今回は静岡県は大井川鐵道に出掛けましたのでそのレポートです。なお、この活動は富士急ハイランドへ瑞雲を見に行った翌日という時系列になりますが、活動内容としては関連が薄いので1日目・2日目・・・とはせずに別々のタイトルを付けさせて頂きました。前回の記事もご覧になってからの方がこのレポートを理解しやすいと思いますが、とりあえず前回は別の活動をして静岡市内まで来て宿泊したことだけ押さえておいてもらえれば大丈夫です。
本日の行程
昨夜、富士急からバスで新富士へ抜けて新幹線で静岡へやってきて宿泊したわけですが、今日の活動はその静岡からスタートします。
静岡駅からまずは東海道本線で金谷へ向かい、そこから大井川鐵道へ乗車し、千頭からは井川線へと乗り継いで終点の井川まで行き大井川鐵道完乗を目指します。そのまま引き返す形で金谷へ戻り東海道本線で静岡まで戻って帰路に就きますが、単純に東海道新幹線で帰るのもつまらないので、「ふじかわ」で甲府へ抜けて、「かいじ」に乗り継ぎ都内へ戻っていきます。特急を2列車乗り継ぐ上、全区間普通乗車券なので結局新幹線で東京へ帰るのと変わらないくらい費用がかかっていたりしますw
ようするに、大井川鐵道完乗がメインでして、帰るついでに「ふじかわ」「かいじ」の乗り鉄を楽しむというわけですね。
朝の静岡から旅立ち
今回は井川線の始発列車に乗るので当然朝もかなり早い出発かと思ったら実は7時過ぎの今までの旅からすれば比較的ゆっくりな出発になっています。
それは、井川線の千頭駅の始発は9時12分であり、静岡駅の始発列車で出発した所で結局待ちぼうけになってしまうわけですね。
昨晩「さわやか」でハンバーグを頂いたセノバも静岡駅への通路として使わせて頂きます。
地下通路もまだ空いていました。もう少し時間が過ぎれば通勤のサラリーマンが押し寄せて混雑を見せるんでしょうね。
JRの静岡駅に到着しましたが発車標を見て驚愕!?
なんと、サンライズエクスプレスがまだ掲出されていたのです。静岡駅を出るのは写真の通り4時40分なんですが、未だに到着していないようです。夜行列車は長距離を走るために大幅な遅延はつきものではありますが、これだけ遅れるのは驚きました。
と、静岡駅はこのくらいにして金谷駅へ向かいましょう。
ホームも何度か撮っていますし、乗ったのも普通に313系でネタもなかったので記事は金谷まで飛んじゃいますね。
いよいよ大井川鐵道へ
”いよいよ”なんて見出しをつけましたが、実は大井川鐵道に乗るのは2度目だったりします。
以前は「トーマス号」を撮影するために訪問したのですが、撮影がメインであり、また当時井川線が土砂災害で一部区間で運転見合わせとなっていて井川まで行くことができなかったために井川線には乗らずに千頭で引き返していました。
今回は井川線まで含めて完全制覇していよいよ大井川鐵道完乗を果たそうということでやってきました。ちなみに大井川鐵道井川線が静岡県内では最後の未乗区間であったため、今日の活動をもって静岡県内も完全制覇となります。
もはや習性のようなもので乗ってきた列車を撮ったら2度目の訪問ということもあり、駅はスルーして大井川鐵道へ直行します。
前回訪問時よりはトーマスのアフィが大人しくなったかなという印象ですが、それでもやっぱりトーマスは大井川鐵道の看板列車ということでちゃっかり宣伝はされていました。
待っていたのは近鉄からやってきた16000系でした。
前回も乗車したんですが、トーマスに乗って千頭へやってきた親子連れが折り返しに利用する列車だったこともあってまともな録音はできておらず、今回リベンジする機会を得ました。
この形式の特徴である折戸です。
鉄道車両で折戸を採用するのは少数派ですし、それも特急型車両でとなるとかなりレアではないでしょうか。
それでは、この16000系に乗って千頭を目指すとしましょう。
しばらく進むと茶畑の中を進んでいきます。実に静岡らしい光景です。
大井川鐵道というだけあって、大井川と並行する区間も多いです。
↑車窓ですが、地名駅付近にあるトンネルを通過する時のものになります。
前回は地名駅にも下車して、このトンネルを通過する列車の撮影もしたんですが、車窓からの動画を撮っていませんでした。
2度目の乗車なのでサクッと記事は千頭駅へと進みます。
千頭駅
千頭駅に到着したら、あとは井川線に乗り継ぎます。
2度目の訪問ということもあり、駅の方は井川線関係に絞ってレポートします。
編成写真風に撮ったら時間もそれほどないので井川線乗り場へ移動していきます。
トーマスフェアということですが、入場料を取るようですw
大井川鐵道も商魂たくましいw
こちらが井川線の列車です。
まず特徴的なのは車体のサイズで、これは元々ダム建設のための資材運搬用の専用鉄道として建設された経緯があり、軌間こそ大井川本線と同じ狭軌(1067mm)ですが、車両限界はかなり小さく、車両も可愛らしいサイズになっています。
