3泊4日で実施した関西遠征の3日目です。
なお、1日目・2日目をご覧になっていない方はそちらから先にご覧になることをおすすめします。
本日の行程
3日目となる今日は、昨晩宿泊した大阪からスタートして、大阪梅田駅へ向かい、阪急の乗りつぶしを行うのが前半戦です。
本来はこの日に宝塚本線・箕面線・伊丹線・今津線・甲陽線を一気に乗りつぶす予定でしたが、昨日の記事で説明した通り、箕面線・伊丹線と今津線の南側(今津南線)は昨日乗ってしまいましたので、行程としてはこれらの路線は省略し、大阪梅田から宝塚本線急行列車で宝塚へ、今津線で西宮北口へ向かったら、神戸本線で夙川へ、甲陽線を甲陽園まで1往復したら、再び神戸本線で新開地まで向かい、阪急完乗を目指します。
後半戦は神戸電鉄の乗りつぶしであり、新開地からまずは一気に三田へ向かい、ウッディタウン中央へ寄り道しつつ三田線を引き返して有馬口へ、有馬温泉へも立ち寄ったら鈴蘭台からは粟生線で粟生へ向かい、ついでに粟生から出ている北条鉄道も乗ってしまいます。
あとは北条鉄道・粟生線を乗り継いで新開地へ戻ったら阪急神戸本線で大阪梅田へ戻り活動としては終了ですが、翌朝の行程の都合上、新大阪へ宿泊するので新大阪まで移動してゴールとなります。
まずは宝塚線を乗りつぶす
というわけで3日目の始まりは阪急宝塚線からです。
それでは1日目のレポートを始めていきましょう。
ここでまず阪急宝塚線について解説します。
宝塚線は大阪梅田駅と宝塚駅を結ぶ全長24.5kmの路線で、箕面線と並んで阪急の前身といえる箕面有馬電気軌道により建設された路線であり、阪急発祥の路線とも言えます。当時は沿線の多くが田園地帯だったことから経営が危ぶまれたため、沿線の住宅開発を行ったり、阪急百貨店、宝塚歌劇団など集客施設を自ら経営するなど私鉄経営の基礎を作り上げた会社でもあります。
ところで、設立時の社名に「有馬」という字が入っていることが気になった方もいるでしょうが、実は当初の計画では宝塚から更に路線を伸ばし有馬温泉まで乗り入れる計画でした。
しかし、宝塚から有馬まで線路を敷くには急勾配、急カーブの続く路線となることが見込まれ、高規格な路線にしようとすれば建設費が高騰することも見込まれたことや、宝塚周辺の沿線開発に注力したこともあり結局有馬温泉への乗り入れは実現しませんでした。
その代わりというわけではないですが、系列の阪急バスによって大阪と有馬温泉を結ぶバスが運行されており、箕面有馬電気軌道の野望はバスが受け継いでいるとも言えます。
現在では支線に当たる箕面線や、川西能勢口から出る能勢電鉄とともに通勤・通学路線としての色が濃くなっていますが、蛍池駅では大阪モノレールに接続することから伊丹空港へのアクセス路線としての役割も持っていたりします。
運行形態としては日中ダイヤでは普通と急行の二本立てとなっていて、大阪梅田~宝塚間の急行と大阪梅田~雲雀丘花屋敷間の普通が交互に走るシンプルなダイヤになっています。
ラッシュ時には上りのみの通勤特急や、昨晩乗車した特急「日生エクスプレス」が加わりますが、今回は急行についてのみ紹介すると、停車駅は大阪梅田を出ると十三、豊中と豊中から先の各駅となっており、急行運転区間は豊中~大阪梅田間のみとなっていて郊外では各駅停車になるという私鉄路線ではありがちな停車パターンです。
というわけで阪急乗りつぶしスタートです。
まずは急行宝塚行きから1日が始まります。
時間帯としてはラッシュ時ですが、大阪梅田駅から乗車する人は少ないようで、それほど混んでいませんでした。
乗車するのはこちらです。
降りてくる人はかなり多くてラッシュ時だなと実感しました。
そして、乗車です。
昨日の箕面線に乗るための石橋阪大前までの往復と、「日生エクスプレス」とその復路と、都合2往復を既にしているわけですが、川西能勢口までしか乗っていなかったので、今度は宝塚まで乗り通して完乗を目指します。
宝塚線は極力トンネルを作らずに済むようにルート選定をした影響でカーブが多く、あまりスピードが出せない路線なんだそうで、急行といえどもそこまでぶっ飛ばしている感じではありませんでした。
神戸本線はほとんどの区間が直線で、JRの新快速ほどではないにせよ高速運転をしていたのとは対照的ですね。
これでも高架化に合わせてだいぶ線形改良されて高速化されてきたようですけどね。
沿線のほとんどは住宅地などが多く、特徴的な車窓はなかったのですが、途中にある三国駅はAikoさんの楽曲「三国駅」で歌われたことで知られていたり、これまた途中にある売布神社駅は「めふじんじゃ」と読むのですが、難読だったりといったところがネタでしょうか。
というわけで宝塚駅にやってきました。
構造は頭端式2面4線となっており、基本は宝塚線と今津線で2線ずつという風に使い分けているようです。
ただし、本数が少なくなる日中は宝塚線用である3・4号線のみを使い、3号線に今津線、4号線に宝塚線という運用をして乗り換えの便宜を図っているようです。
こうすれば対面乗換が出来るというわけですね。
ところで、宝塚といえば宝塚歌劇団というほど、宝塚歌劇団は有名ですが、宝塚歌劇団が有名になったから本拠地であるこの地が宝塚と呼ばれるようになったのか、逆に元々宝塚という地名があって、そこで興った歌劇団だったから宝塚歌劇団となったのか、ようするに地名が先か歌劇団が先かという疑問を感じて調べてみたんですが、答えは地名が先みたいです。
諸説あるものの、宝塚の”塚”は古墳を意味していて、古くから「宝塚」と呼ばれる古墳があって、それが地名としても定着したということのようです。
偶然ですが、歌劇団の名前としても違和感がない名前だったのはすごいと思います。
あと、今回は乗り換えだけで去ってしまいますが、JR宝塚線(福知山線)の宝塚駅も隣接しており、乗り換えが可能です。
国鉄時代は福知山線の本数が少なく非電化でスピードも遅かったことから三田方面から国鉄でやってきて、当駅で阪急に乗り換えて大阪へ向かうなんて利用者も珍しくなかったそうですが、今はJR側の輸送改善が進み、このような傾向は無くなったようです。
でも、今津線に乗り換えて西宮北口方面へ向かうならば、今でもJRと阪急を乗り換える意義は残っていますよね。
終端部です。
宝塚線も今津線も同じ方向に出るため、終端部があるわけですね。
このように現在は終点ですが、箕面有馬電気軌道の野望通り、有馬まで路線が伸びていたら途中駅だったんですよね。
ちなみに、当駅から有馬温泉までのバスが出ており、宝塚から直接有馬温泉に行くことも出来ます。
宝塚線と今津線の並びです。
阪急は路線ごとに車体の塗装を変えるとかいうことをしないので、方向幕を見ないと何線なのか分からないのがちょっとネックですけどねw
というわけで、ここからは今津線で西宮北口へ行きます。
元々の計画だと西宮北口で更に乗り換えて今津へ行ってまた戻ってくるという行程だったのが、今津への1往復がいらなくなったのはかなりの時短になります。
それではここからは今津線です。
昨日も乗って、ある程度紹介したので、今回は西宮北口以北の今津北線をメインにご紹介していくとしましょう。
これから乗車する宝塚駅~西宮北口駅間の通称「今津北線」ですが、「今津南線」を除くと全長7.7kmとそれほど長い路線ではないのですが、宝塚駅と神戸本線を直結し、神戸市と宝塚市を連絡する役割だったり、逆に大阪梅田方面へも利用可能であるため、宝塚線の補完として宝塚~大阪梅田間の移動を担うことも出来ます。
日中の運行形態は宝塚~西宮北口間の普通列車のみとなっていて、ローカル線という感が強いですが、平日の朝ラッシュ時の上りに限って宝塚駅から今津線・神戸本線経由の大阪梅田行きの準急が運行されており、この列車は今津線内は各駅停車ではあるものの、大阪梅田への直通列車となっており、しかも、宝塚から大阪梅田への利用では宝塚線経由よりも早いとのことで、ラッシュ時限定ではありますが、宝塚~大阪梅田間の裏ルートとなっています。
面白いのが、今津線と神戸本線の接続点である西宮北口駅についてはホームのない連絡線を経由する都合上通過となっている点であり、西宮北口駅そのものへ行きたい場合や、神戸本線や今津南線に乗り換えたい方はこの準急を利用できません。
また、この準急以外でも宝塚~大阪梅田間は西宮北口駅での乗り換え時間を含めても宝塚線を経由するより早い場合が多いそうで、例えば平日日中の宝塚線急行が宝塚から大阪梅田まで34分なのに対して、今津線で西宮北口駅へ、そこから神戸本線特急で大阪梅田へ向かった場合、乗り換え時間を含めても32分なので、たった2分ですが、今津線経由の方が早くなっています。
