3泊4日で実施した関西遠征の4日目(最終日)です。
なお、1日目・2日目・3日目をご覧になっていない方はそちらから先にご覧になることをおすすめします。
本日の行程
というわけで、関西遠征の最終日です。
今回の遠征は初乗車となる路線が多かったこともあって、解説する内容も多く、結果として3万字に迫るボリュームの記事が連続することとなり、全て読んで頂いた方はもうお腹いっぱいかもしれませんが、この4日目こそこの活動の本来の目的なのでどうか最後までお付き合い下さいw
そんな最終日の行程ですが、新大阪駅から特急「くろしお」で新宮へ行き、熊野御坊南海バスの新勝線で紀伊勝浦駅へ、そこから更に熊野御坊南海バスで那智山へ1往復したら、紀伊勝浦駅から特急「南紀」に乗車して名古屋まで行って活動終了です。
今回は時間が余ることもあって、観光要素も強めになります。
この「南紀」に使用されるキハ85系に乗車することがこの活動の元々の目的でした。
名古屋からは夜行バスで帰路に就きます。
「くろしお」で新宮まで一気に移動
というわけで、いよいよ最終日の朝が幕を開けます。
ホテルを後にして新大阪駅に向かいます。
まずは発車標ですね。
1番目の「くろしお1号」に乗車します。
ところで、下段には「ひだ25号」も表示されていますが、こちらは前回の関西遠征の帰路に使った列車でしたね。
こちらもキハ85系引退を受けての乗車でしたが、今回も「ひだ」ではなくて「南紀」ではあるものの、キハ85系引退をきっかけに活動をし、帰路にキハ85系の列車に乗って活動を終えるのは共通していますね。
ホームへ行くと既に入線していました。
昨日の記事でも触れましたが、287系の「パンダくろしお」です。
「パンダくろしお」というだけあって、車体にはパンダが描かれています。
これは沿線の白浜市にあるアドベンチャーワールドにパンダが飼育されていることにちなんだものですね。
“Sustainable Smile”と書いてありますが、「パンダくろしお」としては2代目にあたるもので、SDGsの各目標にちなんだデザインになっているそうです。
SDGsのマークも付いていますね。
鉄道はエコな乗り物と言われていますし、SDGsとは相性がいいですよね。
新宮方面の先頭にあたる1号車はグリーン車と普通車が半分ずつという構造なので”クモロハ”という形式名になっています。
“ク”は駆動車のことで運転台が付いているという意味、”モ”は電動車のことで、モーターが搭載されているという意味、”ロ”はグリーン車、”ハ”は普通車という意味になっており、”クモロハ”は運転台付きの電動車で、グリーン車かつ普通車という意味になります。
“クモハ”とか”モロ”はよくありますが、なかなか珍しい形式名だと思います。
こちら側の方が明るいので、改めて先頭部を撮影です。
ところで、この「パンダくろしお」だけちょっと特別で、実は前面に描かれたパンダが親子になっているんです。
他の「パンダくろしお」は子パンダが描かれていないので、親子なのは「パンダくろしお」の中でも、この「サスティナブルSmileトレイン」だけのようです。
それでは発車です。
今回乗車する「くろしお」ですが、実はこれが5回目の乗車であり、1回目は新大阪から京都までという中途半端な乗車で、これはJR西日本が新幹線・特急もOKなフリーきっぷを発売したときに、これを使って関西まで乗り鉄しに来ており、せっかく特急に乗れるきっぷならばと新大阪から京都までという一般利用者なら十中八九新快速を選ぶであろう区間で特急利用をしたのでした。
その時はたまたま私が乗車するところを見ていた車掌さんが「え?乗るの?」と言わんばかりの目で見てきて、「これは京都行きですがよろしいですか?」と念を押して確認してきたのをよく覚えていますw
なお、この頃は当ブログ開設前であり、記事にはしていません。
2回目は381系が「くろしお」から撤退するというときに乗車しており、その時は新大阪から新宮までと、今回と同じく全区間乗車でした。
なお、その時の記事はこちらからどうぞ!
そして、3回目ですが、この時は西日本へ遠征するのに普通に新幹線で行くのもつまらないとか考えて、あえて新幹線を名古屋で降りて、「南紀」と「くろしお」を乗り継いで紀伊半島の沿岸に沿って遠回りをしたのでした。
ただ、この時は「南紀」がメインで、「くろしお」は移動のために乗ったという感じでしたね。
ちなみに、この時の車両は「オーシャンアロー」の愛称がある283系でした。
その時の記事はこちらからどうぞ!
そういえば、この遠征の直前にJR東海がキハ85系の後継としてHC85系を導入するという発表を出していて、それならばと乗りに行ったんですが、結局「南紀」からキハ85系が引退するのはこの活動が2018年でしたから、5年もかかったことになりますね。
お金持ちのJR東海にしては遅かったと思いますが、コロナ禍もありましたし、JR東海の最優先事項は東海道新幹線とリニア建設であって、在来線は特急列車といえども優先順位が低くなってしまうのかもしれません。
そして、4回目ですが、この時は活動の都合で大阪から和歌山へ移動する必要があって、新大阪から和歌山まで乗車しまして、この時は元々北陸地方で活躍していた元683系の289系でした。
その時の記事はこちらからどうぞ!
そして、今回が5回目となるわけですが、今回も前回同様に「南紀」に乗るのがメインであり、「くろしお」は新宮へ行くための手段として利用したという経緯は共通しますね。
もし、大阪から新宮までの高速バスとかあったら乗ったかもしれませんが、意外な事実なものの大阪と新宮を結ぶ高速バスって存在しないんですよね。
白浜までのバスはあるんですがね。
おそらくは高速道路が新宮まで繋がっていないことから、鉄道にもろに競合する路線を設定しても勝ち目がないという判断なんでしょうね。
ただ、高速道路の延伸も着実に進んでいて、大阪側からはすさみ町まで高速道路が繋がっていて、新宮市と那智勝浦町の間も事実上の高速道路となる那智勝浦新宮道路というのが出来ているので大阪市と新宮市が高速道路で直結されるのも時間の問題でしょうね。
また、今までに乗った「くろしお」は381系・283系・289系だったのですが、今回は写真でお分かりの通り287系なので、これにて「くろしお」で活躍する(していた)車両は制覇することが出来ました。
今までと違った点として、まず1つ目は梅田貨物線の地下化が完成し、新大阪駅から大阪環状線に入るまでのルートが変わり、大阪駅にも停車するようになったということですね。
大阪駅から新大阪駅の区間は昨晩おおさか東線の列車で体験しましたが、大阪駅から南側は今回が初体験ですからね。
まあ、新線のほとんどが地下なので車窓とかは見られないんですけどねw
そして、2つ目は全車指定席になっていたことでして、長らく「くろしお」には自由席もあったので今回も自由席があると思っていて、普通に自由席特急券を買うつもりでいたのですが、この活動の前夜、ホテルの部屋にて何気なくスマホで「くろしお」について調べていると全車指定席であることに気づき、慌ててネット予約で指定席券を手配したという経緯がありましたw
元々は走行音収録の都合上、M車の位置を把握しておきたくて検索したんですが、気付かなかったら当日朝に券売機か窓口で新宮までの自由席特急券を買おうとして初めて自由席がないことに気づいていたことでしょうw
調べてみると2022年、つまり去年から全車指定席となったみたいで、JR東日本に負けず劣らず、JR西日本も特急の全車指定席化を進めているみたいですね。
まあ、当ブログ常連さんはご存知でしょうが、私は指定席があまり好きではないので私にとっては好ましくはないんですがねw
そして、今回の活動ではこの全車指定席のせいでちょっと痛い目を見てしまいました・・・
それから、今回乗車した列車は天王寺を出ると日根野に停まるみたいなんですが、私の中の知識では「くろしお」は基本的に天王寺~和歌山間ノンストップが基本で、日根野など途中駅に停まるのは早朝や夜間の通勤客が多い時間帯限定という認識だったのが、今は日根野は全列車停車となっているみたいですね。
まあ、関西空港への乗り換え駅ですし、関西空港と和歌山方面を連絡することを考えれば「くろしお」を停めるのは妥当といえるかもしれません。
