「85」と「梅田峠」と「ひのとり」の旅

みなさまお久しぶりでございます。西鉄好きでございます。今回、久しぶりに鉄分豊富な旅に出ましたのでその模様をお伝えしたく思います。

きょうと

題名から察した方もおられるかもしれませんが、今回の旅のきっかけとなったのは、京都鉄道博物館にてJR東海のキハ85系とHC85系が展示される事を知ったからです。 ATSサイトのSEであるyamanomi氏と一緒に行くことも決まり、出発当日を迎えました。 当日は朝から共通の用事があったので、yamanomiと行動を共にし、用事のあとは私の家でウマ娘の話題で盛り上がっていました。 そろそろ時間となり、予約したタクシーで駅まで向かって博多駅に到着しました。博多駅から新幹線に乗る…のではなく、私たちは特急「ソニック」に乗って一路小倉を目指しました。福岡-北九州間の移動は、西鉄の高速バス・JR九州の在来線・JR西日本の新幹線がありますが、所要時間や運賃などを鑑みて在来線というチョイスになりました。

別れの花束

小倉駅に到着した二人は北口に向かい、とあるバスを待ちます。やってきたバスに乗り込み揺られること約30分、目的地に到着した二人は手続きを済ませて… いざ乗船です。

名門大洋フェリー「フェリーきょうと」

見出しの通り、往路はフェリーを利用して大阪へ移動します。 今回フェリーを選んだ理由ですが、第一に「とても安い」ことが挙げられます。 今回は政府が行う「全国旅行支援」を活用しまして大変オトクになりました。 二人は後ほどご紹介する「ファーストS」を利用したのですが、一般大人の通常料金が10,740円となっています。この時点で博多-新大阪の新幹線指定席料金より大幅に安いのですが、WEB予約割で9,400円、さらに旅行支援が加わり7,520円となり、そこへ旅行支援のクーポンが5000円加わり、実質2,520円で移動したことになります。

ファーストS

こちらがファーストSの室内、ベッドの他にデスク・洗面台もあり、見えてないですが壁にはテレビもあり、充実した設備となっております。ただ航海中のテレビに関してはほぼワンセグになり、衛星放送しかまともに見られなくなります。 私は本船が何処を航行しているかを示す画面をつけて楽しんでいましたがw

さて、部屋に荷物を置いた二人は船内のレストランに向かいました。名門大洋フェリーのレストランはバイキング形式となっており、和洋中様々な料理が数多く揃えられています。 同じく瀬戸内航路を走り、新門司と神戸・泉大津を結ぶ阪九フェリーはバイキングではありませんが、限定メニューがあったり、大変凝った料理が出されるレストランを営業しており、機会があればそちらも利用してみたいものです。 今回、レストランでの写真は撮っておりませんので、別の機会に利用した際の写真をご覧ください。

チョイスがだいたい同じという…

見よ、この茶色率… 心の赴くままに食事をしてお腹いっぱいです… 二人は部屋にもどりシャワーを浴びた後に明日何時に起きるか等の打ち合わせをして就寝しました。

ふいに目覚めた私は、最近目覚まし時計が鳴る前に目が覚めることが度々起こる事から「そろそろ6時かなぁ…」とスマホを取り時刻を見ると、「午前3時」の表示。 「…クソッ」と悪態をつきつつ本船の現在地を見ると、あと20分ほどで瀬戸大橋をくぐる模様。 見るかと思い、寝間着から着替えて展望デッキへ向かいました。

ブレブレの瀬戸大橋

照らされたファンネルに煌めく名門大洋フェリーのマーク

明石海峡大橋を眺めて満足した私は部屋に戻り、再び寝間着に着替えて眠りにつくことにしました。

翌朝、yamanomiと「明石海峡大橋を見よう」という昨晩の話を忘れ爆睡していた私はyamanomiのノックで午前6時に起き、デッキに出て明石海峡大橋を眺めていましたが、寒さに耐えかねて写真も撮らずに船内へ引き返してしまいました。

これもまた別の機会に撮った明石海峡大橋

船内レストランで朝食を取った二人は部屋に戻って到着を待ちました。

はるか

大阪南港到着

「フェリーきょうと」は定刻通り大阪南港に到着し、二人はターミナルの連絡通路を通り、大阪メトロニュートラム「フェリーターミナル」駅から住之江公園行きに乗り、住之江公園駅にて四つ橋線に乗り換え、大国町駅にて御堂筋線に乗り換え、天王寺駅に到着です。天王寺駅でJRに乗り換え利用するのが特急「はるか」です。

