関西遠征2023(4日目)

3泊4日で実施した関西遠征の4日目(最終日)です。
なお、1日目2日目3日目をご覧になっていない方はそちらから先にご覧になることをおすすめします。

本日の行程

最終日となる今日は昨晩宿泊した姫路より「らくラクはりま」に乗って新大阪へ、少し引き返して大阪から「ひだ25号」で高山へ、高山からは濃尾バスの高速バスで新宿まで向かったらゴールです。
ようするに関西から東京へ戻りつつ、色々乗って楽しもうという1日ですね。
メインは「ひだ25号」であり、キハ85系による「ひだ」はダイヤ改正で消滅する見込みであり、大阪から高山まで最後に乗っておこうということでこのルートにしました。

「らくラクはりま」で新大阪へ

まずは昨日も乗った「らくラクはりま」で新大阪へ向かいます。
単に昨日の逆方向なだけなので、詳しい解説は改めてはしませんが、停車駅や使用車種なども昨日乗った姫路行きと同じです。

それではそろそろ本編に入っていきます。
というわけで朝の姫路駅にやってきました。
まだ薄暗い早朝ですが、通勤ラッシュ時に突入しており、駅構内はこれから出社するであろうサラリーマンたちで混み合っていました。


まずは発車標から


ローマ字Ver.


乗車位置案内もありました。


播但線の103系がいました。
以前の活動で乗りましたが、和田岬線の103系も引退が発表された今となっては、この光景もあとどれくらい見られますかね・・・

さて、あとは入線を待ちます。


↑やってきました!
考えてみれば姫路に289系がやってくるのはこの「らくラクはりま」だけなので、何気に朝と夜の1日2回だけのレアな光景ですよね。


列車名と行き先を撮ったら乗り込みます。
指定席なので慌てることもないですが、今回は姫路からもそこそこ乗っていたように思います。


↑今回は車窓を撮りました。
最初は薄暗い中ですが、289系はカーテンがついているので暗くても思ったより綺麗に撮れました。
特に明石海峡大橋なんかは絶景でした。

さて、それでは乗車レポートですが、加古川、大久保、西明石、明石と次々と乗ってきて最終的には昨日同様に窓際は満席、通路側も半分以上は埋まっているというなかなかの乗車率でした。
神戸や三ノ宮で降りる人がそこそこいて、大阪でほとんどが降りると新大阪まで乗る人はまばらでした。
正直、通勤利用ならほとんどが大阪までというのは納得ですし、新幹線への乗り換え需要があるとも思えないので、新大阪への延伸はちょっと意味がわからない気もしますが、新大阪の方がホームに余裕があるとかいう理由かもしれません。


新大阪へ到着!
さて、ここからは一旦大阪駅へ引き換えしてから「ひだ25号」ですが、ここで1駅折り返すためにここで乗車券を分割する事になってしまいましたw
「らくラクはりま」か「ひだ25号」のどちらかの全区間乗車を諦めれば通しの乗車券で済んだんですが、どうせなら始発から終点まで乗り通したいのは乗り鉄のサガですから仕方ないですねw

「ひだ25号」で高山へ

それではここからは本日のメインとなる「ひだ25号」に乗ることにします。
まず「ひだ25号」についてですが、そもそも「ひだ」は名古屋~高山・富山間を結ぶ特急列車です。
沿線には下呂温泉や観光地として名高い高山などのスポットが存在しており、観光需要が高い列車となっていますが、そのうちの1往復は大阪へ乗り入れています。
高山発大阪行きの「ひだ36号」は以前の活動で乗ったことがあったのですが、逆の大阪発高山行きの「ひだ25号」は乗ったことがなかったのでキハ85系が引退してしまう前に乗ろうというわけですね。