だいぶ脱線しましたが乗車レポートに戻ると、新大阪を発車した「くろしお」はすぐに地下に潜っていき、昨晩見学したまだまだピカピカの大阪駅うめきた地下ホームへ滑り込みました。
例の全面ホームドアが車窓からも見えましたから車内視点からでもあの独特の光景は十分伝わってきました。
そんな大阪駅を出て梅田峠を上りますが、貨物列車にとっては補機が必要なほどの急勾配といっても、電車にとってはそうでないようで軽々と地上へ駆け上がりました。
ところで、最近の当ブログの傾向を踏まえると、何かが足りないと思っている方もいらっしゃるかと思います。
それは何かというと、「車窓動画」です。
いつもなら車窓を撮影しているところですし、実際のところ、撮影自体はしたんです。
ではなぜ貼っていないのかというと「ボツにした」からです。
理由は2つあって、1つは半分近くの区間で土砂降りの雨が降り、窓ガラスを流れる水滴でまともに景色が見えない状態だったというのがありまして、雨がそんなに降っていなかった区間に限定しても公開しようかなとも思ったんですが、一番海がきれいな区間で土砂降りの雨を食らったので、雨が降らなかった区間だけ公開するというのは、映画に例えればクライマックスシーンをカットして序盤から中盤くらいまでだけをお見せするようなものだと思ったので、泣く泣く全区間カットということになりました。
まあ、データ自体は削除せずに残しているので、晴れた区間だけでも見たいという声があれば公開するかもしれません。
そして、もう1つの理由ですが、それは途中のとある駅から乗ってきたおばちゃん2人組が私の1列後ろの席に座ったのですが、その2人組が乗車中ほぼエンドレスでお喋りを続けていて、しかも声のボリュームも結構大きかったんです。
少し前までコロナ対策の名目で「車内での会話は控えめに」という呼びかけがされていたので、それを口実に注意することも出来たでしょうが、新型コロナの5類移行でマスクの着用が任意になるのと同時にこの呼びかけもされなくなったので、ぐっと我慢するしか無かったんです。
しかも、彼女らが乗ってきた区間では既に車内はガラガラと言ってもいいほど空いていたので、自由席だったら席や車両を移動するだけで回避できたのになぁと、全車指定席を恨めしく思ったのでした。
結局、指定席だと、窓際とか通路側といった座席そのものは予約段階で選ぶことが出来ますが、その周辺に乗り合わせる人は乗車する瞬間まで分からず、いわば「隣席ガチャ」の状態なんですよね。
車内が満遍なく騒がしいならば諦めもつくのですが、喋っているのが例の2人組だけで、しかも車内が空いていたとあっては、指定席の悪い部分を体験する羽目になったわけです。
ようするに、その話し声がガッツリ入ってしまったというのも車窓動画をボツにした理由の1つです。
まあ、287系はまだまだ登場して日の浅い車両ですから、また機会があるさと割り切るしかないですね。
というわけで、雨で一番海がきれいな区間が台無し+後ろに騒がしい人というダブルコンボで「くろしお」はあまり快い乗車とはなりませんでしたが、新宮に到着です。
「くろしお」の乗車はちょっと残念でしたが、気持ちを切り替えて新宮駅を見ていきましょう。
といっても、過去に何度か訪れている駅ですし、変化がないかを軽く見ている感じになると思います。
「南紀」の乗車位置案内もありました。
ちなみに、「南紀」はこの40分後くらいにやってくるんですが、それには乗りません。
理由としては、「南紀」は紀伊勝浦駅始発となる列車がほとんどで、この次に来る「南紀6号」も紀伊勝浦駅が始発です。
そうなると、乗り鉄という人種の習性として始発から終点まで全区間乗りたいとなるのが常なんですが、問題はさっき乗ってきた「くろしお」で新宮まで来てしまうと、紀伊勝浦に引き返しても「南紀6号」には間に合わないということなんですよね。
じゃあ「くろしお」を紀伊勝浦で降りればいいだけの話だろうと思われるでしょうが、「くろしお」だって全区間乗りたいわけですw
じゃあどうするかというと約5時間後の「南紀8号」を待つという判断になりましたw
ただ、「南紀8号」だと出発が17時台と遅いこともあって半分近くの区間で日没後の乗車となって車窓を楽しめないという問題はありましたけどね。
そうなると、「くろしお」全区間乗車を諦めて「南紀」で車窓を楽しむか、「くろしお」全区間乗車を優先して「南紀」の車窓は諦めるかの2択となったわけですが、「南紀」についてはキハ85系という車両が引退するだけで、「南紀」という列車自体がなくなるわけではないため、HC85系が走り始めたらそのうちまた乗りに来るだろうということも考えて、「くろしお」全区間乗車を優先し、今回の行程になりました。
まあ、「くろしお」は先程も書いた通り、雨&騒がしいのダブルコンボで散々でしたので、いっそ紀伊勝浦で降りて「南紀6号」に乗り換えてやろうかという考えが脳裏をよぎりましたけどねw
ただし、それをやっても名古屋からの夜行バスを予約済みで「南紀」でも全区間車窓を楽しめる代わりに名古屋でやたらと時間を持て余す羽目になりますし、雨が止む見込みもしばらくないので、そこまでしても結局車窓は楽しめない可能性が高いということもあって予定通りの行程をこなすことにしたのでした。
熊野那智大社にちなんで大きな絵馬のオブジェがありました。
実を言うと熊野那智大社へ行くには紀伊勝浦駅からバスに乗り換えるルートが最寄りなので、新宮駅が最寄りではないんですけどねw
その熊野那智大社は今回乗車する熊野御坊南海バスの那智山バス停近くにあるので、立ち寄ることが可能です。
まあ、相変わらずの土砂降りなので行かないかもしれませんけどw
熊野本宮大社のバージョンもありました。
こちらは正真正銘、新宮駅が最寄りとなります。
こちら、熊野速玉大社も新宮駅が最寄りですが、なんと徒歩圏内です。
これは「ウエストエクスプレス銀河」を描いたアートですね。
ペットボトルの蓋を集めたモザイクアートでしょうか?
「ウエストエクスプレス銀河」自体が前回訪れたときには存在していなかったので、このアートも初見になるはずです。
大阪から4時間半も揺られていたことですし、新宮駅でも「パンダくろしお」を1枚くらい撮っておくとしましょう。
木を使ったオブジェもありました。
このあたりは紀伊山地の豊富な森林を活かした林業が盛んだった地域ですしね。
ちなみに、現在の和歌山県の範囲と三重県南部を、古くは「紀伊」と呼んでいて、「紀州」とか「紀の国」とか呼ばれることもありますが、一説によると木が豊富な土地だったから「木の国」と呼ばれるようになり、関西風のイントネーションで少し伸ばして発音されるようになって「木ぃの国」となり、それが変化して「紀伊」になったという説もあるそうですよ。
さっきの「パンダくろしお」の座席よりももっとリアルな座席がありました。
これは381系時代の「くろしお」の一部に設置されていたものでして、「パンダシート」と呼ばれていて、これは記念撮影スポットという意味合いが強かったみたいで、交代で座ることが推奨され、指定席などの扱いではなかったようです。
現在は287系が「パンダくろしお」となっていますが、この座席は引き継いでほしかったですね。
駅前あるあるの銅像ですが、「お燈祭り」というお祭りの様子を表現したものなんだとか。
「ウエストエクスプレス銀河」のヘッドマークが飾られていました。そりゃあ紀伊ルートにおける終点ですしね。
駅舎の壁面には子供が描いたかのような可愛らしいタッチの絵が描かれていました。
この石碑は有名な童謡「鳩ぽっぽ」の歌碑みたいです。
さっきのキャラクターも鳩がモチーフみたいですし、新宮市と鳩はゆかりがあるのかなと思いましたが、歌碑については「鳩ぽっぽ」の作詞を担当した東くめ氏が新宮出身であることにちなんでいるようです。
ちなみに、作曲は有名な滝廉太郎氏です。
そして、駅舎です。
前に来たときと変化はなさそうですが、つい流れで撮ってしまいましたw
でも、この看板は前はなかったと思います。
バス関係は観光客も多い場所ですしお色直ししたんでしょうね。
ちなみに、私が初めて新宮を訪れたときの目的は奈良交通が運行する日本最長の路線バスとして知られる「八木新宮線」に乗ることでして、まさにこの場所から「八木新宮線」に乗車したのでした。
その八木新宮線の案内がありました。
全区間乗り通すと6時間半ほどかかる長大路線となっており、日本最長ゆえの知名度からもバス好きならば1度は乗りたい路線の1つではないでしょうか?
