京王バス052系統に乗車!

今回は京王バスが運行する052系統に乗車してきましたのでそのレポートです。
東京都内の単発ネタということでそれほど長い記事にはならないと思いますので、どうぞお気軽にご覧下さい。

京王バス052系統とは

まずはこのレポートのメインとなる京王バス052系統についての解説から入ります。

この052系統は2021年10月1日から京王バスが運行を開始した路線バスで、新橋駅と渋谷駅を新宿駅西口経由で結ぶ路線となっています。
渋谷駅から新宿駅までの間は従来から運行されていた京王バスの宿51系統が存在しており、052系統も全く同じルートを走ります。
一方、新宿駅と新橋駅の間では、途中は新宿御苑前駅(渋谷方面のみ)、新宿御苑(新橋方面のみ)、四谷一丁目、大手町(新橋行きのみ)、新橋駅のみ停車となっており、急行バスとでも言えるくらい停車バス停の数が絞られています。
しかも、四谷一丁目~新橋駅間は上下でルートが違うという特徴もあり、路線バスとして見ると変わった路線と言えます。
使用車種は点検などで代走にならない限りはトヨタ自動車製の燃料電池バス「SORA」が使用されており、平日も土休日も同じダイヤで1日3往復のみ運行されます。

バスマニア的な視点から見てみると、まず路線バスとしては運行距離が長いということが特徴の1つとして挙げられます。
上下でルートが違うため運行距離も新橋→渋谷では13.8km、渋谷→新橋では17kmとなっており、東京都心を走る路線としては長い部類になります。所要時間ではおおむね1時間10分程度と、乗りバスとしては乗りごたえのある長さですよね。

続いては京王バスとしては唯一新橋駅に乗り入れる路線となっていることで、新橋駅に京王バスが乗り入れるのは1979年以来で、約40年ぶりのことだそうです。
そして、何よりも最大の目玉と言えるのは使用車種でして、原則としてトヨタ自動車製の燃料電池バス「SORA」が使用されます。

一応燃料電池バスについても補足しておくと、燃料電池とは燃料から直接電力を取り出すことが出来る装置で、電気自動車の電源をバッテリーから燃料電池に置き換えたものとも言えるでしょうか。
燃料は様々な方式があって多様ですが、現在実用化されているものの中では水素を燃料とするものが主流で、今回乗車する「SORA」も水素を燃料にして走ります。
その燃料電池の電力を使ってモーターでタイヤを駆動するわけですが、エンジンがない分走行音は静かで、排気ガスも出ず走行中に出るのは水だけというエコなバスになっています。
これだけいいことだらけならもっと普及しても良さそうですが、車体価格が高価というのがネックで本格的な普及には至っていないようです。

このように路線バスとしては変わった設定ですが、これは実用的な交通手段としてというよりは、バスに乗ることを楽しんでもらうという趣旨の路線であると言えそうです。
京王バスの公式プレスリリースでも「都会の街並みを眺めて・・・都内の主要エリアをゆったり快適に運行します!電車とは違った風景で都心を感じましょう!」とあるので、その可能性が高いともいます。
乗り鉄に比べると乗りバスというのはまだまだマイナーな存在と言えるかもしれませんが、バス会社自身が乗りバス向けの路線バスを走らせるようになるというのは、バス好きにとってはいい時代になりましたね。
今回はこのバスの紹介と乗車レポートがメインですが、活動内容としては新橋駅から乗車し渋谷駅まで、そのまま折り返し乗車して新橋駅まで戻るというもので、052系統以外の活動はありません。

まずは新橋駅から渋谷駅まで

まずは新橋駅から乗車しますが、いきなりバス停の場所が分からないというトラブル発生w
なにせ1日3本しか走らないので乗り遅れてしまうと大幅に計画が狂うことになります。
最初は東口側にある都バスの乗り場を間借りしているのかなとも思いましたが、どこにも京王バスの文字はなく・・・
だいぶ時間には余裕を持って新橋にやってきたものの気づけば発車時刻が刻一刻と迫っていたのでした。
スマホで色々調べるうちに、駅前のバス停ではなく国道15号(第一京浜)上にあるヤクルトビル前にバス停はありました。