あと、先頭に写っているのは実は客車でして、運転台がついているものの動力は最後尾の機関車のみに搭載されており、井川行きにおいては推進運転の形を取ります。これは重い機関車を勾配の下側に持ってくることで連結器への負担を減らしたり安全上の配慮と言った目的があるようです。
発車標は方向幕タイプでしたが、これは井川線の列車本数が少ないからこそできるんでしょうね。
そうそう、駅名標は大井川本線のものとデザインは共通ですが、大井川本線の駅は乗っておらず、まるで終着駅のような書き方なのは大井川本線の乗り場と同じです。
サボに見えますが、両端の駅を差し替え可能な構造に見えますね。
ドアも小さく、背の高い人は屈んで乗り込まないといけないかもしれませんね。
こちらが私の乗る列車を井川まで押して行ってくれる機関車です。
井川線はアプト区間を除いては非電化なのでディーゼル機関車ですが、箱型の車体なので電気機関車に見えますね。
私の中ではディーゼル機関車というと凸型の車体のイメージが強いです。
それではいよいよ乗車です。機関車のエンジン音を楽しみたくて機関車のすぐ隣の客車に乗りました。
それにしても、車体のサイズを考えれば当然ですが、車内も手狭ですね。これってバスよりも狭いんじゃないでしょうか。
気になったのがこれです。井川線は基本的に窓を開けて走るようなので、窓から落とさないようにという注意書きかと思ったら、窓枠に薄いものを置くと隙間から落ちる可能性があるという注意書きでした。
それにしても「落とすとほぼ取れなくなります」なんて言い回しが面白いですw
で、好奇心から窓枠の奥を覗き込んだ写真がこれですが・・・
なるほど・・・そのまま地上に落ちてしまうため、走行中に落とした場合は回収はほぼ不可能ということなんですね。これは納得せざるを得ませんw
という感じで撮影をしていたらそろそろ発車時間です。
大井川鐵道の最奥部 井川線
大井川本線は千頭駅への移動という色が濃かったのに対し、今回の旅においてのメインとも言える井川線ですが、元々はダム建設のための専用鉄道として建設されたことは前述のとおりです。
当初は大井川電力という会社によって建設され、後に中部電力となりますが、1959年に大井川鐵道に引き継がれ、旅客営業を開始しました。
しかし、沿線は秘境と言われるような山奥の人口が非常に少ない地区を通っており、利用者の大半が観光客ということもあって、観光鉄道の性格が強い路線となっており、今乗っている千頭駅9時12分発が始発で、14時44分発の接阻峡温泉行きが終電となりますw
このようにダム建設のために作られたのですが、現在井川線の施設部分は中部電力が保有しており、大井川鐵道に運行のみを委託している扱いになっています。ただし、第3種鉄道事業者とはなっていないようです。また、井川線は毎年億単位の赤字を計上しているようですが、赤字分は中部電力からの補助金で補填されているため今日まで路線を維持できているようです。
乗って車窓を楽しむもよし、沿線の温泉地や秘境駅を巡るもよしと様々な楽しみ方がある井川線ですが、最大の特徴は日本国内で唯一の現役アプト式鉄道であるということです。アプト式というのはラック式鉄道の一種で、レールとレールの間に歯が付いたレールを設置し、車両側に付いた歯車と噛み合わせることで通常の鉄道では登れない急勾配も克服するという方式で、かつて信越本線の碓氷峠超え区間(通称”横軽”)の初代のルートで採用されていたことでも有名ですね。このため「南アルプスあぷとライン」という愛称もつけられています。
アプト式の詳細は実際その区間に差し掛かった時にまた説明するとして、レポートを進めていきましょう。
千頭駅を出てすぐの踏切でバスが待っていましたが、このバスは大井川鐵道のグループ会社の大鉄アドバンスというバスです。
千頭駅を起点にして寸又峡温泉へ向かうフィーダー路線と井川線に並行して閑蔵駅まで向かう2路線を展開しています。
引き続き大井川に並行して走りますが、まだまだ峡谷の景色には程遠い序の口です。
井川線は急カーブも多く、最後部に乗っていても先頭部が見えますね。
この日はたまたま風が穏やかで水面に漣が立っていなかったために綺麗に橋が反射していますが、アナウンスによるとこれはめったに見られない光景なんだとか。
景色を見ながらだと退屈もせず、既に井川線の半分近くを乗ってきましたが、列車はアプトいちしろ駅に到着しました。
この駅は名前の通り、アプト区間の麓側の起点となる駅でして、ここでアプト式区間を担当する電気機関車を連結します。
↑というわけで連結作業を動画撮影です。
電気機関車なのでパンタグラフがあるわけですが、実はアプト式を採用するアプトいちしろ~長島ダム間のみは電化されています。
それにしても、補機がデカイw
いや、補機は普通の鉄道のサイズで、ディーゼル機関車の方が小さいんですけど、だまし絵みたいになっていますねw
それでは、ここからは90パーミルの急勾配にアプト式で挑みます。
この写真でも勾配が実感できるでしょうか?
