北海道ローカル駅巡り2020(2日目後半/留萌本線)

2泊3日で実施した北海道駅巡りの2日目後半です。
なお、続きものですので、1日目前半1日目後半2日目前半から順番にご覧になることをおすすめします。

恵比島駅

前回は真布駅まで進んで区切りましたが、後半は恵比島駅から再開したいと思います。


徐々に峠が近づいてきており、雪が深くなってきました。


駅前広場には鐘のついたオブジェがありました。


駅前にはこのような古風な小屋のような建物があります。


内部はこの様になっています。
まるで映画のセットのようなレトロな佇まいですよね。


このホーロー看板なんて、狙ったかのような昭和レトロです。


他にも数軒のレトロな建物が立ち並びます。
勘のいい方ならもう気づいたかもしれませんが、もう少し見ていきましょう。


建物にはこんな看板が取り付けられていました。
もう答えが出かかっていますが、ここで答えを言うと、実は当駅はNHKの連続テレビ小説「すずらん」のロケで使われた、いわゆるロケ地であり、ロケ終了後もセットが一部残されており、一種の観光施設としての役割を持っているわけです。
これは、昨年訪問した根室本線の幾寅駅と同じパターンですね。


こちらがメインの駅舎です。
・・・とはいいますが、実は左側にある大きい方はドラマのために用意された駅舎のセットであり、本来の恵比島駅の駅舎は右側の小さい方になります。
かつての駅舎は取り壊されて貨車駅舎となっていたものを、撮影のために木造駅舎のセットを組んで、撮影終了後もそのまま設置され続けているという経緯でこうなっています。
幾寅駅の場合は、セットとして使われた建物がそのまま駅舎として使われていましたが、ここはセットと駅舎は別々になっているんですね。


(セットの方の)駅舎です。


(セットの方の)駅舎の入口部分です。
「すずらん」の放送は1999年とのことで、セットもそれより少し前くらいに建てられたことになりますが、そうとは思えぬ年季を感じさせますね。
美術スタッフさんの本気というやつでしょうか。

右から左へ読む駅名は「明日萌(あしもい)」と書いてあり、これは作中で使われた架空の駅名ですが、アイヌ語っぽい語感になっていますから、実在の地名だと言われても信じてしまいそうですw
「すずらん」のヒットを受けて所在する沼田町では観光資源として活用する動きもあり、石狩沼田駅で見かけた「明日萌ハイヤー」という名前のタクシー会社もこれにあやかったネーミングなんでしょうね。

余談ですが「すずらん」の撮影では恵比島駅をこのように古風な駅にしてしまったばかりか、真岡鐵道よりC12形蒸気機関車を借りてきて、実際にSLを走行させてのロケが行われるなど、かなり力を入れたものだったようです。
放映直後からは「SLすずらん号」が深川~増毛間で運行され、その後定着していきましたが、JR北海道の経営不振もあって運行は途絶え、ついには留萌本線は留萌以北の区間を失ってしまいました。


本来は内部も見学可能なようだったのですが、コロナ対策で”密”を作らないためということなのか閉鎖されていて入れなくなっていました。
内部の見学も楽しみにしていたのでこれはちょっと残念・・・


仕方がないので窓ガラス越しに見学しますw


一方、こちらが本来の恵比島駅の駅舎です。
貨車駅舎なのですが、周囲の「すずらん」のセットとの調和を考えてか板張りされており、貨車駅舎であることが分かりづらいです。
これは鉄道ファン的にはちょっと残念な気もしますが、これだけレトロな雰囲気の中に貨車そのものな駅舎があったら、それはそれで世界観を壊しそうですし、致し方ないですね。


(本来の)駅舎の入口です。


駅舎内部です。ここを見ると貨車の面影がありますね。


運賃表


駅ノートとスタンプ台


スノーダンプがありました。


ところで、天井に付いていたこれは一体・・・?


