今回は2025年5月をもって運行を終了する京浜急行バスの船6系統のさよなら乗車です。
時系列としては鶴見線に乗った続きとなります。
船6系統とは
まずはこの記事の主題となる船6系統についての解説です。
船6系統は京浜急行バスが運行する路線バスであり、大船駅と江ノ島を結ぶ路線です。
観光地として著名な江ノ島とターミナル駅といえる大船駅を結ぶならばさぞ需要の旺盛な路線かと思えばそんなことはなく、土日祝のみ1日2往復が運行されるのみでした。
これは大船と江ノ島の間は湘南モノレールと完全に並行しており、本数・所要時間ともにモノレールが優位な状況だったのです。
しかし、歴史的に見ると船6系統が通行する道路のうち、鎌倉市道大船西鎌倉線と藤沢市道片瀬西鎌倉線は、かつて「京浜急行線」という路線として建設された経緯がある道路なのです。
現在、京浜急行線といえば間違いなく京浜急行電鉄が運行する鉄道線のことを指すでしょうが、この場合の京浜急行線は京浜急行電鉄が運営していた有料道路のことなんです。
また、今では観光地を中心に民間企業が運営する有料道路は数多くありますが、この京浜急行線こそがその日本初なんです。
1931年という日本に自動車がそれほど普及していたとはいえない時代にアスファルト舗装の道路として建設され、舗装道路を見慣れていない地元住民が履物を脱いで道路を歩いたという逸話もあるそうです。
そもそもどうして鉄道会社である京急が有料道路を運営するに至ったのかというと、そもそもは大船~片瀬間に鉄道を建設する計画から始まったようです。
また、沿線にあった鎌倉山を別荘地として開発するにあたり交通整備が必要となり、路線バス運行のために必要となる道路を自前で建設することになったのですが、この時に鉄道建設のために買収してあった用地を流用したということのようです。
この道路を運営していた日本自動車道を京急が買収したことで京浜急行線となりました。
しばらくはバス専用道路となっていましたが、戦後になると有料道路としても運営されるようになり、一般車にも開放されるようになりました。
しかし、1980年代に入ると沿線の宅地化や工場の進出が相次ぎ、一般道と交差する箇所も増えてくると、通行料の徴収が困難になり、更に経営悪化や地元からの要望もあり、1989年までに道路を市に無償譲渡し、市道となり現在に至ります。公道となった後も道路建設の目的だった路線バスの運行は京浜急行バスにより続けられてきたわけですが、2025年5月に京浜急行バスの路線再編があり、かつての京浜急行線を通行する路線のうち、江ノ島まで乗り入れる船6系統、及び鎌倉駅発着の姉妹系統といえる鎌6系統の運行を終了することになったのです。
大船駅・鎌倉駅~鎌倉山までの路線は存続するため、かつての京浜急行線を通るバスが全廃されるわけではないですが、この改正により京浜急行バスの江ノ島乗り入れが終了するということで今回乗りに行くことにしたのです。
なお、鎌6系統については時間の都合で乗車は断念しましたが、鎌倉駅で撮影だけしようと思います。
船6系統に乗る!