奥のトンネルがかなり下の方に見えますね。
あれが駅名にもなっている長島ダムなんですね。
あのダムこそがこのアプト式区間が誕生した原因であり、長島ダム建設によって旧来からの井川線の線路が水没することとなり、一時は廃線も検討されましたが、観光路線としても重要であるため存続を求める地元の声を受けてダム建設による水没補償の一環として代替ルートに切り替えられることとなり、高低差から急勾配とならざるを得ず日本では長らく途絶えていたアプト式が復活することとなりました。
勾配を登りきった長島ダム駅にてアプト式の電気機関車とはお別れです。
次の停車駅、ひらんだ駅を過ぎると平田トンネルに入っていきますが、ここはなかなか面白いトンネルでした。
といっても珍しい構造をしているとか、極端に長いor短いとかいうわけではないのですが、これは動画を見て頂くのが早いでしょう。
↑そう、トンネル内にフォトギャラリーが展示されているんですね。
列車は徐行運転をしてくれるので列車に乗ったままでも結構見えました。
あと、駅名はひらがなで”ひらんだ”ですが、地名としてはトンネル名になっている平田という表記で”ひらんだ”と読みます。駅名の方はあまりに難読のためひらがな表記にしたようですが、日本各地に「平田駅」があるのでそれらとの区別をしやすくする意味でもあるのかもしれません。
特徴的な朱色の上路式トラス橋が見えると奥大井湖上駅です。
この駅は名前の通り長島ダムのダム湖(接岨湖)に掛かる橋と橋の間に位置しており、ホームの一部が橋にかかっているため、まさしく”湖上”の駅です。
当駅周辺からはダム湖に水没して廃止になった旧線の痕跡が見えます。
廃線跡というと遠目からは分かりづらいものも多いようですが、これは誰でも見つけられるくらい分かりやすいですね。
車窓から何気なく見えるこの橋ですが、この橋を通る道は尾盛駅へ通じているそうです。
しかし、この道は廃道となっていて崩れている箇所もあるため通行が不可能とされていて、このため尾盛駅は現在一切の公道が通じていない駅となっていて、列車以外での訪問が不可能な秘境駅として知られています。
あと、このあたりに日本で最も高い鉄道橋として知られる関の沢橋梁がありますが写真を撮り損ねましたw
閑蔵駅を過ぎて井川駅へのラストスパートの途中で見える奥泉ダムです。
ダムよりかなり高い位置を線路が通っているため、通常は見上げることが多いダムを見下ろすことが出来ます。
井川線の路線名でもある井川を冠した井川ダムが見えたら終点井川駅に到着です。
井川駅
井川線の終点井川駅に到着です。ここでは若干の滞在時間があるので簡単にですが駅をレポートしていきます。
ホームはぱっと見た限りでは1面1線の簡素なものです。
井川線は全列車が機関車牽引列車ですが、常に千頭方に機関車を連結する運用になっているため機回しも不要ですから、これでいいのでしょう。
乗客が間違って立ち入らないようにということなのかロープで閉鎖されていますが、実はこの線路は井川線の廃線跡とも言えるものだったりします。
どういうことかというと、当駅の先にかつて堂平駅という貨物駅が存在し、井川線の終点も旅客列車は走らないもののその堂平駅でした。しかし、ダム建設が完了すると貨物駅の役割はなくなり貨物列車しか走っていなかったこの区間も利用されなくなり、廃止されてしまいましたが、井川駅に隣接するトンネルは井川線の車庫として活用されているようで、その先の区間も一部が遊歩道として整備されていて歩いて辿ることが出来るようです。
ちなみに、トンネルへ続く方の線路にもホームが設置されているので厳密には2面2線ということになりますが、有効長の短さもあって連結数が増える多客期はほとんど使われないようです。
改札を出る前にもう1枚列車を撮ります。
構内がカーブしているのでこんな写真になります。
こちらが改札口になります。小さめながらラッチもありますね。
あと、発車案内は千頭駅のような方向幕ですらなく張り紙というw
ここではパネルまで用意して鉄道むすめを推していましたw
大井川鐵道の鉄道むすめは「井川ちしろ」というらしく、由来は井川駅とアプトいちしろ駅ですかね。
運賃表ですが、よく見てほしいのは駅名です。
何気に名古屋だとか東京都区内といった遠方まで書かれていますが、実はJRとの連絡きっぷも当駅で買うことが出来ます。
特に地方私鉄のJRとの連絡きっぷは取扱が廃止されたり発売範囲が縮小されたりすることも多いものですが、ここは今でも結構広い範囲の連絡きっぷを取り扱っているのがすごいですね。
この時刻表も駅員さんがPCでWordか何か使って作ったんでしょうねw
何だか古びた民家のような佇まいのこの建物が井川駅の駅舎です。
休憩スペースということなのかベンチが置かれた一角がありました。
バスの案内が出ていますが、実はこの看板の情報は古くて、静岡~井川間直通の路線バスは2008年に廃止されてしまっており、現在は後述する井川地区自主運行バスが代替交通機関として運行されています。
井川駅の案内が出ている階段を下っていくとバス乗り場があります。
こちらが”井川地区自主運行バス”のバス停になります。自主運行バスというだけに、法的な話をすると通常の路線バスとは扱いが異なり、静岡市が事業主体となり、静鉄タクシーに運行業務を委託して運行しています。
静岡~井川間で直通していた頃の路線は大井川鐵道と静岡鉄道が共同運行していたようですが、大井川鐵道は先に撤退し、静岡鉄道単独運行で補助金を受けながらなんとか路線を維持していたようです。しかし、狭隘区間があるために車掌乗務を必要とする上、利用者も少なく採算性の悪化から廃止され、井川地区への乗り入れはなくなり、現在は横沢という所までしか路線バスは運行されなくなり、その先の区間を代替する目的で井川地区自主運行バスが運行されています。
乗り継ぎこそ必要となるものの静岡市中心部から井川駅までバスで移動することも出来るため、大井川鐵道乗りつぶしをしたいが単純に往復するのはつまらないという方は往路か復路をバスにするという選択肢もありますが、本数が1日2本しかなく、行程の自由度は非常に低いですし、使用されるのが9人乗りの乗用車タイプの車両であり、満員の場合は乗車を断られる可能性もあるそうですし、地元住民の交通確保が主目的である性質上、地元住民の利用が優先されるそうなので、ちょっと敷居の高いバスだなという印象を受けました。
時刻表です。横沢方面は1日2往復しかないのは前述の通りですが、井川地区内で完結する系統も設定されていて、その一部は井川線の列車に接続しているので井川線のフィーダー輸送の役割も担っているといえますね。
先ほど見たトンネルへ向かう線路が通る橋です。この先を進むと井川地区中心部となりますが、実は井川駅と井川地区中心部の間は4~5kmの道のりとなっており、とても歩ける距離ではありません。
井川線を利用して井川地区中心部へ向かいたい場合は先ほどの井川地区自主運行バスを利用することになりますが、それ以外に井川ダムのダム湖(井川湖)の湖面を利用した渡船が運航されており、こちらは運賃が無料ですが、ダム湖の水位によって運航を中止する場合もあるそうで、安定的に利用できる交通手段とはいえませんね。
この「警笛鳴らせ」の標識をみると山道だなと実感するのは私だけでしょうか?w
まだ少し時間が余るので散歩がてら歩いていると井川展示館なる建物を発見しました。
名前の通り井川ダムに関する展示をする施設だそうで、入場料無料だそうですが、時間がないので外観だけw
井川ダムの天端(上の部分)は道路となっていますが、この道は静岡県道60号南アルプス公園線という県道でして、前述の井川地区自主運行バスの運行経路でもあります。
ちなみに、しずてつジャストラインのバスが乗り入れていた頃は大型バスがここを通っていたようです。その光景、見たかったなぁ・・・
壁面には様々なイラストが描かれていましたが、井川線の列車もありました。
この井川線ですが、元々ダム建設のために作られたというのは既に述べましたが、それだけでなく、現在の井川線が旅客鉄道として一般に開放されているのは、井川ダム建設に伴う住民への補償の一環という意味合いもあるそうで、井川線と井川ダムは切っても切れない関係があります。
それではそろそろ折り返そうかとホームへ戻ると車掌さんが話しかけてきました。これから先どのような行動をするかといった質問から始まり、乗り継ぎの案内をしてくれるようでしたが、ここで思わぬ収穫が!