私も1度は乗っていますが、久々にまた乗りたいななんて考えています。
ここでランチタイム!
駅前にあった「かつ田」というお店にお邪魔しました。
注文したのはマグロ丼で、このあたりはマグロを名物としてプッシュしている地域ですし、昨晩はがっつり牛カツだったので、ここでさっぱりした海鮮を味わえるのは嬉しいですね。
美味しく頂き、テンションもだいぶ復活してきました!
お店はちょうど踏切の前だったので、食後はついでにそこで撮影することにしたんですが、ちょうど「南紀6号」が停車中でした。
せっかくなのでこれを撮影していくとしましょう。
↑というわけで動画です。
↑ついでに227系も撮りました。
この踏切は新宮駅の名古屋方にあるので、JR東海の区間ということになり、営業列車としては227系は乗り入れませんが、側線への入換作業をする場合、一度名古屋方面へ走行し、本線上で向きを変えて側線に入るという動きになるため、新宮駅の名古屋方でも227系が見られるということみたいです。
また、新宮駅から名古屋方面の紀勢本線は非電化ですが、入換作業のために駅から先が少しだけ電化されているみたいですね。
これは知りませんでした。
ちなみに、営業上のJR西日本とJR東海の境界は新宮駅ですが、実際の線路の管轄境界は熊野川にかかる鉄橋の新宮側付近となっているみたいで、入換作業をする付近はJR西日本が保有する線路ということになるようです。
まあ、そうしないと入換作業の度にJR東海に線路使用料を払うことになりますしねw
といったところで新宮駅での活動は以上となり、ここからは熊野御坊南海バスの新勝線という路線バスに乗って紀伊勝浦駅へ移動です。
熊野御坊南海バス新勝線
ここからは乗りバス編です。
まずは新勝線と呼ばれる新宮駅と紀伊勝浦駅を結ぶ路線となります。
この新勝線は熊野御坊南海バスが運行する路線で、名称は新宮と勝浦から1字ずつとった名前ですが、名前の通り新宮と勝浦を結んでいるものの、経由地によって系統が分けられており、黒潮公園経由の11番、市立医療センター・木の川経由の15番、新翔高校前・上地経由の17番、そして、佐野会館前経由の25番と4つのバリエーションがあります。
新宮駅と紀伊勝浦駅の間はJR紀勢本線でも結ばれており、鉄道に完全に並行する路線となっていますが、鉄道の駅よりもこまめにバス停を設置することで、駅と駅の中間という需要を拾ったり医療機関や教育機関などを経由する便を設定することでも需要喚起を図っているようですね。
全系統を合わせると30分~1時間に1本程度は運行されており、地方の路線バスとしてはなかなか健闘している部類だと思います。
ただし、それでも経営状況的には安泰とはいえないようで、地域間幹線系統として和歌山県と国からの補助金を受けて維持されている路線のようです。
また、以前は紀伊勝浦駅から先、更に潮岬まで行く便もあったみたいですが、そちらは現在は廃止されてしまい、串本駅~潮岬間のみ串本町コミュニティバスに置き換えられており、串本市と那智勝浦町をまたぐ区間のバスは無くなってしまったようです。
それにしても、潮岬といえば本州最南端の岬として知られていて、著名な観光地の1つなのに、公共交通機関でのアクセス手段がコミュニティバスだけなんて寂しいですね・・・
ちなみに、個人的には潮岬と聞くと台風が接近した時に「台風◯号は潮岬の沖◯kmの地点にあり・・・」といった具合に台風の位置を伝える報道でよく出てくる地名なので、台風のイメージもあります。
というわけでレポートに戻ります。
駅前のバスターミナルには既に新勝線のバスが待機中でした。
行先ごとに乗り場が分けられていますが、バスがバックで据え付けるスイッチバック式のバスターミナルであるため、乗り場同士が近いのはありがたいですね。
最近のバスターミナルはバス発着時の安全性を考慮してバスを並行に据え付けるタイプが主流ですが、それだと乗り場同士が離れてしまい、慣れない利用者にとっては自分が乗るバスの乗り場を探すのが大変という問題がありますからね。
バスターミナルの全景です。
実はこのバスターミナルは熊野御坊南海バスの本社が入る建物で、1階はバスターミナルと観光案内所、2階は本社屋として機能しているようです。
ところで、熊野御坊南海バスってなんとも長い社名ですが、実はこれは熊野交通と御坊南海バスが合併して出来た会社でして、新宮駅周辺の路線は元々熊野交通の管轄でした。
私も以前に新宮を訪れた際に熊野交通の名前で見たことがあったので、熊野御坊南海バスと聞いてそんなバス会社あったっけ?と思っていましたが、合併で名前が変わっていたんですね。
ちなみに、社名に”南海”と着くことからも分かるように南海グループの一員でもあります。
JR九州を思わせる真っ赤なバスがいましたが、これも熊野御坊南海バスでして新宮市内のローカル路線に使われるようです。
市内路線は需要が少ないから小型のバスということなんでしょうけど、塗装まで変えているのが面白いですね。
それではあとは車内で発車を待つことにします。
地方のバス会社と侮るなかれと言わんばかりに最新式のLCDの運賃表示機となっていました。
そして、運転士さんが乗り込んできて、私の他に数名の乗客も集まったところでいよいよ発車時刻です。
↑マニア席を確保できましたので前面展望です!