「はるか」車内 ハローキティの装飾

私もyamanomiも大阪には何度も来たことがあるのですが、「はるか」に乗るのは初めてです。「はるか」は定刻通り天王寺駅を発車し、順調に走行していたのですが、対向の「はるか」が福島駅下の踏切で安全確認を行った関係で8分ほど遅れて、電車は地下化されたばかりの梅田貨物線を通っていきます。 本来ならここで地下化された梅田貨物線の様子を撮影した映像等を掲載するべきなのですが、二人して撮影をしっかり忘れていました。 当サイトのYoutubeチャンネルにて解説動画をあげていますのでこちらをどうぞ。

天王寺から約40分、「はるか」は京都駅に到着しました。京都駅で山陰本線の普通電車に乗り換えて、梅小路京都西駅で下車、そこから徒歩1分で京都鉄道博物館に到着です。

85

錚々たる顔ぶれ

京都鉄道博物館の館内に入り、二人はそそくさとキハ85とHC85系が展示されているスペースへ向かいます。

HC85系とキハ85系

まさか… 本当に… 東海の車両が京都鉄道博物館で展示されるなんて…

 本当に驚きというか… 東海も変わったんだなぁ… と思っていたら、キハ85系は京都丹後鉄道に譲渡され、HC85系はそのまま西に貸し出されてハンドル訓練… つくづく合理的だなぁ と後に感じていました。

つぶらな瞳が可愛い

HC85系は、JR東海が初めて導入したハイブリッド式の特急型車両で、色んな賞を取っているスゴイ車両なんです。 HC85系の「ハイブリッド式」は「車両に搭載したディーゼルエンジンで得られた回転で発電機を動かし、それにより得られた電気とこれまた車両に搭載された大容量の蓄電池に蓄えた電気で台車のモーターを回して車両を動かす」というもので、蓄電池へ電気をためる方法の一つに「モーターを発電機にみたてて電気を起こすことで生まれる抵抗をブレーキとして使う際に生まれた電気を蓄電池に貯める」というものがあり、蓄電池は照明や空調など様々な機器に電気を送りエンジンを動かす時間を減らして温室効果ガスの排出低減も図っているすごく賢い車両なのです。他にも乗り心地向上や騒音の低減するための対策をふんだんに盛り込んでおり、JR東海の意気込みを感じられる車両です。

沿線の山や海を表現したシンボルマーク

日本車両とJR東海が共同開発した「NS台車」

HC85系が履く台車は日本車両とJR東海が共同開発した「NS台車」が採用されています。NS台車の最大の特徴として、プレス加工を多用した溶接箇所の大幅削減が挙げられます。溶接は熱によって接着させたい物の接触面を溶かして融合させるのですが、それが多いと熱によって物が歪んだり、溶接箇所は溶接してない部分に比べて強度が劣り、割れが発生しやすいというリスクがあります。 溶接箇所は検査時にチェックする必要があるのですが、その溶接箇所が減ることによりメンテナンスにかかる時間やコストを減らすことが出来、コストパフォーマンスの向上にも寄与しています。 このNS台車、2012年に遠州鉄道2000形への納入を皮切りに小田急70000形(GSE)、JR九州YC1系、小田急5000形、JR東海315系にも採用されており、今後も日車を懇意にしている鉄道会社を中心に増えて行くものと思われます。

コイルばねと円筒ゴムを併用したタンデム式軸箱支持装置

HC85系のエンジン 左上のゴムでエンジンの振動を吸収する

キハ85系

私、キハ85系には「ひだ」で一度しか乗ったことが無く、「南紀」でも乗りたいと思っていたのですが、ついぞ叶うことはありませんでした。

さて、私は何度も来ている京都鉄道博物館ですが、一緒に来ているyamanomiは今回が初めて。主目的を達成したということで、改めて館内をみて回ることに。

梅小路蒸気機関車庫

500系 カッコイイ!!

