今回は西鉄バス久留米が運行する高速バス「福岡空港-久留米線」に乗車しましたのでそのレポートです。
これは福岡の実家への帰省中の活動であり、別のとある活動の一環として乗車したのですが、高速バスだけで結構なボリュームになったので独立記事として扱うことにしました。
「福岡空港-久留米線」の概要
まずは最初に乗車する高速バスについての解説です。
今回乗車するのは西鉄バス久留米が運行する福岡空港と久留米を結ぶ高速バスとなっており、空港リムジンバス的な性格の強い高速バスとなっています。
基本パターンは福岡市内では福岡空港国内線にのみ停車し福岡都市高速・九州自動車道を経由して久留米インターチェンジまで向かい、西鉄久留米・JR久留米駅を経由して京町営業所がある縄手で終点という経路設定になっています。
また、一部便は福岡空港国際線にも乗り入れており、その場合は久留米行きでは国内線→国際線の順で、空港行きでは国内線→国際線の順での停車となります。
その他の停車停留所としては九州自動車道上にある高速筑紫野・高速基山・高速宮の陣の3箇所に停車し、久留米市内では久留米インター南、千本杉、十三部、文化センター前、西鉄久留米、六ツ門、市役所前、JR久留米駅と停車していきます。
高速バスということでいわゆるクローズドドアシステムも採用されており、国際線経由便では空港内のみの利用はできない他、久留米市内のみの利用もできなくなっていますが、高速道路上の3箇所のバス停については制限なく双方向に利用可能になっています。
ところで、目的地となる久留米市は中核市に指定されており、福岡県では福岡市・北九州市に次ぐ3位の人口を誇る都市なものの、意外と高速バスは少なく、桜島号(福岡~鹿児島)、ごかせ号(福岡~延岡)、フェニックス号(福岡~宮崎)、ひのくに号(福岡~熊本)の4路線が久留米ICのバス停に停車する以外は、市内中心部まで乗り入れるのは福岡空港~久留米線のみとなっています。
ちなみに、以前は北九州と久留米を結ぶ高速バスもありましたが、残念ながら廃止されています。
これは久留米市は福岡市に近い上にJR鹿児島本線・西鉄天神大牟田線・九州新幹線という3つの鉄道で福岡市と結ばれている上、西鉄天神大牟田線と西鉄バス久留米は同じグループの会社なので、身内で客を奪い合うような路線を設定する意義も薄いということで、天神や博多へのバスが設定されておらず、鉄道では直通できず住み分けが可能な空港線のみを設定している感じでしょうか。
なので、久留米市中心部まで行ける唯一の高速バスということで、今回乗車してみることにしたのでした。
乗車レポート
それでは本題となる乗車レポートです。
まずはバスが出る福岡空港へ向かうのですが、普通は飛行機に乗るために利用する場所である空港に、バスに乗るために行くなんて変わった行動ですよねw
ここが乗り場です。
ターミナルの前にバス停があり、飛行機を降りてそのままバスに乗ることが出来ます。
が、私は地下鉄の駅からだったので、地味に遠かったですがw
まあ、地下鉄を降りてバスに乗るなんて普通しませんからねw
福岡空港は福岡県だけでなく隣県の佐賀や大分・熊本も利用エリアに入っており、佐賀・日田・熊本などへ直通の高速バスが設定されています。
それぞれ佐賀空港・大分空港・熊本空港があるのですが、福岡空港は便数も多く路線のバリエーションも多いということで利便性が高いため、隣県から高速バスを使ってでも利用する利用者がいるんでしょうね。
行先別に行列が整理されていて分かりやすいです。
私が乗る久留米行きもこの17番乗り場から出発です。
この路線は予約制ではなく、座席も全席自由席なので一般の路線バスみたいに時間までにバス停に行って早いもの順で好きな席に座るということになります。
運賃も一般の路線バスみたいに乗車時には整理券を取り、降車時に支払うというものになっており、西鉄グループのICカード乗車券の”nimoca”に対応しているので、nimocaやそれと相互利用可能なSUGOCA、はやかけん、Suicaでも乗車可能で、その場合は乗車時と降車時の2回タッチします。
