今回は2021年11月13・14日に実施された埼玉新都市交通(ニューシャトル)の「丸山車両基地まつり」に参加してきましたのでレポートしたいと思います。
埼玉新都市交通について
まずは予備知識として埼玉新都市交通について簡単に解説してから本編に入っていきたいと思います。
埼玉新都市交通は通称「ニューシャトル」とも呼ばれ、埼玉県さいたま市の大宮駅から北足立郡伊奈町の内宿駅までの12.7kmを結ぶ新交通システムです。
方式としては、ゴムタイヤを使用してコンクリート製の軌道を走るAGTと呼ばれるタイプで、関東では他に「ゆりかもめ」や「横浜シーサイドライン」などの例があります。
特徴的なのは全区間が東北・上越新幹線の高架に沿って走っている点で、新交通システム自体は全国にありますが、新幹線に沿って走るのはこの埼玉新都市交通が唯一の例となっています。
そのため、一部の駅や車窓からは新幹線が間近で見えたり、高い位置を走ることからよく晴れた日には富士山も見えたりするなど、車窓も楽しめる路線です。
このように新幹線に沿って走る路線となった経緯は、開業までの歴史的経緯が関わっており、東北・上越新幹線を建設する際に騒音などを懸念した沿線住民から反対運動が起こり、戸田市・旧浦和市・旧与野市などでは見返りに埼京線が建設されましたが、上尾市・伊奈町への見返りには通常の鉄道を建設しても輸送力過剰になると言う判断から通常の鉄道ではなく新交通システムが選択されました。
起点の大宮以外は他の鉄道路線と接続しておらず、沿線住民以外にはあまり馴染みがない路線という感じでしたが、沿線の大成地区に鉄道博物館が開業するとそのアクセス路線として利用者も増え、沿線以外の方にも鉄道博物館へ行く時乗る路線として知名度が上がったようです。
そして、埼玉新都市交通では例年、11月14日の埼玉県民の日に合わせて車両基地を公開する「丸山車両基地まつり」を実施しており、昨年はコロナ禍で中止となったようですが、今年からまた再開されることとなりました。
例年は1日のみの実施ですが、今年は13日・14日の2日間に渡って実施されました。
なお、過去にも参加したことがあり、それもレポートしていますので、よろしければそちらも併せてご覧下さい。
丸山車両基地まつりへ
というわけで早速レポート本編に入っていきたいと思います。
早速まつりの幟が出ていました。
あと、駅で駅弁を売っているらしくその幟も出ていました。
普段はニューシャトルで駅弁を売ることなんてありませんからそういう意味でもレアですね。
開始からだいぶ時間が経ってからの参戦だったためか駅の方はさほど混雑していないようです。
埼玉新都市交通の本社です。
いくらイベントでもここへは立ち入れませんけどねw
幟を追いかけて会場へ向かいます。
車両基地って駅からだと意外と遠いことも多いですが、丸山車両基地は本当に駅から数分のところにあるので、アクセスも抜群です。
部品販売を目当てに開場前から並ぶ人もいるのかこんな注意書きも
Withコロナでの開催ということで、検温と消毒液が設置されていたのは例年とは違う点ですね。
何故か野菜とか売っていましたが、地元の野菜なんでしょうか?
