今回は3泊4日の日程で関西方面へ遠征を実施しました。
関西への遠征は今年2回目となりまして、タイトルが被ってしまうので、”第2弾”と着けさせて頂きました。
そもそもの発端は特急「南紀」からキハ85系が引退するという発表が出たことであり、最後に乗り納めをしようということでしたが、せっかく遠征するならば他にも色々したいと考え、そういえば関西の私鉄は乗っていない路線が多いなと気づき、ついでに関西私鉄の乗りつぶしもすることにしたのでした。
なので、本来の目的であった「南紀」乗車は活動全体からするとおまけ的な感じになってしまっていますw
おおまかな活動内容
今回は3泊4日とまあまあ大規模な遠征になるわけですが、細かい行程は各日程の記事で紹介するとして、まずは全体の大まかな活動内容を説明しておきます。
ざっくり関西私鉄の乗りつぶしと書きましたが、今回ターゲットにするのは南海電鉄、阪急電鉄、神戸電鉄であり、地理的に関連がある水間鉄道、泉北高速鉄道、北条鉄道、能勢電鉄もついでに乗りつぶしてしまいます。
このうち阪急電鉄については半分近くを既に乗っていることから、今回新たに乗車するのは宝塚本線、箕面線、伊丹線、今津線、甲陽線となり、いわゆる神宝線関係がメインとなります。
その他の鉄道会社については全く持って乗ったことがない鉄道会社ばかりなので、私にとってのファーストコンタクトとなります。
特に南海電鉄は私にとって大手私鉄の中で唯一、1区間たりとも乗ったことがなかった鉄道会社だったので、今回で一気に完乗を目指したいと思います。
が・・・実は今回の遠征では南海電鉄完乗はできないんですよね・・・
理由はレポート本編にて明かします。
そして、本来の目的であった「南紀」ですが、「くろしお」で新宮まで行き、始発である紀伊勝浦まで移動後、那智山などを観光しつつ「南紀」で名古屋まで乗車して最後は夜行バスで帰路につくというものとなっています。
本日の行程
そして、1日目となる本日の行程ですが、まずは深夜の京成線で成田空港へ向かい、そこからLCCのピーチで関西国際空港へ飛びます。
関西国際空港からは南海電鉄の特急「ラピート」で難波へ、折返し「サザン」で和歌山市へ、和歌山港線、加太線を乗りつぶしてからみさき公園へ向かって多奈川線、貝塚から水間鉄道を乗りつぶしたら南海本線で難波へ戻り、最後は「泉北ライナー」で和泉中央まで1往復して泉北高速鉄道も完乗してしまいます。
主に南海本線関係を乗りつぶす1日ということになりますね。
まずは成田へ向かう
というわけで成田空港へ向かうのですが、出発が朝早い便なので前日のうちにターミナルへ向い、ターミナル内で夜を明かします。
そのために上野駅にやってきたのですが・・・
な、なんかいるー!?
これはEF81形のようですが、上野駅にいるってことは・・・?
「カシオペア」だぁ~!
狙っていたわけではなくて本当に偶然でした。
京成線との乗り換えは余裕を持っていたので、引き上げを撮影することが出来そうです。
実は上野駅に到着した寝台特急は尾久にある車両基地へ回送する際、機関車を最後尾に客車を押していくという「推進運転」を行うことで有名で、「北斗星」や「あけぼの」など寝台特急が多く走っていた頃には上野駅の名物と言ってもいい光景でした。
「カシオペア」は今は団体列車としての運行のみになってしまいましたが、それでもこの光景が令和の現在まで見られるのは嬉しいですね。
↑発車は動画でどうぞ
ゆっくりと発車していくのが客車列車ならではですね。
それでは京成上野駅に移動して移動です。
本来は節約の為各駅停車で成田空港へ向かう予定でしたが、「カシオペア」を撮っている間に乗り逃してしまったので課金して「イブニングライナー」で空港へ向かいます。
「イブニングライナー」は本来は帰宅時間帯のライナー列車として運行されており、「スカイライナー」が成田スカイアクセス経由で運行されるのに対して、「イブニングライナー」は京成本線経由であり、基本は京成成田までの運行ですが、21時以降の列車は「スカイライナー」の運行がなくなる代替として成田空港まで運行されます。
停車駅は京成上野・日暮里を出ると青砥・京成船橋・八千代台・京成佐倉・京成成田・空港第2ビル・成田空港と停車していき、沿線住民の帰宅の足という位置づけから停車駅が多めになっています。
でも、成田スカイアクセス開業前の「スカイライナー」を追体験できる列車ですし、「スカイライナー」よりお得な450円の特急券を追加するだけで乗れるので、遅い時間に成田空港へ行く際には狙い目な列車とも言えると思います。
このように構内ではライナー券を買えないので改札をくぐる前に券売機で買い求めましょう。
かつてのJRのライナーでよくあった乗車口制限は「イブニングライナー」でも実施されています。
京成上野駅では2号車・3号車の2箇所のみが開き、乗車口にてライナー券の改札をしています。
降車駅についても青砥・京成船橋ではそれぞれ8号車のみ、7号車・3号車のみと制限があるので、特に青砥で降りる方は3号車から乗って8号車で降りる必要があるため要注意です。
まあ、こんな短距離でライナーを利用する人は稀でしょうけどねw
ちなみに、裏を見ると「スカイライナー」の案内になっていました。
「イブニングライナー」が走らない時間帯は裏返して使っているのかな?w
3500形がいましたが、よく見ると千葉中央行きでした。
千葉中央は京成千葉線の駅ですが、普段は本線との直通はしていないので、京成上野駅においてはラッシュ時のみ見られるレア行先ですね。
ただ、千葉へ行きたいなら総武快速線を使ったほうが早いでしょうし、京成で行くにしても各駅停車で乗り通すより快速なり特急なりで京成津田沼まで先行した方が早そうですがw
↑発車シーンです。
↑入れ替わりで「イブニングライナー」がやってきました。
↑車内清掃が終わり座席転換が始まりました。
最近の車両だと自動で回転する機能がついていることが多いですが、これは見ていて壮観ですよね。
やっぱり特急型車両での移動は快適ですね。
何度か乗ったことがある列車なので乗車中は割愛して成田空港へ到着です。
例によってターミナル内のベンチで夜を明かして早朝の便で関西空港へひとっ飛びです。
もはや慣れすぎてルーチンとなっているこの流れを経て搭乗ですが、ターミナルからバス移動ということもあって飛行機の写真すら撮らずに関空まで行ってしまいましたw
流石にターミナルのベンチでは熟睡とまでは行かず寝不足もあったのでフライト中はほとんど寝ていた気がします。
これがレガシーキャリアだと機内サービスがあるので、それを待ってから寝ようとなるのですが、LCCでは機内サービスは有料のものしかないので利用しないのであれば逆にさっさと寝ることが出来ていいと思います。
関西空港では鉄道駅直結の第1ターミナルと、主にLCCが乗り入れる第2ターミナルがあり、その間はバス移動です。
その連絡バスには連接バスが充当されていました。
これは前回利用した際にもいましたね。
これで第1ターミナルへ移動したら、いよいよ関西地区での活動が始まります。
まずは「ラピート」で難波へ向かう
ここからは南海電鉄の乗りつぶしが始まります。
私にとっては全くの初めましての路線だったので、本当に楽しみです。
まずは南海電鉄のフラッグシップ列車といえる「ラピート」に乗ります。
このあとは和歌山県内での乗りつぶしなので効率を求めれば泉佐野で降りて南下していく方がいいですが、初の「ラピート」ですし、せっかくならば全区間乗りたいということで難波まで乗り通すことにしました。
こちらが南海の改札口です。
JRとは隣同士になっており、逆にどっちを利用していいか分からなくなるかもしれませんね。
どちらも大阪市内、和歌山市内ともに行くことが出来ますが、特に大阪市内へ向かう場合、JRなら天王寺や大阪駅、「はるか」なら新大阪や京都へ直結である一方、南海は新今宮や難波へ直結となっていて、大阪市内でもキタかミナミかで使い分けることになりそうです。
きっぷ売り場です。
すっかりインバウンドも戻ってきたのか外国人の姿も多く見られますが、私は乗車券はICカードで、特急券はチケットレスのネット予約なのでこの列に並ぶ必要はありません。
というか、南海電鉄は1日乗車券を発売していないので、今回の活動では乗る度にICカードをタッチして運賃を精算していくので、使用するSuicaの残高が恐ろしい勢いで減っていくことになりますw
ターミナルの案内です。
このように鉄道駅や高速船の乗り場は第1ターミナルに集約されており、LCCメインの第2ターミナルは少し不便です。
まあ、このあたりは成田空港でも大半のLCCが鉄道駅がない第3ターミナルから出るのに似ていますかね。
ちなみに、今回利用したピーチは成田空港では第1ターミナルから発着するので鉄道でアクセスする場合は便利なのがLCCの中では売りとなっていますね。
