今回は関東自動車と近鉄バスが共同運行する高速夜行バス「とちの木号」に乗ってきましたのでそのレポートです。
また、今回はタイトルにもある通り、「エアロキング」という2階建てバスに乗るのですが、このエアロキングは2024年6月30日をもって「とちの木号」での運行を終了したため、それのさよなら乗車という意味合いもありました。
このあとはそのまま遠征となるのですが、高速バスの乗車レポートはそれ単独での需要も多いでしょうから、遠征本体とは別記事としてレポートしていきます。
「とちの木号」とは
まずはこの記事の主題となる「とちの木号」について解説してから本編に入っていこうと思います。
「とちの木号」は栃木県・埼玉県と京都府・大阪府を結ぶ高速夜行バスで、関東自動車と近鉄バスが共同運行しています。
関東と関西を結ぶ高速バスは数多くありますが、本路線は栃木県内をメインターゲットとしており、東京都内をスルーするという面白い路線です。
歴史としては1995年から運行されており、高速バスとしては古参とまではいえないまでも、中堅くらいにはあたる路線だと思います。
また、関東自動車にとっては初めて運行開始した夜行高速バスでもあるそうです。
停車する停留所は関東側では柳田車庫・JR宇都宮駅西口・鹿沼IC入口・栃木駅・久喜駅西口となっており、関西側では京都駅八条口・梅田(東梅田駅)・大阪シティエアターミナル(OCAT)・ユニバーサルスタジオジャパンとなっています。
また、2002年~2006年の間は真岡を発着する系統もあったようです。
あの伝説的なバラエティ番組「水曜どうでしょう」のサイコロの旅にも登場したことがある本路線ですが、今回乗車を決めたのは、今では貴重な存在となりつつある「エアロキング」が使用されることであり、このエアロキングは2024年6月30日をもって「とちの木号」からは引退となっています。
そのさよなら乗車という意味合いもあって、今回は東京から乗るには不便な「とちの木号」を選んだのもありますが、ここで「エアロキング」についても解説しておきましょう。
「エアロキング」は三菱ふそうが製造していたバスの車種で、2階建てバスであることが最大の特徴です。。
初代モデルは1984年から製造されているらしく、2階席の眺望の良さをいかして観光バスとして採用されたり、乗車定員が多いことを活かした高速バスとしての導入も目立ち、特にJRバスでは大量に導入されており、この2階建てバスがJRバスの代名詞的存在だった時期もありました。
数度のモデルチェンジを経て最終モデルが2008年に登場しますが、2010年をもってエアロキングの製造・販売を終了することが発表され、他社メーカーによるものも含めて、日本で新車購入できる唯一の2階建てバスであったこともあり、今後新規に導入することはできなくなり、現在走っているものが引退したら終わりという状況でした。
2016年にバンホールというベルギーのメーカーが「アストロメガ」という2階建てバスを日本向けに投入し、2階建てバスを求めるバス事業者に導入されたことで、日本での2階建てバスの系譜はなんとか維持されることとなりましたが、国産メーカーとしての2階建ては消滅しており、「エアロキング」がその最後というわけですね。
ちなみに、私個人としては過去に2回エアロキングに乗ったことがあり、1回目はJRバスの夜行バス「ドリーム号」、2回目は日本最長距離のキングオブ夜行バスとして知られている「はかた号」での乗車でした。
今回は東京から一番近い乗車場所である久喜駅から乗車し、このあとの遠征の都合もあり難波にある大阪シティエアターミナルで降車していきます。
乗車レポート
それでは本編スタートということで乗車レポートです。
まずは久喜駅へ向かいますが、出発は23時02分ということで、久喜までは家路を急ぐサラリーマンに混じっての移動となりました。
新宿や東京駅などを発着する路線に乗る場合は、帰宅ラッシュの方向とは逆向きの移動となって、ガラガラの電車で移動できるメリットがあるんですが、今回は逆に郊外へ向けて移動する形になるため、普通に混んでいて座れませんでしたw
まあ、そもそも東京から「とちの木号」を利用する人はあまりいないと思いますがw
というわけで久喜駅にやってきました。
東武伊勢崎線との乗り換え駅であり、乗り換えのために利用した人は結構多い駅だと思いますが、ちゃんと駅前に出たことがある人って案外少ないのでは?