「ひだ」そのものについては前回の記事でもあらかた説明してしまっているので、今回は「ひだ25号」に特化して説明していくと、「ひだ25号」は大阪発高山行きとして設定されている「ひだ」であり、1日1往復だけ設定されている大阪発着の「ひだ」の1つです。
大阪~岐阜間は東海道本線を単独で走行し、岐阜から高山では名古屋からやってきた飛騨古川行き「ひだ5号」と併結して運行されます。
停車駅ですが、大阪を出ると新大阪、京都、草津、米原、大垣、岐阜、鵜沼、美濃太田、白川口、飛騨金山、下呂、飛騨萩原、飛騨小坂、久々野、高山となっており、東海道本線内は特急らしい絞られた停車駅となっているものの、高山本線では他の「ひだ」に比べると停車駅が多めになっています。
更にいうと、米原~野洲間では夜行列車の「サンライズ瀬戸・出雲」を除けば唯一の特急列車ともなっており、この区間を明るい時間帯に特急型車両で通過できる唯一の列車ともなっています。


それでは乗車レポートに戻りまして、大阪駅の発車標です。


↑動画でも撮りました。


↑ホームの発車標です。


既に入線していたため入線シーンは撮れませんでした。


221系との並びも撮りました。
キハ85系自体は「南紀」でもう少し活躍するようですが、221系と並ぶ姿はもう見られませんからね。


貫通側も


無理やり駅名標と絡めてみましたが、小さくしか写っておらず微妙ですねw


方向幕を撮ったら乗車します。
今回は自由席ということで席を確保するためにさっさと乗り込みます。
キハ85系による運行は残り1ヶ月半程度のタイミングだったためかさよなら乗車組と思われる鉄道ファンがちらほらといましたが、平日ということもあってかそんなに混んではいませんでした。


↑もちろん車窓を撮影しました。
全区間ということで4時間半ほどありますので、モバイル回線の方はデータ量などにご注意下さい。

ところで、キハ85系といえば「ワイドビュー」という愛称の通り、展望風景に優れた車両であり、特に前面展望に優れているんですが、後継となるHC85系は前面展望が楽しめないということで、「ひだ25号」に前面展望目当てで乗る人も多かったようです。
私もどうせなら前面展望を撮りたかったですが、流石に展望席は倍率が高すぎて争奪戦に敗れましたw

さて、それでは乗車レポートに戻りますが、この日はダイヤ乱れが発生しており、数分遅れての発車となりました。
それもよりによって新快速を先に行かせてからの発車となったため、これはこの先ノロノロ運転になりそうです・・・
1駅進んで新大阪に停車したらここからいよいよ特急らしい走りを期待できる区間ですが、前に新快速がいるので果たして・・・
まあ、とは言っても新快速も特急に比べると高槻に余分に停車する程度なのでそこまでノロノロ運転にはならないと思いつつ乗っていると、実際にもなかなかスムーズな走りをしてくれていました。


阪急千里線(多分?)と交差したり・・・


京都鉄道博物館を過ぎてもうすぐ京都駅というタイミングでまさかの機外停止・・・どうやら京都駅のホームが埋まっていて入れないそうです。
ここで10分程度の遅延となりました。

そして、ようやく動き出して京都駅入線です。
京都で降りる人もいましたがそれはキハ85系さよなら乗車組でしょうねw
ここから乗ってくる人もいて乗車率は決して低くはなさそうです。
2016年に廃止されてしまった大阪発着の「しなの」は名古屋まで新幹線で先回りした方が早いというのもあって利用者が少なく廃止になってしまいましたが、「ひだ」の場合、名古屋まで行かずに岐阜で高山本線に入るため、新幹線でショートカットしようと思っても、岐阜駅には停まらないので名古屋駅まで行って引き返すか、岐阜羽島駅から名鉄で岐阜に出るか、いっそ米原で乗り換えるかとなりますが、岐阜羽島・米原は停車本数が少ないなどもあって、在来線特急で直通する需要があるんでしょうね。

京都駅から先は先行の列車に支えているのかやっぱりノロノロ運転でしたが、草津を出て野洲あたりでようやく追い越すことが出来て高速域の走行を楽しめました。
米原を出てJR東海区間に入りましたが、ここからは関ケ原越えの区間となりカーブが多くなりますね。
まあ、それでも高山本線に比べれば全然線形がいいんですけどね。

18きっぷでこの区間を通ると新幹線と並走するせいで、新幹線が羨ましくなってしまいますが、「ひだ」だとスピードは新幹線に遠く及ばないものの座席の快適性のためかあまり新幹線に対する羨望は感じませんでした。