乗ってみたかった583系

0系新幹線

昼食と宿とそれから・・・

さて、お昼を過ぎて空腹を覚えた私は「まだ腹は減っていない」というyamanomiの意思を無視して京都鉄道博物館を後にし、京都駅に戻ってきました。館内にもレストランはあるのですがどうもその気分でなかった私は、京都駅ビル10階にある「京都拉麺小路」にやって来ました。その中で気になったお店で注文したのが…

中村商店「金の塩 スペシャル」※味玉追加

塩ラーメンが大好きな私、店を選ぶときこれを見つけて即決しました。拉麺小路では入店前に食券を買うのですが、買った後券売機に「京都鉄道博物館の入館チケットを見せると特典あり」という旨の表記があり、店員に見せると味玉のサービスがあるとのことで、味玉大好きな私は大喜び! なんでも京都駅ビル内にある対象飲食店で京都鉄道博物館の入場券、京都水族館の年間パスポート及び入場券、京都サンガF.C.のチケットを入店時またはオーダー時に見せることでワンドリンクサービス等の特典が受けられるとのこと。皆さまも京都鉄道博物館へ行った後は京都駅ビルで食事を楽しまれてはいかがでしょうか?

塩ラーメンに大満足の二人は、再び「はるか」に乗って本日の宿がある天王寺に向かうことに。

281系”Butterfly”ラッピング

かつて荷物室として使われていたスペース

車内にも車外にもキティちゃん

天王寺に着いた頃にはチェックインの時間となっており、チェックインの後、二人は自室でしばしの仮眠を取った後、天王寺近辺を散策しました。 さて晩飯時となり、二人は環状線に乗って鶴橋に向かいます。 鶴橋といえば言わずとしれた焼肉の町、二人は全国旅行支援で得たポイントが使えるお店を探して「小川商店」というお店に入りました。

ホルモン!

二人で呑んで食ってしてお会計をしたら15000円越え! そこに名門大洋フェリーで得たポイントとホテルで得たポイントを全て使うと…支払いが3000円に! 本当に助かりました!

帰宅途中、ウマ娘ラッピングと遭遇

梅田峠

翌日、ホテルで早めの朝食を取った二人は、天王寺駅から環状線外回りに乗車し、福島駅で下車しました。福島駅と言えば梅田貨物線の踏切が駅下にある事で知られ、梅田貨物線地下化に伴ってマニアの間で話題となっている所でもあります。本来の計画であれば日付が変わる時間にも此処を訪れてその時間帯に通る貨物列車の撮影をしようという話だったのですが、焼肉に酒は欠かせず、呑み食いした二人は疲れも相まって「また今度にしようや」とホテルのベッドに取り込まれてしまったのです。

坂を下る「はるか」

そもそも「梅田峠」というのはなんぞや? という話になるのですが、

ざっくりとした梅田峠周辺図

もともと梅田貨物線は地上を走っておりましたが、この地区の再開発計画やこの貨物線を通っていた「はるか」や「くろしお」を大阪駅に止めたほうが乗客に便利だという話になり、地下を通して大阪駅に寄せようという計画が立てられ、工事が進められて完成しています。地下化するにあたり、地下にある新駅から地上に出る距離が両側でそこまで無いので坂が急になり、「まるで峠のようだ」ということから「梅田峠」と言われているのであります。本来「貨物線」というだけあって貨物列車がよく通るのですが、貨物列車の重さによっては列車の後ろに別の機関車を付けて後押ししてあげないと坂を登れない(非常時に上り坂の途中で止まった場合に後押しがいないと発車できないだけで、止まらなければ後押し無しで行けるという説もある)ので、それが一昔前の蒸気機関車に引っぱられる貨物列車が山間の線路を行く際に後押しの蒸気機関車と息を合わせて峠を越していた光景に似ていることも「梅田峠」といわれる要因となっているようです。(※本当にざっくばらんに説明しています。細かい差異がありますがご容赦願います。)

雑踏越しの「はるか」

私たちは朝から趣味に勤しんでいるわけでですが、世は平日。通勤時間ということで、頭上の環状線には頻繁に列車がやってきます。 やってきた列車を見るために、ふと顔を上げると・・・

ウマ娘ラッピングを撮るためにもう1日欲しかった…

2月24日から運行しているウマ娘ラッピングの323系、なんと4編成もラッピング施工されているらしく、山手線でも4編成ラッピング施工されているとのことで、Cygamesの資金力を感じたところでありました。