発車標です。
乗車するのは9時34分発の「ラピートβ」というやつですが、前後の列車は空港急行となっています。
南海空港線は特急「ラピート」と空港急行の2本立てとなっており、速さと快適さを求める人は「ラピート」、安さを求める人は空港急行と使い分けることになりそうです。
これはJRにおける「はるか」と関空快速の関係にも共通しますね。
ところで「ラピートβ」という表記が気になった方もいると思いますが、これも解説しておくと、「ラピート」は速達型の「ラピートα」と停車駅の多い「ラピートβ」があって、今回乗車するのは「ラピートβ」になります。
停車駅の差で区別しているわけですが、実は2駅しか変わらず、βの場合は関西空港を出るとりんくうタウン、泉佐野、岸和田、堺、天下茶屋、新今宮、難波と停車していきます。
これが「ラピートα」だと堺と岸和田に停まらない形になり、天下茶屋~泉佐野間ノンストップ運転となっています。
登場時の「ラピートα」は関西空港~難波間ノンストップで、最速29分の運行だったようですが、流石にこの停車駅では需要が限られてしまい、徐々に停車駅が増えていったようです。
現在は「ラピートβ」が主流になっていて、「ラピートα」は夜間の上りと平日朝の下りに限られています。
「ラピート」に使われる50000系をイメージしたであろう戦隊ヒーロー的なキャラクターがいましたw
50000系のデザインが元々ヘルメットっぽい感じもするのでそのままキャラクターの頭部に当てはめてもあまり違和感がないですね。
ホームです。
JRのホームと隣同士であり、デザインもJRと大体同じですね。
駅名標です。
JRと同じく隣はりんくうタウンですが、実は関西空港~りんくうタウン間はJRと南海で線路を共用していて、りんくうタウン駅まではJRと南海が同じ線路を走行していきます。
ですが、運賃制度上はJRと南海がそれぞれ路線を持っている扱いとなっており、JRのきっぷではJRの列車のみ利用できますし、南海のきっぷでは南海の列車のみ利用できます。(ただし、りんくうタウン駅から関西空港駅へ利用する場合に限り、JRのきっぷで南海の列車を利用したり、逆に南海のきっぷでJRの列車に乗ることが出来る特例があります)
なお、線路は共用していますが、関西空港駅とりんくうタウン駅ではJRと南海それぞれホームを分離しているため、改札は別々となっています。
乗り場案内です。
全ての列車が難波行きですが、ちゃんと案内しているんですね。
そして、こちらが「ラピート」です。
使用されているのは50000系という車両でありその特徴的な外観で注目を集めた車両でもありました。
その見た目から「鉄人28号」などと呼ばれることもあるそうですが、確かにそう呼びたくなる見た目をしていますねw
車体には「ラピート」のロゴが入っています。
ちなみに、「ラピート」という名称は「速い」を意味するドイツ語の”rapid”に由来しており、英単語の”rapid”も同様の意味であり、快速列車のことを英語で”rapid service”といったりもしますね。
いよいよ乗り込みまして車内です。
実は今回は「スーパーシート」と呼ばれるJRでいうグリーン車的な車両に乗ることにしたので豪華な座席になっています。
普段はグリーン車なんてまず乗らない私にしては奮発したと思われるかもしれませんが、実は「ラピート」のスーパーシートは普通席に210円追加した730円(+乗車区間の運賃)で乗れるのでこのくらいの差ならばいい席にしてみようと思ったのでした。
あと、もう1つ理由がありまして、大体この手の上級クラスの車両は静粛性を考慮してか付随車となっていることが多い中、「ラピート」のスーパーシートは5号車・6号車に設定されており、このうち5号車は電動車なので快適な座席を堪能しつつモーター音も聞けるという音鉄にとっても天国な車両なのです。
その上、一般車両よりは空いている傾向もあるので、録音環境がいい可能性が高いというのもあります。
あと、ほとんどの側面窓ガラスが楕円形をしているのも特徴です。
これは空港特急ということで航空機の窓をイメージしたんだそうです。
流石にサイズは航空機の窓ガラスより遥かに大きいですが、そこまで再現されたら眺望が悪くなってしまいますしこれで正解でしょう。
ちなみに、鉄道車両で楕円形の窓ガラスを全体的に採用した例はこの南海50000系くらいのもののようです。
↑車窓をどうぞ
それではそろそろ発車です。
結局、ほとんど私の貸切に近い状態で関西空港駅を発車していきました。
わずか210円の追加で乗れることが意外と知られていないのか、利用者は少ないようです。
まあ、乗車時間が40分ちょっとなのでそこまで座席の快適性にこだわらない人が多いということなのかもしれませんね。
そして、関西空港駅を発車するとすぐに大きな鉄橋で海を渡ります。
この橋は関西国際空港連絡橋といい、海上空港である関西空港と本土を結ぶ交通手段となっています。
上段が道路、下段が鉄道の2層構造で、鉄道・道路共用橋となっており、この構造は瀬戸大橋に共通していますね。
前述の通り、この橋を渡る関西空港~りんくうタウン間の区間は南海とJRが共用する区間となっており、双方の列車が同じ線路を走行しています。
ちなみに、この橋は全長3750mのトラス橋となっており、トラス橋としては世界一、鉄道橋としても東北新幹線の第1北上川橋梁に次ぐ2番目の長さであり、在来線に限定すると国内最長の鉄道橋となっています。
この橋は当初は関西国際空港を管理する会社が管理していましたが、道路部分は空港会社の財政的負担を軽減するため道路部分を国有化することとなり、国道481号に編入の上、現在はNEXCO西日本が管理してます。
鉄道部分は引き続き空港会社(新関西国際空港株式会社)が管理しており、新関西国際空港株式会社が第3種鉄道事業者(線路など地上設備のみ保有する鉄道会社)となり、JR西日本と南海電鉄が第2種鉄道事業者(他社の線路などを借りて列車のみ走らせる鉄道会社)という扱いになっています。
前述の通り、この橋の区間はJRと共用区間でありJRの列車でも通ることが出来るため、以前に特急「はるか」に乗ったときにも通っているため、初めましてではありません。
まあ、JR関西空港線と南海空港線は一応別路線扱いなので、南海空港線としてはやっぱり初乗車ということになりますけどね。
橋を渡り終えるとりんくうタウン駅に到着です。
ここはもう本土側になり、JR関西空港線、南海空港線の両者にとって唯一の途中駅となります。
JRでは関空快速など運賃のみで乗れる列車のみが停車し「はるか」は通過ですが、南海では「ラピートβ」のみならず「ラピートα」も停車しており、全列車が停車する駅となっています。
周囲は駅名と同じ「りんくうタウン」というニュータウンとなっており、関西空港の開港に合わせて整備された街となっています。
アウトレットやショッピングモールを始め、医療機関や教育機関、産業施設が集まっています。
また、2018年に台風21号の強風で漂流したタンカーが関西国際空港連絡橋に衝突し、橋が破損した際には、りんくうタウン~関西空港間が運休となり、当駅で関西空港への代行バスに乗り換えることとなり、一時的に鉄道とバスの乗り継ぎ拠点として機能していた時期がありました。
その次の泉佐野駅から南海本線に合流し、あとは南海本線を走って行きます。
所在地は泉佐野市であり、関西空港の所在地でもありますね。
ここから先はだんじり祭りで有名な岸和田や、大阪府下第2の都市堺にも停車しつつ大阪市内へ入っていきます。
JRの「はるか」が一部列車を除いて関西空港を出ると天王寺までノンストップなのに比べると「ラピート」、特に「ラピートβ」はこまめに停車する印象で、最も停車駅間の所要時間が長い岸和田~堺間でも15分程度なので特急という感じはしないですが、「はるか」に比べると大阪市北部や京都方面をカバーできない分、こまめに停車して需要を拾う方針なんですかね。
そして、大阪市内最初の停車駅の天下茶屋ですが、読み方は「てんかちゃや」ではなくて「てんがぢゃや」です。
南海の2大幹線である南海本線と南海高野線の双方が全列車停車する上、大阪メトロ堺筋線との接続駅ともなっており、堺筋線を介して阪急京都線・千里線方面へも乗り換えられます。
ちなみに、南海本線と南海高野線は厳密には1駅手前の岸里玉出駅で分岐していますが、岸里玉出駅は各駅停車しか停車せず、両線のホーム同士が離れていることもあり乗り換えに不便なことから実質上天下茶屋駅が乗換駅となっています。
続いて停車する新今宮駅はJR大阪環状線・関西本線(大和路線)との乗換駅であり、天下茶屋駅同様に南海の全列車が停車し、ここも多くの利用者がいます。
そして、最後は終点の難波駅です。
終点の難波駅に到着です。