駅前には立派なバスロータリーが整備されており、路線バスやタクシーなどで賑わっていました。
バス停がこちらです。
ちなみに、久喜駅に乗り入れる路線バスは朝日バスが主力で、大和観光自動車も数路線を乗り入れているという状態でして、その他にコミュニティバスがあります。
関東自動車については「とちの木号」が唯一久喜駅に乗り入れる路線なので、関東自動車のバス停はここ1箇所ということになります。
一見すると普通の路線バスのバス停みたいな見た目ですが、京都・大阪なんて行先が出ているギャップが面白いですね。
「とちの木号」を待つ間に撮りバスして待ちます。
こちらは大和観光自動車というバスで、メインは観光バスのようですが、久喜市内に数路線のバス路線を持っており、多くは工業団地へ向かう通勤路線ですが、アリオ鷲宮への路線もあり、こちらは一般客の利用もありそうですね。
あとは「とちの木号」がやってくるのを待ちます。
不測の事態に備えて30分以上前に到着したのですが、かえって暇になってしまいましたw
回りには他にもカメラを携えてウロウロしている人もいたので、エアロキングを撮りに来たんでしょうね。
この日はラストランではないですが、運行終了まであと数日というタイミングだったので、ファンの注目度も高くなっていたのでしょう。
また、「とちの木号」に使用する車両は複数あり、エアロキングはそのうちの1台である上、更に関東自動車が担当する日と近鉄バスが担当する日があり、エアロキングが走るのは関東自動車担当の日だけなので、意外と運行日数は少なかったのもあります。
そして、発車時刻になりますが、なんとバスが来ない・・・w
え?もしかして運休とかじゃないよね?と不安になりつつ待ちますが、事前予約の路線ですし、運休ならメールなりで通知があるだろうに、それもないので単に遅れているだけだと判断して待つことにします。
時間帯的に渋滞するような時間帯でもなさそうですが、夜は夜で道路工事による渋滞とかもありますしね。
↑そして、10分くらい遅れてエアロキングが姿を表しました!
暗い中でも巨大な車体は存在感ありますね。
写真でも撮ったら乗り込みます。
夜行バスということで予約時の氏名を伝えてから乗車という流れになりますが、私の他に数名乗る人がおり、久喜駅からの乗車もそれなりにいるようです。
久喜市内に住んでいる方はもちろんのこと、東武線に乗り換えて館林・桐生・太田など群馬県内の両毛地域からのアクセスもいいので、その辺のエリアからの利用もありそうですね。
あと、乗車時に記念品としてエアロキングのイラストが描かれたアクリルスタンドをくれました。
引退直前のキャンペーンとして乗車した人全員にプレゼントしているそうですが、普通に売り物にできるレベルのクオリティで驚きました。
こちらは帰宅後に自宅で撮影したものですが、これが無料でもらえるとは関東自動車は大盤振る舞いですね。
バスイベントなどで500円か1000円くらいで売られていても違和感ないと思います。
他の乗客は私のようにエアロキングだから乗りに来たという利用者もいましたが、多くはエアロキングとか関係なしに利用している一般利用者が多いようで、記念品をもらって、この2階建てバスがもうすぐ引退であることを説明されても「へぇ、そうなんですね」という感じの反応の人が多かったと思います。
こちらが座席です。
「とちの木号」は3列シートとなっており、かなりゆったりした座席です。
JRバスで使用されていたエアロキングは4列シートで定員52名だったようですが、「とちの木号」のエアロキングの定員は36名とのことで、それだけゆったりした車内ということができます。
このカーテンで仕切られた空間が階段でして、2階建てバスならではの設備ですね。
階段がこちらです。
バリアフリーという時代の流れには逆行しているような存在でもありますが、乗り物の中で階段を登り降りするのはなんかテンションが上がりますw
なお、どうしても階段が嫌だという人は1階席を予約すれば階段を使わずに乗り降りできます。
エアコン吹出し口と手元灯ですが、今となってはちょっとレトロな感じがします。
ドリンクホルダー付きの小型テーブルです。
こういう配置は珍しい気もしますが、これが意外と便利で、リクライニングを倒した状態だと、前席の後ろにドリンクホルダーがあると一々体を起こさないと飲み物をとれないのが、この配置だと座席にもたれた状態でも飲み物をとりやすいですし、空いた部分にスマホを置いたり出来るのもグッドです。
あと、コンセントもありますが、中の金具が緩くなっているのかちょいちょい抜けてしまったのが残念でした。
夜行バスのコンセントって一般家庭のコンセントに比べると抜き差しされる機会が多い分、劣化が早いんですかね。
といったところでそろそろ発車です。
ところで、これだけ車内を撮りまくれたのは、意外と車内が空いていたからです。