関ケ原越えの区間が終わって大垣に停車すると徐々に中京都市圏に入っていき、市街地の車窓に変わっていきます。
続いて県庁所在地の岐阜ですが、ここで降りる人が結構いました。
やっぱり大垣や岐阜と関西を直通できる貴重な列車ということで、ニッチな需要があるということなんでしょうね。

さて、この岐阜駅ですが、ここではちょっと面白い体験ができます。


岐阜駅に到着し、降車する乗客は続々と降りていきますが、発車時刻は10時11分なのに、所定だと9時56分、つまり15分も前に到着してしまうのです。
確かに名古屋方面からの「ひだ」と連結するわけですから、そのための時間だとも考えられますが、ここで「ひだ25号」は面白い動きをするのです。


↑なんと来た道を引き返すかのように反対方向へ向けて走り出したのです!
辿り着いた先は行き止まりの線路、いわゆる引き上げ線です。
引き上げ線とは折り返し運行などの際に一時的に回送車両を収容するための線路であり、乗客を乗せた営業列車が入線するというのはかなりのレアなことです。

そして引き上げ線で再度向きを変えて今度は4番線に進入して、名古屋からやってきた「ひだ5号」と連結後、高山へ向けて発車という流れになります。

まとめると、「ひだ25号」の動きは以下のようになります。

大阪方面から3番線に入線

3番線から引き上げ線へ移動

引き上げ線から4番線へ移動して「ひだ5号」と連結

高山方面へ発車

という流れになります。
これを見ると一旦3番線に入ってから引き上げ線を経て4番線に入るなんて面倒なことをせずに最初から4番線に入ればいいじゃないかと思われる方もいるでしょうが、その理由は信号設備にあるようです。
鉄道では列車同士が衝突することを防ぐための方法として「閉塞」という概念が用いられており、1つの「閉塞」には同時に1つの列車しか入れないという原則を守ることで安全を確保しています。
しかし、列車同士が連結する場合、1つの「閉塞」に2つの列車を入れないとそもそも連結はできませんよね?
そこで、連結作業を行う駅には「誘導信号機」という特殊な信号機を設置し、例外的に1つの「閉塞」に2つの列車を入れることができるようにするのですが、鉄道の安全を守る大原則を無視する例外的な取り扱いですから、既に列車がいる閉塞の手前の信号機は赤となり、その場で一旦停止後、誘導信号機に従って25km/h以下の徐行で駅に入っていく必要がありますし、停止信号の手前は注意信号(55km/h以下)、更にその手前は減速信号(75km/h以下)と速度制限を受けるため、誘導信号機による連結では駅のかなり手前から減速を要求され、駅直前では一旦停止後25km/h以下の徐行を強いられることになります。

もし、岐阜駅に誘導信号機を設置して「ひだ25号」は最初から4番線で「ひだ5号」を待つという流れにすると名古屋からの「ひだ5号」は前述の減速→一旦停止→徐行で入線という流れを強いられ、本数の多い東海道本線でそれをやると後続列車の邪魔になってしまう可能性があるため、「ひだ25号」を一旦引き上げ線へ入れてから、誘導信号機に従って徐行で「ひだ25号」の方が「ひだ5号」に連結しに行くという流れにすることで、東海道本線の本線を塞がなくて済むという工夫のようです。
この運用はキハ85系が「ひだ」から撤退しても続くようですが、前面展望が楽しめるのは今だけということで、撮影している鉄道ファンも多かったです。

というわけで乗客を乗せたまま引き上げ線へ入るという体験をしてから「ひだ5号」と連結し、列車は高山本線へと入っていきます。
遅延して到着しましたが、元々岐阜駅では停車時間が長かったこともあってか遅れは数分程度に回復していました。