当初の計画ではこのまま井川線で千頭へ折り返し、千頭からは大井川本線で金谷へ、東海道本線で静岡へと進み、「ふじかわ」「かいじ」を乗り継いで都内へ向かう計画でしたが、井川線を千頭まで乗らないで1駅隣の閑蔵で降りると路線バス(千頭駅を発車してすぐに車窓から見えたやつですね)に乗り換えることができ、このバスで千頭へ抜けると予定より1本早い大井川本線の列車に乗り継ぐことが出来るんだそうです。元々の乗り継ぎでは接続が悪く千頭駅で1時間程度待ちぼうけを食らう予定だったので、その分も入れれば2時間は早く金谷へ戻ることが出来る計算になります。
ただ、静岡でやりたいことといえば「さわやか」のハンバーグを食べることくらいですが、それは昨晩に済ませてしまいましたし、いくら味に感動したとは言え2日連続で食べる気にはなれず、そうなると早く静岡へ戻った所で「ふじかわ」まで待ちぼうけを食らうだけです。
そこで、車掌さんに途中下車するのにおすすめの駅を尋ねてみると奥大井湖上駅を勧めてくれました。何でも、先ほどのバスで湖上入口というバス停まで行くと、眼下に奥大井湖上駅とその前後の橋梁が一望でき、バスの方が先回りする形になるので、これから乗る列車を橋と絡めて撮影できるというのです。私の見るからに鉄ちゃんという風貌を見てのおすすめだったんでしょうが、これには興味をそそられ計画を変更することにしました。
急遽1区間のみの乗車となった井川線。
バスへ乗り換えるには井川方の先頭車(千頭行きの列車を基準にすれば最後尾)が便利だと言うのでそこに乗りましたが、この車両は制御客車であり、機関車を遠隔操作する運転台がついているのでそれを撮影しました。
ちょっと寄り道
1区間だけ井川線に乗ると閑蔵駅に到着し、ここから路線バスに乗り換えです。
ホームの待合所に1人待っている人がいたので列車を待っていたのかと思うも、列車が来ても乗り込む素振りはありません。
どうやら、あの方はバスの運転手さんだそうで、駅に待機してバスのところまで案内してくれるそうです。
乗り換え時間が僅かでしたので駅を撮る暇はありませんでしたが、列車くらいは撮っておきましょう。
対向列車もやってきたので並びを撮ったら井川行きの列車から乗り換えてくる人たちも集まったのでバスへ移動開始です。
ていうか、井川行きからバスに乗り換える場合、折り返し乗車するようなものですが、とりあえず井川線には乗りたいけど少しでも早く千頭へ戻りたい人たちなんでしょうか。
少し歩きましたがバスが停まっているのが見えました。
あれが千頭行きのバスのようですね。
これから乗るバスは千頭~閑蔵間を運行するバスですが、井川までも車道が通じているのになんで閑蔵までしかバスが行かないのかなと思ったら、この先井川方面への道路は大型車通行禁止になっているようです。
大型バスが入ってこられるのが閑蔵までということで、事情を知らなければ中途半端に思える区間の運行になっていたわけですね。
通常、路線バスならば車内に次のバス停や運賃を案内する何かしらの装置があるものですが、ここでは運賃表のパネルを掲出するだけで済ませていましたw
しかも、これは今乗っている閑蔵線ではなく別路線である寸又峡線のものw
途中バス停がないシャトルバスのような路線ならばまだしも、ここは途中バス停も結構たくさんあるんですけどねぇ・・・w
駅の方からぞろぞろと歩いていてきた乗客たちも全員バスに乗り込んだ所で発車となりますが、驚いたのが自動放送がなかったことです。
昔は車掌さんが肉声で案内していた時代もあったようですが、現代の路線バスならば自動放送装置はほぼ必須と言っていもいい設備のはずですが、運転手さんがマイクで喋っていましたw
あと、気になったのが車内が微妙にタバコ臭かったことです。流石に現在は禁煙になっているんでしょうが、観光バスからの転用車だとすると、匂いが染み付いてしまっているのかもしれませんね。
さて、閑蔵を出ると井川線は尾盛駅を経由してから接阻峡温泉へと向かいますが、バスが通る道路は尾盛駅付近を通らず(というか、そもそも尾盛駅への車道がないw)トンネルでショートカットしてしまうために次の停留所は接阻峡温泉となり、その次が目指す湖上入口です。
面白いのがバス停に着く直前まで何の案内もなく、乗降の有無に関わらずにとりあえず停車して下車する人がいるか確認するというスタイルを取っていたことです、
私は初見であり、かつ急遽乗車が決まったこともあって下調べも皆無ですからバス停の位置がわからず、何気なく停まったなと思ったらそこが湖上入口のバス停で慌てて降車ボタンを押しましたw
バス趣味的にも面白みが半減ですし、特に途中で降りる場合は分かりづらいので是非自動放送を導入してもらいたいなと思ったものの、これはこれでネタとして面白いという結論に落ち着いた所で湖上入口で下車します。
