今回は矢島タクシーが2025年3月末まで運行していた「Ota-Cityシャトル500」に乗車してきました。
なお、時系列としては「イーグルバス日高飯能線」の続きとなります。
「Ota-Cityシャトル500」とは
まずはこの記事の主題となる「Ota-Cityシャトル500」について解説してから本編に入っていくとしましょう。
「Ota-Cityシャトル500」は熊谷駅南口と太田駅南口を結ぶ路線バスであり、全日共通で14往復が運行されていました。
特徴的なのは大幅に停車停留所を絞っている点であり、熊谷駅南口を出るとBUSターミナルおおた、城山病院前、群馬銀行太田支店前、南一番街、太田駅南口となっています。
路線名についている「500」という数字は運行開始当時の運賃であり、熊谷駅南口~BUSターミナルおおた間をノンストップで結び、500円均一の運賃と謳っていました。
後に運賃が値上げされ、現在は600円ですが、路線名は変更されていないようです。
また、その後に太田駅南口まで延伸され、延伸区間であるBUSターミナルおおた~太田駅南口間のみを利用する場合は160円となっています。
更に面白いのは熊谷駅~太田駅間には朝日バスによる路線も運行されており、ダブルトラックの状態にあるのです。
朝日バスについては途中にもこまめにバス停がある一般的な路線バスであり、熊谷市と太田市を結ぶだけでなく、熊谷市の妻沼地区(旧妻沼町)の需要も拾っています。
ちなみに、所要時間では「Ota-Cityシャトル500」が48分、朝日バスが50分と、停車する停留所の数が圧倒的に違うにも関わらず2分しか差がありません。
停留所の数が多いと言っても利用者がいなければ通過するので、それほど所要時間には影響しないということなんでしょうか。
そんな「Ota-Cityシャトル500」ですが、2025年3月末をもって運行を終了することになりました。
公式には「休止」としているので、将来的な復活の可能性に含みを残しているとも言えますが、利用状況が悪く採算が取れていなかったようなので、よほど公共交通が復権するような社会情勢の変化がないと厳しそうですね。
今回は熊谷駅から太田駅まで1往復乗車します。
乗車レポート
それでは乗車レポートです。
まずは熊谷駅南口にやってきました。
こちらは秩父鉄道熊谷ビルというビルです。
乗り場はこちらです。
南口発着の路線はそもそも少ない上、国際十王交通の森林公園駅方面の路線以外はコミュニティバスや高速バスなどとなっており、「Ota-Cityシャトル500」の乗り場は周辺の学校のスクールバスに混じって発着する感じです。
一部の時間帯以外は1時間に1本程度確保されており、最終も22時台まであるなど、利便性は悪くないですね。
なお、朝日バスの太田駅行きについては毎時2~3本程度あり、更に本数が多いです。
なので、需要自体はあるんでしょうけど、「Ota-Cityシャトル500」の場合、停車停留所を絞りすぎて需要が限られてしまったというのもあるでしょう。
かといって途中にもたくさん停車するようになると朝日バスと全面的に競合することになりますし、それだったら「Ota-Cityシャトル500」のアイデンティティがなくなる気もします。
運行終了のお知らせも出ていました。
ここでも「休止」という言葉が使われていますね。
バス業界では休止から復活の例は無くもないですが、「Ota-Cityシャトル500」の場合は並行して朝日バスがあるので、復活するメリットも薄いでしょう。
しばらくしてバスがやってきました。
塗装がシンプルな単色ということで、最初は何かの送迎バスかスクールバスかと思いましたが、路線バスという札を掲げていますし、これが「Ota-Cityシャトル500」のようです。
運行する矢島タクシーは社名の通りタクシー会社であり、それがバス事業にも手を広げているという感じなので、独自のバスの塗装は持っていないんでしょうね。
ただし、バス事業の規模はそれほど小さいわけではなくて、太田市、邑楽町、千代田町などのコミュニティバスの運行を受諾していたりもして、太田市周辺に5路線ほど展開しています。
幕が出たところで乗車です。
路線名が長過ぎるためか「シャトル500」という部分だけ表示され、ぎゅうぎゅうに行先を表示していますね。
側面の幕も撮ったら乗り込みます。
そういえば、意外なことにSuicaが使えました。
現金だけだと思ってわざわざ小銭を用意していたんですがw
あと、2列席が多い配置になっており、一般の路線バスよりも乗車時間が長くなることを想定してのことなんですかね。
発車の5分前では乗客は私だけでしたが、発車時刻が近づくにつれて何人か乗り込んできて、最終的には5~6名程度になって発車時刻となりました。
ちなみに、朝日バスの太田駅南口行きは熊谷駅では北口からの発車となっており、利用者は駅を出る時点でどちらを利用するのか決めている人がほとんどということになります。