高山本線に入ってからが列車名の通り飛騨川に沿う絶景区間と言えますが、この区間は以前にも乗っていますし、ダイジェストでご紹介していきます。


しばらくは市街地を走りますが、最初の見どころは犬山城です。
犬山というと名鉄のイメージですが、高山本線からも見えるんですね。


そして、最大の見所はこの飛騨川ですね。
美濃太田から先、久々野駅付近までずっと飛騨川に沿って走ります。

あとは途中には下呂温泉で有名な下呂駅もありますが、ここでかなり乗客の入れ替わりがありました。
温泉宿へチェックインするには早い時間帯ですが、早めに現地入りしてじっくり観光を楽しんでから宿へ向かう人達なのか降りていく人も多くいて、かと思えばちょうど宿をチェックアウトしてきてこれから高山へでも観光に繰り出すのか乗ってくる人たちもいました。
高山本線もルートが近い東海北陸自動車道の整備により、高速バスとの競合が激しい区間でもありますが、車窓風景を楽しむなら鉄道一択ですよね。


終点の高山に到着です。


ここで切り離し作業があります。
実は「ひだ25号」は高山が終点ですが、岐阜から連結して一緒に走ってきた「ひだ5号」は飛騨古川まで運転されるため、ここで切り離し作業というわけです。


「ひだ5号」の方向幕です。
飛騨古川も観光地として知られていて、観光客への便宜を図って一部の「ひだ」が飛騨古川発着で運行されていますが、流石に7両全部飛騨古川まで走らせても輸送力過剰ということでこのように分割する運用にしているんでしょうね。


分割作業の様子です。
ちなみに、このように「ひだ25号」の編成は高山で終わってしまうため、大阪~大垣間の各停車駅から飛騨古川まで行きたい人は高山で車両の移動が必要になります。


↑発車を待っていたらキハ25系が入換作業をしていました。


↑そして、「ひだ5号」が発車です。


残された「ひだ25号」の編成の隣には、キハ85系の後継となるHC85系が停車していて、新旧の並びが実現しました。
このあとは、HC85系による「ひだ」で折り返して乗り比べをしようかとも思いましたが、HC85系はこれから乗る機会があるだろうということで、今回は高速バスにしました。


とはいえ実写を見たのはこれが初めてだったのでHC85系単独でも撮っておきます。


HYBRIDのロゴがかっこいいですね。


行先表示もフルカラーLEDとなっています!


車番ですが、ハイブリッドということでエンジンは発電専用で、走行にはモーターを使う仕組みとなっていて、扱い上は電車扱いになっているようで、モーターを意味する”モ”がついた”クモハ”が着いていました。
ただ、資料によってはHC85系を気動車と扱っているものもあったり、HC85系を使用する列車の列車番号の末尾も気動車を意味する”D”だったりと電車なのか気動車なのかよく分からない車両ですw

というわけで、大阪から4時間半、296.5kmの旅は高山にて一旦ゴールとなりました。
この後は・・・

高山にて

ちょうど時刻はお昼時であり、次のバスまでは小一時間ほどあるので、高山で昼食を食べつつバスまで待つことにしました。


それにしても、リニューアルされた高山駅は本当に綺麗ですよね。
まあ、以前にも訪れていますから細かいご紹介はしませんけどねw


駅前では濃飛バスを見かけました。
濃飛バスは正式には「濃飛乗合自動車」といい、高山に本社を置くバス会社です。
社名は岐阜県の旧国名である美騨から取られており、今日利用する東京行きの高速バスも濃飛バスの便となっています。


市内路線なのか小さなバスも来ました。


高山といえば高山ラーメンということでお昼はラーメンを頂きました。


あと、せっかくなら飛騨牛も頂きたいなと思っていたら「飛騨牛握り」なるものがあったので注文してみました。
ウニまで載っている贅沢な一品ですが、一貫700円と思ったよりはお手頃価格でした。
手軽に飛騨牛を味わえる一品ですので、高山を訪れた際には是非!