外へ出て、ホーム側から貨車駅舎を見てみます。


続いてセットの方の駅舎です。
ここは改札口のようですね。


駅名看板


縦型もありました。


隣にはベンチがありました。
これもセットなのか、実用的に使っていいのか分かりませんが、あった方が駅らしさは出ますよね。


ドラマのファンに向けたであろうポスターが貼ってありました。


この照明もまたレトロですね。


今どき「便所」なんて言葉自体をあまり聞かなくなった気がしますが、しかも右から左へ読むから余計古く見えますね。
まあ、そうはいっても平成に入ってから作られたセットなんですけどw


窓から内部を覗いてみます。
ああ、やっぱり入ってみたかったなぁ・・・これも宿題ですね。


ホームです。
1面1線の棒線駅ですが、かつてはもう1つ島式ホームがあって、その片方を使用する変則2面2線の交換駅だったようです。


「明日萌」の駅名標が用意されていました。
ただ、同じ位置には「恵比島」の縦型駅名標もあるので、どっちが本当の駅名なのかとツッコミたくなりますw


「明日萌」の駅名標と「明日萌駅の駅舎」
うまくこういう構図で撮れるように狙って位置を決めたんですかね。


よく見ると線路の向こう側にスペースがあるように見えますが、あれが交換設備があった頃の痕跡でしょうか。


ホームの反対側です。


もちろん、本来の駅名である「恵比島」の駅名標もありますよ。
ちなみに、駅名の由来ですが、「エピシオマプ」という「水源が浜の方に入っている川」といった意味合いのアイヌ語が由来のようです。
なんだか、架空の駅名である「明日萌」の方がアイヌ語っぽいのは気の所為でしょうか?w


「恵比島」の駅名標は貨車駅舎の方に設置されており、うまく絡めて撮れるようになっています。
これは狙ったというよりは、「明日萌」の方をセットの駅舎の方に持ってくると、必然的に本来の駅名標はこの位置になったってだけなんでしょうけどねw

それではこれ以上雪深くなる前に次の駅を目指しましょう。

峠下駅

恵比島駅から7.6kmも走り、住所も雨竜郡沼田町から留萌市へと移りました。また、雨竜郡は空知総合振興局管内、留萌市は留萌振興局管内であり、振興局(かつての支庁)の境界を跨いだことにもなります。
文字通り「峠の駅」ですね。


駅前広場です。それにしても峠だけに雪が更に深くなってきました。


駅舎です。他の多くの駅が有人駅だった頃の駅舎は取り壊されていたりした中、当駅は有人駅時代の駅舎がそのまま残っています。


少しアングルを変えて


やたらとJRのロゴが大きいですねw


内部です。
なんだか殺風景ですが、なかなかの広さがあります。
実は当駅は峠に位置する駅ということもあってか、今でも除雪作業の基地としての役割を持っているらしく、除雪作業を担う作業員たちの詰め所という役割もあるそうで、それが理由で古い駅舎が維持されているのかもしれません。


待合室ということでベンチがあります。


待合室の上を貫くように配管が通っていました。
前述の通り除雪作業の基地としての役割があるようなので、作業員たちのための暖房設備の配管とかでしょうか。


運賃表


駅ノートとJR時刻表がありました。
ただ、時刻表はちょっと古いですがw
1日あたりの平均利用者が1名以下という当駅にJRがわざわざ時刻表を置くとは思えませんし、訪れた鉄道ファンか地元住民が善意で置いていったとかでしょうか。


それではホームへ出るとしましょう。


こんな案内がありました。
実は当駅は留萌本線の途中駅では唯一の交換可能駅となっており、留萌方面と深川方面ではホームが違うのです。


ホーム側の出入口です。


駅舎はホームに直接接しています。


それにしても、ここもJRのロゴがデカイw


前述の通り交換可能駅ということで、線路は2本あります。


かつては貨物輸送が盛んな路線だったという名残か、有効長はかなり長めになっています。


留萌方面の乗車位置案内


駅名標です。
駅名の由来は「ルチシ・ポク」というアイヌ語ですが、アイヌ語にそのまま漢字を当てるのではなく、その意味である「峠の下」を取って駅名としたようです。
このようにアイヌ語を意訳して日本語の駅名をつけるケースも北海道では割と見受けられますよね。
あと、隣の幌糠駅のところが修正の痕跡がありますが、2006年までは東幌糠駅という駅が存在しており、利用者が僅少だったため廃駅となりました。このための修正ですね。


縦型


ホームを留萌方面に進むと、構内踏切があって深川方面のホームへ繋がっています。
上下ホームが互い違いに設置されていますが、これはタブレット閉塞の時代に、上下列車の先頭車同士が隣接して停車するようにすることでタブレット交換を行いやすくするためという工夫です。


構内踏切です。
通過列車がないためか遮断機も警報器もありません。


ちらつく雪も相まって信号機が目立ちますね。


留萌方面のホームと駅舎


続いて深川方面のホームですが、もう少し先まで行ってみましょう。


こちらの駅名標は照明付きでした。


駅名標とホームを絡めて撮ったら峠下駅はこのくらいにして次の駅へ向かいましょう。

幌糠駅

続いては幌糠駅です。


ここも駅前広場はかなり広いです。
かつて木材の搬出拠点だったらしいので、この広大な敷地は貯木場の跡とかでしょうか?