私を降ろすなりバスはエンジン音を響かせて彼方へ去っていきました。
トンネルの目の前に立地するバス停ですが、当たりは木ばかりで駅どころか湖面も見えません・・・
標識によればここの勾配は11%、鉄道に合わせてパーミルに換算すれば110‰であり、井川線のアプト区間以上の勾配なんですね。
自動車は鉄道より勾配に強いとは言え、すごい坂です。
トンネルの脇から分岐する道を下っていくとこんな光景が広がりました。
これは確かに車掌さんがおすすめするだけのことはありますね。
ちなみに、車で来た人たちなのか、カメラを構えた人たちが何人もスタンバイ中でした。
見るからに撮り鉄という人ももちろんいましたが、ごく普通のカップルや観光客と思われる人もいたので、ここは観光スポットとしても人気なんでしょうね。
ただ、1つ問題が・・・
見晴らしが良すぎて撮影のアングルが決まらないのですw
先ほどのような引きの写真にした場合、雄大な景色は楽しめますが、列車が相当小さくしか映らず写真映えしないのではないかという気もするし、かといってズームして列車を大写ししたらせっかくこのロケーションで撮る意味が無い気がする・・・悩んだ結果、どうせ列車の速度は遅いし、思いつく次第に色んなアングルに挑戦しながら撮ることにしました。
なお、動画だと動きが少なすぎて退屈な動画になりそうだったので写真だけにしました。
峡谷にガタンゴトンとレールの音が響くと赤い機関車が顔を出しました。
あまりに遠く、小さくしか見えないためあの列車につい20分ほど前まで乗っていた事実に驚愕してしまいます。
奥大井湖上駅を発車したところを再び編成全体で撮ってみたり・・・
列車は去ってしまいましたが、旧線跡を図らずも発見してしまいました。
というわけで、目的の撮影は果たせましたが、問題は次のバスまで1時間近く残っていることです。
夏の盛りの7月下旬、当然ながら酷暑の中であり、ただボーッとバスを待っている気にはなれませんでした。私の場合、ボーッと待っているよりは歩き回っていたほうが景色に変化が出て精神的にも楽ですし、歩くことで多少なりとも風が当たって暑さが和らぐ(気がする)ので散策することに。
湖上遊歩道なんてものがあるらしいです。しかも、よく見ると奥大井湖上駅まで行けるようです。
そういえば、先ほど井川線に乗った時に奥大井湖上駅に掛かる橋は歩いて通ることも出来る的なことを言っていた覚えがあるので、きっとその橋に繋がっているということなんでしょう。
奥大井湖上駅へ行ってみる
というわけで、暇つぶしも兼ねて奥大井湖上駅まで歩いてみることにしました。
案内に従って下っていきます。まだご覧のような舗装路であり、落ち葉が溜まっていたりはするものの歩いて通る分には快適な道です。
線形から言って、先ほどバスで通ってきたトンネルが開通する以前の旧道にあたる道なのかもしれません。
と思ったも束の間、「ハチに注意」なんて一気にお気楽なハイキング気分から脱却させるに十分過ぎる注意書きを見つけてしまいました。
そりゃ、これだけ山深い立地ならハチがいるのは不思議な事ではないでしょうが、旅先でハチに刺されるという事態は(もちろん旅先でなくとも)避けたいものです。
とはいえ、今のところ奥大井湖上駅を目指したい気持ちが勝ったため先へ進むことに。
舗装路とはすぐに分岐してしまい、道はこんな獣道程度の道にグレードダウン・・・
柵が付いていたり案内看板があったりするので、現役の遊歩道であることは間違いなさそうですが、ここまで誰一人として自分以外の通行人と遭遇しなかったこともあって、廃道でも探索している気分にw
遊歩道とはいえ、木の根だったり小石だったりが足元の障害物として存在しており、足腰に自身のない方は通らない方がいい道かもしれません。
所々に階段が設置されていますが、都市部にある綺麗に水平が取られたものと違って凸凹していたりするのでただの坂よりはマシでしょうが、歩きづらいです。
思った以上に本格的な遊歩道だったこともあって、頭のなかには撤退の2文字がちらつき始めていましたが、先ほど遥か下に見下ろした駅へ通じる以上当然ながらずっと下り勾配だったこともあって、自らの体重という位置エネルギーを運動エネルギーに変換することで強制的に推進力を得てどんどん進んでいくと、今までからしたら上等な階段が現れました。
そして、視界が開けると真下に井川線の鉄橋が見えました。
もうここまで来たら橋を渡って、ほぼ水平移動のみで奥大井湖上駅へたどり着けるはずです。
通路は元々は保線作業用のものだったのか、予想外に狭く向こう側から大柄な人が歩いてきたらすれ違いに難儀しそうな幅しかありません。
