで、列の進みが遅い理由がわかりました。
どうやらコロナ対策ということでか、1つのゴンドラには1組のグループしか乗せないようにしているようです。
そのため、ゴンドラ1つに付き定員8人のところ、2~3人ずつしか乗せないため、本来の輸送力の半分以下で運用している状態になっており、そのためなかなか行列が進まなかったようです。
まあ、逆にここまでしっかり対策しているということでもありますし、むしろいいことでしょうね。


いよいよ乗車です。
ちなみに、流石にお一人様の私は他のグループと相乗りかと思ったら、なんと私一人の貸切状態になりました。
大勢の方が順番待ちしているのを思うと申し訳ない気持ちにもなりますが、せっかくの5分間の貸し切りを堪能させてもらいましょう。


ドアが開いて車内へと案内されます。


乗り込みました。
座席は向かい合わせのロングシートが2組で、鉄道車両で言えばボックスシートが近いでしょうか。
思ったのは5分しか乗らないんだし、座席なしの立ち乗りスタイルでもいいのではないかと思ったんですが、法令とかで座席の設置が義務付けられているとかですかね。


ドアが閉まりいよいよ5分間の空中散歩が始まります。

驚いたのが車内に冷房が効いていたことで、ロープウェイって空調がないものだと思っていたのが、5分間でも涼しく過ごせるのはありがたいです。
ロープウェイだと鉄道で言う架線のようなものはないので蓄電池で賄っているんでしょうか。


↑車窓は動画でどうぞ!
たった5分ですが、運河を見下ろし、ランドマークタワーや観覧車も見えてなかなか濃厚な5分間ですね。
ところで、足元に通るのは「汽車道」という遊歩道なんですが、これは元々JRの貨物線だった道で、廃線跡を整備して遊歩道にしたものなんですが、ロープウェイも広い意味で鉄道の1つだと考えると、一度鉄道が廃止になったところに再び鉄道が通ったということになりますね。


廃線跡の鉄橋と大観覧車です。


連なるゴンドラの奥には首都高湾岸線が見えます。
ベイブリッジは主塔しか見えませんが、奥には鶴見つばさ橋が見えていますね。


運河パーク駅に到着です。
乗車口と降車口は分離されていて、一般的なロープウェイの駅って感じですね。


駅周辺でゴンドラを撮影していきたいと思います。
やっぱり街中をロープウェイが走っているという光景は不思議な感じがしますね。


高層ビルをバックに走るゴンドラも絵になります。


駅の入口部分です。
なんだか「銀河鉄道999」にでも出てきそうな未来感がありますね。


車窓のところで紹介した汽車道です。
レールも残されているため、ここが廃線跡だということが分かりやすいですね。


ランドマークタワーとゴンドラ


観覧車とゴンドラ
周囲には特徴的な建造物が多いので、どこを撮ってもいい写真になりますね。


あえて空をバックに


この鉄橋なんか、いかにも鉄道橋って雰囲気ですよね。


親柱には橋の名前の代わりに「汽車道」と遊歩道の名前が書かれていました。


運河パーク駅の方を向いて駅とゴンドラを撮影です。


運河とロープウェイ


更にもう1枚


ランドマークタワーと運河とロープウェイ


更に大きな鉄橋が出てきました。


脇から見ることができる場所があったので行ってみました。
現役時代だったら絶好の撮影スポットだったでしょうねw

そうそう、散々廃線跡と言っておいて、ここが何の線路だったのかという話をしていませんでしたね。
ここは横浜港や山下埠頭と高島線と呼ばれる貨物線を結ぶ貨物支線で、かつては横浜の臨海地区にはこのような貨物支線が網の目のように張り巡らされていましたが、鉄道貨物輸送の衰退に伴ってその多くが廃止され、この汽車道を通っていた貨物線もその例に漏れず廃止されました。
ですが、汽車道という名前からSLが現役だった時代に廃止されたようなイメージをしがちなものの、実は廃止されたのは1986年のことで、その後1989年に横浜博覧会が開催された際には来場者輸送のために一時的に復活して旅客輸送を行いました。
これを最後に完全に廃止になり、1997年に汽車道として整備され現在に至ります。

個人的には横浜が観光地としても人気を集める土地であることから、北九州の門司港の事例のように、貨物線を観光鉄道として活用する手もあったと思いますが、廃止がもう少し遅ければというIFの話になりますね。


横浜ランドマークタワーも間近で見るのは初めてです。
さて、実は往復ロープウェイに乗ろうと思っていたのですが、これ以上進むと桜木町駅まで行ってしまうのでここで引き返します。