そう考えると「Ota-Cityシャトル500」を決め打ちで利用している人もいるということですね。
↑前面展望をどうぞ
それでは発車です。
熊谷駅を出ると次は”BUSターミナルおおた”までノンストップとなるため、便にもよりますが35分~40分ほど走りっぱなしになります。
高速バスならあり得ることですが、路線バスでこれだけの時間ノンストップという設定はなかなかないと思います。
国道17号に入りました。
主要国道だけあって堂々たる4車線道路です。
右側車線を走る場面もありました。
路線バスだと路駐を避けるか右折する場合くらいしか走る機会がない右側車線ですが、「Ota-Cityシャトル500」は結構普通に使っていました。
国道407号妻沼バイパスを進みます。
ここも4車線のよく整備されたバイパス道路です。
利根川を渡る刀水橋に差し掛かります。
対向の「Ota-Cityシャトル500」ともすれ違いました。
西矢島交差点で一度バイパスを外れてラフィエット通りに曲がっていきます。
周辺は小さなターミナルがあるだけでほとんどが駐車場でした。
このバスターミナルはコミュニティバスや空港連絡バス、夜行バスなどが乗り入れているものの、朝日バスが乗り入れておらず、市内交通としての交通結節点は太田駅の方なんでしょうね。
駐車場が広いので、パーク・アンド・ライド的な利用が多いんでしょうね。
そんな”BUSターミナルおおた”では時間調整のため数分間停車した後、太田駅南口へ向けて出発です。
ここで降りる人が多く、太田駅まで行く人の方が少数派のようです。
右折した先はよくある2車線道路でした。
このあたりで「城山病院前」を通過します。
しかし、2車線道路は急にすれ違いに気を使うような狭隘区間もありました。
狭い区間は数百メートルだけで終わり、再び広い道路に出ました。
この区間だけ用地買収がうまくいっていないとかで道路拡張が遅れているんでしょうね。
ここから先は普通の区間であり、この間に「群馬銀行太田支店前」「南一番街」を通過します。
太田駅が見えてきました。
そして、定刻通り終点の太田駅南口に到着です。
イオンモールのラッピングがされたこちらも矢島タクシーです。
大田駅とイオンモール太田を結ぶ路線も手掛けており、ラッピング車が専用車のようになっているみたいですね。
SUBARUのラッピングバスが来ましたが、そのバスはBYD製というw
過去に訪れたことのある駅ですが、駅も少しだけ見ておきましょう。
もはや一瞥というのが正しいほどの短時間のことでしたけどねw
こちらの1番乗り場は矢島タクシーが運行する路線が集まっているようです。
こちらはイオンモール太田行きです。
途中バス停もあるようで、イオンモール専用の路線というわけではないですが、時刻表の色からして、イオンモール専用のバスみたいな雰囲気です。
もちろん「Ota-Cityシャトル500」の運行休止を知らせる貼り紙もありました。
まだ時間があるので2番乗り場にも来てみました。
こちらは朝日バスの熊谷行きが発着する場所です。
それでは折返しです。
乗車前の撮影もしたのですが、降りるときの撮影で、既に熊谷行きの幕を出していたのでそれとダブってしまうのでここには貼りませんw
復路もマニア席は空いていたんですが、バッテリー残量が厳しくなってきたのと、時間帯的に熊谷へ付く頃には薄暗くなるだろうということで前面展望は撮りませんでした。
利用者数については往路よりは少ないですが、それでも3~4名はいました。
ドル箱というわけではないものの、利用者を取り込めてはいるという感じでしょうか。
途中で見たこの「いっちょう」ですが、群馬県を中心に展開するローカルチェーンです。
「秘密のケンミンSHOW」にて取り上げられたこともありますね。
あとはバイパスを一直線で熊谷駅へ向かいます。
熊谷駅へ到着!
やっぱりすぐに反対側の行先に変わるようですね。
そうそう、車体の社名を撮っていませんでした。
バスなのにタクシーというギャップが面白いですね。
しばらくすると回送幕に変わりました。
客扱い開始までは回送にしておくんでしょうか。
https://youtu.be/WZ3UE-wAo0Y
↑最後に発車を取ったら撤収です。
これにて「Ota-Cityシャトル500」のさよなら乗車は終わりです。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
こうして3月末で運行を終了するバス関連は終わりです。
他にも同じく3月末で運行を終了する路線バスはいくつもあったんですが、鉄道と違って数が膨大なので乗れずじまいで終わった路線も多いです。
しかも、バスの廃止って事前に報道が出るケースでなければ廃止の1~2ヶ月前とかに判明することも多いので、遠方だったりすると遠征の計画を立てるのも厳しかったりするんですよね。
次回もまたバスネタになりそうですが、公開までしばらくお待ち下さい。
それでは!