「くろしお」が上る

トンネルから顔を出す「はるか」

峠を下る「くろしお」

ある程度写真や動画に収めたところで、次の目的地「大阪難波駅」に向かいます。

「ひのとり」

大阪環状線を福島駅から西九条駅まで乗り、阪神なんば線に乗り換えて大阪難波駅に到着です。

乗っていた電車を見送ったら彼が来た

一旦改札を出て入りなおし、yamanomiが使い切れなかった旅行支援のポイントを駅ナカの弁当屋で使い切ってホームに戻り、彼の到着を待ちます。

近鉄80000系「ひのとり」

今回の旅最後のメイン「ひのとり」に乗って名古屋を目指します。 実を言うとこの旅行を決めた際、鉄道博物館に行って鶴橋で焼肉を食べて泊まって翌日はノープランでした。ある日、本来は一緒に行く予定だった友人が都合つかず来れなくなり、慰めついでにその友人の家を訪れた際、先に言った「翌日どうしよう」という話になりました。「キハ85系引退するし『ひだ』に乗れば?」とネットで調べるも席は埋まっており、これといって良い案はしばらく出ませんでした。しばらくしてふと「近鉄はどうだ」と思い調べると、その日の「ひのとり」の展望座席が都合よく開いているのを見て速攻で購入した次第であります。 「ひのとり」は近鉄が2020年に導入した最新車両で、所要時間に勝る新幹線に対して、利用料金や客室設備、大阪ミナミの中心地「難波」、近鉄のターミナルがある「大阪上本町」、大阪環状線と交差する「鶴橋」、三重県の県庁所在地「津」、また「ひのとり」一部列車が「大和八木」「白子」「四日市」「桑名」に停車することによる沿線利便性で対抗しています。

プレミアムシート

バックシェル型を全ての座席を採用し、リクライニング時に後方座席を気にしなくてよいありがたい設計。充電用コンセントも全ての座席に配備され、プレミアムシートには電動リクライニングも装備されていて至れり尽くせり。 これで大阪難波から名古屋まで2時間5分で運賃・特急料金・「ひのとり」特別車両料金含めて5240円ですから、早さが売りの新幹線に対抗出来ると思われます。 それでは「ひのとり 11列車」に乗って、名古屋を目指しましょう。

良い天気に良い眺め

途中、心地よい乗り心地にウトウトしつつ、伊勢中川の短絡線を過ぎた辺りで空腹を覚えた私は、難波駅の駅弁屋で購入した弁当を開けることに。

淡路屋謹製「ひのとり弁当」

ボリュームたっぷり

この「ひのとり弁当」、今回食べる大阪バージョンと名古屋バージョンの2種類あり、この大阪バージョンは赤い甘辛ソース(タイの「ナムチウガイ」に近い?)をかけて食べるチキンカツがメインで、この他に大阪名物のたこ焼き(写真は食べた後で写っていません)と名古屋名物の手羽先がのせられ、1080円とは思えないボリューム。ペロッとたいらげた私は食後のコーヒーが欲しくなり、席を離れてデッキへ向かいます。

プレミアムシートがある両先頭車にはカフェスペースがある

デッキの片側には鍵式・ICカード式のロッカーがあり、その反対側にカフェスペースがあります。

カフェスペース

カフェスペースには挽きたてコーヒーが買えるコーヒーマシーンと、紅茶のティーバッグ・フリーズドライのスープ・栄養調整食品や菓子・「ひのとり」グッズを販売する自販機が置かれています。 お湯が無料で提供されていますので、備え付けの紙コップで飲むことが出来ます。私はコーヒーを頂くことに。

抽出中

車内で飲む挽きたてコーヒーは格別

席に戻ってコーヒーをチビチビ飲んでいますと、名古屋の街が近づいてきました。

あっという間の2時間5分、快適でした。

帰路と終わりに

乗りたかった・・・

近鉄名古屋駅を後にした2人は続いて名鉄名古屋駅へ。ここから向かうのは中部国際空港「セントレア」です。「どうせなら」と奮発して「ミュースカイ」で向かいました。中部国際空港に着いた二人はチェックインを済ませて小休止の後、スターフライヤーで福岡空港に向かい、それぞれの帰路につきました。

約2年半ぶりのブログ執筆となりました・・・ この間も時折旅行へ出掛けていたりはしたのですが、ブログに書けるような内容の旅行はほとんどしておらず、家庭の事情やCOVID-19の影響で遠出をすることが困難になる中で、やっとこういう鉄分豊富な旅をすることが出来ました。 これから先、COVID-19の影響で抑えられていた旅行需要が復活して、皆さんがもっと気軽に旅行へ行ける日が来ることを願ってやみません。 最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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西鉄好き について

 ATSを今まで影で操っていた人。 新幹線、ことに東海道・山陽・九州新幹線の技術面に強い(はず?)
カテゴリー: 未分類, 鉄道・バス活動関係 タグ: , , , , , , , パーマリンク

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