新宮駅を出てからは数回の左折を経て紀伊半島随一の幹線国道の国道42号に出ます。
新宮市内は途中のバス停で待っている人がいると思えば、降りる人もちらほらいて、市内交通としてもしっかり利用されている様子でした。
高森という交差点ではバスは左折していきます。
まるで国道を逸れるような走り方ですが、実は曲がった先も国道42号であり、更にいうと曲がらずに直進しても国道42号ですw
どういうことかというと直進すると事実上の高速道路といえる那智勝浦新宮道路であり、この那智勝浦新宮道路は国道42号のバイパスという扱いで整備されているためですね。
バスが曲がっていく方は現道であり、那智勝浦新宮道路は自動車専用道路であることから、歩行者や自転車、125cc以下のバイクは左折を強いられます。
そんな現道に入っていくと紀勢本線の駅にもその名がある三輪崎となりますが、ここで新勝線のうち、市立医療センターなどを経由する系統は国道42号を外れるようです。
そこから更に国道42号を進むと11系統の経由地として案内される「黒潮公園前」です。
太平洋に面したこの土地にはぴったりの名前だと思いますが、逆に言えば太平洋沿いならどこでも使えそうな名前なので、かなり重複例が多そうな名前でもありますねw
ところで、今回乗車した11番の系統は一切寄り道せずに殆どの区間で国道42号を走るわけですが、他の寄り道する系統に対して、こちらが本線と言えそうですよね。
歴史的に見ても最初は国道経由だけだったと考えるのが自然ですし、11番は新勝線のうちもっとも古くからの系統を保っている系統なのかもしれません。
このあたりは紀伊佐野駅の近くですが、バスは駅のことはさも存在しないとばかりにスルーして「佐野」というバス停があるのみです。
三輪崎駅はちゃんと駅名を着けたバス停もあったのですが、紀伊佐野駅は国道から外れているせいですかね。
ロードサイド店が立ち並ぶ郊外の風景が終わると国道は海沿いに進みます。
紀勢本線がトンネルでショートカットする場所も国道は律儀に海岸線をなぞるように進んでいる箇所もあるため、紀勢本線よりも海が見える区間は多そうです。
このあたりで新宮市は終わりで、那智勝浦町に入っていきます。
そして、再び集落に入っていくと宇久井駅付近となります。
宇久井地区を出ると国道にもトンネルが出てきます。
このトンネルで通過するのは小狗子峠というみたいですが、国道も紀勢本線も数百メートルのトンネルであっさり通過してしまうため峠感はあまりなかったですねw
いくつかトンネルを抜けると那智駅に差し掛かります。
那智駅には道の駅「なち」も併設されており、バスは道の駅内にあるバス停に立ち寄るため、一時的に国道を外れて運行することになります。
駅としては那智山に最も近い駅となっていますが、特急が停車しないこともあって観光の拠点としてはあまり使われておらず、この次に乗る予定の那智山線も紀伊勝浦駅を起点として那智駅経由で那智山へ向かうというものになっているため、観光客は紀伊勝浦駅でバスに乗り換えるのが主流みたいですね。
これは松崎方面へのバスの乗り換え駅でありながら特急が停まらず伊豆急下田駅にその役割を奪われている蓮台寺駅に似ているかもしれません。
ところで、那智山線も紀伊勝浦駅~那智駅間は新勝線と並走することになるんですが、そうなると私は紀伊勝浦駅で那智山線に乗り継ぐので、紀伊勝浦駅~那智駅間を重複して乗ることになりますねw
まあ、どうせ「南紀8号」まで暇つぶしという意味合いが強いですし、乗りバスとしてもできれば全区間乗りたいのでいいでしょうw
そして、那智勝浦町のうち、勝浦地区の市街地に入っていき、いよいよ終点の紀伊勝浦駅です。
驚いたのが熊野御坊南海バスって運賃の支払いにPayPayが使えるんですね。
以前の旅では、北海道の道南バスでPayPayが使えるのを見たことがありますが、地方のバスではPayPayが拡大中なんでしょうか。
ちなみに、方式としては車内に掲示されている支払い用のQRコードを利用者自身のスマホで読み取り、運賃表示機にて運賃を確認してその金額を入力後、降車時に運転士さんの目の前で決済操作をするというものとなっていて、ICカード乗車券での乗車みたいに自動で運賃を計算してくれる機能はないため、乗車時に整理券をとって、降車前に運賃を確認するという流れは現金払いのときと同じです。
なので、利用者的にはICカード乗車券に比べるとちょうどの持ち合わせがないときに両替する手間が省ける程度の差でしかありませんが、バス事業者側としてはICカード乗車券を導入するならばカードリーダーや料金機の更新・設置が必要でコストも掛かるのがPayPayならば決済手数料はかかるでしょうけど、それ以外にかかるコストはバーコードを印刷した紙を車内に掲示するだけなので、お手軽ではありますよね。
私は現金払いのみだと思って前もって小銭を多めに用意していましたが、要らなかったですねw
この駅前にあるアーケードと「那智黒」の広告はすっかり紀伊勝浦駅を象徴する光景に思えてきます。
ところで、気になったのが路線バスが駅前ロータリーのど真ん中で待機しているんですよねw
待機場所がなくて路上駐車状態で待機するのはあるあるですが、それほど広くはないロータリーのど真ん中は斬新でしたw
こんな記念碑がありました。
紀南における鉄道発祥の地とありますが、実は現在の紀勢本線の一部となる新宮駅~紀伊勝浦駅間を建設したのは新宮鉄道という私鉄でして最初の開業は1912年に勝浦駅~三輪崎駅間での開業となっており、紀伊勝浦駅も紀南最初の鉄道の区間に含まれているわけですね。
「滝の湯」という足湯がありました。
雨のせいもあって寒かったので入っていこうかと思いましたが、利用後に足を拭くタオルを持ち合わせていなかったのと、手を突っ込んでみるとかなり温度が低くて、入っても暖まれそうもなかったのでやめましたw
初訪問ではないこともあって撮影が雑ですが駅舎です。
こちらは前回訪問したときから比べて特に変化はなさそうです。
なので、駅の方はこれ以降割愛w
紀伊勝浦駅をもっと見たいという方は前回の記事をご覧下さい。
それではあとはバスを待つのですが、その間にバス停まわりを見ていきましょう。
こちらは那智勝浦町の名前が入っていますが、町営バスのようです。
地域の基幹路線である新勝線と観光路線として需要が多い那智山線の2つのみ熊野御坊南海バスが直営で維持して、その他のローカル路線は町営バスとして維持している形みたいですね。
ハイエースコミューターがやってきましたが、これが那智勝浦町営バスのようです。
いかにも地方のコミュニティバスという感じの見た目ですが、こういう路線って本数が極端に少なかったり、時刻表などの情報が見つけにくかったりして乗りバスの対象とするには難易度が高いんですよね。
そして、こちらが熊野御坊南海バスのバス停です。
ところで、町営バスは「勝浦駅」でしたが、熊野御坊南海バスは「紀伊勝浦駅」と停留所名が違っているのが面白いですね。
駅名の方は千葉県にも勝浦駅があるため区別のために紀伊勝浦駅としたわけで、熊野御坊南海バスもそれに倣ったんでしょうが、町営バスの方は地元民が主なターゲットであり地元住民は勝浦駅と呼ぶ人も普通にいそうですからあえて”紀伊”を着けなかったのかもしれません。
全国的にも駅名に旧国名がついていてもバス停名では旧国名を省略してしまうケースはありますしね。
駅前に窓口があって乗車券の発売もしていましたが、意外だったのが那智山線にはお得な往復割引があったということです。
この往復乗車券は1100円で発売されていますが、普通に運賃を払うと片道あたり630円で往復だと1260円なので、160円もお得ですね。
しかも、この往復乗車券は大門坂~那智山間のフリー乗車券も着いているため、熊野那智大社・那智の滝・大門坂といった観光地間の移動にもバスを使えて便利です。
この手の一部フリーエリア付きの往復乗車券って往復分の正規運賃と同額で、フリーエリアがある分お得ですよという形が多い中、単純な往復利用でも得が出来て、それでいてフリーエリア内の乗り降り自由もついているなんて、大盤振る舞いですよね。
さて、あとはバスを待つのみです。
実は到着時にタッチの差で那智山線のバスが出てしまったのでちょっとだけ暇なんですよね。
那智山線は40分間隔で出ているので駅周辺をぶらついたりしているうちにある程度時間が潰れ、実際に待つのは20分くらいでしたけどねw
熊野御坊南海バス那智山線31系統
というわけで乗りバス2本目は那智山線31系統です。
この路線は熊野那智大社や那智の滝といった観光地と紀伊勝浦駅を結ぶものとなっており、観光路線としての役割が強い路線となっています。
運行間隔はおおむね40分サイクルとなっていて、1時間あたりだと1~2本ということになりますね。
意外なのは観光路線でありながら朝は6時台から運行があり、最終は18時台とちょっと早いものの、観光利用が少なさそうな時間帯にも運行があるので、地元住民の足という役割もあるみたいですね。
なかなか幕を出してくれず、しかも私の後ろに結構な人数が並んでいたのでこれしか撮れませんでしたが乗り込みます。
時間としては既に午後であり、今から那智山へ向かう人は少ないかと思えば全然そんな事はありませんでした。
↑それでもマニア席は確保できたので前面展望です!