平日でしたから夜行バスの利用者は少ない時期というのもあったでしょうが、引退間際でもこんな感じなんですね。
鉄道で廃止間際ならありえない雰囲気でした。
バスファンは鉄道ファンほど多くはないでしょうし、夜行バスということでさよなら乗車のためだけに乗るのはハードルが高いのもあったんでしょうね。
私もエアロキング引退の報を聞いて乗りに行くか悩みましたが、関西方面への遠征の構想があったことから、これの往路の足として使うことで乗車を決めた経緯がありましたから、この遠征が無かったら「とちの木号」に乗ることも無かったかもしれません。
久喜駅を発車するとあとは乗車できる場所はなく、関西まで一直線ですが、途中で1回だけ開放休憩があるとのことです。
場所は菖蒲パーキングエリアだそうですが、菖蒲も今は久喜市内なので、久喜から乗車した私からしたら、乗ったと思ったらすぐ休憩という変な感じになりましたw
ところで、菖蒲パーキングエリアは圏央道にあるんですが、このあとはこのまま圏央道で厚木まで行って東名に入るんですね。
調べてみると東北道を南下して首都高速を経て東名に入るルートと距離はほぼ変わらないようですが、圏央道の方が線形がよくスピードを出せるでしょうし、深夜なら渋滞もほとんどないだろうということで、圏央道を便利に使っているんでしょうね。
圏央道が久喜~厚木間でつながるまでは首都高速を回っていたと思いますが、「とちの木号」は圏央道の恩恵を受けた路線の1つでしょうね。
パーキングエリアではもちろん撮影です。
他にも撮影している方が数名いまして、やっぱりさよなら乗車の人もそこそこいるようです。
ロゴマークです。
描かれているのは愛称名の由来でもある「トチノキ」だと思います。
ちなみに、「トチノキ」は栃木県の県木でもあるそうです。
そして後ろから
「とちの木号」専用車両ということで車体にも愛称名や運行区間が描かれていますね。
あと、お隣には馬運車がいました。
競走馬を運ぶ車両ですがやはり珍しいのか写真を撮っている人が他にもいました。
それから、これはいろんな夜行バスに乗ってきた私でも初めてだったのですが、休憩で外へ出るときに運転士さんからこんなカードを貰いました。
戻ってきたときに運転士さんに返すみたいですが、このカードで降りた人数を確認し、発車前の人数確認を効率化しているんですかね。
2階建てバスだと車内を隅々まで回るのも大変でしょうし、そのための工夫なんでしょうか?
それでは発車となります。
このあとは休憩はなく、サービスエリアなどに停車する場合はあるものの運転士交代や車両点検のみで、乗客は外へは出られないとのことです。
3列のゆったりした座席ということもあって、気付いたら寝てしまっていたのですが、最後のエアロキングの旅だと思えば、もう少し起きておいて乗り心地などを味わっておけばよかったという気も・・・
でも、このあとそのまま別の活動をするわけですから、しっかり寝ておく方が良かったでしょうし、すんなり寝れたのはよかったんですかね。
そして、目を覚ました私ですが、その時には京都駅に近づいていました。
あっという間に関西まで移動していたわけですね。
京都駅での客扱いを終えると再び消灯し今度は梅田へ向かいます。
梅田地区には大阪駅バスターミナルや阪急三番街高速バスターミナルなどのターミナルがありますが、前者はJRバス、後者は阪急バスが保有するバスターミナルであり、どちらも運行に参画していない「とちの木号」は乗り入れられず、周辺の路上での降車ということになるようです。
場所は東梅田駅付近とのことですが、大阪駅や阪神・阪急の大阪梅田駅などへ行きたい場合はやや不便な場所ですね。
その代わり谷町線に乗りたいなら直結になるので、その場合には大阪駅バスターミナルや阪急三番街高速バスターミナルより便利まであるでしょう。
あとは御堂筋を進んで大阪シティエアターミナルを目指しますが、カーテンの隙間から覗くと外は雨模様のようです。
これから始まる遠征のことを考えると憂鬱な空模様ですが、まあ天気ばかりは仕方ないですね。
そして、私が降りる大阪シティエアターミナルに到着です。
若干遅れての到着でしたが、深夜帯に走行してきた新東名や名神などで速度規制や工事渋滞などがあったんでしょうか。
全面ガラス張りのターミナルであり、撮影しにくいのが残念です。
結局、まともなアングルで撮れたのは菖蒲パーキングエリアでの写真だけになってしまいました。
といったところでレポートは以上です。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
このあと始まる遠征については別記事として追ってレポートしたいと思います。
あわせて読みたい関連記事
- 北海道乗り鉄旅2019(4日目/モノコックバス&深名線)
- 東上線100周年特別列車に乗車!
- 池袋駅西口 路線バス迂回運行
- 【東京→名古屋2300円~】杉崎高速バス乗車レポート
- 特急ラピート ネオ・ジオンバージョンに乗車