なんか道の駅っぽいw
ガチャポンが設置されていました。
この2日間のためにわざわざ持ってきたんですかね。
メンテナンスを請け負う子会社なのか「JR東日本テクノロジー株式会社」の文字がありました。
実は埼玉新都市交通は埼玉県と同率の35%の株式をJR東日本が持っていて、実質子会社といってもいい会社なのです。
なので、メンテナンスもJR東日本の系列会社が担っているんですね。
これは作業車両に対してのものでしょうけど、グッズを求めて走る人への注意喚起とも読めるw
工場内部です。
設備などは前回来たときと変わりはないようですが、つい撮ってしまいますw
過去の大雪の様子が紹介されていました。
埼玉新都市交通ってゴムタイヤで走るので普通の鉄道より雨や雪には強いイメージを持たれますが、この丸山車両基地から営業線へ上がるスロープが急勾配のため大雪や凍結が発生すると登れなくなって運休せざるを得ないという弱点があります。
融雪機のようです。
埼玉だと運行に支障が出るレベルの大雪は数年に一度あるかどうかですが、ちゃんとこういう機材も用意しているんですね。
ニューシャトルは軌道の側面に3つの集電用レールが設置されているので、パンタグラフもこんな形になります。
鉄道業界の早番の味方の起床装置ですね。
ベッドに空気で膨らむバルーンを設置して、時間になるとバルーンが膨らんで体を持ち上げることで強制的に起こすという機械で、セットし忘れるとか二度寝を別にすればほぼ100%起きられるそうです。
私も朝は苦手な方なので家に欲しいなと思わなくもないですが、結構お高いんですよねw
こっちは指令員の1日です。
鉄道の安全運行のため、朝から晩まで大変な仕事だと思います。ありがたいですね。
車両の一覧です。
開業時からの1010系は既に引退してしまいましたが、内宿延伸時に増備された1050系はまだ2編成在籍しています。
現在の主力車両は2000系と2020系です。
形式としては現役は3形式ですが、編成ごとに色を変えているので色とりどりでいいですね。
1050系用のモーターです。
チョッパ制御なので直流モーターなんですね。
ジャッキだそうですが、鉄道車両用となるとデカイですねw
あと、1050系専用だそうですが、形式ごとに専用品があるんですね。
こっちは車体吊り上げ用の治具です。
前回参加したときはクレーン釣り上げ実演がありましたが、今回は実演はしないようです。
やっぱり実演とかやると密になってしまうからですかね。
工場内には1050系が展示されていました。
この色はあまり馴染みがないですが、ラッシュ時のみ稼働とかですかね。
幕はレアな丸山行きでした。
以前は夕ラッシュ時にも丸山行きの設定があったと思いますが、今は朝ラッシュ時に5本あるだけとなり、今やすっかりレア行先です。
丸山~内宿間は単線なので極限まで本数を増やすと丸山行きを設定せざるを得ないのでしょうが、コロナ禍で通勤利用が減ったためか朝ラッシュのピークでも5分ヘッドになったので、線路容量的には丸山行きを設定する必要はなくなったんでしょうか。
車両の前には鉄道むすめの「丸山はやみ」のパネルが置かれていました。
苗字の丸山はもちろんこの車両基地もある丸山駅が由来ですが、「はやみ」は何由来かなと思ったら、ニューシャトルにある東宮原駅の読みである「ひがしみやはら」の太線部を逆に読んだ部分から来ているらしく、ちょっと無理やり感がw
まあ、ニューシャトルの駅名で女の子の名前っぽい駅名が無くてやむを得ずって感じでしょうかw
普段はなかなか見られないゴムタイヤです。
タイヤの溝が一直線なのは自動車用タイヤとは違いますね。
悪路を走ることがなく、自動車ほど細かく曲がったりもしないからですかね。
こちらは案内輪です。
軌道側面の壁に沿って走るタイヤで、車両の進む向きを決めるものです。
新交通システムも鉄道の仲間ですからハンドル操作はいりません。
連結器です。
検査時など以外は切り離したりはしないので永久連結器になっていますね。
隣には作業用車両が展示されていましたが、これは前回のイベント時にはなかった新型らしいです。
MJKというのは「松山重車輌工業株式会社」の略だそうで、鉄道用の作業車両などを手掛けるメーカーらしいです。
恐らく”MJusharyokogyo Kabushikigaisha”の略なんでしょうが、英訳せずにそのままローマ字表記の略称を採用するのは昭和の香りがしますw
タイヤのトレッドパターンは営業用車両のものとは異なっていました。
ゴムタイヤを活かして軌道外へも乗り入れる想定なんでしょうか。
クレーンが付いているということでアウトリガーが付いていますね。
動力はディーゼルらしく、燃料タンクが付いていました。
そりゃあ保線作業をするときは架線の通電を切っているでしょうし、ディーゼルじゃないとまずいですよね。
走行用バッテリーも付いているようで、エンジンを止めてもある程度は走れるんでしょうね。
空気供給弁とコンセントも付いていました。
工具とかを動かす用だと思いますが、コンセントは家庭にもある屋外用のやつですねw
展示されていた1050系にはタラップがかけられていて、どうやら車内に入れるようです。
この木目調の車内は新交通システムなのにちょっとレトロな感じがしますw
1050系をメインに工場内を撮ったらこれ以上先には行けないようなので引き返します。
随分丁寧に梱包されていますが、これは販売された部品なのでしょうか?