たった2分の差ならば乗り換えがない宝塚線の方がいいと考える利用者が多いでしょうが、宝塚駅でタッチの差で宝塚線を逃してしまった場合、今津線の列車で西宮北口駅に出て神戸本線に乗り換えれば次の宝塚線を待つより早く到着できる可能性もあるので、数分の差が明暗を分けるようなシチュエーションだったら頭に入れておいて損はない知識だと思います。
このように、もはやこっちが本線でいいのではないかという状況ですが、宝塚線を利用している人たちが、今津線経由に流れてくると神戸本線の混雑が酷くなってしまいますし、神戸本線は複々線化とかはされていないので、神戸方面と輸送力が競合しない宝塚線に誘導したい意図はありそうですね。
ラッシュ時の準急は、逆に今津線沿線の利用者を直通列車の設定で神戸本線経由に誘導して、宝塚線の混雑緩和を図ろうということなのかもしれません。
あとは、途中に仁川駅というのがありますが、こちらは阪神競馬場の最寄り駅です。
「ウマ娘」をやっている方ならば、阪神が舞台のレースの実況で、「仁川の舞台はここから坂がある!」というフレーズを聞き覚えがあるでしょうが、その仁川です。
余談ですが、韓国の「インチョン」の漢字表記と同じ表記となり、仁川国際空港があることでも有名ですから、逆に「インチョン」と読みたくなってしまうかもしれませんw
このように競馬場アクセス路線としての役割もあり、G1などの多くの観客の来場が見込まれるレースの際には、帰宅用に仁川発大阪梅田行き臨時急行が設定される場合があるようです。
短絡線経由の準急や臨時急行にも後ろ髪を引かれつつ、今日は乗りつぶすだけで今津線とはお別れです。
昨日から散々阪急に乗っていて初めて気づいたんですが、パワーウインドウになっていたんですねw
相鉄でパワーウインドウが付いている車両があるのは知っていましたが、阪急でも付いている車両があるんですね。
そして、西宮北口に到着です。
昨日乗車した今津南線と合わせて、これにて今津線完乗です。
ところで、宝塚(今津線)西宮北口(神戸本線)十三(宝塚線)宝塚という経路は1周繋がる環状線のような形になっているわけですが、これは阪急電鉄では唯一の例となっています。
そうなると、JRの大都市近郊区間みたいに大回り乗車が出来るんじゃないかと思う人も出てくるかと思います。
私も疑問に思って調べてみたんですが、阪急の旅客営業規則ではこの1周ルートのことを「阪急環状線」と呼び特別扱いしており、この範囲内の駅を発着または通過する場合、3区(230円)以上の乗車券を持っていれば迂回乗車が可能と書いてあるみたいです。
つまりはこの区間内の初乗りきっぷを買って、逆回りに1周するみたいなことはルール違反になるということです。
ですが、迂回乗車自体を禁じているのではなく、230円以上の区間を利用するならば迂回乗車が可能とされていますから、宝塚から大阪梅田への利用者が宝塚線の急行を使うか、朝ラッシュ時限定ですが今津線・神戸本線経由の準急を使うかは自由に選ぶことが出来ますし、そもそもが、宝塚~大阪梅田間は宝塚線経由が24.5kmに対して、今津線・神戸本線経由は23.3kmと実は今津線・神戸本線経由の方が短いんですよね。
なので、迂回乗車を一切禁止にすると、宝塚から大阪梅田への利用者は宝塚線に乗って移動するとアウトという意味不明なことになりますw
ちなみに、今回の活動では大阪梅田駅で入場し、宝塚線・今津線・神戸本線・甲陽線と乗り継いで甲陽園で改札を出るので、大阪梅田→甲陽園での乗車という扱いになりますが、この区間の運賃は290円で3区よりも長い区間のきっぷということになるため、宝塚経由で遠回りして乗車したことは問題ありません。
なので、神戸から大阪へ移動するとして、少しでも色々な列車に乗りたいとか、今津線や宝塚線にも乗ってみたいと思ったら、宝塚経由の迂回乗車をすることは可能なので興味がある人はやってみてもいいかもしれません。
まあ、JRが初乗り運賃で何百キロも乗れたりするのに比べると地味ではありますけどねw
レポート本編に戻りまして、西宮北口駅の終端部です。
今津線は神戸本線への連絡線を除いて線路が分断されているため終端部があります。
ラッシュ時ということで通勤特急が走っていました。
ですが、これには乗らずに普通列車で夙川へ向かいます。
というわけで夙川へやってきました。
ちょっと難読ですが、「しゅくがわ」と読みます。
当駅は甲陽線との乗り換え駅ということで、特急を含め全列車が停車する駅となっていますが、このようになったのは2006年からであり、これは2007年に開業したJRのさくら夙川駅に乗客を奪われることを懸念しての特急停車化だったと言われています。
こちらは甲陽線と本線を繋ぐ連絡線です。
基本的に車両の出入りのためだけに使われ、甲陽線と本線の直通運転はありません。
↑甲陽線の列車がやってきました。
ここで甲陽線について解説です。
甲陽線は夙川駅と甲陽園駅を結ぶ全長2.2kmのミニ路線です。
これは1つの路線としては阪急で最も短いそうです。
全線単線で、日中のダイヤでは10分間隔での運行となり、唯一の中間駅である苦楽園口駅で列車交換を行い、2編成の列車が交互に往復する形態となっています。
これも2006年までは日中15分間隔で1編成が行ったり来たりするだけの運用だったそうですが、これだと神戸本線のサイクルと合わず接続が一定しないことになっていたのが、さくら夙川駅開業でJRに利用者が流れることを懸念して、日中10分間隔に増発され、大阪梅田方面、神戸三宮方面いずれも特急とすぐに接続するダイヤを組むようになったようです。
歴史としては、元々建設する予定はなかったものの、ライバルの阪神電鉄が摂津電気自動車という子会社を設立し、香櫨園駅から苦楽園へのトロリーバスの建設免許を取得したことがきっかけで、これへの対抗策として阪急サイドも苦楽園、そして甲陽園への支線として甲陽線を建設することになりました。
苦楽園も甲陽園も当初はレジャー施設であり、甲陽線も観光路線という役割がありましたが、沿線が高級住宅地として開発されたことや、学校が集まったことから通勤・通学路線となり、現在に至ります。
また、2003年から連載され、2006年にはアニメ化もされた「涼宮ハルヒシリーズ」は甲陽園駅周辺を舞台としており、作中にも甲陽線を始めとして阪急電車が登場することもあり、一種の聖地といえます。
近年はアニメをきっかけに地域おこしをすることを狙い、積極的に実在の地名や場所をアニメに登場させる傾向がありますが、この頃はまだそういう文化はなかったのか、微妙に字を変えたりして(例えば「甲陽園」は「光陽園」、「夙川」は「祝川」など)登場していますが、作者の谷川流氏が甲陽園のある西宮市出身であるなど、明言はしていないものの明らかに甲陽園駅周辺が舞台となっています。
せっかく訪れたなら聖地巡礼と洒落込んでもいいのですが、神戸電鉄の乗りつぶしもあるので、今回は駅だけ見て引き返すことにします。
それでは改札を出ます。
夙川駅の甲陽線乗り場と同じく、1面1線とシンプルな構造です。
駅舎は意外にもレトロな雰囲気で、周囲が高級住宅地であることを考えるとギャップも感じますが、こういう駅を残してくれているのは鉄道ファンとしては嬉しいことです。
ちなみに、この駅舎もアニメに出ていたはずです。
駅前にバス停があります。
乗り入れているのは阪神バスであり、実はトロリーバスの建設こそ断念しましたが、路線バスとしては乗り入れを果たしているんですねw
ところで、「ハルヒ」で主人公たちが通う設定の「北高」は、当駅近くにある「兵庫県立西宮北高等学校」であり、その校舎はアニメにも度々登場しているわけですが、現役で使われている学校なので、関係者以外は立ち入ることが出来ません。
聖地巡礼をするにしても、敷地外から眺めるしかできないわけですが、生徒のいる時間帯は撮影も憚れますし、「北高」の聖地巡礼は難しいかもしれませんね。
あと、余談ですが、2024年に「北高」は統廃合されることとなっており、聖地の校舎がなくなるのではないかという懸念の声もありましたが、統廃合後の新設校は現在の「北高」の場所に設置することになったそうで、ようするに今の校舎はそのままで、校名や制服などだけ変わるということのようです。
なので、「北高」という名前は消えてしまう可能性が高いですが、校舎自体は残るみたいなので、最近「ハルヒ」を知って聖地巡礼をしようと思っている方は慌てることはないと思います。
また、甲陽線自体も、全線を地下化するという話があって、そうなると沿線から阪神電車が見られなくなりますし、聖地の踏切や駅舎もなくなるということで懸念されていましたが、こちらも地元住民からの反対運動を受けて事業休止という事実上の中止となりました。
校舎といい甲陽線自体といい、まるで「ハルヒ」の聖地を守るための見えざる力が働いているような気がしてしまいますが、これも「ハルヒ」がそう願ったからこうなったのでしょうか?w
甲陽園通りというそのまんまな通りもありました。