それでは前書きはこれくらいにしていよいよレポートに入って行きましょう。
まずは大船駅に向かい、船6系統を1往復します。
というわけで大船駅にやってきました。
何気に根岸線の乗り場ですが、この前の活動の関係で鶴見駅から大船にやってきたので根岸線を利用してきたのです。
多少遠回りかもしれませんが、乗換なしは魅力ですしね。
ここに江ノ島も案内されていますね。
この記事を書いている時点では既に運行終了しているわけなので、上下にあるようにテープで隠されていることでしょう。
バスが出る東口交通広場にやってきました。
駅からは少し歩く場所にありますが、ペデストリアンデッキなどで結ばれており、利便性は悪くありません。
↑ここで湘南モノレールの通過です。
船6系統と全面的に競合する存在と言える湘南モノレールですが、この湘南モノレールも一部区間でかつての京浜急行線の上を通っており、一度は頓挫した大船~片瀬間の鉄道敷設は湘南モノレールという形で実現したとも言えます。
実は江ノ電バスによっても江ノ島行きのバスが運行されているのです。
これは共管路線となっているわけではなくて、ルート違いで設定されており、いわばダブルトラックの状態です。
江ノ電バスの方は運行を継続しますし、本数も1時間に1~2本程度あるので、大船経由で江ノ島に行きたい人はこちらも利用できますね。
ところで、あえて湘南モノレールではなくてバスで江ノ島へ行くメリットですが、湘南モノレールだと江ノ島そのものへは上陸できず、湘南江の島駅から徒歩かバスに乗り換える必要があるのが、路線バスならば直通で江ノ島まで上陸できるというのがあります。
京浜急行バスは撤退しますが、江ノ電バスは引き続き江ノ島へのダイレクトアクセスを提供し続けるわけです。
まあ、社名にもなっている江ノ島から撤退する日はさすがに来ないものと信じたいですね。
そして、交通広場の乗り場です。
オープンエアのバスターミナルとなっていますが、乗り場には屋根があるので設備としては必要十分といったところでしょう。
乗り場の先の方です。
上空に湘南モノレールの軌道があるのが特徴的です。
ちょうど湘南モノレールがやってきました。
単線ながらなかなかの高頻度運行なので、バスを待つ間に何度も見かけることになりました。
暇つぶしに撮りバスです。
こちらは江ノ電バスですが、京浜急行バスよりもこちらが主力ですね。
なお、交通広場に乗り入れるのは江ノ電バスと京浜急行バスの2社ですが、他の乗り場からだと神奈川中央交通も乗り入れており、駅全体で見ると神奈川中央交通の路線が最も多いようです。
京浜急行バスについていた鳩サブレーの広告です。
鎌倉といえばこれですよねw
本題に戻って乗り場案内です。
この4番乗り場から出発ですが、江ノ島行きである船6系統は一番上に書かれており、本線格の扱いなんでしょうね。
それが廃止とは寂しいものです・・・
時刻表です。
毎時1本程度確保されているように見えますが、大半は鎌倉山止まりの船5系統であり、江ノ島まで行く船6系統は土休日のみ1日2本しかありません。
でも、江ノ島行きが無印で表現されているあたりも元々は本線格だったのでしょう。
そのうち、駅から離れた地区を結ぶことで棲み分けができる鎌倉山までの運行が中心となり、江ノ島方面は徐々に本数を減らしていったのでしょう。
まだ発車時刻までは少しありますが、早めに着停し、幕も出してくれていました。
京浜急行バスでの江ノ島行きはもう見納めですし、貴重な記録ができました。
それでは乗り込みますが、1つ残念なことが・・・
まあ、ある程度バスに詳しい方ならば写真で既にネタバレになっていますが、このタイプってマニア席がないんですよね・・・
よって、前面展望はなしということに・・・w
車内にほとんど乗客がいなかったのと、運転士さんが休憩なのかどこかへ行っていて不在だったので車内の案内も撮らせてもらいました。
そして、発車時刻です。
車内はバスマニアが数名いる他は地元の方が中心であり、鎌倉山までは普通に地元の生活路線として利用されているようでした。
↑前面展望は無理でしたが、せめて側面の車窓をどうぞ
車窓の特徴はやっぱり湘南モノレールとの並行ですが、その他にも市街地でありながら歩道がないというのも、元々はバス専用道路、そして有料道路として建設されたことを感じさせる構造です。
なので、路肩を歩く歩行者がいると徐行を余儀なくされる場面もあり、バスの運行環境としても決してよいとは言いかねる環境ですね。
次第にアップダウンが激しくなり、鎌倉山を通過する頃には車内はバスマニアばかりになっていましたが、それが一変したのは山を越えて開けた土地に出てくる龍口寺バス停でして、ここで大勢の観光客が乗り込んできて車内は一気に混み合ってきました。
実はこの龍口寺バス停は江ノ電の江ノ島駅や湘南モノレールの湘南江の島駅の最寄りバス停となっており、鉄道で江ノ島を目指す利用者が江ノ島へのラストワンマイル輸送を路線バスに頼っている実態があるのです。
歩けない距離ではないですが、江の島大橋を渡るのも意外と疲れますしね。
一気に賑やかになった車内でバスは少しだけ国道134号に入ってから江の島大橋へ向かいますが、ここで渋滞にハマりノロノロ運転となりました。
著名観光地の江ノ島ですし、しかも土日となればやむを得ないとも言えますが、江ノ島での折り返しは10分しかないので、この調子では折返しの発車時刻までに江ノ島にたどり着くかも微妙な感じに・・・
結局、終点の江ノ島に到着したのは折り返し時刻を数分過ぎたくらいでして、降りたら即折り返しということになりそうです。
というわけで遅延しつつも終点の江ノ島に到着!