埼玉県と書かれたパラボラアンテナがありましたが、県の設備なのでしょうか?
埼玉新都市交通の筆頭株主はJR東日本と埼玉県ですから敷地を提供しているのかもしれませんね。
続いては外の留置線の方にも車両展示があるので行ってみます。
外にいたにも工場内同様に1050系でした。
前参加したときは2000系の増備が完了して全編成を一気に展示するという触れ込みでしたが、今回は古参である1050系にフォーカスを当てているようですね。
方向幕も特別仕様ですね。
どうせなら、大宮駅発で会場行き臨時直行電車をツアー扱いでもいいからやったら受けそうですけどね。
幕は「団体」でした。
前回は全部丸山行きの幕でしたが、今回はサービス精神旺盛ですねw
「車両洗浄線体験号」とも出ていましたが、実はこれ、乗客を乗せたまま車両洗浄線、すなわち洗車機を通過するという体験をできる催しだったのです。
今回は実演系は一切なかった代わり、こちらが目玉と言えますね。
ただし、参加には事前に配布される整理券が必要で、私が到着した時には配布終了していて参加は叶いませんでしたw
ただ、停まっている位置と撮影スポットが近すぎて並べるには向きませんねw
顔出しパネルが用意されていました。
結構よく出来ていますね。
埼玉新都市交通の杭がありました。
顔出しパネルよりこういうものの方がマニアにはありがたいですw
と、これくらいでひと通り見たと思いますので会場を後にしようと思います。
実演系が一切なく、前回は公開していた司令室も公開しないなど規模を縮小した感はありますが、このご時世でも出来る範囲でやってくれたと思うとありがたいですよね。
車両洗浄線体験
最後におまけ的に車両洗浄線体験について書きたいと思います。
といっても、親切な人が整理券を譲ってくれたとかではなくて、乗れないならせめて外から撮ろうという作戦です。
最初は会場内で取れる場所を探しましたがアングルがいまいち・・・
というわけで、一旦会場を出て車両基地を横切る陸橋へ行ってみました。
同じ考えなのか陸橋の上にはカメラを構えた方や子連れの方も多くいました。
奥に見える高架は上越新幹線とニューシャトルの本線です。
ここからだと車両基地内がよく見えますね。
右手に見えるのは東北新幹線の高架であり、ちょうど東北・上越新幹線の分岐点になっているため、車両基地は東北新幹線と上越新幹線の高架に挟まるように立地しています。
ど真ん中に鉄塔が立っていてちょっと邪魔ですが、留置車両たちもズームすれば見られます。
最大限ズームしたらこんな感じ
まあ、普通に敷地内で撮ったほうがキレイですねw
↑ちょうど東北新幹線が通りがかりました。
まあ、高架を見上げる形になるので車体の上半分しか見えませんけどw
予定の時間を少し過ぎてようやく「洗浄線体験号」がやってきました。
↑動画でどうぞ
陸橋の反対側には洗車機もあって、その通過の瞬間もばっちり撮れました!
↑半ループ上になっている回送線を登って丸山駅まで行くようです。
この回送線を乗車できるというだけでも価値ありますよね。
来年もこの催しがあったら今度こそ参加しようっとw
↑丸山駅から折り返して再び回送線に入っていきます。
↑続いてニューシャトルの営業列車が通過していきます。
やっぱり回送とはスピードが全然違いますね。
↑回送線を降りていって再び洗車機を通過します。
これにて洗浄線体験号の撮影も済んだので今度こそ撤収です。
大規模事業者のイベントと比較すると小規模ではありますが、手軽に楽しめるイベントとしてちょうどいいですね。
そんなに時間はかかりませんので、鉄博とセットで楽しむのもいいかも?
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