ここまできたら聖地巡礼したくなりますが、ここはぐっとこらえて駅に戻ります。
ところで、駅になにか「ハルヒ」に関する掲示物が1つくらいあるんじゃないかと期待していましたが、残念ながら特にありませんでしたw
そもそも、最初のアニメ放映から考えても17年も経っていて、流石にブーム当時の勢いはないでしょうし、今更聖地巡礼に来る人も少ないんでしょうね。
でも、ここは「ガルパン」の大洗や、「ラブライブサンシャイン」の沼津みたいに、作られた感のある聖地と違って、知らない人にとっては何気ない町並みでも、作品を知っている人だけが楽しめるアングラ感が逆にいいのかなという気もしました。
また関西に行く機会があれば、聖地巡礼してみてもいいかもしれません。
最後に車窓から見た甲陽園駅一帯です。
駅の向こう側は山となっていて、主人公たちが毎日登下校で登り降りしていた坂道を俯瞰しているともいえますね。
それでは夙川へ戻って神戸本線に乗り換えます。
あえての普通列車ですが・・・
普通列車は神戸三宮までしか行ってくれません。
神戸電鉄に乗り換えるには新開地まで行かないといけないのですが、新開地へ乗り入れるのは特急だけなんですよね。
だったら、特急に乗ればよかったじゃないかと思われるでしょうが、大阪梅田→新開地の乗車は特急でやったことがあるので、普通列車に乗ってみたかったんです。
私の乗り鉄としてのマイルールですが、全ての路線は少なくとも1回は各駅停車で乗車するというのがあるので、それに従った形ですね。
特急で通り過ぎるだけでは感じられない路線の雰囲気とかもありますしね。
ホームは島式2面3線で、真ん中の線路のみ両側にホームがあります。
大阪梅田方面は普通列車が当駅折返し、特急は新開地発着なので、当駅で普通列車と接続をとるダイヤとなっています。
逆に新開地方面は山陽電気鉄道へ直通する普通列車が当駅折返しとなっていて、山陽電気鉄道の直通特急は阪神線へ直通する代わり、普通列車は阪急線の神戸三宮駅に乗り入れて山陽沿線から阪急沿線への移動需要に応えているようです。
そして、ここからは特急に乗り換えて新開地へ向かいます。
外観は撮りそこねたので車内の写真です。
ここからは神戸高速線と呼ばれる区間になります。
この神戸高速線の区間は神戸高速鉄道という鉄道会社が線路を保有する区間ですが、このあたりの話がちょっとややこしいので、神戸高速鉄道全体の説明をしたいと思います。
神戸高速鉄道は西代~元町間と、高速神戸~神戸三宮(阪急)間、そして、新開地~湊川間という、新開地駅・神戸三宮駅から放射状に伸びる変わった路線網を持つ鉄道会社です。
神戸三宮駅では阪急神戸本線、元町駅では阪神本線、西代駅では山陽電鉄本線、湊川駅では神戸電鉄有馬線にそれぞれ接続しており、それぞれ直通運転を実施しています。
早い話が神戸市中心部の地下区間だけ神戸高速鉄道という別の会社が受け持っていますよということなのですが、なぜこうなったのかというと、その昔、神戸市には阪神・阪急・神戸電鉄・山陽電鉄の4社の私鉄が乗り入れていましたが、ターミナル駅はバラバラであり、利用者の利便性を考えてもターミナルの統合が求められており、各社の思惑としても神戸市中心部への乗り入れは悲願でした。
また、神戸市として戦後の復興計画において、神戸市電が担っていた市内交通を地下鉄などより高速・大量輸送が可能な交通機関に置き換えたい思惑があり、私鉄各社と神戸市の思惑が一致した結果、私鉄各社と神戸市、それに地元財界の出資で神戸高速鉄道を設立し、神戸市内に地下路線を建設し、それと私鉄各社の線路を繋げることで、神戸市中心部まで私鉄の電車が乗り入れることが出来るようになるとともに、市内交通の役割も担わせることが出来るようになったのです。
特異だったのはその運営形態であり、設立当初より神戸高速鉄道では車両も乗務員も自前では用意しておらず、乗り入れ各社の車両を使用し、乗務員も乗り入れ各社の乗務員がそのまま神戸高速鉄道線内も乗務するという形態でした。
今でいう第三種鉄道事業者(線路のみ保有して列車の運行は行わない)に近いですが、設立された1958年、また開業した1968年当時は現在の鉄道事業法にあたる地方鉄道法という法律に基づいて運営されていましたが、この頃は第三種鉄道事業者のような形態は制度化されておらず、極めて特異な運営形態だったのです。
そして、1987年の国鉄分割民営化に合わせて地方鉄道法は鉄道事業法に置き換えられる形で消滅し、以後は鉄道事業法に基づいて運営を行うことになりましたが、ここで問題になったのが神戸高速鉄道を第一種鉄道事業者(線路を保有し列車も自前で走らせる)として扱うのか、第三種鉄道事業者として扱うのかということです。
車両や乗務員を自前で持っていないという点から、第三種鉄道事業者がふさわしいと思われますが、当の神戸高速鉄道は第一種鉄道事業者として認定されることを希望したのです。
その理由ですが、神戸高速鉄道の運営形態が第三種鉄道事業者の定義とは微妙に違っており、それは神戸高速鉄道は列車の運行は乗り入れ各社に任せていますが、運賃は独自のものを設定しており、きっぷの発売などは自前でやっていたということです。
本来の第三種鉄道事業者は、第二種鉄道事業者に線路を貸し出し、第二種鉄道事業者は第三種鉄道事業者に線路使用料を支払うのみで、乗客は線路を保有する第三種鉄道事業者ではなくて、実際に列車を走らせている第二種鉄道事業者の方に運賃を払うという形になります。
このように単に第三種鉄道事業者となってしまうと従来の運賃制度が維持できなくなることもあり、神戸高速鉄道は第一種鉄道事業者として認定されることを望んだのです。
結局、経過措置として法律で定められた1年間の猶予の間に、この問題をどうするか検討することとなったのですが、第一種鉄道事業者となるためには自前で車両と乗務員を持つ必要があり、乗務員はまだしも車両となると車両基地を用意する必要もあり、費用がかなりかかるということから、結局は神戸高速鉄道は第三種鉄道事業者、乗り入れ各社は第二種鉄道事業者として認可を受ける形になりました。
ただし、各社の取り決めで駅業務と列車の運行管理は神戸高速鉄道へ「委託」する形となり、この委託料という名目で運賃と線路使用料に相当する金額を各社から神戸高速鉄道が受領する、更に駅業務や保線・運行管理などは形式上は阪神電鉄が第二種鉄道事業者となってこれらを担うこととするものの、実際には神戸高速鉄道にこれらを委託するというスキームとなり、形式上は第三種鉄道事業者となったものの、運賃収受などの流れは従来通りということで落ち着きました。
ところで、この神戸高速鉄道は自前で列車を走らせていないことから地味な存在ですが、実は準大手私鉄として扱われているらしいです。
準大手私鉄というのは、その名の通り、大手私鉄ほど大きくはないけれど、中小私鉄ではないよねという規模の鉄道会社を指す言葉で、他には関東では新京成電鉄、関西では今回の遠征でも乗車した泉北高速鉄道の他、大阪メトロ御堂筋線と直通する北大阪急行、神戸高速鉄道と直通している山陽電気鉄道が含まれます。
しかし、そんな神戸高速鉄道でしたが、阪神淡路大震災による被災やその復旧費用、安全対策費用などが嵩み、収支が悪化することとなり、経営改善のために資産保有と借入金の返済に特化することを目指して、2010年より本来の第三種鉄道事業者の形態となる、線路を保有するのみで、駅業務や列車の運行管理は乗り入れ各社の責任で行い、運賃収入も第二種鉄道事業者である乗り入れ各社が受け取り、神戸高速鉄道に線路使用料を支払うという形になりました。
こうして一般的な第三種鉄道事業者として落ち着いた神戸高速鉄道ですが、名残として神戸高速鉄道の保有する区間と乗り入れ各社の自社区間を乗り通す場合でも、運賃は別立てとなっていたりします。
例えば大阪梅田駅(阪急)から新開地駅まで乗車したとすると、全区間で阪急電鉄を利用したことになりますが、運賃は神戸三宮駅を境に別立てとなり、大阪梅田駅~神戸三宮駅と神戸三宮駅~新開地間の運賃を合算するという計算になります。
今ではこのように線路を持つ会社と列車を走らせる会社が違う例は珍しくなくなっていますが、神戸高速鉄道はその先駆的存在であり、1968年という早い時期にこうした形態の鉄道が生まれたというのはすごいことだと思います。
尤も、鉄道事業法施行以後に開業していたら、最初から一般的な第三種鉄道事業者として落ち着いていたでしょうし、もしかしたら神戸高速鉄道という別会社を立ち上げるのではなくて、神戸市営地下鉄として建設されていた可能性もありますね。
歴史だけでかなりの字数を使ってしまいましたが、現在の神戸高速鉄道は線路を保有しているだけの会社なので、営業上は「阪急神戸高速線」「阪神神戸高速線」「神戸電鉄神戸高速線」と第二種鉄道事業者の路線として案内されており、西代~元町間は阪神電鉄、新開地~神戸三宮間は阪急電鉄、新開地~湊川間は神戸電鉄の路線となっていて、それぞれ乗り入れています。