それではこちら、高山濃飛バスセンターへ向かいます。
駅とは独立したバスターミナルですが、駅前にあるので鉄道との乗り換えも便利です。


高速バスを中心に多く集まっていますが、利用者も多く乗り場はごった返していました。
今回乗車するバスは予約制であり座席も指定済みなので慌てることはないですが、コロナの影響もだいぶ収束して人出が戻ってきたということでしょうかね。
交通業界としては喜ばしいことですし、このまま活気あふれるコロナ前に戻っていってくれればと思います。


高速バスネットワークはなかなか広範囲に広がり、東京や京都・大阪に、岐阜、名古屋、金沢、高岡、松本などへも路線が出ています。

それではあとはバスを待ちます。

濃飛バス 高山濃飛バスセンター→バスタ新宿

というわけで、ここからは高速バスに揺られて東京へ帰るのみです。
あとは帰るのみながら、5時間ほどの所要時間ですので最後ながら乗り応えがありますね


バスがやってきました。


鉄道でもなし得ない東京直結を実現した高速バスもまた偉大ですよね。


側面の行き先も撮ったら乗車です。
予約制高速バスということで運転士さんに氏名を告げて座席を確認後に乗車です。


運転士さんが離席している間にスタフを撮らせてもらいました。
ちょうどいいのでここでダイヤについて解説ですが、高山濃飛バスセンターを出ると丹生川、平湯温泉の2箇所で乗車扱い後、松本ICまで国道158号を走行し、そこからは中央自動車道で一路東京を目指します。
途中の諏訪湖SAと釈迦堂PAで休憩し、東京都に入ると中央道八王子・中央道日野・中央道府中・中央道深大寺・中央道三鷹に停車してから首都高に入り、初台出口で降りてバスタ新宿へ向かうというルートになっています。

ダイヤですが、毎日運行の便が1日4往復と繁忙期のみの臨時便の2往復(うち1往復は夜行)となっています。
運行は濃飛バスと京王バスの共同運行となっています。

今回は1A席、すなわち路線バスで言うところのマニア席にあたる位置を確保できましたので・・・


↑前面展望動画をどうぞ!
5時間超えの長丁場なのでお時間のあるときにじっくりとご覧頂く方がいいかもしれません。

乗車率は半分程度と、平日の日中の便にしてはまあまあという感じで、この路線もなかなか需要のある路線ということが伺えました。

バスは高山濃飛バスセンターを出るとしばらく高山の市街地を走行し、宮川をわたりますが、このあたりが古い町並みや朝市で有名な地区ですね。
ただし、バスセンター以外での乗降はできないので、これらの地区へ行く場合も高山濃飛バスセンターから徒歩や他のバスに乗り換えるなどして行く必要があります。
どうせならバス停を設けても良さそうですが、何か事情があるんですかね。

しばらく行くと車窓風景も段々と田園風景へと変貌していき、高山市丹生川地区に入ってきます。
この丹生川地区は2005年のいわゆる平成の大合併で高山市の一部となりましたが、それ以前は丹生川村という独立した自治体だった場所です。
ここでの乗車はありませんでしたが、せっかく通るならばバス停を設置しておこう的な感じだったんですかねw
ちなみに、今回乗車した高山-新宿線はいわゆるクローズドドアシステムが採用されていて、高山濃飛バスセンター~丹生川間のみの利用はできず、東京方面への利用のみが可能となっていますが、並行して走る高山-松本線はそのような制約がないため丹生川地区の住民が高山市中心部へ出掛けるための生活の足という側面もありそうです。


丹生川を過ぎると本格的に山へ分け入るようになり、道路も右へ左へカーブが多くなるといよいよ山岳道路の雰囲気になってきました。

今はマイカー禁止になっている乗鞍スカイラインと分岐するとすぐに平湯トンネルという長大トンネルに入っていき、平湯峠を一気に越えてしまいます。
国道158号は主要都市こそ通りませんが、福井市から松本市まで中部地方を横断する道路ということもあり、交通量も多く峠道を迂回するトンネルが整備されている箇所も多いです。


トンネルを抜けるとそこはもう平湯温泉でした。
バスターミナルになっており、ここでは休憩として10分間停車するようです。


気づけばすっかり山の中にいました。


バスも撮ります。
ん?よく見ると・・・


「さるぼぼ」がいました!
ちなみに、「さるぼぼ」というのは高山に伝わる疫病避けの人形でしてコロナ禍の昨今にはうってつけですね。


ロッジ風の建物はレストランやお土産売り場があり、観光客向けのドライブインという感じですが、バスターミナルとしても活用されているようですね。

と言った感じで休憩を終えてバスに戻ります。
既に峠を越えてあとは松本へ下っていくだけかと思いきや、ここからが本番です!