ほんの1時間ほど前に列車で通過したトンネルをこんなに目の前で見られるのはいいですね。
足元にはゴム製の板が置かれている箇所がありましたが、ボルトに躓かないようにという配慮ですかね。
しかし、道幅といい、元々一般に開放する予定ではなく、作業用通路として作られた感がかなりありますね。
本当に手を伸ばせば触れそうな位置に風速計がありました。
あんな注意書きがあるくらいですから、現役の施設でしょうし、変に触ればとんでもない風速が誤計測されて井川線の運行がストップしてしまう可能性もあるのでもちろん触りません。
それにしても、ここで列車の通過を撮ったらかなり迫力ある映像が撮れるんでしょうね。
まあ、次の列車まで待っていたら予定のバスに乗れなくなるので断念するしかないですけどw
そして、奥大井湖上駅のホームが見えてきました。
それにしても、正式に認められたルートで駅までやって来たはずなのに、通っちゃいけないところを通ってきてしまったかのような背徳感がありました。
駅からすぐの所にこんな看板がありました。
ええ、知ってますとも、その階段を降りてきましたからw
ちなみに、レインボーブリッジというのは今渡ってきた橋の愛称で、東京のレインボーブリッジより先にこの愛称を使用し始めたんだとか。
当駅周辺の景観がまるで海外のようだということで、さも海外へ行ってきたかのようなポストカードが送れるという触れ込みで臨時郵便局を期間限定で開設していたようです。
あれが駅舎かなと思ったらレイクコテージ奥大井という施設だそうで、展望台もあるんだとか。駅舎ではないということで取材対象から除外してしまっていましたが行ってみればよかったなぁ・・・
一見すると井川線の列車を表現したアート作品のようですが、これは「奥大井恋錠駅」と題して、カップルで鍵をかけて愛を誓う場所になっているんだとか。
単なるダジャレではなく、当駅がテレビで紹介された際に所在地の川根本町がこの機会に駅を観光資源として売り込もうと町内で結婚式を挙げるイベントを開催し、その際、当駅にて結婚式を挙げたカップルも何組かいて、鍵をかけて愛を誓う演出があったことから当駅にこのオブジェが常設されることになったんだとか。
以前の旅で、確か江川崎駅でも似たようなものを見かけた気がしますが、カップル専用ベンチw
当分結婚する予定もない私には場違い感もある当駅ですが、そろそろ違うネタを探して気分転換と行きましょう。
立派なコテージは駅舎ではなく、当駅の施設としてはこの簡素な待合所が唯一のものということになるでしょうか。
湖上駅ということで湖面が一面に見られます。ここで結婚式というのは確かに一生の思い出になりそうです。
ホームは橋梁上にも伸びていて、ここに立てばまさに湖上に立つことができます。
上の展望所からも見た廃線跡をより近くで見たらそろそろ撤収したいと思います。
バスの時間まではまだ30分ほどあり、バス停までの地図上での距離はせいぜい数百メートル・・・通常ならば余裕すぎてもう少し駅をぶらついて来てもいいくらいの時間ですが、先ほど下ってきた坂を今度は登らないといけないのです。
そう、下り勾配では味方をしてくれた重力が、今度は敵に回るわけですw
ただでさえ、運動不足で山歩きなどの経験もほとんどない私の体力を考慮すれば30分でさえ心許ない気がしますが、出来るだけ駅をじっくり見たいという欲望とのギリギリの折衝の結果ですから仕方ありませんw
とりあえず橋を渡ってあの階段を登りますが、最初の数十メートルでもう息が切れてしまうw
オーバーヒート寸前ですが、モタモタしてバスに乗り遅れた場合、またこの階段を下って駅に戻って井川線に乗るしかなくなるわけですから、死に物狂いで登っていきます。
日頃の運動不足を恨みつつ、ようやく最初に列車の撮影をした場所までたどり着いたときの安堵感はすごかったですね。あとはアスファルトの道というだけでかなり安心です。
そうして、バス停に戻ってきましたが、結局バスの時間の10分ほど前には到着できました。20分ほどで歩けた計算ですかね。
ただ、息は切れるし、足はガクガクと満身創痍の状態でしたけどねw
こうなれば、一刻も早くバスに乗ってエアコンの効いた車内で涼みながら、椅子に座って足の疲れを癒やしたいものですが、なかなかバスがやって来ません。
トンネルの出口付近にバス停があることもあって、通行する車の音はかなり遠くからでも反響してはっきり聞こえるのはいいのですが、今でもダム関連で土砂を運んでいるのかダンプカーがひっきりなしに通行しており、バスが来たと思ってトンネルから出てきたのがダンプカーというパターンを数回繰り返しましたw
↑いよいよバスがやって来ました!