ちなみに、正式な駅名は難波駅と漢字表記ですが、駅名標や行先表示などの案内ではひらがな表記の「なんば」で統一されているようです。
また、JR難波駅や近鉄・阪神の大阪難波駅とは少し離れていることから区別の意味で「南海なんば駅」と呼ばれることもあるようです。
難波駅は南海本線と高野線の2大幹線を受け入れる駅であることから、9面8線という大規模な駅になっています。
ここまで大きなターミナル駅というと、阪急大阪梅田駅もありますが、鉄道会社と鉄道ファンにとって夢のようなターミナル駅ですよね。
ちなみに、岸里玉出~難波間は厳密には南海本線であり、高野線の列車は南海本線に直通しているという扱いですが、旅客案内上は難波~岸里玉出間は南海本線と高野線が並行している感じで案内されています。
また、この区間にある今宮戎駅と萩ノ茶屋駅の2駅は高野線の線路上にのみホームが設置されている関係上、高野線の各駅停車のみ停車しており、南海本線の普通列車は停車しないため注意が必要です。
9番乗り場は「ラピート」専用ホームとなっていることもあって、ホーム手前には中間改札がかつて設置されていて、ホームへ立ち入る前に特急券と乗車券を確認していたようですが、現在は車掌端末でリアルタイムに座席の発売状況を確認できるようになり、車掌の巡回による車内改札がメインとなり、チケットレスの普及もあってかここでも改札は廃止されて、現在はフリーパスになっているようです。
この方式は東武の浅草駅や上野東京ライン開業前の上野駅常磐線特急の乗り場でも見られましたね。
乗り場案内でも「ラピート」はかなりの面積を専有してPRしていますねw
やっぱり、南海における看板列車という位置付けなんでしょう。
こちら、3000系という車両ですが、元々は現在の泉北高速鉄道である大阪府都市開発が所有する車両だったようです。
ちなみに、空港急行という種別です。
名前の通り関西空港へ向かう列車ですが、実は南海本線の日中ダイヤでは逆に空港急行ではないただの”急行”は設定されておらず、特急「ラピート」「サザン」を除くと唯一の優等種別となっています。
朝夕ラッシュ時を中心に関西空港を発着しない列車は「急行」として運行されます。
基本的に停車駅は同一ですが、春木駅については通称「白線急行」と呼ばれる春木駅停車の急行以外は通過するので、そこだけの差とも言えますね。
実態としては空港利用者に分かりやすくする意味で空港へ向かう急行は「空港急行」と呼称しているのだと思われます。
このため「空港急行」は空港アクセスはもちろん、南海本線における特急を補完する速達種別としての役割もあるわけで、この点はJR北海道の快速「エアポート」に似ているかもしれません。
全ての線路が両側にホームがある構造であり、乗車専用と降車専用で区別し、ホーム上の混雑緩和を図っているようです。
入口から見たホームです。
中央口から入った場合は、右手が南海本線、左手が高野線となっていて、系統ごとにホームが分かれているのは分かりやすいですね。
駆け込み客に対応するためかホーム上に特急券の券売機が設置されています。
ただし、発売は次に発車する列車のみであり、かつ発車の20分前からとなるようで、それ以外の特急券を購入するには改札外の窓口か、ネットのチケットレスサービスを利用する必要があります。
こちらは泉北高速鉄道の5000系という車両です。
高野線の百舌鳥駅から分岐する泉北高速鉄道では大半の列車が南海高野線に直通して難波駅発着で運行されているため、難波駅では泉北高速鉄道の車両を見かける機会も多いです。
ところで、このカラーリングだと少し昔の北総鉄道を連想してしまうのは私だけでしょうか?
改札を出ました。
ICカード全盛の現代にあっても多くの改札機が並んでいる光景は圧巻ですね。
時間があるので外へも出てみます。
流石は大都会のターミナル駅だけあって改札を出てもすぐに駅舎を拝むことは出来ませんw
そして、外へ出ると歴史を感じさせる重厚な見た目の駅舎が出迎えてくれました。
ここでも「ラピート」のPRをしていましたw
それにしても、青い球体のオブジェが気になりますが、国際空港へのアクセス列車であることから、グローバル=地球ということで地球をモチーフにしたオブジェにしたんでしょうか?
ちょっとレトロなアーケードもありました。
駅前にこんなレトロな商店街があるのもいいですね。
ちなみに、南海の難波駅は御堂筋線の由来でも知られる御堂筋に面しています。
さて、それでは駅へ戻ろうかと思ったらこんなものを見かけました。
一瞬ただの傘立てかと思ったんですが、駅の入口にあるのは変だなとか思っていると、よく見たら傘の南京錠が付いているというちょっと異様な光景でした。
よほど盗まれるのが嫌なのかとか思っていたら、実はこれ「チョイカサ」という傘のシェアリングサービスらしく、なんと南海電鉄が運営するサービスなんだそうです。
現在は実証実験の段階のようですが、ありそうでなかったサービスですよね。
利用には会員登録が必要なようですが、アプリで傘に貼り付けられたQRコードを読み取り、利用料金を決済すると南京錠の解除番号が表示されるので、鍵を外して傘をレンタルし、使用し終えたら任意のスポットに返却し南京錠で施錠したら返却用QRコードをアプリで読み取るという流れのようです。
30分以内に返却すれば無料であり、以降は1泊2日まで99円、それ以降は1泊毎に99円と、借りて翌日返せば傘を買うより安く済みますし、結構便利かもしれませんね。
設置されているエリアにお出かけで急な雨に見舞われたら利用してみてはいかがでしょうか?
以前から駅や車内に貸し傘が設置されている例はありましたが、こちらは無料で利用でき、次回乗車時に返却して下さいという緩い運用ゆえ、借りたっきり返却しない利用者の存在が問題となり、サービスの維持が困難になるケースもありましたし、性善説が必ずしも通用しなくなった現代にマッチした貸し傘の形態なのかもしれません。
ちょっと脱線してしまいましたが、それでは駅に戻って今度は「サザン」で一気に和歌山市まで行き、南海本線を完乗してしまいます。
「サザン」で和歌山市へ
というわけで、ここからは特急「サザン」で和歌山市まで一気に移動し、南海本線を完乗するわけです。
というわけで発車標ですが、上から3番目に載っている「サザン」に乗車します。
日中ダイヤでは南海本線の行先は和歌山市か関西空港のどちらかとなっていることが多いですが、普通列車で和歌山市まで走破するのって何気にすごいですよね。
ダイヤの編成としては京王線や京急本線に近いのかもしれません。
こちらが「サザン」です。
え?これが本当に特急かって?
はい、間違いなくこれが「サザン」です。
どう見ても通勤電車なのは事実ですが、「サザン」はちょっと特殊な運行形態になっているためなのです。
どういうことかというと、「サザン」については一部指定席という運行形態になっており、通勤型車両を使用した自由席と、特急型車両を使用した指定席が1つの列車として連結して運行されており、自由席に乗車する場合は運賃のみでOK、指定席に乗車する場合は運賃+特急料金が必要という形態になっています。
南海の他の特急は全車指定席という扱いであり、乗車には必ず特急料金が必要なのに対して、「サザン」だけは自由席車に乗る場合は特急料金不要という例外的な運用になっています。
私鉄の特急列車では全車指定席で乗車には必ず特急料金が必要な場合と、そもそも特急料金という制度がなく特急列車であっても運賃のみでOKという場合がありますが、「サザン」の場合はその折衷となっている感じですかね。
他には名鉄において「一部特別車」という特急列車が設定されており、こちらも特別車に乗車する場合は特急券に相当する「ミューチケット」が必要で、一般車に乗る場合は運賃のみでOKという例があるくらいで、全国的にも珍しい形態だと思います。
余談ですが、かつては全車自由席の特急というのも存在していて、こちらは停車駅こそ「サザン」と同じですが指定席がなく「サザン」の愛称も付されていなかったようです。
また、逆にかつては全車指定席の「サザン」も存在しており、これらの列車があった頃は利用者にとってもさぞややこしかったでしょうねw
こちらが自由席車両です。
どう見てもただの通勤電車です。本当にありがとうございましたw
ここに乗るなら運賃だけでいいですが、着席は保証されませんし、座席もこれなので快適性では劣ります。
また、トイレの設備は指定席車にのみ設置されているため、自由席の利用者はトイレを利用できません。
※後述しますが指定席と自由席の間は施錠されており車内で行き来できません。
ここから先が指定席車となっており、車両も特急型の10000系ないし12000系が使われています。
指定席車と自由席車の間は貫通幌は通されていますが、施錠されており原則的に車内で行き来することは出来ません。