時刻表です。
各路線おおむね1時間あたり1本程度ですが、佐賀・日田・熊本については天神・博多からのバスもあるので、それらも入れるともっと多くの本数が利用可能です。
なので、久留米以外の行先で空港から利用するとして、ちょうどバスが出たばっかりという状況ならば地下鉄で博多や天神へ出たほうが早く目的地へ到着できる可能性もありますね。
そして、時間になりましてバスがやってきました。
この塗装は私にとって馴染みのないものでしたが、新たに制定された西鉄バスグループの塗装のようです。
最初はバス停に待っていたのは私だけだったんですが、多くの方は待合室で待っていたようで発車間際には20名程度は並んでいました。
久留米へは鉄道だと博多や天神での乗り換えが必要ですから、直行で行ける高速バスの需要も少なくないんでしょうね。
↑先頭に並んだおかげでマニア席を確保できたので前面展望をどうぞ
バスの到着は出発間際だったので、乗客の乗車が完了したら速やかに発車していきました。
バスは空港敷地から出てまずは空港通りを走り都市高速を目指します。
羽田空港や成田空港では敷地内からそのまま高速道路に入れたりしますが、福岡空港の場合は近くに出入口こそありますが、一度一般道を走らないといけませんから、その点ではちょっと不便かもしれません。
でも、鉄道では地下鉄で繁華街の天神まで10分とかなので、全体的なアクセスはかなりいい空港ですけどね。
都市高速の下の道路を走ります。
ここは国道3号のバイパスとなっていますから都市高速へ出入りする車両だけでなく、福岡市内を通過する長距離の車両も集まり交通量は多くなっています。
ここまでは信号待ちや渋滞もあって快適な走行とはいきませんでしたが、半道橋出入口よりいよいよ都市高速に入ります。
実は空港最寄りの出入口として「空港通」という出入口があるんですが、こちらは福岡市中心部の天神方面の方向にのみ利用可能なハーフインターチェンジとなっているため、太宰府ICを目指す福岡空港~久留米線は半道橋出入口まで下道走行を余儀なくされます。
また、半道橋出入口は国際線ターミナルの最寄りでもあるため、空港通出入口と並んで福岡空港へのアクセス出入口となっています。
都市高速に入りました。
福岡の都市高速は日中ならあまり渋滞することも少なく、スムーズな走行です。
高架橋区間なので見晴らしもよく、福岡市内の町並みをよく見ることが出来ます。
月隈JCTでは環状線から太宰府線に入っていきます。
この太宰府線は九州自動車道の太宰府ICと直結しており、福岡市内から九州自動車道を利用する場合には大抵の場合都市高速を使うことになります。
また、同じく福岡都市高速の糟屋線では福岡ICと直結しており、福岡市から北へ向かう場合は福岡IC、南へ向かう場合は太宰府ICと使い分けられているようです。
そして、太宰府線の終点となる水城出口ですが、直進すると九州自動車道のインターチェンジに直結しており、都市高速から九州自動車道までシームレスに通行できます。
太宰府ICに辿り着きました。
空港を出てから15分程度で到達できたので、都市高速は偉大ですね。
いよいよ九州自動車道に入りました。
堂々の片側3車線ですが、九州自動車道の太宰府IC~久留米IC間は片側3車線で整備されています。
都市高速はほとんどの区間で60km/h規制でしたが、九州自動車道に入っていよいよ100km/h走行が許されるようになります。
しかし、九州でも屈指の交通量を誇る区間でもあるため交通量が多い上、この路線は高速道路上にもこまめにバス停があるため迂闊に追い越し車線に入ることも出来ず、控えめなスピードでの走りでした。
最初の停車停留所となる「高速筑紫野」に到着です。
副駅名みたいな感じなのか「筑紫野二日市温泉入口」と表示されていますが、実際にバス停の目の前に「大観荘」や「大丸別荘」という温泉旅館があります。