ところで、山陽電鉄はどこにいった?と思われる方もいるかも知れませんが、山陽電鉄については神戸高速鉄道区間の第二種鉄道事業を廃止し、以後山陽電鉄から乗り入れてくる車両は、形式上「阪神神戸高速線」に直通しているという形をとっているみたいです。
なので、山陽電鉄の車両であっても西代~元町間は阪神電鉄の列車ということになります。
なお、高速神戸~新開地間は阪神と阪急の列車両方が乗り入れており、阪神・阪急の両者が第二種鉄道事業者となっている重複区間となっています。
また、かつては阪急も西代駅を介して山陽電鉄本線へ直通をしていた時期があり、その頃は西代まで阪急も第二種鉄道事業者となっていましたが、山陽-阪神直通の直通特急の運行開始以後は阪急から山陽電鉄への直通はなくなり、長らく新開地~西代間の第二種鉄道事業は休止扱いとなっていましたが、神戸高速鉄道の運営形態変更に合わせて乗り入れが無くなった新開地~西代間の第二種鉄道事業を廃止しました。
普通は鉄道事業を廃止=廃線ですが、この場合は乗り入れをやめますというだけなので、これ以後も普通に阪神や山陽の電車は新開地~西代間を走っているのでちょっと変わった例ですね。
それにしても、阪急の普通列車が神戸三宮までしか行かないのって、神戸高速鉄道に支払う線路使用料を節約したい意図があったりするんでしょうか?w
そして、新開地駅に到着です。
ここからは神戸電鉄に乗り換えます。
阪神・阪急の乗り場は2面3線で、中線のみ両側にホームがあります。
中線は主に阪急の特急の折返しに使われ、山陽・阪神の列車は基本的に神戸三宮駅(阪急)や高速神戸駅などで折り返すため、当駅始発・終着はほとんどが阪急の列車です。
神戸電鉄を乗りつぶす
それではここからは神戸電鉄の乗りつぶしです。
予定では阪急だけで午前中が終わる予定でしたが、大体2時間は行程を短縮できています。
これは今晩新大阪でゆっくり夕飯を食べることが出来そうです。
こちらが神戸電鉄の乗り場です。
頭端式2面3線となっていて、1・2番が有馬・三田方面、3・4番が粟生方面と使い分けているようで、方面別にホームを分けることで誤乗を防いでいるようです。
かなり古い時期に完成した地下鉄というイメージの空間になっていました。
こちらは三木行きです。
三木は神戸市の北部にある街ですが、かつて三木鉄道というのが走っていたこともあってなんとなく名前は知っていました。
その三木鉄道は既に廃止されており、廃止前に乗りに行きたかったですが、私にとっては当時は学生でお金もなくさよなら乗車の遠征をすることができなかったため乗れずじまいになった鉄道の1つです・・・
そう、神戸電鉄には優等種別があるんです。
なんとなくローカル鉄道っぽいイメージがあったので、初めて知った時は少し驚きましたw
あと、女性専用車両も設定されています。
つまりはそれだけ混雑するということですから、神戸電鉄も通勤ラッシュはそれなりに混み合うということですよね。
ただ、厄介なのが大抵の女性専用車両はラッシュ時間帯のみとなっているのに対して、神戸電鉄は早朝以外の終日実施されていて、ガラガラの日中に利用するとしても女性専用車両があります。
一般の利用者にとっては別にその車両に乗らなければいいだけの話なので、大した問題ではないと思われるでしょうが、音鉄趣味にとってはちょっと厄介なんですよね。
唯一のM車が女性専用車両とかだったら最悪ですが、流石にそんなことはないものの、例えば先頭車両に乗っていて騒がしい人が乗ってきて、別の車両に移動しようと思っても女性専用車両があるので、駅停車時にホームを走って3両目以降に移動するしかないという意味で厄介なんです。
混雑時はそもそもそういう芸当が難しいので別にいいんですが、空いているときに女性専用車両を設定されるのはこういう意味でちょっと困ります。
確かJR西日本が終日女性専用車両というのを初めたと記憶していますが、神戸電鉄も追従した形なんですかね。
鉄道会社側としては時間帯を限定すると案内がややこしくなるから、いっそ終日女性専用車両としてしまった方が楽ということなんでしょうけどね。
それでは乗車しまして、まずはさっきの準急で一気に三田を目指します。
ここで神戸電鉄についての解説です。
神戸電鉄は社名の通り神戸市の新開地駅を拠点に、有馬線・三田線・公園都市線・粟生線の4路線を展開しています。
その中でもメインルートといえる有馬線は新開地から日本三名泉の一つとされる有馬温泉を結ぶ路線で、途中の有馬口駅から分岐する形で三田までを結ぶ三田線が、更に三田線の途中駅の横山駅からはウッディタウン中央駅までを結ぶ公園都市線が分岐しています。
この他、鈴蘭台駅から分岐する粟生線という路線ネットワークです。
神戸市という京阪神の三大都市圏の一つをなし政令指定都市でもある大都市を発着していて、4つも路線を持っているなど、大手私鉄に数えられてもよさそうな神戸電鉄ですが、実は現在では中小私鉄に区分されています。
2005年までは準大手私鉄だったのですが、輸送人員の減少などが影響したのか中小私鉄に格下げされてしまったようです。
ちなみに、同じくかつて準大手私鉄で、今は違う鉄道会社として神奈川県を走る相模鉄道がありますが、神戸電鉄が関西の最大都市である大阪へは乗り入れず、県庁所在地の神戸と三田市・小野市などの周辺都市とを結ぶ路線を展開し、同じく相模鉄道も首都圏の最大都市である東京へは乗り入れておらず、県庁所在地の横浜と海老名という周辺都市を結ぶ路線を展開するという意味で共通点があるともいえる鉄道会社ですよね。
ただし、違ったのは準大手私鉄でなくなった後でして、中小私鉄に降格された神戸電鉄とは対象的に、相模鉄道は大手私鉄へ昇格したために準大手私鉄ではなくなりました。
営業路線の全長では神戸電鉄の方が長いのですが、準大手私鉄とか大手私鉄の区分はあくまでも鉄道事業での売上高とかが基準みたいなので、どれだけ路線を多く持っていても利用者が少なければ大手私鉄にはなれないということですね。
そして、現在の運行形態ですが、基本的には新開地駅を拠点に新開地~三田間や新開地~粟生間といった系統がメインの系統として運行されています。
ただし、粟生線については三木止まりや小野止まりの列車もあり、終点まで走破するのは1時間に1本程度と少なくなっています。
この他に鈴蘭台から粟生や三田まで運行し、新開地発の列車と接続を取るような系統もあります。
この他、有馬温泉~有馬口間のシャトル系統、横山~三田間で三田線に乗り入れて公園都市線ウッディタウン中央駅と三田駅を結ぶ系統などがあります。
この時点でお気づきでしょうが、実は有馬線と三田線は一体的に運行されており、本来は三田線側が支線のはずが、有馬口から有馬温泉までの区間が支線みたいになっています。
あと、有馬線・三田線では優等種別が運行されており、終日に渡って運行される準急、ラッシュ時間帯のみの急行、そして朝ラッシュ時間帯の上りのみ設定される特快速があり、これに普通を加えた4種別が運行されています。
特に注目したいのは「特快速」でして、三田発新開地行きの2本のみ設定される種別で、この列車は三田を出ると岡場までは各駅停車であるものの、そこから先はなんと神戸市営地下鉄乗り換え駅の谷上駅までノンストップで、その先は急行に準じた停車駅となっています。
急行は三田線内は各駅停車で、有馬線内のみ通過駅がある設定ですが、特快速は三田線内でも通過駅がある唯一の種別となっており、神戸電鉄の最上位種別ともなっています。
それにしても、特快速という種別名が面白いですよね。
準急、急行とあるならば特急にするのが自然ですが、特別料金がいらないことをアピールしたかったにしても特快か特別快速のどちらかでよさそうですw
調べてみると、過去には神戸電鉄では快速と特急も存在しており、快速よりは早くて、特急よりは遅い種別として特快速が設定され、後に快速と特急が消滅したため、特快速という変わった種別名が残ったということみたいです。
そんな神戸電鉄ですが、全体的に山がちな地域を走ることもあって多くが急勾配を抱える山岳路線となっており、このため車両も急勾配に対応した特殊な装備のものとなっています。
このことが運行コストの肥大化をもたらし、運賃が他の私鉄に比べ割高であることに加えて、港川~新開地間が神戸高速鉄道の路線ということで運賃が別立てになっており、この1区間のために更に初乗り運賃が加算されるという事情もある上、神戸市の中心部である三ノ宮地区には乗り換えが必要という悪条件もあって、近距離では神戸市営バス、中距離以上でも神姫バスとの競合が激しく、バスに利用者を奪われている状況があるようです。
三田から三ノ宮まで直通の特急バスがあったりするみたいですし、神戸電鉄としては厳しいですよね。