実は那智駅までは新勝線と全く同じ経路なんですが、今度は逆向きなのでまあいいでしょうw
新勝線のときは利用者のほとんどが地元の方で、区間によっては私の貸切状態になることもあったのが、那智山線は観光客がそこそこ乗っていて、雰囲気がぜんぜん違いましたね。
那智駅までは見覚えのある景色が続きますが、那智駅を出ると国道42号を外れて県道43号那智勝浦古座川線へと入っていきます。
ここからは山へ向かう経路ですが、意外にも車窓は普通の田舎道という感じでした。
そして、バスは大門坂バス停に到着です。
ここで半分以上が降りていきましたが、バス停名の通りに大門坂と呼ばれる熊野那智大社への参道の入口にあたります。
より熊野那智大社に近いのは終点の那智山バス停ですが、この大門坂は熊野古道中辺路の1つで、古くからの姿をよく残しているそうであえてバスで近くまで行かないでここから歩いて熊野古道を体験しようという人たちなんでしょうね。
ちなみに、大門坂という名前はかつて通行料を徴収していて、そのための大門があったことにちなむそうです。
それにしても、有料道路というと近代以降の話かと思ったら、熊野古道の時代にもあったんですねw
もちろん、現在は無料で通れますが、意外だったのが那智勝浦町の町道に指定されているんですね。
公道扱いしたほうが保全がし易いということなんでしょうが、車道ではない公道って珍しいですよね。
そんな大門坂を過ぎると車窓は一気に山道に変貌して、バスはヘアピンカーブを駆使して高度を上げていきました。
この鳥居が那智の滝への入口みたいで、この場所にそのまま「那智の滝」というバス停があります。
ここでほとんどが降りていき、最後まで乗るのは少数派のようです。
そこへいたのは熊野御坊南海バスの観光バスでした。
有名な観光地ですし、団体ツアーのコースにも入っているんでしょうね。
那智山バス停付近は大型バスの待機に備えてか広めの駐車場が確保されていました。
駐車場の端からは景色が見られるかと思ったら曇っていてこの有様でしたw
バス停のある場所は観光センターになっていて、売店も併設しているようです。
観光バスにとってはツアー参加者の集合場所としてももってこいですね。
さっき駐車場で待機していたやつなのか、熊野御坊南海バスの観光バスが出てきました。
それにしても、出入りする道路の狭いことw
観光バスにとっては定番スポットということもあってか、運転士さんは慣れた手付きで颯爽と通り抜けていましたが、ここを大型バスで通るのは神経を使うでしょうね。
ちなみに、狭いのは観光センターの付近だけで、少し進めば普通の2車線道路になるので、すれ違いは前後でうまくやればなんとかなりそうです。
と、ここで1つ閃きました。
那智山線の折返しのバスが数分後に発車するみたいですから、それまでここで待っていれば、路線バスがこの狭い場所を通る映像を撮れるのではないかと!
↑というわけで熊野御坊南海バスの通過シーンです。
迫力としてはより大きな車体の観光バスの方が上ですが、趣味的には路線バスの方が画になるんですよね。
観光バスはお金さえ払えば好きな場所に配車できるのに対して、路線バスはその場所に路線が通っているからこそ通るわけで、そういう意味で観光バスより路線バスの方がレアな存在ということもあるかもしれません。
那智山を見学
さて、問題はここからです。
とりあえず「南紀8号」までに紀伊勝浦駅に戻ればいいので、2時間は滞在できそうです。
この時、雨も小康状態となり、せっかくここまで来たんだから熊野那智大社を参拝していこうという考えが浮かんだのですが、同時に私の脳裏に浮かんだのは三峯神社を訪問した時の記憶です。
三峯神社へも乗りバス目的で訪問し、せっかく来たのだから参拝していこうという流れになったのですが、バス停から本殿までは階段を登っていく必要があり、それも結構な段数だったので、折返しのバスの時間も気にしないといけないということもあり、ヒイヒイ言いながら参拝したのでした。
熊野那智大社もバス停を降りてすぐ目の前に本殿があるというわけではなさそうですし、時間はあれど体力的なことを考えればやめておくか?なんて考えてしまいました。
でも、結局は他の旅行者たちも皆階段に挑戦していたので、日頃の運動不足を解消するべく、私もその階段へと歩を進めたのでした。
那智山を巡る
というわけで、ここからは鉄道ともバスとも離れて、完全な観光となりますw
熊野那智大社を参拝し、時間が余れば那智の滝も見たいと思います。
参道の脇にあったこちら、観光案内所の類かと思ったら郵便局でしたw
こんな看板が設置されていました。
自然保護の観点から割りと見かける内容ですが、熊野信仰は自然崇拝から始まったものみたいですし、自然への畏敬の念を持って入山せよってことなんでしょうね。
まだまだ階段が続くようですが、観光地っぽい看板が出てきました。
観光客向けの土産物店が並ぶという、観光地らしい景色が出てきましたが、この日は平日であることに加えて悪天候と来ているためか観光客自体がまばらで、土産物店も閑古鳥が鳴いていました。
そして、ようやく大鳥居が現れました。
既にかなり歩いた気分ですが、やっと境内に入ったということですね。
手水舎は花が浮かべられてフォトスポットみたいになっていました。
そして、本殿へはまだまだ登りますw
それにしても、バスという文明の利器で途中まで来られるようになった現代でも大変なのに、最初から全行程を徒歩しかなかった時代に熊野那智大社を参詣していた人は、よほど信心深い人たちだったんですかね。
あそこの鳥居がいよいよ本殿への入口だと思います。
既に足はガクガク状態ですが、もう少し頑張りましょう。
そして、ついに本殿に辿り着きました。
苦労してたどり着いただけあって、ありがたさも一入です。
また、霞がかっているのがより荘厳さを演出しているようでした。
境内には八咫烏の像が鎮座しています。
熊野那智大社を含む熊野三山では、八咫烏は熊野大神に仕える存在として信仰されているそうで、熊野御坊南海バスの社紋にも八咫烏を採用しているようです。
余談ですが、東方Projectのキャラクター「霊烏路空」は八咫烏の力を取り込んでいるという設定がありますね。
せっかく来たのでしっかり参拝したら、次は那智の滝を目指して行こうと思います。
布袋尊の像が鎮座していました。
財運や夫婦円満、子宝、無病息災、商売繁盛、開運、良縁など様々なご利益があるそうなので、しっかり拝んでおきましょう。
更に進むと三重塔が出てきました。
こちらは青岸渡寺というお寺の一部だそうで、厳密には熊野那智大社とは別のようですが、隣接しているためしばしば熊野那智大社の一部だと間違われるんだとか。
昔は神仏習合といって、仏教と神道が綯い交ぜになっていたのが明治時代以降は神道と仏教をしっかり分けましょうということになり、神社の境内にあった仏教施設は撤去されることとなりましたが、青岸渡寺は西国三十三箇所の一番札所であったことから、熊野那智大社とは独立したお寺として分離されたということみたいです。
この三重塔と那智の滝を並べた写真があるので、どこかでそういうアングルで見ることが出来る場所があるみたいですが、どこか分からなかったのと、どのみち今日は生憎の曇り空で滝が見えない可能性が高いので深追いはしないでおきました。
三重塔を過ぎると道は一気に下っていき、途中からはこんな道になりました。
これも古くからの参道の一つのようで、那智山裏参道というそうです。
熊野那智大社と那智の滝を結ぶルート上にあることもあって、通行する人は多く、それに加えて足元が悪いし、雨の影響で濡れているしで慎重な足運びが求められる局面でした。
足元は石畳になっています。
舗装道路が当たり前の現代では、別に歩きやすい道とは思えないですが、砂利道が当たり前の時代では石畳があるだけでも歩きやすかったんですかね。
そんな裏参道を下りきると立派な車道に出てきました。
この道路はバスが通ってきた道でして、周辺には土産物屋や飲食店が点在しています。
バス停です。
面白いのがバス停のすぐ先がヘアピンカーブになっていることでして、こういう場所って一般的にはバス停の設置を避けると思うんですが、見通しは悪くなさそうということでここになったんですかね。
バス停には貸杖がありました。
確かにあの道ならば若くても杖が欲しくなりますw
そのまま裏参道に繋がっているので、あえて終点の那智山まで行かずに那智の滝で降りて裏参道を登って熊野那智大社を目指すのもいいかもしれませんね。
このあとですが、そろそろ紀伊勝浦駅行きのバスが来る時間であることに気づきました。
これに乗って駅へ戻ってもいいのですが、もう1本後のバスでも「南紀8号」には間に合うのでこれは見送りです。
そして、せっかくなのでこのヘアピンカーブを通るバスを撮ってみたいと思い、バスが来るまでここで待機することにしました。
バスを待っている間にバス停はこんなことに!?