古くから福岡の奥座敷として親しまれ、1949年には昭和天皇が九州巡幸で訪れたことでも知られており、由緒ある温泉地なんですが、その一つの「大丸別荘」が本来週に1回以上実施しなければならない湯の取替を年に2回しかしておらず、基準の3700倍ものレジオネラ属菌が検出されるという不祥事でも有名になってしまいました。
そんな「高速筑紫野」を出ると次は「高速基山」です。
筑紫野を出てすぐに基山PAの案内が出てきました。
ところで、この間に筑紫野ICがあるのですが、「高速筑紫野」とは違う場所にあるので利用の場合は要注意です。
バスは基山PAへのランプウェイに入っていきました。
といっても休憩をするためではなくて、PAの敷地内に高速基山バス停があるためです。
パーキングエリアとバス停が併設されているのはよくありますが、ここの場合は単にパーキングエリアに併設されたバス停というだけでなく、事実上のバスターミナルとして機能しているんです。
こちらがそのバス停です。
細かくて読みづらいと思いますが、「熊本・宮崎・鹿児島方面」と書いてあります。
この高速基山が立地する場所は鳥栖JCTと太宰府ICの間であり、この区間は福岡市と佐世保・長崎・佐賀・熊本・鹿児島・宮崎・日田・大分といった九州各地を結ぶ高速バスのほとんどが走行する区間となっています。
そのため例えば長崎から大分といった区間をバスで移動したい場合、直通の高速バスもあるものの、本数が少ないこともあり、長崎から福岡行きに乗車し基山で下車、基山から大分行きに乗車するといったルートも利用可能であり、直通のバスがない時間帯の移動でも選択肢が増える効果をもたらしています。
こういった場合、下り線と上り線を移動する必要がありますが、乗り換え客のために本線の地下を横断する地下通路が整備されるなど、バスターミナルとしての利用も考慮した設計がされています。
ここで数名程度乗り降りがありました。
ところで、基山PAや高速基山バス停の名前の由来である基山町は佐賀県にありますが、実は基山PA自体は佐賀県三養基郡基山町と福岡県筑紫野市にまたがっていて、下り線側の大半は福岡県、上り線は佐賀県に位置しています。
そのため、PAの敷地内で気づかないうちに佐賀県に入っていたことになりますね。
そこから更に進むと鳥栖JCTに差し掛かります。
鳥栖JCTは九州自動車道と長崎自動車道・大分自動車道が十の字に交差するジャンクションとなっており、九州屈指の規模を誇るジャンクションになっています。
そんな鳥栖は、鉄道においても鹿児島本線と長崎本線の分岐点であり、交通の要衝であるという点は一致していますね。
この本線を横断していく橋は「サガンクロス橋」といい、九州自動車道下りから長崎自動車道へ向かう車のために整備された橋です。
従来から九州自動車道下りと長崎自動車道を結ぶランプウェイはありましたが、クローバー型ジャンクション特有の急カーブが混雑の原因となり、慢性的に渋滞が発生していたことから、緩やかなカーブで長崎自動車道へ直結できる「サガンクロス橋」が整備されたわけです。
ちなみに、名前は「サザンクロス橋」ではなくて「サガンクロス橋」となっています。
恐らくはサザンクロスと佐賀をかけ合わせたネーミングなんでしょうね。
鳥栖JCTを過ぎると車線は2車線になりました。
本来は久留米ICまで3車線のはずですが、道路工事のため車線規制されていたようです。
それもど真ん中の車線を規制するために、まるで2方向へ分岐するように見えてしまいます。
よく知らないと左側車線を走っていたらそのままインターチェンジを降りてしまうのではないかと心配になりそうですw
工事区間が始まるとだいぶ狭く感じられました。
でも、道路の維持に必要な工事でしょうから仕方ないですね。
そして、3箇所目の停車停留所となる「高速宮の陣」に到着です。