運河パーク駅から見たロープウェイとランドマークタワー
貨物線が廃止になったのが1986年で、ランドマークタワーが出来たのが1993年なので貨物線現役時代にはランドマークタワーはありませんでしたが、もし観光鉄道として生まれ変わっていたら車窓のハイライトの1つだったのは間違いないですね。


汽車道は運河パーク駅から先にも更に続いており、その先にはこんな建物があります。
まるで汽車道が建物を貫通しているような、吹き抜け構造になっているのが特徴的なこの建物は「ナビオス横浜」というホテルで、「日本船員厚生協会」という団体が運営する船員などへの福利厚生施設なんだそうですが、一般の人も宿泊可能だそうです。


ちなみに、この吹き抜けは単に汽車道を寸断しないためだけに設けられたわけではないようで、この吹き抜けを通して見た景色が絵画のように見えるように意図されているんだとか。
きちんとした角度で見れば確かに赤レンガ倉庫が収まっていい景色です。


観光ガイドブックにありそうな写真ですね。


ホテルの向こう側に来ました。
こちら側の景色も絵画のように見えるように意図されているらしく、古い時代の横浜を象徴する赤レンガと、新しい時代の横浜を象徴するランドマークタワーが対になるようになっているんだとか。
周辺の景色も含めてデザインに取り入れてしまうのはすごいことですね。


ランドマークタワーにロープウェイも加わってますます印象的な景色ですね。


このホテルが船員向けの施設ということもあってか、錨のモニュメントがありました。


それではそろそろロープウェイで桜木町駅に戻るとして、運河パーク駅に戻りました。
この花壇の中のオブジェも錨をイメージしているんでしょうか?


入口部分です。
「YOKOHAMA AIR CABIN」の文字が強調される一方、駅名は書かれていないのは交通手段としてよりは、観光アトラクション的な位置づけなのかなと感じますね。


↑最後に駅周辺でロープウェイが動いているところを動画で撮りました。


↑もう1つ動画を撮ったら帰りのロープウェイに乗り込みます。


チケット売り場には駅名が書かれていました。
なお、私は桜木町駅で往復券を買っていたのでそのまま乗り場へ向かいます。


乗り場です。
空港の保安検査場のような雰囲気ですが、荷物検査はありません。


今度はそれほど待つことなくスムーズに乗ることが出来まして、いよいよ復路の搭乗です。


↑復路も一応車窓動画を撮ります。
なお、往路では視点を固定して撮影していましたが、復路では色んな方向にカメラを向けてみましたので、往路をご覧になった方もぜひ御覧下さい。


桜木町駅に戻ってきたら、横浜市営バスが運行する周遊バス「あかいくつ」がいました。


横浜を象徴する乗り物のコラボということでw

といったところでレポートは以上にします。

最後に感想ですが、都会の景色を見下ろす車窓というのは目新しく、都会のロープウェイが増えていけばいいなと思いました。
また、ロープウェイといえばアクセスの悪いところにあったりすることも多い中、都会の駅前という好立地なのも魅力ですね。
観覧車や遊覧船とも組み合わせての周遊観光にもおすすめでしょう。
ただ、片道1000円、往復割引でも1800円というのは乗車時間を考えると割高感もあるので、もう少しお安くなればなぁ・・・w

あと、こういう都市型ロープウェイの展望についてですが、日本ではまだまだ都市型ロープウェイは珍しい存在ですが、世界的に見れば実用的な交通機関としてロープウェイが運行されているケースは多くあり、空中を走るので用地の確保が容易である点や、路線バスに比べて輸送力や定時性に優れ、モノレールや新交通システムを導入するほどではないが、路線バス以上の輸送力や定時性を求められる区間の輸送手段としては秘めたる潜在能力を持っていると思います。

「YOKOHAMA AIR CABIN」も現状では運行距離の短さや割高な運賃もあり、実用的な交通機関としての役割は厳しいと思いますが、今後延伸されたりして、ロープウェイ通勤なんてのが実現する日が来ればと思います。
余談ですが、「YOKOHAMA AIR CABIN」とは別の計画として、横浜駅からみなとみらい地区や大さん橋を経て山下埠頭までのロープウェイの計画もあるらしく、実現すれば観光アトラクションとしてだけではなく、実用的な交通機関としても活用されそうですよね。
また、運河パーク駅にも乗り入れてくれれば「YOKOHAMA AIR CABIN」と乗り換えることも出来て、相乗効果もありそうです。

というわけで、久々のレポート記事でしたがいかがでしたか?
まだまだ本格的な遠征をするのは難しい情勢ですが、早く以前のように地方への遠征を心置きなく楽しめるようになってほしいものです。
それでは!

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つばめ501号(管理人) について

関東を拠点に鉄道旅行を楽しんでいます。また、写真撮影や走行音の録音もしています。 サイトの方ではそれら写真や録音も公開していますのでぜひご覧ください。
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