もうバスはバス停で待機中でした。
既に乗車が始まっているようでした。


バス停に貼ってあった052系統の掲示です。


時刻表です。
1日3本なのは冒頭で書いたとおりですが、東京の都心部を走る路線でこの本数の少なさは珍しいですよね。


発車時間も迫っているので若干アングルを変えて1枚撮ったら乗り込みます。


これは忘れてはいけませんねw
車内は満席とまでは行きませんが割と多くの席が埋まっていました。
運行開始から数週間という時期に訪問しましたが、まだ開業ブームが続いているんですかね。


驚いたのが車内の座席配置で、車いすスペースの部分の座席は通常は格納されていて、使用時のみ引き出して着席するタイプだったのです。
映画館の座席と例えれば分かりやすいでしょうか?
普通の路線バスだと車いすの方が乗車される際のみ格納して、普段は通常の座席と同様に固定されているタイプが主流ですから珍しいですよね。


あと、座席にコンセントがあるのもいいですね。
この路線はその性質上、全区間乗る人も多いでしょうし、その恩恵は大きいですよね。


↑車窓は動画で撮りました。
燃料電池バス特有の静かな走行音も合わせてお楽しみ下さい。

車窓は動画で撮ったため写真ではあまり撮っていませんが、気づいた点などを文章で補足していくと、まずは走行音についてです。
前述の通り燃料電池バスなのでエンジン音はなく、エンジンの振動もないため乗り心地はかなりいいです。
電気モーターは積んでいるので最近のLRTのようなモーター音が軽く聞こえるのですが、それもごく小さな音であり、むしろ周囲を走る自動車のエンジン音のほうがうるさく聞こえるほどです。

バスは第一京浜を少し進むとすぐに環二通りへと右折していきます。
この環二通りは2014年に開通したばかりのまだ新しい道路で地下トンネルで虎ノ門ヒルズの下を通り抜けて、虎ノ門地区まで一気に通り抜けてしまいます。

赤坂一丁目で外堀通りに合流するもバス停はなくバスはひたすら新宿へ向けて進みます。
首都高都心環状線と交差して溜池山王駅のあたりに差し掛かりますが、バスが最初に停車するのは四谷一丁目ですからもちろんすっ飛ばしますw

このあたりは首相官邸や国会議事堂など、日本の政治の重要施設が居並ぶエリアですが、その手前にビルが建っていてそれらを車窓から見ることは出来ないようです。

バスは引き続き外堀通りを進み、赤坂御所の脇を抜けて四谷へ至ります。
国道20号(新宿通り)へ左折すると四谷一丁目へ到着します。若干の乗客の入れ替わりもありつつ次は新宿御苑前駅となります。
四ツ谷から新橋を乗り換えなく行ける手段はこの052系統ですから、時間がかかっても乗り換えなく行きたい人は実用的にこの路線を活用しているんですかね。

四谷一丁目から国道20号を進むと通りの名前は「新宿通り」から「甲州街道」へと変わります。
新宿御苑のあたりでは、国道20号の現道は地下トンネルの新宿御苑トンネルをくぐるルートとなっておりバスはその旧道に当たる区道(旧甲州街道)へ入り、新宿御苑前駅に停車します。

その後バスは細かく曲がり靖国通りへ入り新宿大ガードを潜り新宿駅西口に到着します。


新宿駅西口は26番乗り場に到着します。
ここからは052系統と同じく渋谷へ行く宿51系統が出るバス停で、この先のルートも実質宿51系統と同じなので、この乗り場を使うのは必然ですね。
ここまでスムーズに走ってこられたのか時間調整をするみたいで数分停車するようです。
その間に運転士さんにお願いして撮影に出る同業者もいましたが私は車窓のカメラのこともあるのでおとなしく車内で待つことにします。

しばらくして発車時間になりバスは今度は渋谷を目指して走り始めます。
ここからは宿51系統と全く同じであり、過去に宿51系統には乗ったことがあったので私にとっては見覚えのある景色もありました。

バスは北通りへ出て十二社通りへ折れていきます。
新宿中央公園の緑を見ながら南下すると首都高4号新宿線と並行しながら小田急線と交差して参宮橋駅にたどり着きます。
小田急線を越して国立オリンピック記念青少年総合センターを経て代々木公園の緑地を見ながら進みます。
NHK総合センターで井ノ頭通りを折れて渋谷区役所を過ぎると終点の渋谷駅に到着します。