久留米市宮ノ陣町に所在するので嘘はついていないんですが、西鉄電車の宮の陣駅とは離れており、鉄道駅ではむしろ西鉄甘木線の五郎丸駅と学校前駅の中間に位置しています。
ところで、さらっと久留米市宮ノ陣町と書きましたが、実はもう福岡県に戻っていて、ここは久留米市です。
鳥栖市と久留米市の境界は何の変哲も無い平坦な場所にあるためいつの間にか入っていたという感じです。
そんな「高速宮の陣」を出ると久留米ICまでは残り2kmです。
特徴的なトラス橋が出てきたら筑後川を渡ります。
言わずとしれた有名な川だと思いますが、既に佐賀県と福岡県の県境は過ぎているので、実は川の両岸とも福岡県なんですよね。
料金所を過ぎて一般道へ出ます。
一般道へ出てすぐ「久留米インター南」に停車します。
久留米ICから久留米市中心部へは国道322号を通りますが、意外にも手狭な2車線道路でした。
道が4車線に広がると千本杉・十三部・文化センター前と停車していきますが、このあたりで数名ずつ降りていく感じでした。
駅から離れた地区にもこまめに停車して需要を取り込んでいるんですね。
前方に西鉄電車の高架橋が見えたらもう西鉄久留米です。
周辺は久留米市中心部となり都会に来たなと実感します。
また、周辺には「東町交差点」がありますが、こちらは国道3号、国道209号、国道322号が交差する地点となっていて、道路においても交通の要衝といえます。
バスは駅前のバスターミナルに乗り入れます。
西鉄久留米駅にも直結し、市内の路線バスも集まるなど、久留米の交通ターミナルとなっています。
ここでほとんどの乗客が降りていき、車内は数名を残すのみとなりました。
バスは国道209号へ進み、六ツ門、市役所前と停車してJR久留米駅を目指していきます。
JR久留米駅が見えてきました。
JR鹿児島本線、久大本線と九州新幹線が乗り入れており、西鉄久留米駅と並んで久留米市の玄関口ですが、市中心部から外れていることもあって利用者数では西鉄久留米駅の方が多く、久留米市民にとっても日常使いは西鉄久留米駅で、遠出する時はJR久留米駅といった感じでしょうか?
JR久留米駅で他の乗客が降りていき、車内は私の貸切状態となって終点の縄手へ向かいます。
ここでは九州新幹線の高架と並走していきます。
私もこのあとはJR久留米駅を利用するので、縄手まで行かずにJR久留米駅で降りた方がよかったんですが、せっかくならば終点まで乗りたいということで縄手まで行くことにしました。
バスはそのまま営業所の敷地に入っていきました。
ここは西鉄バス久留米の京町営業所となっており、そこに縄手バス停が併設されているという形になっています。
素直に営業所名をバス停名にするケースもありますが、ここはそうではないようですね。
よく見ると方向幕を使ってまで運転士募集をしていましたw
今やバス運転士不足が深刻な問題ですし、利用できるものは全て利用しようということなんでしょう。
周辺は県道753号と九州新幹線が交差する地点であり、JR久留米駅からは300~400mくらいの場所です。
バス停も撮っておきましょう。
西鉄バスだけでなく堀川バスも乗り入れています。
ただ、こんな貼り紙も・・・
体調不良っていっていますが恐らくはコロナですよね。
運転士不足でギリギリだった所にコロナでとどめを刺された形でしょうが、バス業界の厳しい状況を物語る掲示でした。
それでは駅へ向けて歩いていきますが、営業所への通り道なのでバスが頻繁に通ります。
駅前にいたのは先程も名前が出た堀川バスです。
堀川バスは八女市を拠点とするバス会社ですが、久留米市・筑後市・みやま市・柳川市などにも路線を持っています。
といったところで、この記事は一旦区切りたいと思います。
このあとはまた別の活動をするのですが、それは別記事で追って執筆しますので、公開までしばらくお待ち下さい。
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