え?これ全員乗るの?
↑バスがやってきました。
↑そして、出発です。
ヘアピンカーブを曲がるバスをこの視点で見られるのはレアで、迫力ある映像が撮れたと思います。
ちなみに、バス停にいた人たちは半分くらいしかバスには乗らず、残りはクルマか貸切バスでやってきた人たちがちょうど広くなっていて立ち止まって休憩するのにうってつけなバス停で一休みしていたんでしょうねw
それでは那智の滝を見に行きましょう。
実は那智の滝自体も飛龍神社という神社の御神体となっているんだそうで、飛龍神社は熊野那智大社の別宮という位置付けなんだとか。
バス停からは少し歩きますが、熊野那智大社への移動に比べれば遥かに近いですね。
ただ、今度は坂を下っていく形になるので、行きは楽ですが帰りが辛そうですw
別宮とはいえ独立した神社なのでここにも鳥居がありました。
ところで、熊野那智大社の鳥居は朱色に塗られていましたが、こちらは白・・・色の違いは何か意味があるんですかね?
坂を下りきるとちょっと広場が出てきて、そこが飛龍神社です。
実は飛龍神社は滝そのものを御神体としているためか本殿が存在しません。
しめ縄が張られた岩と那智の滝です。
ここも霞がかっていることがより荘厳さを演出してくれていいですね。
滝単独で
那智の滝は華厳の滝、袋田の滝と並び、日本三大名瀑の1つですが、一段で一気に流れ落ちる滝としては落差133mとなり、これは日本一なんだそうです。
※北方領土にあるラッキベツの滝の方が一段での落差が大きいのですが、日本の実効支配が及ぶ範囲にある滝という意味では那智の滝が日本一です。
↑動画でもどうぞ
なかなか達筆な書体ですが、「那智大滝」と書いてありますね。
ところで「那智(の)滝」と表記していたり「那智大滝」と表記していたり、現地でも表記が揺れているのが気になったんですが、調べてみると「那智の滝」といった場合は那智山に多く存在する滝のうち、修業の場として使われた48の滝の総称だったそうで、今見ている滝はその「一の滝」ということになるんだとか。
現在では「那智の滝」というとこの「一の滝」を指すことが多くなり、バス停名も「那智の滝」という表記を採用していますが、特にこの滝のことを特定して言及したい場合は「那智大滝」という表記をすることもあるそうです。
護摩木も用意されていました。
本来は願い事などを書き込んでからお焚き上げするのですが、ここは書き込まずに念を込めてから炊き上げるようにとのこと。
↑炊き上げる様子は動画でどうぞ
なんだか火って見入ってしまう時がありますね。
キャンプファイヤーの火を映すだけの配信とかありますが、見たくなる気持ちも分かる気がしますw
それではバス停へ戻るとしましょう。
時間的には少し待ちますが、せっかくならば今度は那智山行きのバスを例のヘアピンカーブで撮影しようということでスタンバイします。
↑バスがやってきました。
さて、この後なんですが、このまま那智の滝バス停で紀伊勝浦駅行きのバスを待つというのが自然な流れですが、ここでどうせなら復路も全区間乗りたいという欲が出てきて、結局那智山バス停まで徒歩で移動して全区間乗車を目指すことにしました。
距離にすれば1kmもないくらいですし、発車までは15分ほどあるので余裕で間に合うと思っていたんですが、那智山へは延々と登り坂だったことから結局、到着はギリギリでしたw
これに乗り遅れていたら「南紀8号」に乗れなくなるどころか、これが最終の「南紀」ですから、今日中に名古屋へ抜けることもできなくなり、現地でもう1泊するか「くろしお」で新大阪へ出るルートに変更するかを強いられていましたから結構危ない橋を渡っていましたねw
なんとか那智山観光センターに戻ってきました。
この裏手にバス停があります。
今度はバスの撮影はなしでさっさと乗り込みました。
ここから乗るのは私だけのようで貸切状態でスタートとなりました。
運転士さんの内心では、「こいつ、さっき那智の滝で撮ってたやつじゃね?」とか思ったかどうか分かりませんが、特に言葉を交わすでもなくバスは那智山を出発していきました。
↑というわけで復路も前面展望をどうぞ
経路は往路と変わりませんが、今度は坂を下っていく方向なのでまた違った眺めになりました。
那智の滝で10名ほど乗ってきてあとはほとんど乗降もなく紀伊勝浦駅まで向かったのですが、那智駅で慌てて降りていった外国人がいたのがちょっと気になりましたね。
というのは、元々降りる予定だったというよりは、車窓から駅が見えたことで、電車に乗り継ぐにはここで降りなければならないと直感的に考えて飛び降りたのだとしたら、那智駅には特急が停まらないので特急利用予定だったとしたら最悪乗り遅れてしまいますし、「くろしお」ならば普通列車で紀伊勝浦駅まで出てからでも間に合いそうですが、「南紀」は多分間に合わないので大丈夫かななんて思ってみていました。
まあ、本当に那智駅に用事があっただけかもしれませんし、声をかける事はしませんでしたけどね。
そして、バスは紀伊勝浦駅に戻ってきました。
これにて寄り道編は終わりで、あとは「南紀」で名古屋へ向かい、最後のキハ85系を堪能していきます。
キハ85系「南紀8号」で名古屋へ
というわけで既に2万字に迫る勢いながら、ようやくこの遠征の最大の目的であったキハ85系「南紀」に乗車します。
発車標です。
特急「南紀」以外は新宮で系統分断となっているため、特急以外は全て新宮行きです。
↑当駅のエレベーターは改札内と改札外で共有しているタイプだったのですが、それぞれ高さが違うので停車する側とは反対側だとズレて停まるのが面白くて動画を撮ってみました。
ちなみに、以前に訪れた八日市場駅でも同じようなエレベーターがあったのを覚えています。
駅のコンコースから駅前ロータリーが見えましたが、なんと待機するバスが2台になっていましたw
いました!