あとは千頭駅まで乗っているだけですから楽チンですね。
大鉄アドバンス 閑蔵線
そういえば、閑蔵駅から乗った時は乗車時間が短かったことや奥大井湖上駅や湖上入口での列車の撮影がメインだったこともあってバスのご紹介を省略しましたが、ここでご紹介しておきますね。
閑蔵線は千頭駅と閑蔵駅を結ぶ路線バスで、大鉄アドバンスが運行する路線の1つですが、実は大鉄アドバンスの路線はこの閑蔵線の他には千頭駅~寸又峡温泉を結ぶ寸又峡線しかなく、2路線しか運行していませんw
昔は静岡~井川線や静岡~浜松線の運行に関与したり、掛川市内にも路線を持っていたりと手広く広げていたようですが、路線から撤退したり他社に譲渡したりを繰り返し、大井川鐵道のバス事業はどんどん縮小され、最後に残ったのがこの2路線というわけですね。そして、バスやタクシーなど鉄道以外の交通事業を担う子会社として大鉄アドバンスが設立されました。なお、一般的には大鉄アドバンスの路線バスは大鉄バスと呼ばれることが多いようですね。
で、この閑蔵線ですが、運行区間を見ての通り井川線と完全に並走するルートになるわけですが、井川線はこの区間の間に11箇所の駅を設けているのに対して、バスは途中に4箇所しかバス停がなく、井川線に対しての急行便のような役割を担っているようです。これは走行する県道77号がトンネルを多用して直線的に結ぶのに対して、井川線が川の蛇行に合わせてクネクネしているため、県道を進むと経由できない駅があるという事情もあるようです。
また、所要時間の面でも千頭→閑蔵を井川線の列車は1時間半を要するのに対して、閑蔵線はなんと3分の1程度の30分で走破してしまいますw
井川線が乗ること自体が目的になりうる観光鉄道だから成り立ちますが、実用的な交通手段としてはかなり厳しいですよね。この路線バスがあることによって私が車掌さんにおすすめされたように帰りはバスでショートカットして早く帰路に就いたり、バスと列車を絡めて途中下車の選択肢を増やしたりという使い方もできます。
また、この閑蔵線を含め大鉄アドバンスの路線バスは大井川鐵道のフリーきっぷのうち、井川線が含まれるきっぷであればフリーエリアにも含まれます。
長島ダム付近では列車から見えるのと同じようにダムが見えます。
奥泉あたりで大井川を渡ります。
ちなみに、奥泉を出ると次は終点の千頭駅ですが、この区間は寸又峡温泉への寸又峡線も並走していて、寸又峡線はこの区間内にも多くの停留所を設けていますが、閑蔵線はそれらの途中停留所には停車せず実質的に急行便のようになっているようです。
そして、終点千頭に到着です。
井川線の時間感覚になっていたために、あまりの速さに本当にここが千頭なのかと疑ってしまいましたw
予定外の乗車となった大鉄バスともここでお別れです。
この後は急行電車で金谷へ向かいますが、少し乗り換えに時間があくので簡単に千頭駅の模様をレポートします。
千頭駅
当駅は往路の乗り換えでも使いましたし、以前の旅でもじっくり見ているのですが、それなりにネタもあったので一部をピックアップしつつ紹介していきます。
塗装が違いますがこれも大鉄バスでして、寸又峡温泉行きでした。
ジェームス号は大人気のようで満席ですが、普通のSLで運転されるかわね路号は空席ありになっていますね・・・
SLの復活運転の元祖はここ大井川鐵道ですが、もはやただのSLでは集客できない時代なんですかね・・・
巨大なプラレールタワーが鎮座w
ただ、子供の目線だと肝心の車両がほとんど見えないであろうことは突っ込んではいけないんでしょうかw
こちらが正統派SLの「かわね路」ですね。私はやっぱりトーマスやジェームスよりこっちですねw
客車が旧型客車なのもグッドです。
噂のジェームス号ですね。確か前回訪問時はトーマスしかいなかった気がするので初めての撮影となりました。
元南海の21000系がいましたがこれは乗る列車ではないようです。
こちらが急行でした。往路と同じ16000系ですね。
ただ、急行として乗るのは初になるので、かつての特急型車両が優等運転に就く走行を体験できるという意味ではよかったです。
気になったのが16000系の雰囲気には似合わないこんな案内装置が装備されていたことです。
とりあえず静岡へ
千頭駅からは「ふじかわ」に乗り継ぐべく静岡駅を目指しての移動となりますが、その道中での様子をかいつまんでレポートしていきます。
大井川鐵道そのものについては今更書くこともないので省略するとして、問題は静岡駅に着いてからです。予定の列車より早い臨時急行に乗れてしまったため、静岡で滞在時間を持て余すことは必至であり、元々1時間程度余るはずだったのが更に1時間ほど巻いたことになるので2時間は暇になります。どうしようかと考えた結果、昨晩新静岡駅でニアミスした静岡鉄道の新型車A3000形に乗ってみようということになり、スマホで調べるとちょうどいい時間に運用があることが分かり、臨時急行の車中で行程を急ごしらえで作りました。
そんなこんなで金谷駅まで戻ってきましたが、ここでも新発見が1つ。
といっても、写真はない・・・というより写真でご紹介できるものではないのですが、それは何かというと、前回は有効期間の残りに関わらず金谷駅で強制回収(実際には無効印の押印)されていた1日乗車券が今回は回収されなかったことです。よく見ると券面にも金谷駅で強制回収になる旨の説明は無くなっており、このルールはいつの間にか撤廃されたようですね。
↑金谷駅ホームで列車を待っている間にやってきた貨物列車はなんとEF66形が牽引していました。
私個人としてはブルートレインの牽引機というイメージが強いですが、ブルートレイン全廃の今となっては貨物列車を含めても見かけること自体がレアな存在ですよね。
前回は写真を撮り損ねた破棄されたトンネルの坑口も押さえまして、これにて宿題回収です。
あとは東海道本線の列車に揺られて静岡駅を目指します。ここは特に書くこともないのであとは静岡鉄道のレポートをしたら、いよいよ「ふじかわ」に乗って帰路ですね。
静岡鉄道に寄り道
静岡駅から徒歩で新静岡駅へ向かい、静岡鉄道に乗車します。静岡鉄道自体は過去に乗っており、今回はA3000形の乗車が目的です。
静岡駅周辺で簡単に早めの夕飯を食べたら新静岡駅へ向かいます。
A3000形の入線を動画撮影すべく早めにやってきたのですが、A3000形がやってくるまで1000形を撮ったりして時間を潰します。1000形も今すぐではないとは言え徐々に置き換えられていくわけで、しっかり撮っておかねばなりませんね。