渋谷駅に到着!
途中で先行する宿51系統のバスに追いついてしまいバス停の度に待たされるを繰り返したため若干遅延して到着でした。


ここには052系統のPRも出ていました。

渋谷でしばらく待ってから折返し新橋まで乗車します。

新橋へ折り返す

このあとは新橋へ折り返すわけですが、渋谷で少し時間があったので新橋では十分撮れなかったバスの撮影などをしたいと思います。


顔の部分だけでも既存のバスとは違って近未来感がありますねぇ~


もう少し引きで・・・


「FUEL CELL BUS」と誇らしげに掲げていますね。


ナンバープレートは杉並ナンバーのご当地ナンバープレートでした。


方向幕が変わらないうちに・・・


後ろから見てもかっこいいですね。


全体が入るアングルで・・・


後ろには「H2水素」と燃料電池であることをPRしていました。


道の向かい側へ移動して非公式側を撮ります。


後ろ側から


そうこうするうちに新橋行きの幕に切り替わりました。


側面の幕を撮ったら乗り込みます。


今度は車内も空いていたので社内全体を撮ってみました。
車いすスペースの座席のことは既に書きましたが、車内案内表示器が車内中央部にもあるのは後ろの方に座っていても次の停留所などが分かりやすいのはいいですね。
一方で、最近のバスはいわゆるマニア席を設置していない車種が多い中で、この「SORA」はマニア席があるのが素晴らしいですね!w
まあそのマニア席は他の方に先を越されてしまったので座れませんでしたがw


↑復路も車窓は動画で撮りました。

新宿駅までは全く同じルートなので記事では飛ばさせてもらって新宿駅から再開します。
渋谷行きとは違って新宿大ガードの方へは行かずにバスタ新宿の目の前を通る甲州街道へと進みます。
本線はそのまま新宿御苑トンネルに入りますが、バスは側道へと入り新宿御苑の緑を見つつ進みます。

その先でバスは新宿通りへと入り、往路と同じルートに戻って四谷一丁目へ差し掛かります。
往路とは異なりそのまま新宿通りを進み半蔵門で左に折れて皇居に沿って進んでいきます。
日比谷通りを進み大手町に停車したら日比谷で晴海通りへ、銀座で中央通りへと折れていよいよ終点の新橋駅に到着です。


↑最後にバスが回送で引き上げていくシーンを撮って活動終了です。

この052系統についての感想などを書いて〆たいと思いますが、やっぱりルートとしては実用的な移動手段というよりは乗ること自体を楽しむ路線という性格が濃いように思え、車両が現在のところはまだまだ珍しい燃料電池バスであるということを踏まえても、バスマニア以外でも乗って楽しい路線ではないかと思います。
全てが車窓から見えるとは限りませんが、国会議事堂、赤坂御所に新宿御苑、代々木公園に皇居と東京名所の数々を乗りながら眺めることが出来ると思います。
四谷一丁目~新橋間ではあえてルートを変えているのも往復乗ってよりたくさんの景色を楽しめるようにということなんでしょうかね。
嬉しいのはあくまで路線バス扱いなので片道210円、往復乗っても420円で済むということで、「はとバス」などの定期観光バスに乗るほどではないが手軽に東京見物をしたいという方にはおすすめの路線だと言えると思います。
まあ、オープントップバスとかに比べれば眺望は劣りますけどねw

あと、思ったのが渋谷~新宿間は宿51系統と同じルートなのですが、ダイヤ面で競合を避けるような配慮はないようで、宿51系統につっかえて052系統が遅延する様子も見受けられたので、路線免許の関係で宿51系統のルートを踏襲したとしても、途中停留所は一部のみ停車の急行運転にして宿51系統とは分離した運行にしてはどうかと思います。

でも、全体的には往復乗っても3時間程度の小旅行がたった420円で楽しめる、簡易版「はとバス」という感じでおすすめできる路線だと思います。
思ったのは、路線バス扱いながら乗車自体を楽しむ傾向が強い路線として「IKEBUS」と共通点があるなと思いました。
あちらはバッテリーによる電気自動車ですが、モーターで動くという点では共通していますしね。

といったところで記事は以上となります。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。

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つばめ501号(管理人) について

関東を拠点に鉄道旅行を楽しんでいます。また、写真撮影や走行音の録音もしています。 サイトの方ではそれら写真や録音も公開していますのでぜひご覧ください。
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