ただし、特急券(座席指定券)を購入したのに誤って自由席に乗ってしまった場合や、逆に自由席を利用するつもりで特急券を買わなかった人が誤って指定席に乗ってしまった場合などは乗務員に申告すると連結部の鍵を開けて移動させてもらえるようです。
指定席部の方向幕ですが、号車部分がデジタル表示みたいになっているのが面白いですね。
臨時の増結などに備えているのか分かりませんが、札を差し替える方式でもなく、完全なデジタルでもない中途半端感が逆にいいですね。
ちなみに、「サザン」では指定席車のみ号車番号を割り振られており、自由席部分には号車番号がないという運用になっています。
まだ発車まで時間があるので今のうちに外観撮影です。
「サザン」では必ず自由席車と併結して運行されるため、指定席車の車両の正面を撮影するためには和歌山市方に移動する必要があります。
「サザン」では新型の12000系と従来から活躍する10000系の2種類が指定席車として運用中ですが、古参となる10000系に当たってよかったです。
出入り口はなんと折戸です。
個人的にはブルートレインのドアというイメージですが、これでも後期に製造された車両は平成生まれなんですよね。
車内です。
「ラピート」に乗ったばかりだからというのもあるでしょうが、現代の新型特急から比べると少しばかりレトロ感がある内装です。
座席です。
国鉄時代までいきませんが、JR初期という感じの雰囲気でしょうか。
このカーテンで閉ざされた空間はかつてサービスコーナーとして使われていた場所らしく、かつては売店として営業していたようです。
売店の営業こそなくなりましたが、自販機は残っており、飲み物なら今でも車内で買うことが出来るようです。
それではあとは座席で大人しく過ごし、和歌山市まで乗車していこうと思います。
指定席を利用する人は少数派のようで自由席がほぼ満席に近い状態だったのに対して、指定席はかなり空いており、録音環境もバッチリでした。
10000系はバーニア制御という抵抗制御の車両でモーター音が小さめなので、車内が騒がしいと録音が台無しになってしまいますからね。
↑車窓を撮りましたので、動画でどうぞ
全部で1時間ほどあるので、モバイル回線などの方はデータ量にご注意下さい。
ここからは「サザン」について解説を入れてから乗車記に入っていこうと思います。
「サザン」は南海本線を走る特急列車で、前述の通り指定席と自由席が混在する編成で運行されています。
現在は難波~和歌山市・和歌山港間で30分ヘッドで運行されており、難波~和歌山市間を通常は1時間弱で結んでいます。
停車駅は全列車で統一されており、難波を出ると新今宮、天下茶屋、堺、岸和田、泉佐野、尾崎、みさき公園、和歌山大学前、和歌山市となっており、ほとんどが難波~和歌山市間での運転ですが、1日3往復(土休日は2往復)のみ和歌山港まで乗り入れる列車が設定されています。
和歌山港では徳島とを結ぶ南海フェリーと接続しており、大阪と四国を結ぶルートの一翼も担っています。
しかし、フェリーが1日に8往復あるのに対して、「サザン」の乗り入れは3往復(土休日は2往復)のみなので、それ以外のフェリーには急行か普通列車での接続となっており、明石海峡大橋や大鳴門橋が開通し、関西と四国が高速バスで行き来できるようになると、「サザン」と南海フェリーを乗り継ぐルートは利用者が減っているという現実があるようです。
大阪市と和歌山市を結ぶ交通機関としては他にJRの特急「くろしお」がありますが、こちらは天王寺~和歌山間を46分程度で結んでおり、南海が大阪側は難波駅、和歌山側が和歌山市駅となっているなど細かい違いはありますが、それを加味しても所要時間では「くろしお」が優勢であり、「サザン」はより細かく停車することで需要を広い、更に自由席車両も用意することで「くろしお」よりも安く利用できるという点も訴求しているのではないかと思います。
それでは乗車レポートに戻ります。
新今宮、天下茶屋と少しずつ乗ってきますが、やはりそれほど混み合うことはなく南海本線をひた走っていきます。
堺、岸和田、泉佐野と「ラピートβ」と同じ停車パターンで泉佐野まで行き、そこからがいよいよ初めて乗車する区間となります。
まあ、泉佐野以北だってついさっき、初乗車を果たしたばっかりなんですけどねw
泉佐野駅はなんとなく駅名標を撮りました。
ちなみに、元々の地名は「佐野」であり、大阪南部の旧国名である和泉を略して泉と表記して冠したものが現在の地名だそうです。
経緯としては佐野村があり、それが町制施行して佐野町へ、更に市制施行して佐野市へとなるわけですが、既に栃木県に佐野市が存在しており、区別のために泉佐野市とした経緯があるようです。
本来旧国名としての和泉国は”和泉”の表記が正式ですが、近隣にある泉大津市と同様に”和”を省略した表記となったようですね。
また、駅の方も最初は佐野駅だったようですが、市制施行時に泉佐野駅に改称されており、地名の方が先で駅名が追従した形みたいですね。
旧国名を冠するのは駅名あるあるですが、地名が先のパターンもあるんですね。
↑折戸式ドアの閉まる様子を撮りました。
尾崎駅を過ぎると南海本線は大阪湾に沿って走るようになります。
実は大手私鉄の路線でこれだけ海に近い場所を走る路線って珍しいらしく、言われてみれば海に近い場所を走る路線って大体はJRの路線かそれを転換した第三セクターである場合が多い気がします。
続いての停車駅のみさき公園駅に到着です。
駅名の通り、駅前にはみさき公園という公園があり、所在地は大阪府泉南郡岬町にあります。
なお、みさき公園はかつて南海電鉄のグループ会社が運営しており、動物園や水族館、遊園地もありましたが、2020年3月いっぱいで廃業し、跡地を岬町が運営を引き継いで自然公園となっているようです。
駅名の由来であるみさき公園の名前は残りましたが、動物園や水族館がなくなるとそれほど活気は感じられませんでしたね。
余談ですが、みさき公園がまだ動物園をやっていた頃は「けものフレンズ」とコラボしたこともありましたね。
結局参加はしなかったものの、そのために名前だけは知っていたので閉園を知ったときは行ったこともないくせにショックを受けたものでした。
そんなみさき公園を過ぎると次は和歌山大学前であり、いよいよ大阪府が終わって和歌山県に入っていきます。
この間には峠が横たわっており、そんなに険しい峠越えではありませんが、南海本線は海沿いの景色から一変して山越えの表情を見せるようになります。
みさき公園駅の1つ先にある孝子(きょうし)駅が大阪府最後の駅となり、このあたりが孝子峠となります。
同じく大阪と和歌山を結ぶ阪和線はより東側にある雄ノ山峠を越えるルートを採っており、両者の関係としては最短経路だが山岳区間が長くなる雄ノ山峠と、遠回りだが山岳区間が短くなる孝子峠という関係があり、道路では一般国道の国道26号は孝子峠を、高速道路の阪和自動車道は雄ノ山峠を選んでおり、相互補完関係にあるような峠みたいですね。
南海は遠回りを承知で建設しやすい孝子峠を選んだわけですが、お陰で岬町内も通ることになりましたから、うまく阪和線と住み分けるという意味ではよかったのかもしれません。
そんな孝子峠を越えると和歌山大学前駅となります。
既に和歌山市内であり、駅名の通り和歌山大学の最寄り駅でもあるんですが、開業は2012年と意外にも最近のことで、和歌山大学のキャンパスが当駅周辺に開設されたのは1985年のことで長年駅の設置を求める声がありましたが、実現までには27年もかかったことになります。
また、南海では最も新しい駅ともなります。
駅名の通り和歌山大学への通学利用もある他、イオンモール和歌山が駅前にあるため買い物需要もあったり、副駅名にも採用されている「ふじと台」というニュータウンもあるなど、生活の足としての役割も大きい駅となっており、開業から2年目の2014年からは「サザン」も停車するようになり全列車が停車する駅となりました。
最後の通過駅の紀ノ川駅を通過したら紀ノ川を渡っていよいよ終点の和歌山市駅です。
和歌山市駅にて
というわけで難波からおよそ1時間で和歌山市駅にやってきました。
まずは駅名標です。
ちなみに、”和歌山市“駅であり、和歌山駅はJRの駅なのでお間違えなきようにw
↑座席の自動回転が始まったので動画を回しました。
ホームです。
廃レール転用の支柱や木製のホーム上屋などちょっとレトロな感じのターミナルですね。
これも後で乗るのですが「加太線」というのも出ています。
正確には1駅隣の紀ノ川駅から分岐するのですが、全列車が和歌山市駅に乗り入れており、実質上は和歌山市から出る路線となっています。
分岐駅である紀ノ川駅には「サザン」が停まらないこともあり、実質上当駅が南海本線と加太線との乗り換え駅となっています。
加太線の列車とJR紀勢本線の列車です。
え?なんでJRの列車がいるのかって?