引退が迫っていることもあって撮影している人も多かったです。
なんだこれ?と思ったら自転車カバー着脱用のスタンドみたいですね。
実は「くろしお」ではサイクルトレインを導入していて乗車中は自転車をカバーに入れる必要があるようで、そのときに一時的に立て掛けるためのスタンドのようですね。
それでは乗り込みます。
例によって自由席ですが、引退が迫っているとは言いつつも思ったほどは混んでいませんでした。
恐らくは最終便となる「南紀8号」は半分以上の区間で日没のため車窓が楽しめないため、さよなら乗車目当ての乗り鉄も少なかったのかもしれません。
ラストランの2週間ほど前だったので、混み合っているのも覚悟していましたからよかったです。
そして、定刻通りキハ85系「南紀」は心地よいディーゼルサウンドを響かせながら紀伊勝浦駅を後にしました。
次の停車駅は新宮駅であり、そこまではJR西日本の管轄です。
一時期はキハ85系の引退に合わせて「南紀」の紀伊勝浦駅乗り入れが廃止されるなんて噂もありましたが、結局はHC85系投入後も変わらずに紀伊勝浦駅への乗り入れが継続されることになり一安心です。
20分ほどの走行で新宮駅に到着します。
ここからJR東海の区間に入っていきますが、乗務員もここで交代となります。
↑新宮駅発車から数分間だけですが、前面展望を撮ってみました。
最前列の席は先客がおられて座れなかったのでちょっと強引なアングルですがw
この前面展望もHC85系では楽しめないみたいですし、キハ85系の引退は運行区間での前面展望を楽しめるという意味でも見納めになってしまうんですね。
名古屋方面の列車では先頭車が自由席なので前面展望も早いもの勝ちなんですが、ラストランの日とか紀伊勝浦駅に展望席目当ての人が長蛇の列を成していたりしてw
相変わらず曇り空ですが、雨脚は弱まってきてそれなりに車窓は楽しめそうです。
もし名古屋まで明るいうちに到着できる時間帯だったら車窓動画を撮影したかもしれないなというシチュエーションでしたが、どんなに頑張っても多気か松阪あたりで完全に日没でしょうし、結局撮りませんでした。
まあ、側面の車窓はHC85系でもチャンスがありますし、またの機会の楽しみにしておきましょう。
砂浜も見えました。
流石にこの天候では泳いでいる人はいませんが、天気が良ければ賑わっているのかな?
紀伊長島を過ぎると紀勢本線は海沿いを離れて内陸を進むようになります。
志摩半島の付け根を横断する経路なためですが、もしこの区間も海沿いに線路が敷かれていたら遠回りではありますが車窓からはリアス式海岸の美しい景色が楽しめましたし、賢島や鳥羽といった観光地を通ることになっていたので、近鉄との激しい競争が繰り広げられていたかもしれません。
でも、この経路のお陰で海と山の両方の車窓が楽しめるわけですし、結局は今の経路でよかったのかもしれませんw
流石にこのあたりからはすっかり暗くなって車窓は撮れなくなりましたが、列車は三重県の県庁所在地である津に差し掛かります。
ここから紀勢本線を外れて伊勢鉄道に入っていきます。
伊勢鉄道は紀勢本線の津駅と関西本線の河原田駅の間を結ぶ第三セクター鉄道で、特急「南紀」や快速「みえ」など名古屋と三重県中南部を結ぶ列車の短絡ルートとして機能しています。
建設されたのは国鉄時代で、当初から紀勢本線と関西本線の短絡路とすることを目的にしており、これにより従来は亀山経由で遠回りな上、スイッチバックが必要な非効率な運行を強いられていたのが効率化できると期待されていましたが、利用が伸び悩み特定地方交通線に指定されてしまい、国鉄線としては廃止されることとなり、その後を引き継ぐ形で伊勢鉄道に転換されました。
名古屋と伊勢や熊野、新宮方面を短絡するという立地から需要は多そうであり、現在でもその役割を担い伊勢鉄道は地方の第三セクター鉄道にしては珍しく黒字経営が維持できているということも考えると、そもそもどうして特定地方交通線になってしまったのかと疑問に思うところですが、どうやらせっかく開業した伊勢線を国鉄は十分に活用できなかったというのが理由としてあるようで、伊勢線開業後も従来の亀山経由の列車が多く残り、伊勢線を経由する優等列車は紀勢本線を走る優等列車の半数程度となってしまったのです。
これは従来の接続点だった亀山駅の利便性が下がることに配慮したとか、関西本線奈良方面との乗り継ぎに配慮したとか、色んな理由が想像できますが、実際のところはよく分かりません。
ただ、伊勢鉄道転換後はJR東海とともに「みえ」や「南紀」の経路として活用されることで黒字化を果たしており、この史実を踏まえれば機械的に輸送密度といった数値のみを根拠に伊勢線を経営分離した国鉄の判断は疑問を持たざるを得ないもので、国鉄の失敗の1つとして語られたりもするようです。
途中には鈴鹿駅があります。
トレーナーをやっている身としては、「サイレンススズカ」を連想せずにいられない駅名ですが、馬名の方は鈴鹿山脈を由来としているそうです。
また、ウマ娘の「サイレンススズカ」のセリフとして「先頭の景色は譲らない」というのがありますが、キハ85系は展望席があるので「先頭の景色」を楽しむことが出来ますから、彼女にもピッタリの車両ですねw
伊勢鉄道が終わって関西本線に入っていくと列車密度も上がり、だいぶ賑やかな雰囲気になってきます。
それでいて単線区間が多く残っていることもあって列車行き違いの運転停車も多くなってきます。
三重県最大の人口を誇る四日市や三岐鉄道北勢線と養老鉄道との接続駅の桑名にも停車したらいよいよ最後の区間となります。
桑名からはさよなら乗車をしに来たであろう親子連れの姿もありつつ、最後の区間の余韻を楽しみつつ名古屋まで行きました。
大都会名古屋の景色が見えたらもうすぐ終点です。
これでキハ85系とはお別れだと思うと寂しいですが、京都丹後鉄道で第二の人生を歩むみたいなので、そちらもいずれ乗りに行くとしましょう。
最後まで騒がしい人が乗ってくることもなく、録音という意味でも最高の結果となりました。
キハ85系の「南紀」はもう2度と録り直しが効かないので、これは本当によかったです。
「くろしお」で不運を引いた分、「南紀」で幸運を引き寄せたのかもしれません。
それか、熊野那智大社のご利益かもしれませんね。
ちょっと強引ですが新幹線と並べてみました。
一部が京都丹後鉄道で活躍を続けるとはいえ、新幹線と並ぶことはもうないでしょうしね。
↑最後に引き上げを動画撮影して撤収です。が・・・
実はここから帰路に使う夜行バスまでは2時間ほど待ち時間がありまして、夕飯を食べる時間を加味してもだいぶ暇になりそうです。
なので・・・
構内で撮影を楽しむことにしました。
こちらはJR東海最新鋭の電車、315系ですが、ちゃんと撮影するのはこれが初めてでした。
去年の名古屋遠征では一瞬だけ目撃はしていたんですがね。
同じホームからも撮影します。
初めましての車両なので、乗りたい衝動に駆られつつ、見送ることにします。
まあ、これからどんどん増えていく車両でしょうし、また乗る機会もそのうちあることでしょう。
↑そして、発車シーンです。
コンコースにはこんなポスターがありました。
沼津を舞台にしたアニメとして有名な「ラブライブ!サンシャイン!!」とコラボしたさわやかウォーキングをやるみたいですね。
記事執筆時点ではとっくに終了していますが、JR東海がこういうアニメとタイアップした企画をやるのってちょっと意外でした。
しかも、これに合わせて「ラブライブ!サンシャイン!!」の声優さんによるアナウンスが流れる特別列車まで走ったそうで、気合の入り方がすごいですね。
ここで晩ごはんです。
「南紀」の車内で駅弁でも食べることも考えましたが、名古屋を訪れるのはなんだかんだで1年と数カ月ぶりで、久しぶりに名古屋めしを味わいたいと思って、名古屋到着まで夕飯を我慢していたのでした。
注文したのは味噌カツ、手羽先、土手煮という名古屋名物を1度に3品も味わえる定食でして、美味しく頂きました。
名古屋はご当地グルメのバリエーションが多くて、どれを食べるか悩みがちなので、こういう定食はありがたいですね。
腹ごしらえも済んだら、構内にあったマックで暇をつぶしてから夜行バスで帰路に就きます。
杉崎高速バスで東京へ帰る