平湯温泉を出てすぐに安房峠道路という自動車専用道路を通行します。
この道路の大半は安房トンネルとなっており、国道158号の安房峠は狭隘で大型車同士のすれ違いが困難で、混雑時には通過に5時間以上を要し、冬期は積雪のため通行止めになるなど、道路事情は悪いものでしたが、安房トンネルの開通で所要時間は5分に短縮され、冬季の通行止めもなくなり通年通行が可能になりました。
恐らくはこのトンネルが出来たおかげで高山~新宿間という高速バスが成立したんだと思いますが、5時間が5分ってもはや瞬間移動と言ってもいいくらいの劇的な変化ですよね。

ちなみに、この安房峠道路は中部縦貫自動車道の一部という扱いになっており、一応は高速道路なんですが、特に険しい峠をバイパスする区間が先行整備された事情から前後の区間はまだまだ整備の途中であり高速道路としては珍しい孤立路線となっています。
中部縦貫自動車道が全通すれば国道158号に沿う形で福井~高山~松本が高速道路で結ばれる予定となっています。

あと、安房トンネルについてですが、全長4370mの昨今の状況からすれば特別長いわけでもないトンネルなのですが、貫いてる地質が特殊でして、アカンダナ山という活火山の高温帯を通過していて、建設中には火山性ガスを含む水蒸気爆発事故が発生して作業員4名が犠牲になるなど、難工事の末に完成したトンネルでした。
活火山の中を貫くトンネルなんて通って大丈夫なのかとちょっと心配になりますが、普通に通行する分にはごく普通のトンネルという感じでしたね。
自動車専用道路なので徒歩や自転車では通行できませんが、もし通れたらトンネル内はやはり熱く感じたりするんですかね。

そんな難工事の逸話もあっという間に過ぎて岐阜県高山市から長野県松本市に入っていきます。
高山と松本って全然違う場所で近いイメージはありませんが、実は隣り合っていたんですね。

安房峠道路が終わるとまた国道158号と合流して中の湯に差し掛かります。
ここには停車するバス停はありませんが、ここから上高地方面へ道路が分岐しています。
この旅は1月下旬だったので観光シーズンではなく上高地へ通じる道路も通行止めなので閑散としていますが、観光シーズンに入ると上高地へ向かうバスがひしめくように走り賑やかな区間となります。

ここから先は実は以前にバスで上高地へ行った際に通ったことがあるので、知っている景色なんですが、特にバス好きは楽しめる区間だと思います。


なにせ中の湯から新島々付近までの国道158号は梓川沿いに進むものの険しい地形ゆえに線形も悪くトンネルも狭隘なものが多いと、大型バスが通行するには不利な環境が揃っているのです。
運転士さんは大変でしょうが、乗っている身としては楽しくて仕方がないですw


狭いトンネル内でダンプカーと離合する場面もありました。
ギリギリすれ違える幅はあるのですが、バスはミラーを畳んでトンネル壁面すれすれまで寄せてやっとすれ違っていました。


梓川は古くから電源開発が進んできた川であり、国道沿いには奈川渡ダム、水殿ダム、稲核ダムなどダムがいくつもあります。

この区間内はカーブあり、狭いトンネルありで、そんなところを大型の高速バスが走っているなんてバス趣味的視点からはこれほど面白い場所はないと思いますが、これでも上高地がシーズンオフなために通行量は少なめでしょうし、まだスムーズなんでしょうね。
せっかくなら上高地へ向かうバスが多い時期に来たらもっと面白かったかもしれませんw


車窓からはこんな立派な道路が見えました。
中部縦貫自動車道の延伸部かと思ったら、国道158号の改良事業として整備されている道路のようです。
どうやらバイパスという言い方ではなくて改良という言い方なので、あちらの道路が完成したら今使われている国道158号は廃道になってしまう可能性が高そうで、今のうちに乗れて良かったです。

この区間は特に狭隘、急カーブが多く優先的に改良されることになったんでしょうが、対向車とのすれ違いのために一時停止したり、トンネル手前ではクラクションを鳴らしたりパッシングを繰り返したりして対向車に大型バスの接近を知らせるなど、狭い道ならではのテクニックを見せつつ運行が続きました。