実は和歌山市駅は南海のターミナルですが、紀勢本線も乗り入れていて、そのため以前に紀勢本線を乗りつぶしたときには当駅に訪れたことがあったんです。
まあ、その時は駅が大々的に工事をしていて全貌を見ることは出来なかったんですけどねw
なお、JRが和歌山市駅に乗り入れている経緯とかは前回訪問時の記事に譲りますので、興味がある方はそちらをご覧下さい。
ちなみに、現在は227系が走っていますが、以前乗車した時は105系が現役でした。
以前の記事でも触れましたが、JRの乗り場まで南海のデザインの駅名標なんですね。
↑ここで加太線が発車です。
こちら、加太線の発着する3番線ですが、行き止まりとなっていて和歌山港方面へは直通できない構造です。
JR紀勢本線のホームとも接していますが、間は柵で区切られており、南海とJRの改札は完全に分離されています。
↑乗ってきた「サザン」が折り返し発車していきました。
改札口です。
駅舎リニューアルをしたばかりとあって、周りは木の温もりを感じる温かいデザインになっています。
何やらアニメキャラのパネルがありましたが、「サマータイムレンダ」という作品が和歌山を舞台にしているみたいですね。
駅前にはバスロータリーが整備されており、交通結節点としての機能もばっちりです。
駅舎は新しい一方で、駅前にはちょっと古風なビルもありました。
通路の上屋があるために全景の撮影が難しいですが、可能な限り全景が入るように撮ってみました。
和歌山バスが来ました。
かつては和歌山市内には路面電車の和歌山軌道線というのがありましたが、廃止されており現在の和歌山市内の交通は和歌山バスが担っています。
ちなみに、和歌山バスは南海グループに属しており、バスの前面にも南海のロゴが掲げられていますね。
イオンモールの看板も出てました。
和歌山大学前駅からすぐなのでアクセスもいいですしね。
駅前の交差点名は「市駅前」でした。
実際、地元の方は当駅のことを単に「市駅」と呼ぶことも多いみたいですので、それが交差点名にも反映されたんでしょうか。
ここでお昼ごはんです。
和歌山といえばラーメンだよなと思ったらちょうど駅構内にラーメン屋さんがあったので入りました。
よく見ると大阪の方が発祥のお店のようで、厳密には和歌山ラーメンとは言えないかもしれませんが、おいしかったのでよし!っとw
駅取材と食事を終えて構内に戻るともう次の「サザン」がいました。
今度は新型の12000系ですね。
12000系は「サザン・プレミアム」という愛称があるようです。
↑続いて発車シーンです。
加太線の列車もいましたが、変わった塗装でした。
どうやら「めでたいでんしゃ」と呼ばれるシリーズでこの車両は「さち」という愛称があるようです。
さて、お次は和歌山港線に乗車します。
和歌山港線を1往復
それではお次は和歌山港線です。
まずは和歌山港線についての解説ですが、和歌山港線は和歌山市駅と和歌山港駅を結ぶ1駅だけのミニ路線で、全長は2.8kmです。
かつては水軒駅というところまで伸びていたことがあり、更には久保町駅、築地橋駅、築港町駅の途中駅もあったようですが、途中駅は全て廃止の上、和歌山港~水軒間も廃止されて現在の形になりました。
運行形態としては「サザン」のうち3往復(土休日は2往復)と、急行(平日のみ)が南海本線と直通し難波方面と直通している以外は和歌山市~和歌山港間の普通列車となっており、原則として和歌山港で接続する南海フェリーと連携したダイヤとなっています。
ところで、この和歌山港線は実は大半の区間が和歌山県の所有となっており、南海電鉄は線路を借りて運行しているという扱いになります。
より細かく説明すると和歌山市側の0.8kmは南海電鉄が保有する第一種鉄道事業区間(線路を保有し自社で列車を走らせる)となっており、和歌山港側の2.0kmは和歌山県が第三種鉄道事業者(線路のみ保有し列車の運行はしない鉄道事業者)となり、南海電鉄が第二種鉄道事業者(線路を他社から借りて列車の運行のみ行う鉄道事業者)となっています。
このようになった経緯ですが、和歌山港線はそもそも和歌山県主導で和歌山港の臨港鉄道として整備された経緯がありますが、臨港地区内からはみ出る和歌山市側の0.8kmは南海電鉄が自ら建設し、臨港地区内の2.0kmは和歌山県が建設することになりました。
つまりは、実は和歌山県も鉄道事業を行っていることになりますし、その保有する路線の全長が2.0kmということになり、これは日本一短い鉄道と言われることが多い芝山鉄道よりも短く、本当の日本一短い鉄道事業者は和歌山県ということになります。
まあ、案内上は南海電鉄の路線として案内されることがほとんどですし、和歌山港線が日本一短いことをPRするようなこともしていないようです。
そもそも、南海と和歌山県の管轄区間の境界点はかつては久保町駅という駅があったので、和歌山県の保有する区間のみを乗車することも出来ましたが、久保町駅廃止後、この地点は県社分界点と呼ばれ列車が停まることもなくなったので、和歌山県保有の区間のみを乗車することは出来ず、和歌山港線に乗車すると必ず和歌山県と南海の保有区間をまたがって乗車することになります。
そんな和歌山港線ですが、待っていたのはこんな電車でした。
これも先程加太線で見た「めでたいでんしゃ」シリーズの1つで、「かしら」という車両らしいです。
1駅のみのミニ路線とあってか方向幕は運行区間のみを表示する方式でした。
車内はこんなファンシーな雰囲気でした(ちょっとブレてしまいました・・・)
座席のモケットが鍵盤になっているのは面白いですね。
床面にはカニもいましたw
それでは発車です。
動き出してしまえば5分もしないで終わってしまうミニ路線ですが、紀ノ川に沿って進む区間もありました。
そして、終点の和歌山港に到着です。
南海電鉄としては最南端の駅でもあります。
ホームは1面2線となっています。
「サザン」や難波直通の急行も来るため、ホームは8両分ありますが、普通列車だと2両しかないのでオーバースペックな印象を受けますね。
駅名標です。
普通のタイプは見落としたのかそもそも無かったのか分かりませんが撮っていませんでした。
ところで、何気にパタパタ、こと反転フラップ式案内表示機が現役ですね。
ただ、この時間帯は普通和歌山市行きしか来ないので表示が切り替わる瞬間は拝めそうにありませんが・・・
鉄道電話ですが、マークが大きいですねw
これだと一般人が公衆電話だと思って使おうとしちゃったりしませんかね?w
ホームからも南海フェリーの姿が見えました。
船旅もよさそうですが、今回は見送るだけです。
ちなみに、徳島までは2時間の航海で、「サザン」利用で難波まで約1時間と考えると約3時間で大阪と徳島を結んでおり、これは明石海峡大橋・大鳴門橋経由の高速バスとほぼ同等ではあるんですが、フェリーの場合は徳島港から更に市内へ出るのにバスに乗り換える必要があったりしますから、乗り換えの手間も考えるとやっぱり大阪から徳島は高速バスが優勢といったところでしょうか。
ただし、この南海フェリーの航路自体は和歌山と徳島を短絡するルートとして有用であることから、一定の需要はあるんでしょうけどね。
↑そして、乗ってきた列車を見送ります。
和歌山港線は最大で3時間ほど列車が走らない時間帯があることから迂闊に列車を見送ると3時間待ちぼうけの可能性もあるのですが、今回は20分後にまた列車があるというダイヤだったので1本見送って和歌山港駅をじっくり見学することにしたのでした。
原則として南海フェリーに接続するダイヤになっている和歌山港線にしては珍しい続行ダイヤですが、なんでこうなっているのかは謎ですw
改札口です。
流石に自動改札がありますが、そんなに台数はないですね。
あと、右側にあるのは最近全国的に増えつつあるクレジットカードのタッチ決済対応の改札機です。
これって捲って表示を切り替える方式ですね。
落語で演者の名前を書いておく「めくり」みたいな感じでしょうか。
出札業務は自動券売機があるのみで、窓口は閉鎖されて無人駅となっています。
ところで、無人駅ならばさっきの「めくり」をどうやって切り替えているのかという疑問がありますが、列車到着時は南海フェリーの職員が改札前まで来て案内をするとのことなので、その際に「めくり」を捲っているんでしょうね。
フェリー乗り場とバス乗り場の案内です。
バスは和歌山バスの160系統・161系統がJR和歌山駅・和歌山市駅とを結んでおり、特に和歌山市駅へ向かう160系統は和歌山港線の廃止された途中駅の代替を担う路線でもあります。
JR和歌山駅方面については、電車で行くと乗り換え必須なのが、バスなら直行なので南海フェリーとJRを乗り換えたいならバスも有用かもしれません。
その他、土日限定ですが、高野山へ直行するバスもあるようです。
駅とフェリーターミナルは陸橋で結ばれていて、道路を渡ることなく往来できるようになっています。
反対側は”Train”と”Bus”でした。
シンプルですねw
ところで、英語表記しかないわけですが、これは外国人利用者に向けてのものなんですかね。
外国人にも人気の高野山も近いですしね。
その途中に分岐するようにあるこの扉ですが、なんだか事務所への入口みたいで部外者が入ってはいけないような雰囲気ですよね。
でも、この先にフェリーの窓口があって、乗船券の購入や乗船手続きはこの先で行うようです。
そのため、せっかく駅とフェリーターミナルが通路で直結されているのに、きっぷを買うために一旦地上の窓口へ降りていかないといけないわけですw
窓口は結構立派でした。
フェリーですから、旅客だけでなく自動車やバイクと一緒に乗船する人もいるわけで、そのような車両航送を伴う利用のために窓口はあるんでしょうね。
ちなみに、徒歩乗船の人は自動券売機で乗船券を買うことが出来ます。