また、神戸電鉄の神戸高速線区間は新開地駅に乗り入れるためだけにあるともいえ、元々の終点だった湊川駅から延伸する形でもありましたが、阪神・阪急・山陽とは軌間が異なるため直通は出来ず、神戸電鉄だけ孤立している感じになっています。
元々は自前で高架線を建設してJR神戸駅に乗り入れる構想もあったそうで、JRと軌間が同じことを利用して、あわよくば直通運転ができればという思惑もあったみたいですが、高架線の建設で市街が分断されるとの声が出てきて、結局は神戸高速鉄道が建設した地下線に乗り入れる扱いになったそうです。
でも、万が一JRと直通できていたら神戸電鉄は今より発展していたかもしれません。
それでは乗車レポートに戻ります。
湊川駅を出ると神戸電鉄は地上に顔を出しますが、いきなりグングンと登っていきます。
箱根登山鉄道の箱根湯本駅発車直後とかもすごいですが、体感ではそれに匹敵するかと思うほどでした。
まあ、箱根登山鉄道は80パーミルで神戸電鉄は50パーミルなので流石に箱根登山鉄道は言い過ぎなんですけどねw
なんかダムみたいなのも見えてきたんですがw
ついさっきまで神戸の大都会にいたのが信じられないくらい、景色の変貌が著しいです。
今回乗車したのは準急なんですが、湊川・長田と停車したら丸山・鵯越の2駅を通過してから鈴蘭台となります。
このあとは三田まで各駅停車なので、準急と言いつつ2駅しか通過しないんですけどねw
途中にある鵯越駅という駅名が気になりましたが、歴史好きな方には「一ノ谷の戦い」にて用いられた奇襲「鵯越の逆落とし」で有名ですよね。
まさにその鵯越です。
普通列車のみ停車する駅となっていますが、ハイキングで訪れる人も少なくないんだとか。
また、鵯越駅付近で山陽新幹線と交差していますが、新幹線はトンネルで山の中を抜けているのでその姿を見ることは出来ません。
そして、粟生線との分岐点となる鈴蘭台に到着です。
ここでは先発していた三木行きと接続しており、一応は緩急接続が出来るダイヤになっています。
ただ、これの恩恵があるのは通過した丸山・鵯越の2駅から乗車し三田方面へ行きたい人くらいで、新開地や湊川から乗った人は、タッチの差で乗り遅れた三木行きに追いつける程度のメリットしかないですよねw
でも、結構乗り換える人がいたので、その数分の差が大事という人も少なくないのかもしれませんね。
その先は山の上に築かれたニュータウンの中を進みますが、そのまんまな「山の街駅」というのもあります。
その先にある谷上駅は神戸市営地下鉄との接続点であり、地下鉄を介して新幹線停車駅の新神戸駅や神戸市中心部の三ノ宮へ連絡しており、ここでの乗客の入れ替わりが多かったと思います。
神戸電鉄沿線から神戸市中心部まで短絡できるショートカットルートとなりますが、直通できていればもっとよかったですね。
まあ、現実は神戸電鉄と神戸市営地下鉄は軌間が違うのでフリーゲージトレインでも導入しない限りは直通は不可能なんですけどね・・・
そして、列車は有馬口駅に到着しました。
有馬線はここまでで、ここからは三田線となりますが、列車は普通に客扱いを終えると何事もなかったかのように発車していき、単なる途中駅という印象でした。
でも、温泉へ向かうであろう利用者がぞろぞろと乗り換えていたので、有馬温泉への需要もあるにはあるみたいですね。
その先はニュータウンと山の景色が続き、中国自動車道と新名神高速道路の交点である神戸JCT付近の道場あたりで神戸市を出て横山駅となります。
ここに来てようやく三田市ですが、逆に言えば横山・三田本町・三田の3駅以外は全部神戸市ってことですよね。
神戸市って面積という意味でも大きいんですね。
新開地から1時間ほどの乗車で三田に到着です。
関東民には「みた」と読みたくなる地名ですが、「さんだ」と読みます。
更に紛らわしいことに神戸電鉄は三田(さんだ)線ですが、都営地下鉄に三田(みた)線があることですねw
↑乗ってきた電車の幕回しです。
駅舎はペデストリアンデッキの影に隠れるようにひっそりとありました。
駅前は大規模な駅前ロータリーとなっていて、バスターミナルの機能もあるようです。
大半は周辺地区とを結ぶフィーダー路線ですが、前述の通り三ノ宮まで直行のバスも走っていて、神戸電鉄の強力なライバルとなっています。
一方、こちらはJRの駅舎です。
駅ビル一体の立派な駅舎で、神戸電鉄との格差が目立ちますw
実際、利用者数ではJRの方が多くなっているようです。
前述の通り、神戸電鉄は急カーブや急勾配が多いこともあってスピードが出せず、しかも運賃が割高と来ていて、所要時間ではJRで尼崎へ出て乗り換えるルートと互角になるようです。
流石に運賃は遠回りな分JRの方が高く付きますが、目的地が神戸駅じゃなくて三ノ宮駅周辺だったりしたらJRの方が早いという逆転現象まで起きそうです。
駅前にいたのは神姫バスです。
神戸と姫路から1字ずつとって神姫バスですが、兵庫県南部を代表するバス事業者となっています。
例の三ノ宮直行のバスも神姫バスが運行しています。
それでは再び改札に入り、駅に戻ります。
ちょうど、三田線新開地行きと公園都市線ウッディタウン中央行きが並んでいますね。
お次に乗るのはこちらです。
先程の1000系と比べると随分新しい車両ですが、6500系といい2016年に登場した神戸電鉄最新鋭の車両のようです。
この電車でウッディタウン中央まで向かい、今度は公園都市線を完乗です。
最新型らしい静かなインバータ音をお供に三田線を2駅、横山駅まで戻るとここから公園都市線に入っていきます。
公園都市線は横山駅からウッディタウン中央駅までの5.5kmを結ぶ路線で、北摂三田ニュータウンと呼ばれるニュータウンを貫く路線であり、ニュータウン鉄道の一つです。
横山駅では三田方面に繋がるように接続されており、列車も三田線に乗り入れて三田~ウッディタウン中央間での運転が基本となっていて、新開地方面よりは三田駅でJRに接続することに重点を置いたダイヤとなっています。
そのため、公園都市線についてはJR宝塚線(福知山線)のフィーダー路線という性格が強いと思います。
横山駅を出るとトンネルに入り、それを抜けるとフラワータウン駅となります。
1991年から1996年の間は公園都市線はフラワータウン駅までであり、1996年にウッディタウン中央駅まで延伸されました。
その先は大きな道路の真ん中に陣取るように走っていき、南ウッディタウン、ウッディタウン中央と行きます。
ニュータウン鉄道ということもあって、起点の横山駅以外はすべての駅名にカタカナが入るという面白い路線となっています。
ホームは1面2線となっています。
将来的な利用者増を見越して余裕を持った設備にしたんでしょうが、日中では1線しか使わない上、有効長も余り気味なので、日中に訪れると過剰設備という感もあります。
これだけ広々とした敷地を与えられているのに公園都市線は単線なんですよねw
写真でもよく見ると2本の線路が奥で1本に収束しているのか分かると思います。
これも将来の需要増に備えて複線化出来る用地は確保されているようですが、ニュータウン鉄道で単線って珍しい気がします。
改札口です。
昼間はそんなに人はいませんが、3台の改札機があるところを見るにラッシュ時は結構な乗客が押し寄せるのかもしれません。
とりあえず外へ出ました。
ここも長居するつもりはなく、周辺を簡単に見学したら引き返そうと思っていたのですが、そろそろお昼時ということでお腹が空いてきました。
調べてみると駅の近くにファミレスがあるみたいなのでそこで昼食を頂こうと思います。
駅前デッキからみた終端部です。
ホームから少し先まで線路が伸びていて、その先も用地が少しだけ確保されているようですが、どうやら更に当駅から先へ延伸する構想もあるそうで、それの準備施設ということなんですかね。
駅舎は道路に挟まれるように立地しており、出入りはペデストリアンデッキを利用します。
ウッディタウンからの交通機関は鉄道だけでなく、神姫バスによって新三田駅方面へのバスも出ています。
新三田駅は始発電車があることもあって、バスで新三田駅に出るルートを選ぶ利用者もいるようです。
スマホのナビに従ってファミレスを目指すとイオンの前にたどり着きました。
どうやらこの中にファミレスがあるようですね。
駅チカと呼んでいいか微妙な距離でしたが、徒歩圏内に飲食店があるだけマシということにしましょうw
本当に田舎の駅に行くと、飲食店どころかコンビニすらキロ単位の距離なんてザラですからね。
高速タイプのバスがいました。
調べてみると、ここからも三ノ宮へ直行のバスがあるみたいです。
こうしてみると意外と神戸もバスの街かもしれません。
やってきました。
ここは公園都市線と三田線の接続点となっており、公園都市線沿線から三田線新開地方面へ向かうにはここで乗り換えです。