すぐに折り返しですが乗車場所は別の場所にあるようなのですぐに移動開始です。
最悪乗り遅れても徒歩で片瀬江ノ島駅や江ノ島駅、湘南江の島駅などに出れば帰れるわけですが、せっかくならば往復乗りたいのでここはちょっと焦りましたw
このようなロータリーが江ノ島バス停です。
江の島大橋を渡ってすぐの場所にあり、事実上の江ノ島のバスターミナルとなっています。
こちらが江ノ島のバス停です。
2路線とも廃止なのでこのバス停の看板も撤去されるんでしょうね。
バスが乗り場にやってきましたがこれしか撮る余裕がありませんでしたw
乗車し客扱いが終わったらすぐに発車という感じだったので、動画をセットする余裕もなく、復路は側面の車窓も含めて動画はなしですw
この交差点を左折後、すぐに右折するとかつての京浜急行線の流れを汲む市道が始まります。
路線バスを除くバスとトラックは通行禁止となっていますが、船6系統、鎌6系統の廃止でここを透る路線バスは無くなる見込みです。
あとは鎌倉山まで旧京浜急行線を走りますが、やっぱり前面展望でないと映える写真はなかなか撮れず、撮影はこれだけになりました。
1日2往復しかないですし、平日は運行されないなど乗車機会の少なさゆえにマニア席がないタイプだから次の便を待つという選択ができないのが辛いところです。
終点の大船に到着です。
これにて船6系統の乗車は終わりですが、鎌6系統を撮影に鎌倉駅へ移動します。
横須賀線に乗れば2駅なのですぐですね。
鎌6系統を撮る!
ここからは鎌6系統の撮影です。
本当はこちらも乗りたかったのですが、このあと別件で用事があり、泣く泣く乗車は断念して撮影のみとしました。
ちょっと見づらいですがバス停の案内です。
江ノ島行きの鎌6系統は運行終了し、鎌2系統と鎌51系統は江ノ電バスに移管され、京浜急行バスとしては撤退するようです。
時刻表です。
あまり本数はないですが、それでも鎌倉山までは毎時1本程度確保されているのは船5系統などと同様ですね。
路線図もありました。
鎌倉地区は鎌6系統意外にも変化があるので、より貴重な記録ですね。
もちろん路線廃止、及び移管についてのお知らせが掲示されていました。
ガラス面にも案内がありましたが、やはり江ノ島行きがメインで案内されているあたり、本線格扱いなんですかね。
あとはバスを待つのですが、今回は乗車するわけではないのでバス停に張り付いて待つ必要もないので・・・
駅から少し歩いたところにある「置石」にあるソフトクリームです。
粉状に振りかけられているものは”あの鎌倉銘菓”を砕いたものでして、隠れた鎌倉名物ですね。
バス停へ戻ってくると既に鎌6系統が着停していました。
それにしても、乗車できない時に限ってマニア席があるタイプのバスとは・・・
しかも、こういう時に限って空いているものだから予定をキャンセルして飛び乗りたい衝動にかられつつもぐっと堪えて発車を見送ることにします。
↑そして発車です。
といったところで活動終了です。
前面展望が撮れなかったのが残念でしたが、最後に京浜急行線を走り江ノ島へ行くバス路線を体験できてよかったです。
それでは!
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