フェリーに乗るというと複雑な手続きがあったりして垣根が高いイメージもありますが、短距離航路だと電車に乗るような感覚で利用できるんですね。
ちゃんと待合室もあるので、早く到着しすぎてもここで待つことが出来ます。
外へも出てみました。
こちらはフェリーのきっぷ売り場ということになりますが、駅と一体化しているので、事実上駅舎とも言えるかもしれません。
目の前に駐車場がありますが、ここはきっぷを買うために一時的に車を置く場所であるらしく、乗船手続きが終わったら再び車を移動させてフェリー乗り場の前にある待機場所で乗船の時を待つみたいです。
それでは駅へ戻ろうと階段を登ったら階段部分でも案内をしていました。
↑ホームへ行くと次に乗る電車が入線してきました。
さっき見送った電車がそのまま折り返してきたようです。
ちょうどバスが来たので、鉄道・バス・フェリーが一堂に介する写真に挑戦してみました。
それではこの電車で和歌山市へ戻り、今度は加太線の乗りつぶしです。
加太線を1往復
というわけで和歌山港線で和歌山市に戻ってきまして、今度は加太線です。
さっきも列車だけは目撃しましたがいよいよ乗車します。
というわけで乗り場に向かうとこれまた変わった電車がいました。
さっきも目撃した「さち」ですね。
方向幕は和歌山港線同様に運行区間のみを表示するスタイルですが、波を表現したようなデザインになっているのが印象的でした。
さきほどの「かしら」に比べるとおとなしめな気がしますが、モケットが特徴的ですね。
といったところで乗車していきます。
ここで加太線についての解説です。
加太線は紀ノ川駅と加太駅を結ぶ全長9.6kmの路線で、愛称として「加太さかな線」があります。運行形態としては全ての列車が南海本線に直通して和歌山市発着で運行されています。
紀ノ川駅ではなんば方面普通列車に、和歌山市駅では特急「サザン」や朝夕のみ急行と接続するダイヤが組まれています。
分岐駅である紀ノ川駅には「サザン」や急行が停車しないことからこれらの列車で加太線と乗り継ぐ場合は和歌山市~紀ノ川間を重複乗車してもよいという特例が設けられているようです。
JRではこの手の特例が結構ありますが、それに倣った形ですね。
全ての列車が和歌山市~加太間の列車となっており、線内完結の列車や逆に一部区間のみの区間列車などは設定されていません。
地方ローカル線の例に漏れず利用者は減少傾向ですが、「めでたいでんしゃ」シリーズの投入など観光路線としてのPRが奏功し、増加とまでは行かずとも横ばいをキープできているようです。
沿線には日本製鐵の工場があるため通勤路線の顔もある他、磯ノ浦や加太は海水浴場としても有名で、夏季には海水浴客を運ぶ行楽路線の顔も持ち合わせているようです。
歴史としては加太軽便鉄道という私鉄が和歌山口~加太間を開業させたのが始まりで、1930年には電化され加太電気鉄道と社名変更し、1942年には南海鉄道(現在の南海電鉄)に買収されて南海の路線となります。
このように別会社として始まった経緯から、当初は紀ノ川駅には乗り入れずに南海本線とは別ルートで紀ノ川を渡り和歌山市駅に至っていましたが、東松江駅から紀ノ川駅を結ぶ貨物線が開業すると徐々に旅客列車も紀ノ川駅経由で運行されるようになり、従来の加太線は洪水被害により紀ノ川を渡る和歌山市~北島間が休止を経て廃止され、残った北島~東松江間は北島支線と呼ばれるようになりますが、こちらも1966年に廃止され、加太線は現在の形になりました。
日中は30分間隔での運行ですが、朝ラッシュ時には1時間あたり3~4本となる時間帯もあり、ローカル線といえどもなかなかの運行本数となっています。
沿線は和歌山市郊外の景色かと思えば、長閑な漁村のような景色もあったりして短いなりに表情豊かな路線でした。
ただ、地図で見ると海沿いに走っているように見えて、実は建物や堤防が邪魔して海が見えなかったのはちょっと残念w
そして、加太に到着です。
ホームは櫛形2面2線となっており、基本的には駅舎に面した1番線を使用しているようです。
ちなみに、当駅は和歌山県内最西端の駅であり、かつ本州の大手私鉄の駅としても最西端だそうです。
駅名標です。
ちなみに、「加太」は「かだ」と読みますが、同表記で「かぶと」と読む駅が関西本線にあるので、つい「かぶと」と読みたくなってしまいますw
とりあえず改札を出ます。
流石に自動改札はありますが、全体的に古風な見た目ですね。
どうやら加太軽便鉄道として開業した頃の駅舎が残っているようです。
5分しか滞在しないので慌ただしいですが、駅前を見に出ました。
観光路線としてPRしているだけあって、色とりどりに装飾されています。
「めでたいでんしゃ」を走らせているだけあって鯛の幟が目にも鮮やかですね。
ちょっとブレてしまいましたが、ここにも「サマータイムレンダ」のパネルがありました。
待合室のベンチに座布団が敷いてあるのはローカル駅あるあるですが、ここにも鯛の図柄が入っているのは徹底していますねw
駅舎の外観です。
歴史のある駅舎とのことで、今や貴重なものの1つですが、明治生まれながら洋風の外観がいいですね。
ちなみに、訪問時はホテルの送迎車と思われる車が来ていて、スタッフが宿泊客を待つ光景もありましたが、調べてみると近くに加太温泉というのがあって、当路線は温泉へのアクセス路線という顔もあるようです。
「めでたいでんしゃ」シリーズの運行時刻が掲示されていました。
あと、当駅の近くにある加太港からは友ヶ島へも航路が出ていて、加太線も和歌山港線ほどではないですが、航路連絡路線という側面もあるようです。
この友ヶ島というのは、戦時中は大阪湾を守る要塞となっていた島で、戦後は瀬戸内海国立公園に指定され、南海グループの手で観光開発が行われて、キャンプやバンガローなどを目当てに観光客が集まるようになりました。
しかし、2002年には観光客の減少を受けて南海電鉄は友ヶ島の管工事業からは撤退しており、航路は「友ヶ島汽船」が引き継いで現在に至ります。
現在でもキャンプ場があり、更に戦時中の遺構が残っていることや、駅にもパネルがあった「サマータイムレンダ」の舞台とされる「日都ヶ島」はこの友ヶ島がモデルとされているなど、一定の観光客を集めているようです。
更に余談ですが、かつては加太と淡路島の由良港との間に航路が設定されていたらしく、淡路島と和歌山を短絡するルートだったようですが、既に廃止されており、和歌山と淡路島を直接往来する手段は無くなっていますが、県境を超えた大阪府泉南郡岬町にある深日港と淡路島も洲本港を結ぶ航路が一度廃止されたものの2017年より復活に向けた社会実験という位置付けで夏季の土日祝日限定ながら運航しており、和歌山と淡路島を短絡するルートとなっています。
これがないと南海フェリーで徳島へ出てから高速バスに乗るか、一度大阪市内に出てから高速バスに乗るかということになるので、有用なルートだとは思いますが、正式運航に漕ぎ着けるといいですね。
ちなみに、加太から由良の間は紀淡海峡、あるいは友ヶ島水道と呼ばれますが、この間を海底トンネルか橋で結び、道路や鉄道を通そうという構想があるらしく、鉄道の方は四国新幹線の計画の一部ということのようですが、そもそも四国新幹線が建設されるかどうかすら微妙ですし、他に神戸や明石から淡路島へ渡るルートの構想もあるようで、紀淡海峡を新幹線が渡る可能性は低そうです。
道路の方はまだ可能性がありそうですが、橋の場合は貴重な自然や遺構が残る友ヶ島を経由することとなり、これらの保護との兼ね合いが問題になりそうです。
それでは構内に戻ります。
降りる時は撮らなかった列車もここで撮影です。
地元小学生による加太線を歌った歌みたいですね。
こういうのは地元の鉄道が愛されていると感じさせてくれて嬉しくなります。
最後に終端部を撮ったら列車に戻り和歌山市へ引き返します。
その後南海本線に乗り換えてみさき公園から多奈川線です。
お次に乗るのはこちら。
あえての普通列車難波行きです。
往路は「サザン」で一気に和歌山まで来たので帰りはのんびりというわけですね。
あ、各駅停車で折り返す場合は紀ノ川駅~和歌山市駅間の重複乗車は認められなくなるので、ちゃんと和歌山市駅で改札を出て運賃を精算していますのでご安心をw
↑発車を待つ間に「サザン」が入線してきたり・・・
↑「さち」の発車です。
それでは乗り込みまして、みさき公園駅を目指します。
「サザン」では停車駅ベースで2駅目でしたが、各駅停車だと4駅目となります。
意外にも「サザン」でも2駅しか通過していないわけですが、これで再び孝子峠を越えて和歌山県とはこれで一旦お別れです。
みさき公園駅からは多奈川線を1往復
というわけで孝子峠を越えてやってきたみさき公園駅ですが、ここからは多奈川線を1往復します。
まだまだ長閑な雰囲気ですが、ここはもう大阪府です。
↑乗ってきた列車を見送ります。
構造は島式2面5線となっており、よくある2面4線の緩急接続可能な構造に加えて、多奈川線用の切り欠きホームが追加された構造です。
「サザン」停車駅ということで特急券の券売機がホーム上に設置されています。
今回は乗り換えだけなので外には出ませんが、駅舎だけ拝んでおきましょう。
三角形が印象的なデザインですが、みさき公園というレジャースポットの最寄り駅ですから、遊園地的な雰囲気を醸し出そうとしたのかもしれません。
駅の案内標識もありましたが、本来の表記はひらがなで「みさき公園」なのに対して、標識では漢字で「岬公園」となっていました。
なぜ表記が違うのかは謎ですが、神戸市営地下鉄海岸線に同音異字で「御崎公園」という駅があるのでそちらと区別をはっきりさせるためだったのかもしれません。
まあ、ひらがなで「みさき公園」と書いても神戸と間違える人はまずいなさそうですがw