基本的にはすぐに乗り継げるダイヤになっているみたいで、ありがたいです。
乗ってきた電車を望遠で撮ってみましたが、写真でも勾配がよく分かりますね。
再び三田線に乗って引き返しますが、今度は新開地までは行かずに途中の有馬口で降りて有馬温泉へ立ち寄ります。
↑有馬口駅で乗ってきた新開地行きを見送ります。
駅名標です。
駅名の通り有馬温泉への乗り換え駅となっていますが、路線名的には新開地~有馬温泉間が有馬線なのに、有馬温泉までの1区間は支線みたいな扱いです。
有馬温泉行きが出るホームの乗車位置案内には温泉マークがありました。
温泉客をないがしろにしているかと思えば、一応は意識しているんですねw
こちらが有馬温泉行きです。
私が乗ってきた三田からの電車から乗り継ぐ人は数名でしたが、新開地方面からはぞろぞろと乗り換えてきたので、直通電車がなくても温泉アクセス路線としての需要は健在みたいですね。
乗り換えが済んだら発車です。
たったの1駅ですが距離にして2.5kmあり、トンネルを駆使して山を越えていきます。
また、頭上には阪神高速の有馬口JCTもあります。
そして、有馬温泉に到着です。
駅名標はここだけ特別デザインでした。
ちなみに、神戸電鉄で最も標高が高い駅だそうです。
↑ここで向かいのホームから別の電車が発車していきました。
どうやら有馬温泉駅には常に電車がいるようになっていて、到着すると入れ替わりでもう片方が発車していくというダイヤみたいです。
これは温泉帰りの利用者を待たせない配慮なんですかね。
駅を出るとすぐにトンネルになっています。
こうしてみると有馬温泉もかなり山の中ですね。
こんな看板を見せられたらひとっ風呂浴びて行きたくなりますが、生憎そんな時間はないんですよね・・・
六甲山方面を結ぶロープウェイもありますが、ロープウェイの駅とは少し離れています。
でも、そちらも有馬温泉駅なのでちょっと紛らわしいですw
阪急と神姫バスが乗り入れています。
有名な温泉地だけあって、大阪・神戸・京都などへバスが出ていて、公共交通機関でのアクセスはバスの方が便利までありそうです。
大阪方面とかは鉄道だと遠回りなのでともかくとしても、神戸からは神戸電鉄に頑張ってほしいところです。
温泉街の中を走る旅館の送迎バスという光景も温泉に来たなぁと実感させてくれます。
まあ、入っては行かないんですがw
駅舎は意外にも今風のオシャレなものでした。
調べてみると「有馬クリスタルビル」という名前の駅ビルだそうで、1989年竣工だそうです。
もっと最近かと思ったら意外と古かったですw
ロープウェイと区別するためか、神戸電鉄とはっきり書いてありました。
極小サイズの駅前広場がありますが、旅館の送迎バス専用みたいですね。
まあ、この敷地じゃ大型バスは無理でしょうし、路線バスが路上に追いやられているのも仕方ないか・・・
折返しまで少しだけ時間が余ったので温泉街をぶらつくことに。
ほとんどの人はこれから宿にチェックインするか、既にチェックインを済ませて散策中とかだと思いますが、私はこのままとんぼ返りすると思うとなんだか虚しくなりますw
なんかバスが停まっているなと思ったらバスにも対応した駐車場だそうです。
有馬温泉に宿泊する団体ツアーとかのバスが待機するとかの用途で使われるんでしょうね。
それでは構内に戻ります。
↑発車直前に対向列車がやってきました。
到着時に見送った列車が戻ってきたようですね。
そして、今度は有馬口行きですが、有馬温泉という全国区の知名度を誇る温泉なのに、そこへのアクセス列車が支線扱いみたいになっているのってどうなんですかね。
今はバスもあるから鉄道で行く人が少ないのかもしれませんが、優等列車とは言わずとも、宿泊客が多い時間帯だけでも新開地からの直通があってもよさそうですがね・・・
一応補足しておくと、朝の6時台~7時台には新開地行きないし鈴蘭台行きが設定されていますが、温泉旅館に泊まったらこんなに早く出発することはまずないですし、観光用途では使えない時間帯です。
それでは有馬口へ戻り、続いては鈴蘭台を目指します。
乗り換え時間がギリギリ過ぎて撮影する暇がなかったので鈴蘭台まで記事はワープですw
ここで粟生線に乗り換えますが問題は粟生行きが都合よく接続しているかどうかです。
新開地のくだりで軽く触れましたが、粟生線は小野や三木までの区間列車と粟生まで走破する列車が交互に走るダイヤで、粟生行きは1時間に1本しかないため、それがさっき行ったばっかりとかだとかなりの待ちぼうけとなり、せっかく昨日のうちに阪急の一部を乗りつぶしておいて稼いだ時間を無駄にしてしまう可能性もあります。
まあ、結論を言ってしまうと粟生行きに接続していたんですけどねw
ここからは粟生線の乗りつぶしです。
ここで粟生線について解説をしておきましょう。
粟生線は鈴蘭台から粟生までの29.2kmを結ぶ路線であり、神戸市と三木市・小野市を結ぶ通勤路線という感じです。
運行形態は有馬線に乗り入れて新開地発着となる列車がほとんどですが、中には鈴蘭台止まりとなって三田方面からの電車と接続をとるダイヤとなっている場合もあります。
種別は普通と準急の2種類となっていますが、準急が通過運転をするのは有馬線内のみとなっているので、粟生線内で通過駅を持つ列車はありません。
以前は粟生線内も通過運転をする快速や急行もあったみたいですが、2022年までに廃止されてしまったようです。
有馬線・三田線同様に沿線にはニュータウンが発達し、1990年頃までは輸送人員が増加し続け、車両の増結や複線化といった輸送力増強が図られ続けていましたが、1990年代後半からはニュータウンの高齢化で需要が減少するようになり、複線化工事などへの投資が収益を圧迫する形で2000年代以降は存廃問題が持ち上がるほど衰退してしまいました。
これはニュータウンの高齢化という地域的な問題のみならず、有馬線や三田線同様に路線バスや高速バスとの競合や、高速道路網の整備が進み、マイカーでの移動の利便性が上がったことも影響しているようです。
その後しばらくは沿線自治体の補助などでなんとか存続してきたものの、神戸電鉄側は粟生線の駅や線路などの施設を自治体が買い取る形での上下分離方式の導入を求めているのに対して、自治体側の足並みは揃わず今後の情勢は不透明です。
ただし、廃止ありきで議論が進んでいるというわけでもなく、活性化に向けた取り組みも行われているみたいですし、今後も注視して行きたいと思います。
ただ、個人的にはマイカー利用者だっていずれは歳をとって免許返納をする時が来るでしょうし、バスにしても昨今のバス運転士不足という問題を鑑みるに、鉄道をなくしてバスに依存する交通体系にしてしまって、今度はバスが無くなるなんてことになったら目も当てられませんし、長い目で見れば鉄道を残す方がいいと思いますけどね。
北海道とかで廃止が検討されるような路線に比べれば遥かに多くの利用者がいるわけですしね。
沿線風景としてはおおむね住宅地が続いていたように思いますが、時折田園風景もありました。
利用者も鈴蘭台を出てから数駅は割と混んでいたんですが、三木市に入る頃にはかなり閑散としていました。
市場駅のあたりから加古川を挟んで数キロ隔ててJR加古川線と並走します。
そういえば、加古川線にも市場駅がありますね。
なお、駅名は同じですが全く場所は違うので要注意です。
そして、粟生に到着です。
ここも難読駅名だと思いますが、「あお」と読みます。
余談ですが、ヘボン式ローマ字表記をした場合、頴娃駅(Ei)、飯井駅(Ii)、小江駅(Oe)と並んで最短の駅名だそうです。
神戸電鉄のホームはJR・北条鉄道とは別になっていますが、連絡通路で直結しており乗り換えは便利です。
神戸電鉄のみ中間改札があって、JR・北条鉄道と乗り継ぐ場合もここを通る必要があります。
元々は構内を共有していたようですが、「スルッとKANSAI」の導入に合わせて改札を分離したようです。
そのため、以前はJRのホームを間借りするような形だった神戸電鉄のホームは、専用のものを改めて整備したようです。
乗換案内はJR風ですが、内容からして神戸電鉄利用者に向けたものですね。
ここからは北条鉄道ですが、乗り換え前に駅も見ていくとしましょう。
北条鉄道を乗りつぶす
というわけで、ここからは北条鉄道編です。
JRのホームです。
相対式2面2線に見えますが、北条鉄道のホームもJRのホームと一体化しているため、実質的には島式+単式2面3線と言えます。
JRとしては無人駅となっており、運賃は車内ないし着駅で精算する方式となっているため、本来の意味での改札口は出入り自由となっています。
各社乗り場がバラバラなのでこのような案内があります。
それにしても、地方のローカル駅なのに3社の鉄道会社が乗り入れているって何気にすごくないですか?