狭い地形もいつしか開けてきて、気がつけば右手に線路が見えてきますが、これはアルピコ交通上高地線の線路です。
上高地線と言っていますが、鉄道は新島々というところが終点で、そこからバスに乗り継いで上高地へ向かうルートとなっています。
せっかくなら鉄道で上高地へ行けたら最高ですが、ここまで見てきた地形を見るに、鉄道を通すとしたら箱根登山鉄道みたいな路線になっていたことでしょうね。
まあ、それはそれで見たかったですがw

ここまで来ると開けた地形に田園風景が広がりますが、時折家々が見えて、やっと松本の市街地に入ってきたかなという雰囲気です。
まあ、安房峠を越えた時点でとっくに松本市だったんですけどねw

しばらくして松本インターチェンジに差し掛かりようやく本格的な高速道路に入ります。
考えてみれば高速バスなのに高山を出てから2時間近く山道を走ってやっと高速道路なんて面白いですよね。
まあ、安房峠道路も高速道路ではありますが、対面通行でしたしねw

松本インターチェンジからは長野自動車道に入り、岡谷ジャンクションから中央自動車道に入ります。
鉄道だと塩尻から中央本線ですが、中央自動車道は中央西線と違って伊那谷経由なので岡谷が接続点になるわけですね。


中央自動車道に入ると車窓には諏訪湖が広がりました。
ということはもうすぐ休憩箇所の諏訪湖サービスエリアですね。


もちろんバスも撮りますw


諏訪湖サービスエリアの建物です。
そういえば、東名はバスでもレンタカーでも割りと使うのでサービスエリアも馴染みがありますが、中央道ってバスでもレンタカーでもあまり通らないのでなんだか新鮮でした。


観光地あるあるの顔出しパネルがありましたが、どこのゲームのキャラかと思ったら武田信玄と諏訪姫だそうです。


もちろんサービスエリアからも諏訪湖が見えます。


パノラマ写真も撮ってみました。
それではバスに戻りましょう。

あとはひたすら中央自動車道を走るわけですが、ようやく高速バスらしい走りになってきました。
さっきまで狭い道路を窮屈そうに走っていた鬱憤を晴らすように、広々とした高速道路を快走するバスに揺られていると気づけば山梨県に入っていました。


高速道路に入って2回目の休憩となる釈迦堂パーキングエリアです。
すっかり薄暗くなってしまいました。


駅名標を撮る感覚でつい撮ってしまいますw


それにしてもオシャレな建物ですね。

遠くの背景には山々が連なる山梨県独特の景色を見ながら甲府盆地を走り抜けると笹子トンネルを越えて大月を経て神奈川県も掠めつつ小仏トンネルで東京都に入りました。
高速道路はやっぱり快適ですね。

八王子の市街地に入るとあとは関東平野となり、街並みが続くようになりますが、ここでついに・・・


渋滞発生!
中央道の渋滞は首都圏名物の1つという感じですが、東京へ乗り入れる高速道のうち、唯一片側3車線化されていないため、特に渋滞がひどいんですよね。
しかもこの日は故障車がいたとかで余計に混んでいたようです。

渋滞にハマりながらも各バス停に停車していきますが、途中で降りたのは数名程度でした。
ほとんどはそもそも利用者がいないという状態でしたが、唯一数名まとまって降りたのが中央道日野でした。
この中央道日野は多摩都市モノレールの甲州街道駅が近いためアクセスがよく、日野市周辺の立川などの利用者が高速バスを利用するのに便利であるとして高速道路上のバス停にしては利用者が多いようです。


渋滞もあり30分ほど遅延しましたが、ようやくバスタ新宿に到着しました。
この路線は山道もあり高速道路もありと、変化に富んでいて楽しい路線でしたね。
今後は国道の改良や中部縦貫自動車道の延伸で経路が変更されていくと思われますから、狭隘区間を楽しむなら今のうちですよ!

というわけでこれにてレポートを〆たいと思います。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。

次回ですが、関東周辺での単発の活動をしておりそれのレポートでお会いしましょう。
それでは!

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つばめ501号(管理人) について

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