↑多奈川線の列車がやってきました。
和歌山市行きの「サザン」を見送ったらそろそろ発車時間なので列車に戻ります。
この列車で多奈川まで行き戻ってくるわけですが、ここで多奈川線についての解説です。
多奈川線はみさき公園~多奈川間を結ぶ全長2.6kmの路線で、全列車が線内完結のみさき公園~多奈川間の運行となっていて、本線への直通はなく全ての列車が普通列車というローカル線となっています。
本数は日中は毎時2本、ラッシュ時は毎時3本程度となっており、地元の生活路線としてそこそこ利用されている感じでしょうか。
歴史的には戦時中に潜水艦や海防艦を建造していた川崎重工業の工場への通勤路線として1944年に建設され、戦後は川崎重工業の工場の船溜まりを改修して深日港が整備されると接続のために深日港駅が開業し、深日港から淡路島や徳島への航路が開設されると、多奈川線は航路連絡路線の性格を持つようになり、難波から直通の急行「淡路」が運行されるようになるなど、広域輸送においても役割を果たすようになりましたが、大阪や神戸から淡路や四国への航路が充実してくると深日港からの航路は利用者が減少し、連絡急行が廃止になり、更には明石海峡大橋の開通で航路そのものが廃止になると多奈川線はローカル線に落ち着くことになったのです。
前述の通り、社会実験ではありますが、深日港と洲本港(淡路島)を結ぶ航路が夏季の土日祝日限定ながら運行されるようになっており、限定的ながら多奈川線が航路連絡路線の役割を再び持つようになりました。
5分程度の乗車で終点の多奈川に到着です。
それにしても、関東住みの私としては「多摩川」と1字違いで発音も似ているので、「多奈川」という放送が「多摩川」に聞こえて仕方なかったですw
しかも、路線名の多奈川線も、関東に「東急多摩川線」とか「西武多摩川線」とかあるので、余計に紛らわしいというw
ちなみに、大阪府最西端の駅だそうです。
経度でいうと兵庫県の須磨あたりになるようでそりゃあ最西端だわなと思いますねw
もう1つ余談ですが、多奈川線は全線が岬町内に所在しており、つまりは”市”や”特別区”を通らないということであり、大手私鉄の路線でこのように”市”や”特別区”を通らない路線は多奈川線の他には近鉄田原本線と名鉄知多新線の2つしかないようです。
確かに鉄道はその地域の主要都市を通るようなルートで建設されることが多く、大抵は1つくらいは”市”を通りそうですし、平成の大合併以降、市が激増したことを考えればなおさら”市”を通りそうですが、今でも”市”を通らない大手私鉄の路線が残っていることも驚きですね。
ホームです。
一見すると島式1面2線に見えますが、片側の線路は剥がされていて、1面1線となっています。
また、途中駅には交換設備はなくみさき公園から多奈川まで全線で1閉塞となっており、1編成の列車が行ったり来たりするだけの運行形態となっています。
改札口です。
流石に自動改札がありますがひっそりとした雰囲気です。
駅舎です。
前述の通り1944年に開業しているため、シンプルなコンクリート造りで、昭和チックな感じの駅舎でした。
駅前広場がありましたが、本当にただの広場でロータリーという雰囲気ではないですね。
そこへマイクロバスがやってきました。
それは岬町営バスで、「ミニループバスみさき」という愛称があるようです。
かつては南海系列の「南海ウイングバス南部」が路線バスを運行していましたが、廃止されてあとを引き継ぐ形で岬町営バスの運行が始まったようです。
それでは再び多奈川線でみさき公園へ戻ったら、南海本線を北上して貝塚駅を目指します。
↑次に乗る列車が入線してきました。
今度もあえての普通列車です。
泉佐野で空港急行が先行するのですが、ぐっとこらえて貝塚まで普通列車で頑張りました。
貝塚からは水間鉄道
貝塚までやってきたら、一旦南海を離れて水間鉄道に乗ります。
到着しました。
構造は2面4線と私鉄の緩急接続駅としては一般的な構造です。
駅名標です。
ところで、貝塚というと福岡生まれの私としては福岡市の貝塚駅の方を連想してしまいますねw
あまり時間がないのでさっさとコンコースへ上がります。
水間鉄道との接続駅であり、貝塚市の代表駅でもあることから、広々としたコンコースになっています。
たくさんの提灯が飾られていましたが、貝塚にもだんじり祭りがあるそうで、その提灯でしょうか。
駅舎です。
水間鉄道の駅舎がメインですが、南海の出入り口も兼ねている形ですね。
なんかパネルがあると思ったら、YouTubeで有名な西園寺さんですね。
私もYouTubeチャンネルを持つ1人としては、西園寺さんくらい有名になりたいものですw
終点の水間観音に因んでか、お寺風のデザインの一角もありました。
券売機がありますが、ローカル鉄道ではよくある食券を売っていそうな券売機でした。
改札口が見えてきました。
スロープも用意されていてバリアフリーもばっちりですね。
改札口は昔ながらのラッチですが、内部に路線バスや路面電車で使われる料金機が設置されていて、これでICカードにも対応してしまうという発想の勝利とも言うべき改札方式になっています。
ちなみに、以前は南海電鉄で使われていた中古の改札機を使っていた時期もあったようです。
水間鉄道としては終点ということで行き止まりになっています。
ホームは1面2線となっていて、割とシンプルな構造ですね。
ホーム上にも運賃表がありました。
無人駅が多く、現金精算の人が多いからなんですかね。
乗り場案内がありました。
まあ、全ての列車が水間観音行きなので必要かというと微妙ですけどねw
ホームの脇にはアートが並んでいました。
これも水間観音関係なんですかね。
奥水間ハイキングというちょっと古ぼけた看板がありましたが、調べてみると奥水間温泉というのもあるみたいですね。
忘れるところでしたが駅名標です。
国鉄っぽいデザインですね。
↑列車がやってきました。
こちら、水間鉄道の主力車両である7000系です。
地方鉄道で見かけることが多い東急の中古車であり、元東急7000系となっています。
つり革部分の広告を使って降り口の案内をしているのが面白いですね。
現在はリニューアルに際して改番されて、1000形を名乗っているみたいですね。
運賃表も兼ねているのが面白いです。
水間鉄道はそこまで駅数が多くないのでこれで十分なんでしょうね。
あとは水間観音まで1往復乗車するだけですが、ここで水間鉄道について解説を入れておきます。
水間鉄道は水間線を運営する鉄道事業者で、水間線は貝塚駅から水間観音駅までの5.5kmを結ぶ路線となっています。
運行形態は全列車が貝塚~水間観音間を走破する列車で、逆に南海本線などへ直通する列車も存在せず、全線単線の典型的なローカル線です。
南海の駅である貝塚駅から出ていることもあって、かつて南海の路線だったのを経営分離したとか、そうでなくても南海の子会社といったイメージをしがちですが、意外とそうでなく、現在は南海電鉄との資本的な関係はないようです。
過去には南海と結びつきが強かった時期もあったようで、南海電鉄が水間鉄道の筆頭株主だった時代もあるようですが、子会社やグループ企業という位置付けではなく、あくまでも筆頭株主というだけだったようです。
歴史としては大正時代に水間観音への参詣路線として開業を目指して設立され、1926年には全通しました。
その後は小規模な鉄道事業者ながらも堅実な経営をしていましたが、バブル期に不動産事業を拡大したのが裏目に出て経営が傾いたところに乗客減少がとどめとなり、会社更生法の適用を申請する事態となりました。
水間鉄道存続の危機ともいえる状況でしたが、そこへ現れた救世主は飲食チェーンを経営する「杵屋」でした。
杵屋の支援により再建に成功して再スタートを切った水間鉄道はICカード乗車券ICOCAの導入などの経営改善策を実施し、現在に至ります。
そのため、現在の水間鉄道は杵屋の100%子会社なんです。
また、余談ですが、かつて和歌山県の粉河まで路線を伸ばす計画も持っており、実現していれば峠越えの路線となる予定でした。
結局この鉄道は実現しなかったのですが、その代わりということなのか、粉河熊取線という路線バスが存在しており、かつては水間鉄道も運行に参画していましたが、現在は撤退しており、和歌山バス那賀の単独運行となっています。
乗った感想ですが、沿線は普通の住宅地という感じで特別景色がいいとかはありませんが、貝塚を出てしばらくはほぼ満席に近いほど混み合っていて、地元の足としてしっかり定着している様子が伺えました。
あと、途中でJR阪和線と交差する地点があるのですが、駅がなくて乗り換えできないのはもったいないなと思いました。
似た事例で、九州の甘木鉄道は元々西鉄天神大牟田線との接続点に駅がなくて乗り換えが難しい状態でしたが、これを移転させて利用者増に繋がったこともあったので、水間鉄道もJR阪和線との交点に駅を作ればさらなる利用者増が見込めそうだと思いました。
まあ、阪和線側にも新駅を作らないといけないので、JR西日本の協力も必要になる話ではありますけどね。
水間観音に到着です。
ホームは2面2線であり、線路は2線です。
ヘッドマークにはQRコードが付いていました。
どうやら公式ツイッターのURLが入っているらしいですね。
この記事をご覧になった方でツイッターアカウントをお持ちでしたらぜひフォローしてあげて下さいw
それではまた貝塚に戻って、再び南海本線を北上します。
ここで小腹が減ったのでたこ焼きを買いました。
たこ焼き自体は今や全国で食べることが出来る食べ物ですが、大阪だと他地域よりもあちこちにたこ焼き屋さんがあって誘惑されちゃうんですよねw
というわけで南海のホームへ戻ってきました。
ちょうど下りの普通列車がいたのですが・・・
よく見ると関西空港行きでした!