まあ、北条鉄道は国鉄の路線を転換したものなので、JRと元は同じなんですけどね。
駅前は駐車場とタクシー乗り場のみという簡素な駅前広場があります。
バスもありますがコミュニティバスのみで、しかも駅舎の目の前までは来ず、駐車場の向こうの路上で乗り降りを行うようです。
JRもICOCAエリア内となっているため、ICカード用の簡易改札機が設置されています。
駅の入口部分ではなくてホーム上にあるのは、神戸電鉄からの乗り換え利用者に便宜を図っているんでしょうね。
ちなみに、入場用・出場用で別々になっていますので、タッチする際はお間違えないようにご注意下さい。
そこへ125系が来ました。
加古川線では西脇市を境に運行系統が分断されており、125系は西脇市以北の運用がメインなので粟生駅で見られるのはレアです。
案内看板もレトロな雰囲気ですが、北条鉄道と書いてある以上、北条鉄道発足以降の設置でしょうし、少なくとも1985年以降ということになりますね。
まあ、そうだとしても40年近く前なんですけどもw
ここにも乗り継ぎ用にICOCA用の簡易改札機が設置されています。
ただし、これはJRに乗り換える場合のみタッチする必要があり、神戸電鉄に乗り継ぐ場合はさっきの中間改札でタッチする形なのでお間違えないように!
こちらは北条鉄道の駅名標です。
第三セクターらしくカラフルな駅名標ですね。
運賃表と時刻表です。
ちなみに、北条鉄道については粟生駅ではきっぷの発売はしておらず、無人駅から乗車するときのように乗車時に整理券を取り、降車時に運賃を支払うという方式です。
また、粟生駅では北条鉄道のみICカードを利用できません。
まあ、逆に使えたら驚きますけどw
時刻表に目をやると、日中や夜間は1時間に1本程度ですが、ラッシュ時間帯を中心に1時間に2本走る時間帯があり、これは後述する交換設備新設の成果といえます。
そして、こちらが北条鉄道の車両です。
フラワ2000形という車両で、北条鉄道の主力車種となっています。
富士重工の「LE-DCシリーズ」の一種です。
第三セクター鉄道の定番みたいな車両ですが、3両いるうちの1両は廃止された三木鉄道から譲渡されたものだそうです。
それにしても、ここでも方向幕は運行区間のみを表示するスタイルなんですねw
車内には路線図がありましたが、沿線の見どころを写真で紹介していたりして、路線活性化への意気込みが感じられます。
運賃表ですが、駅数がそんなにないためか駅名を直接表示していました。
それではここから北条町まで乗車して北条鉄道完乗を目指しますが、ここで北条鉄道について解説です。
北条鉄道は粟生駅と北条町駅を結ぶ北条線を運営する第三セクターでして、北条線は歴史的には播州鉄道という私鉄の手によって開業した鉄道でした。
後に国有化されて国鉄の路線となりますが、特定地方交通線として廃止対象に選ばれてしまい、この際に第三セクター「北条鉄道」を発足させ、同社に運営を転換することとなったのです。
北条鉄道の駅は粟生駅を除いて加西市に位置しており、加西市唯一の鉄道として、生活の足として利用されているようです。
特筆すべきは開業以来本数を増やす傾向にあり、特に2020年には法華口駅に列車交換設備を新設してまでラッシュ時間帯の増発を実現しています。
この列車交換に際して、全国初となる閉塞方式を導入したことでも知られていて、従来は交換設備が一切なく全線で1閉塞という扱いだったのが、交換設備の新設によって新たな保安設備が必要になったものの、この際に導入したのが「票券指令閉塞式」というものだったのです。
これはどうやら概念的にはかつてローカル線で広く使われていた通票閉塞に近いものですが、北条鉄道の方式では閉塞の取扱者を「輸送指令員」としており、従来のタブレットの代わりにICカードを使うものらしいです。
ICカードは北条町~法華口間と法華口~粟生間にそれぞれ専用のものが用意されていて、このカードを駅備え付けの専用リーダーにタッチすることで信号機が青になり発車できるようになるという仕組みのようです。
そのため、列車交換時には上下列車の運転士が互いにICカードを交換し、またそれぞれの方向のリーダーにタッチすることで信号が青になり発車することが出来るということのようです。
実際にはタッチする前に輸送指令に無線連絡し、承認を得てからタッチするという流れになっており、これによって無人駅でも票権を用いた閉塞が実施できるようになったんだとか。
もちろん、この方式を使わなくても自動閉塞式を導入すれば無人駅で列車交換を行うことは可能ですが、そのような設備を導入するには多大な設備投資が必要ですし、ローカル鉄道に見合ったシンプルな閉塞方式としてこの方式を導入したんだと思います。
ICカードを使うという一見ハイテクなようで、昔のスタフ閉塞やタブレット閉塞みたいに運転士同士で物理的にやり取りするというアナログな部分が混じっているのが面白いです。
↑粟生駅発車直後は、加古川線と同発ダイヤだったため並走シーンが見られました。
ここが噂の法華口駅ですね。
交換設備を作るためにホームも新設しているようです。
駅名標です。
信号システム上、ホームと行先が一致するので、矢印で分かりやすく案内されいてました。
また、これは法華口駅では日本で一般的な左側通行ではなく、右側通行で行き違うため、利用者を混乱させないためという目的もありそうです。
あとは北条町までのんびりと乗車していきます。
沿線は田園風景が多く、今回の遠征では初となる気動車に乗車したこともあって、のんびりした気分になるとともに「旅してるなぁ」と実感するひとときでもありました。
側線にいたのはなんとキハ40系!?