というわけで、いよいよ活動も終盤を迎え、あとは夜行バスで東京への帰路に就きます。
利用するのは元高速ツアーバス事業者だった杉崎高速バスというバスで、実は利用はこれで2度目です。
なので、普段は夜行バスの記事は独立記事として執筆することが多い中、遠征記事の一部という取り上げ方をしています。
また、前回の記事もよろしければ併せてご覧下さい。
前回の記事をご覧頂ければ分かりますが、杉崎高速バスは独特な自動放送が特徴で、実は今回もそれを楽しみに杉崎高速バスを選んだフシがありますw
また、前回の乗車が東京から名古屋でしたので、ちょうど逆区間を利用する形になりますね。
乗り場は「名古屋駅前(ミッドランドスクエア前)」というところで、名古屋駅からも近いですが、駅前ロータリーや名鉄バスセンターのように分かりやすく案内されているわけではないので、初見の方はよく下調べした上で時間に余裕を持って訪れることをおすすめします。
この日は普通の平日ではありましたが、その分運賃が安いこともあってか多くの利用者でバス停前はごった返していました。
前回の記事でも触れましたが、恐らくは高速ツアーバス時代に乗降場所としていた場所をそのまま正式なバス停として申請してこの位置になったんでしょうね。
この場所には多くの元ツアーバス系の事業者のバスが乗り入れていて、夜行バスの出発ピークとなる22時~0時くらいまでは本当にひっきりなしにバスが出入りしていきます。
そのため撮りバスも捗りそうですが、人が多いですし、街路樹などが邪魔してあまりいいアングルでも撮れないので数枚撮ったら大人しく待っていました。
現地には案内のスタッフがいて、乗車の受付もしていましたが次々と色んな会社のバスがやってくるので、間違えて違うバスに乗ろうとする乗客が現れる一コマも・・・
夜行バスは大抵座席指定制ですから、間違えて乗っても席のブッキングで気づくでしょうけど、その席がたまたま空席だったとかで気付かずそのまま行ってしまったら大変ですよね。
そしていよいよ私の予約した杉崎高速バスがやってきました。
既に乗車待ちの行列が形成されていて列を離れるわけには行かなかったのもあって乗ったバスは撮影できませんでしたが、この先のサービスエリアとかで撮影のチャンスはあるでしょう。
ただ、前回乗車した時とは違う塗装のバスが来た上、「Sakura」という表記が入っていたことが気になりました。
都市間バス大手のウィラーバスでも実際には別のバス会社に運行委託していて、あのピンク色のバスが来ない場合がありますが、今回もそのパターンなんですかね。
今回は通路側の席となっていて、多少通路側へはみ出せる分、圧迫感は少ないですが、壁にもたれかかれる窓際と違って左右ともによりかかれる場所がないので姿勢が安定しづらいというデメリットはありますね。
乗車すると手荷物をまとめ、充電ケーブルをセットするなどして一晩の旅に備えました。
私が着席した後も続々と乗り込んできて、これは満員かなと思ったら私の隣の席はいつまで経っても乗客が来ません。
時計を見ると既に発車時刻になっていて、これは隣が空席という激レアを引いたのか!?と喜んでいたら発車時刻を少し過ぎて1名駆け込んできて、その方が私のお隣さんのようですw
ぬか喜びに終わりましたが、まあこの時間帯に名古屋に取り残されたら宿泊以外の手段がなくなるでしょうし、間に合ってよかったですねw
バスは名古屋駅を出るとすぐに消灯モードになって明かりも消されるのですが1つ物足りないものが・・・
それは例の自動放送が流れないのです。
それも、自動放送自体がなくて運転士さんの肉声によるマイクでの案内のみでした。
バスの塗装からして杉崎高速バス本体が運行しているのではなくて、どこか別のバス会社に委託しているパターンだと思われるので、放送装置をそもそも積んでいないのかもしれません。
あのアナウンスを楽しみにしていたのでちょっとがっかりですが、どっちみち安く利用できるバスでもあったので、格安な移動手段と割り切っていきましょう。
数回の休憩があったはずですが、寝ていて気付かず、もう関東地方に入り海老名サービスエリアで休憩のため下車しました。
ここでバスを撮影ですが、トラックに挟まれてあまりいいアングルではないですね・・・
妙にファンシーな塗装のこちらは”VIP LINER”です。
こちらも元高速ツアーバス系の事業者ですね。
それではバスに戻ります。
ここから先は東名高速道路で東京を目指しますが、バスは町田にも立ち寄るそうで、一旦高速道路を外れると思われますが、その間は寝ていて記憶がありませんw
結局、私が目を覚ましたのは首都高を降りて一般道を走っているときで、もうすぐ終点の東京駅といったところでした。
さて、いつもなら最後にバスを撮影して旅の締めくくりとするところですが、それは出来ません・・・
何故かというと終着地の東京駅鍛冶橋駐車場は撮影禁止だからです。
以前に逆方向で杉崎高速バスに乗ったときも東京駅鍛冶橋駐車場から乗車しており、そのときに撮影禁止の貼り紙を見ていたので知っていたんですが、前回の利用から4年が経過しており、もしかしたら解禁されているかもという淡い期待もあったんですが、今でも撮影禁止は変わっていないようですね。
ただ、バスを降りてすぐに目に見える範囲には撮影禁止の貼り紙はなかったですし、到着時のアナウンスでも撮影禁止である旨の案内はされていなかったので、普通に知らずに到着の記念に写真を撮る人もいそうですけどね。
禁止するならするでもう少し案内は徹底したほうがいいのでは?とは思いました。
ところで、なぜ撮影禁止なのか気になって少し調べてみたんですが、インターネットの海は広いもので、この件を鍛冶橋駐車場を運営する会社に問い合わせした方がいるみたいで、その情報によるとどうやら元々は撮影禁止などではなかったが、バスの前方や車道にはみ出して撮影する人が現れたので、まずはそのような危険な撮影については禁止ということになり、その後京成バスが運行する「有楽町シャトル」というバスが鍛冶橋駐車場に乗り入れるようになった際に、国内では珍しい2階建てバスが充当されていたこともあってこれ目当てのファンが撮影に集まるようになり、バスの発着に支障をきたすような状況が見受けられたことから、「有楽町シャトル」の運営主体である京成バスをはじめ、乗り入れ各社の要請もあって敷地内全面撮影禁止ということになったそうです。
鉄道趣味界隈での撮り鉄の問題に似た経緯であり、鉄道ファンでもバスファンでもマナーを守れない人は一定数いるのだなと残念に思う次第ですが、ファンでなくても夜行バスを旅行の手段として使う人も乗車の記念に撮影するのはごく自然な行動だと思いますし、「有楽町シャトル」は「東京シャトル」(後に「TYO-NRT」に改名)に統合される形で廃止された今となっては珍しいバスが鍛冶橋駐車場に乗り入れることもなくなったわけですし、撮影を解禁しても問題は起こらないようにも思えます・・・
まあ、運営会社的には撮影を認めるメリットに乏しいので、このまま惰性的に禁止が続きそうですけどね。
ファンサイドとしても、撮影を解禁してもいいと思ってもらえるくらい、マナーの改善を目指していきたいところです。
鍛冶橋駐車場が撮影できなかった代わりというわけではないですが、オープンしたばかりの新しいバスターミナル「バスターミナル東京八重洲」をご紹介します。
バスタ新宿の東京駅版といったところで、高速バスの多くがここから発着するようになりまして、路上で客扱いしていた路線もここに集約されて分かりやすくなりました。
ただ、JRバス関係は引き続き八重洲口の駅前ロータリー、元ツアーバス系は鍛冶橋駐車場、そしてJRバスが絡まない私鉄系(主に京成グループ)のバスがバスターミナル東京八重洲と、結局は分散したままになっていて、JRバス・私鉄系・ツアーバス系の別け隔てなく乗り入れているバスタ新宿に比べると統合は中途半端な感もありますw
今回は4日間のレポートとなり、各記事が3万字前後となるなど、ボリューミーな記事となりました。
それもついに完結となるわけですが、最後までお付き合い頂きありがとうございました。
次回ですが、東京近辺で単発の活動をしているので、そのレポートでお会いしましょう。
それでは!
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