というわけでやってきた新静岡駅です。
前回やって来た時はセノバも開業しておらず、地方私鉄らしい駅だった覚えがありますが、今や駅名標だけでもすっかり都市の駅に変貌しましたね。
ホームです。2面3線頭端式の構造ですが、セノバと一体化しているためちょっと薄暗いです。
何だか東武宇都宮駅を思わせる構造ですね。
新清水方の端からホームを見渡します。ここからは撮影しやすそうなのでここで撮ることにしましょう。
↑まずは1000形入線シーン
↑続いて隣りにいた1000形の発車シーン
ここは基本的に交互に発着するようですね。
↑そして、いよいよA3000形の入線シーンです。
こうして目の前で撮影できたのも井川からの行程変更の賜物ですね。アドバイスしてくれた車掌さんに感謝です。
レインボートレインとありますが、編成ごとに違う色にするようです。しかし、現状2編成しかいないのでまだレインボーにはなっていませんねw
↑隣の乗り場から1000形の発車を見送ったらA3000形に乗り込みます。
といったところで発車です。IGBT素子のインバータ音をBGMに新清水への旅を始めます。簡単にA3000形をご紹介しておくと、1000形置き換え用に新造されている電車で、最終的に静岡鉄道の車両はA3000形で統一される予定になっています。型式名に冠されている”A”は「Activate(活性化させる)」「Amuse(楽しませる)」「Axis(軸)」の3つの単語の頭文字だそうです。あんまり詳しく説明すると聞ける車両辞典(ページを作れば・・・ですがw)とかぶるのでこのくらいにしておきますw
そんなわけで新清水駅にやって来ましたが、ここでの滞在時間はなんと3分w
新静岡駅では2つの乗り場を交互に発着させるため、到着した車両が折り返すまで10分程度は停車しているようですが、新清水駅は到着した車両がすぐに折り返す運用になっているためにこのようになります。
しかも、客扱いに手間取ったのか1分半程度遅延して到着したため、駅名標だけ撮ったら改札へ走って即Uターンという「エクストリーム折り返し乗車」を敢行して新静岡駅に戻ります。
ちょい飲み電車ということで車内でビールを楽しめるイベントがあっていたようです。
が・・・ビールどころかのんびりしている暇もありません。あと12分で静岡駅から私が乗る「ふじかわ」が発車するのです。しかも、またしても2~3分遅延して到着したためもう10分を切っています。運転士さんが新人さんとかですかね。
地下通路を走りなんとか静岡駅のホームまでやって来たのが発車の2分前・・・ちょっと無理な行程を組んでしまったかなと反省しつつ「ふじかわ」に乗り込みます。
これに乗り遅れていた場合、この次の「ふじかわ」は甲府から先の接続がなく今日中に東京へたどり着けないため、別ルートでの帰京に変更する羽目になっていただけに間に合って良かったです。
特急をはしごして東京へ
静岡から乗るのは「ふじかわ」でして、これで甲府まで行って「かいじ」へと乗り継いでいきます。
「ふじかわ」には373系が充当されます。
この「ふじかわ」ですが、静岡~甲府間を走る特急列車でして、静岡では東海道新幹線、甲府では中央本線の特急「あずさ」「かいじ」とも接続し、これらと身延線沿線とを接続する列車という役割もありまして、現在は7往復が運転されています。地方都市同士を結ぶローカル特急ではありますが、需要は少なくないようですね。
東海道線内は清水、富士と停車していきますが、富士から進行方向が変わる関係で座席は後ろ向きで走ります。これは秋田新幹線の秋田~大曲間と同じですね。
写真は由比付近の車窓です。普通列車では何度も通ったことのある区間ですが、特急で通るのは初めてです。(サンライズは夜だったのでノーカン)
富士から先身延線内では富士宮、内船、身延、下部温泉、甲斐岩間、鰍沢口、市川大門、東花輪、南甲府と停車していき、特急らしく停車駅は絞られていますが、身延線の線形もあってあまり飛ばしませんね。最初に富士~甲府を走った快速がきっかけで、後に急行となり、JR移管後に特急になったようですが、これは急行でよかったかもしれませんねw
車内は静岡から終始静かでして、録音にはもってこいの環境だったのがうれしかったですが、線形的に飛ばさないので音鉄的には単調かな?w
暗くてなってしまい、車窓も見えないので淡々と乗っているだけになりましたが、対向列車の遅延のため3分程度遅延して走ることとなりました。単線区間あるあるの現象ですが、困ったことに甲府駅で「かいじ」への乗り継ぎは4分しかないのです。
流石に特急同士ですし、接続はしてくれるでしょうが、これが東京への最終便というわけではなく、この30分後くらいに「あずさ」があるため、そっちに乗れと言わんばかりに容赦なく発車されてしまう可能性も危惧していました。今回は「かいじ」という列車に乗ってみたいのもあってこの行程を組んだだけにそれは避けたい事態ですが、アナウンスでもこの件には言及がなくやきもきしながら乗車していました。
結局、甲府駅到着間際のアナウンスで「ふじかわ」からの乗り換えを待っての発車となるという案内があったため一安心ですが、「ふじかわ」が甲府駅ホームに入線した時点で既に「かいじ」の発車時間だったためドアが開くなり全力疾走!
「かいじ」は違うホームからの発車だったためこれ1枚を撮るだけで精一杯で駆け込みました。
何とか乗り込めた「かいじ」ですが、「かいじ」は新宿~甲府を結ぶ特急列車であり、「あずさ」「スーパーあずさ」の補完列車という位置づけになります。停車駅も「あずさ」「スーパーあずさ」より多く設定されており、甲府を出ると石和温泉、山梨市、塩山、大月、八王子、立川、三鷹と停車していきます。「スーパーあずさ」だと、このうち、八王子、立川にしか停まらず、「あずさ」の場合でも、大月が追加される程度なので特に山梨県内はこまめに停まっている印象ですね。
流石に本線の特急だけにこの時間でも混んでいて録音が微妙だったことを書いたら、これ以上特に書くこともないので記事は以上になりますw
既に2万字を超えてしまっていますからねw
というわけで、レポートは以上です。久々にかなりのボリュームになりましたが、最後までお付き合いありがとうございました。
次回は18きっぷで日帰りの旅をしましたのでそのレポートをしようと思います。追ってレポートしますのでしばらくお待ち下さい。