実はかつてJR東日本が保有し、五能線で活躍していたキハ40系を譲り受けて導入しているんです。
理由は前述の列車交換設備新設に伴う増便に対応するためで、ファンサービスの意味もあるのか五能線時代の塗装のまま運行されています。
今回の遠征では乗れませんでしたが、運用は公式サイト上で公開されているので、いつか乗りに来たいと思っています。
車止めはかなり簡素ですねw
また、奥にあるのは「アクティスかさい」というショッピングモールだそうで、他にイオンモールも駅付近にあるため、ローカル線の駅にしてはかなり利便性が高い場所になっています。
ホームは1面1線ですが、車庫を併設しており、北条鉄道の運行拠点となる駅となっています。
キハ40系入線を記念するヘッドマークもありました。
今やJRでもキハ40系は希少車種となりつつありますから、集客の面でもキハ40系導入はプラスに働くでしょうね。
出入口です。
北条鉄道本社を併設する関係上有人駅ではありますが、改札業務は車内に集約しているみたいで、駅には改札口はありません。
でも、窓口と券売機は設置されており、当駅から乗車する場合は切符を買うことが出来ます。
これまた古風な東屋がありましたが、バス乗り場とあるので待合スペースなんですかね。
そこにやってきたのはポンチョでしたが、コミュニティバスの「ねっぴ~号」だそうです。
この他にバスのラインナップとしては、大阪方面への高速バスと姫路方面への路線バスがあるみたいで、これまた鉄道は厳しそうな環境です。
でも、北条鉄道もせっかく交換設備を新設してまで増便したんですから頑張って欲しいですね。
駅舎は北条鉄道転換後に移転の上建て替えられているようで新しいものでした。
と、これくらいで北条町駅は後にしたいと思います。
これにて今日乗りつぶす予定の路線はすべて終わりましたから、あとは宿のある新大阪まで移動するだけということもあり、ちょっと気が抜けてきました。
それではあとは引き返すだけですが・・・
↑帰りは思いの外空いていたので車窓を撮影しました。
粟生駅では加古川線と接続するダイヤだったのかちょうど103系が来ました。
103系も今やすっかり貴重になりましたからね。
せっかくの機会なので撮影をこなしていきましょう。
↑入線してきました。
↑発車も見送ったら神戸電鉄に乗り換えます。
既に乗りつぶしは終わったので神戸電鉄にこだわることもないんですが、加古川線は過去に乗っているし、加古川へ出た後のJR神戸線は18きっぷなどで数え切れないくらい乗っているので、あまり乗っていないルートを体験したいですしね。
また、微力ながら粟生線の存続に貢献できればというのもあります。
余談ですが、粟生から大阪へ向かう場合、接続パターンにもよりますが加古川線で加古川へ出てJR神戸線の新快速に乗り継いだほうが早いみたいですw
それにしてもやってきた電車からは大勢の学生が降りてきました。
時間的には高校生の帰宅時間帯なので当然といえば当然ですが、廃止の話が出るような路線の光景とは思えない混雑ぶりに驚きました。
正直、これをバスに転換なんてしたら2~3台のバスを続行運転してやっとという感じになりそうですね。
ちなみに、今度は鈴蘭台行きでした。
鈴蘭台では三田方面からの列車と接続して乗り換えだったのですが、これまた乗り換え時間がギリギリ過ぎて撮影できなかったのでカットw
ところで、車内の案内表示を見ていて気になったんですが、何やら駅名が書いてあったであろう部分を覆い隠している様子が見受けられますね。
調べてみると、かつてこの位置には菊水山駅という駅があったそうですが、秘境駅と言われるくらい何もない駅で、利用者も少なかったことから停車するのは普通列車の中でも一部のみで、2時間に1本程度しか停車していなかったようです。
これでも神戸市内ですからね?w
そして、2005年に営業休止となり、以後は停車する列車がなく休止という扱いが続いた後、2018年に正式に廃止になったそうです。
長期休止を経ての廃止というのは、時々聞く話ですが、もっと早く知っていたら、神戸市内の秘境駅、降りてみたかったですねぇ~。
鈴蘭台では撮影できなかったのでここで撮っておきましょう。
ちなみに、折返しは小野行きとなるようです。
あとは阪急で大阪梅田を目指します。
別にもう乗りつぶしは済んでいるので、移動手段はなんでもいいんですが、JRは18きっぷとかで何度も乗っているので、あまり乗っていない阪急にしました。
この発車標では大阪梅田行きが2つ並んでいますが、上の直通特急は阪神線直通の大阪梅田行きで、下の特急は阪急線直通の大阪梅田行きなので間違えないようにしないといけません。
阪急と阪神の大阪梅田駅は駅名は同じですが場所が微妙に違いますし、大阪梅田の手前に用事があった場合乗り間違えはより深刻なことになります。
ここからは阪急電車を撮ることもなく大阪梅田まで移動しました。
もう実質的に活動が終わったという気持ちで緩んでいたんですかねw
あとはホテルへチェックインして終わりかと思ったら・・・?
最後におまけ
思わせぶりな見出しを着けつつ、大阪梅田駅に到着した私は降りた列車を撮ることもなく走っていました。
恐らく今回の遠征では一番脚力を使っていると思われるペースで走った私は・・・
こんな場所にやってきました。
そろそろネタバラシをすると、ここは大阪駅の「うめきた地下ホーム」と呼ばれる場所です。
ざっくり説明すると今年2月に地下化された梅田貨物線のために設けられたホームで、従来は「うめきた新駅」とか「北梅田駅」とか呼ばれていた駅です。
結局は、大阪駅の一部という扱いになり、他のJR線とも改札内乗り換えが出来るようになっています。
このホームには従来から梅田貨物線を走行していた特急「はるか」と「くろしお」が停車する他、従来は新大阪発着だったおおさか東線も乗り入れるようになりました。
色々紹介したいことがありますが、時間がないのでとりあえずホームへ入りました。
え?ホームの紹介だけなら急ぐ必要ないだろうって?
読み進めて頂ければ理由がわかりますw
ちなみに、内側の2線の駅名標はおおさか東線のラインカラーに合わせて赤になっていました。
ホーム上で私はカメラを構えていたわけですが、何を狙っているかというと・・・
↑貨物列車です!
この通過時間が迫っていたため急いでいたわけですね。
先程も言ったようにこの地下ホームは梅田貨物線を地下化したルート上に設置されています。
そして、地下化後も貨物列車が運行され続けています。
つまりは、こうして地下駅を通過する貨物列車が見られるわけですね。
しかも、地下化に際して貨物列車にとってはきつい勾配が出来てしまったため、先頭だけでなく最後尾にまで機関車を連結するプッシュプルと呼ばれる独特の運行形態が見られるのです。
こういう形態は通常は峠越え区間で見られるものなので、この地下区間を指して「梅田峠」とか呼ばれるそうです。
そういえば、当ブログメンバーの西鉄好きさんも「梅田峠」についての記事を書いていましたね。
よろしければそちらも併せてご覧下さい。
貨物列車も無事撮ったらホームも見学していきましょう。
ホームは2面4線となっていて、外側2線を特急列車、内側2線をおおさか東線というのが基本パターンのようです。
関西空港・和歌山方面が発着する21番線のみ全面ホームドアが設置されています。
そのため、21番線を通過する下り貨物列車は当駅では撮影できませんので要注意です。
ところで、このホームドアですが、ドア位置に併せて柔軟に開く場所を変えられるみたいで、動きが面白いらしいので列車が来るのを待ってみましょう。
↑というわけでホームドアが動くシーンです。
これは近未来感があってかっこいいですね。
おおさか東線の列車です。
以前に乗った時は201系でしたが、今は221系が主力車種になっています。
↑発車は動画でどうぞ
新しいホームということで、デザインにも力を入れているのか美術館か博物館かと思うような雰囲気ですね。
普通の改札口にはまずない物体を発見!?
この近未来感あふれるゲートは何かというと改札機です。
それもただの改札機ではなくて「顔認証式」の改札機なんです。
これは定期券利用者でモニター登録した人限定の実証実験として設置されているもので、事前に顔のデータと定期券情報を紐づけておき、ゲートに設置されたカメラで顔の画像を取得して定期券情報と一致すればそのまま通過できるというものだそうです。
今のところは大阪駅のこの地下ホームと新大阪駅の2駅にしか顔認証改札は設置されていないため、大阪駅と新大阪駅の1区間のみを利用する場合しか利用できないことになりますが、あくまで実証実験ですしね。
これが普及すれば定期券を持ち歩く必要がなくなる未来も有り得そうですが、鉄道会社的には持参人式でない定期券の又貸しを防止する意味がありますかね。
ローカル線なんかでありそうな、毎日乗っている学生さんが定期券を忘れたけれど、駅員や運転士が顔を覚えていてそのまま乗せてくれるみたいなことをデジタルで実現しちゃうわけですよね。
文字通りの「顔パス」ですね。
すごいのが、コロナ禍で習慣化した人も多いであろうマスクをした状態でも認識してくれるそうで、私のスマホにも顔認証によるロック解除機能がありますがマスクをすると反応してくれないのとは大違いですw
というわけで、ご紹介した「うめきた地下ホーム」でしたが、昨日の阪急乗りつぶしを先行する案を実行していなかったら見学する時間は取れなかったでしょうし、無理にホームだけは見学したとしても、貨物列車は完全に撮影できなかったので、昨日の自分を褒めたいですw
そして、せっかくなので出来たばかりの地下線に乗りたいということでおおさか東線の列車に乗って新大阪にやってきました。
そこで遭遇したのは「パンダくろしお」でした。
ちなみに、明日乗る「くろしお」もこれが来るみたいなので、また明日会えますね。
新大阪駅の顔認証改札はこれみたいです。
大阪駅のものと比べるとかなり普通の改札機ですが、ようはカメラと制御用コンピューターがあればいいので、必ずしもゲート型である必要はないんでしょうね。
ちなみに、顔認証専用らしく、それ以外の人は利用できません。
大阪駅と違って見た目が普通なので気付かないで通ろうとする人とか出そうですよねw
ホテルへの道すがら、宮原の車庫への回送線が見えました。
様々な電車が出入りしますが、実はこの線路のすぐ脇にホテルがあったので、滞在中は頻繁に列車の走行音を聞くことになりました。
私は鉄道好きなので列車の通過音は苦痛ではないですが、眠りかけているときに通ると目が覚めてしまうことはありましたねw
そしてホテルで無事にクーポンを貰って頂いたのがこちらです。
牛カツの専門店に行ったのですが、クーポンがあることで気が大きくなり、サーロイン、ロース、ヒレの3種盛りを頼んでしまいましたw
これのために頑張って行程を巻いてきたようなものなので、無事に目的達成し、あとはホテルへ戻ってゆっくり休みました。
これにて3日目の活動は終了となり、4日目は別記事として追ってレポートしますので、公開までしばらくお待ち下さい。