実は関西空港行きはほとんどが「ラピート」か空港急行であり、普通列車で関西空港行きって平日ダイヤでは1日6本、土休日ダイヤでは1日3本しかないレア行先&種別となっています。
京成でも普通の成田空港行きって珍しいですし、そんな感じなんでしょう。
↑回送が通過するシーンに遭遇しました。
あとは空港急行で一気に難波に戻ります。
和歌山市から普通列車で頑張ってきましたが流石にだるくなってきましたw
ところで、冒頭で実は南海電鉄を完乗出来ないと書いたのを覚えているでしょうか?
その理由というのはこの区間の途中にある羽衣駅から出ている高師浜線というの路線が、高架化工事のため2021年~2024年まで運休しバス代行輸送となっているためで、高師浜線に乗るためには来年以降に再訪する必要があるのです。
そのため、南海完乗はそれまでお預けですねw
難波に戻ってきてすっかり活動が終わった気分ですが、まだ「泉北ライナー」が残っています。
1日目の〆は「泉北ライナー」
そろそろ3万字に迫ってきており、書いている私も疲れてきましたし、ご覧になる読者の方もお疲れの頃かと思いますが、もう少しお付き合い下さい。
やってきました。
「サザン」でも活躍する南海12000系と同形式の泉北高速鉄道保有の12000系です。
それでは乗り込みます。
既に日は傾き車窓も楽しめない感じな上、泉北高速鉄道の12000系は窓ガラス部分にも車体ラッピングが貼られていて、そもそも車窓がよく見えません・・・
あとは和泉中央まで乗っていくだけですが、ここで「泉北ライナー」についての解説です。
「泉北ライナー」は難波~和泉中央間を南海高野線・泉北高速鉄道を直通して運行している特急列車で、通勤ライナー的な性質が強い列車となっています。
ただし、土休日にも運行があるため、必ずしも通勤利用に特化した列車というわけではありません。
停車駅は難波を出ると新今宮、天下茶屋、泉ヶ丘、栂・美木多、光明池、和泉中央となっており、「こうや」「りんかん」が停車する堺東を通過する一方、泉北高速鉄道内は泉ヶ丘~和泉中央間は4駅連続停車するなど、大阪都心のターミナルとニュータウン内の各駅をスピーディーに結ぶことに特化した列車となっています。
その歴史は意外と浅く、2015年に運行開始したもので、泉北高速鉄道自体は1971年に最初の区間が開業し、和泉中央まで延伸されたのが1995年なので全通から考えても20年越しで特急列車が誕生したことになります。
所要時間は難波~和泉中央間で最速29分となっていますが、同区間を直通で結ぶ区間急行や準急とは数分程度しか所要時間が変わらない列車がほとんどのようです。
そもそも停車駅の差が2駅しかないというのもありますが、そのため、この列車は速達性よりも快適性と着席保証を売りにした特急と言えますね。
特急列車なので当然乗車には特急券が必要であり、全車指定席となっています。
ここまでの活動の疲れもあってついついウトウトする場面もありつつ、和泉中央まではあっという間の乗車でした。
印象としては南海高野線と泉北高速鉄道との接続駅である中百舌鳥駅を通過することもあっていつの間にか泉北高速鉄道に入っていたという感じでした。
まあ、南海高野線も初めて乗るわけですが、明日も乗る予定なのでここは「泉北ライナー」に集中したいと思います。
車窓風景としては泉北1号線という道路に挟まれるように走るため、北総鉄道の東部の方の景色に似ているなと思いました。
あと、泉北高速鉄道についてですが、実は元々は南海電鉄が建設する予定だった路線でして、しかし、莫大な投資が必要な新線建設を南海が断念したため、元々はトラックターミナルを運営するために設立された第三セクターの「大阪府都市開発」が経営を行うこととなり開業しました。
当初は全ての業務を南海に委託していましたが、徐々に自前で業務を行うようになりました。
その後、株式が南海に譲渡されて南海グループの一員となり、社名も大阪府都市開発から泉北高速鉄道へと改名しました。
そのため、大半の列車が南海高野線に直通しており、南海と関連の深い鉄道会社となっています。
駅名標です。
ちなみに、表記こそ違いますが、「泉中央駅」が仙台市営地下鉄南北線に、「いずみ中央駅」が相鉄いずみ野線にそれぞれあるため、同じ読み方の駅が全国に3つあることになります。
隣にいたのは各駅停車中百舌鳥行でした。
「中百舌鳥」が難読なためか「中もず」と漢字とひらがなの交ぜ書きになっていますね。
ちなみに、泉北高速鉄道では「泉北ライナー」の他、区間急行と準急が難波まで直通の列車として運行されており、それ以外は中百舌鳥までの線内完結の各駅停車となっています。
面白いのが区間急行については南海高野線との接続駅である中百舌鳥を通過するのですが、これは中百舌鳥で接続する地下鉄御堂筋線へ乗客を渡さないためにわざとやっているんでしょうかw
↑発車シーンです。
とりあえず改札を出ます。
実は翌日も当駅を訪れる行程になっていたので、ここは軽くしか撮影しませんでした。
駅は大きな駅ビルとなっていて、改札を出てもすぐに外へは出られません。
↑発車シーンです。
↑今度は3000系が入ってきました。
↑5000系の発車シーンも撮ったらあとは、「泉北ライナー」で難波に戻ります。
この手のライナーは朝に上りのみ、夕方~夜間に下りのみというのが定番ですが、「泉北ライナー」は朝も夕方~夜間も上下とも運行されるのが特徴ですね。
運行距離が短く、1つの編成を難波~和泉中央間で何往復か走らせることが可能であり、片道を回送にするくらいならば需要が少なくとも営業して少しでも利益を得た方がいいという考えなのかもしれません。
↑「泉北ライナー」がやってきたのですが・・・なんと「ラピート」こと50000系がやってきたのです!
実は「泉北ライナー」の南海車運用に充当される11000系や代走で使われる12000系も車両数に余裕がなく、比較的余っている50000系が代走を務めているそうで、これはレアだということで帰りは50000系の「泉北ライナー」に乗ることにしたのです。
写真でも撮ります。
今日の活動は「ラピート」から始まりましたが、同じ車両で〆ることになるなんて、不思議な感じですね。
流石に「和泉中央」という行先は収録されていないのか、幕は「特急」とだけ書いてありました。
その代わりステッカーを貼って「泉北ライナー」であると案内していました。
これは「泉北ライナー」運用に用いる50000系を限定していて、それにステッカーを貼り付けたままにしているのか、「泉北ライナー」の運用に入る度に貼り付けているのかどっちなんでしょうね。
駅名標とも絡めたら乗車します。
そして、乗車するのは5号車、つまり「スーパーシート」です!
写真は既に「ラピート」のくだりで貼っているので省略しますが、普段は「泉北ライナー」にスーパーシートの設定がないこともあり、50000系充当の「泉北ライナー」ではスーパーシートも含めて普通車扱いで営業しており、普通車と同じ料金でスーパーシートが利用できてしまうのです。
「ラピート」のスーパーシートも210円足すだけでいいというコスパに優れた上級グレードでしたが、「泉北ライナー」ではまさかの同額という完全な乗り得車両ですね。
流石にこの時間帯に郊外のニュータウンから大阪都心へ向かう人は少ないようで、ほぼ私の貸切で難波まで行きました。
細かな乗り換えの連続で疲れていた私もスーパーシートですっかり癒やされて難波に戻ってきました。
難波に戻ってきました!
難波に「ラピート」がいるのは別に珍しくないですが、4番線にいるのはレアですよね。
ホテルまでは少し歩くのですが、阪神高速の高架に沿って進む場面もありました。
これは首都高みたいで見ていて楽しくなります。
あとはホテルへ入って翌日へ備えました。
初日から3万字を超える大ボリュームの記事になってしまいましたが、ご覧頂いた読者の皆さんはお疲れ様でした。
でも、まだまだ遠征の1日目ですからねw
というわけで、2日目はまた別記事として追ってレポートしますので、公開までしばらくお待ち下さい。