そんな中に小さな駅舎がポツンとあります。


見ての通り貨車駅舎となっています。


駅名もしっかり書かれています。
まあ、当然ですがw


入口部分


内部です。


窓枠は北海道のキハ40系などと似ていますね。


W.Cと書かれた扉がありますが、現在トイレは使用できないようです。


多分駅ノートですが、なんで北総鉄道?w


ホーム側から見た駅舎です。


駅舎に縦型駅名標が付いていました。


そして、普通の駅名標です。
前述の通り隣りにあった東幌糠駅が廃止されているため峠下駅のところに修正の痕跡がありますね。
あと、幌糠駅の駅名の由来についてですが、「ポロヌプカペッ」というアイヌ語で、意味は「大きな野の川」だそうです。


駅名標と駅舎


ホームです。
1面1線の棒線駅ですが、かつては相対式2面2線の交換可能駅でした。


反対側


交換設備の名残で、駅手前の線路が湾曲しています。


ホームにこんな数字があったのですが、当駅は深川駅から34.5km地点にあるので、キロポストの代わりみたいですね。

それでは、次の駅へ向かいましょう。

藤山駅

続いては藤山駅です。


ここも駅前広場は広大です。
意図的に植えられたものなのか、大きな木が特徴的ですね。


駅前広場には石碑がありました。


1つは「藤山開拓之碑」で、これはまあ説明不要でしょう。


もう1つは「翔く」という石碑で、これも当地を開拓した先人を称える石碑のようです。
かなり大きいですし、図柄まで入っていて力の入れようが伺えます。
それだけ、地元住民からは開拓者が畏敬の念を持たれているということでしょうか。
ちなみに、開拓70周年記念でこれらの石碑が建立され、駅前広場に植樹もされたそうですよ。
特徴的だと言った立木はやっぱり意図的に植えられていたんですね。


駅舎です。
古そうな見た目ですが、古い時代の駅舎にしてはコンパクトです。
実はかつての駅舎のうち、事務室だった部分は解体されて、待合室としての役割に特化して改築された経緯があるようです。


別アングルから


駅名が書かれた板もかなり年季が入っています。


入口の扉はアルミサッシでした。
おや?何か書いてあるぞ


マムシに注意だそうです。
そこまで山奥の駅というわけではないのですが、流石は北海道です。
時期的にそんなにリスクはないと思いますが、足元には気をつけましょう。


内部です。本当に待合室だけですね。


駅ノートはベンチに直置きでした。


駅前広場側をバックに内部をもう1枚


ホーム側の入口です。


こちらの駅名の看板は表側よりは綺麗ですね。


駅名標です。
これもアイヌ語の意訳か、周囲に藤が多かったとかそういう由来かなと思ったら、当地にあった農場の持ち主だった藤山要吉氏の苗字から地名が藤山となり、そのまま駅名になった経緯があるようです。
ところで、当駅の幌糠側にはかつて桜庭という駅があったらしいのですが、駅名標には修正の痕跡はありませんね。
廃止がJR北海道発足から間もない1990年であり、当時は国鉄仕様の駅名標をJR仕様に交換していっている途上だったでしょうから、廃止後に駅名標が更新されたためですかね。


駅名標と駅舎


ホームです。現在は1面1線の棒線駅ですが、やはりかつては相対式2面2線の交換可能駅だったようです。


ホームの反対側です。


ここも交換駅時代の名残として、線路の湾曲が見られます。


最後に横から駅舎を撮ったら次の駅へ向かいます。

ついに最後!大和田駅

この活動での最後の訪問駅となる大和田駅です。


記念すべき最後の訪問駅ですが、もう日没寸前なので感傷に浸るまもなく足早に取材を進めていきましょう。


ここも貨車駅舎であり、幌糠駅と同様のデザインになっています。


斜めからのアングルで


あまりに外観が似ているので、この駅名を見ないとどの駅の駅舎なのか分からなくなりそうw


入口部分にはステップ代わりなのかコンクリートブロックが置かれていました。


元となる貨車(車掌車)が同じならば当然の結果ですが、入口も似たりよったりですね。


ここもマムシが出るようです。
留萌市ってマムシが多いんでしょうか・・・?


内部です。


ベンチです。
奥に駅ノートがあるのが見えますね。


ここの駅ノートはごく普通のノートでした。


運賃表


この煙突状の物体は、ストーブを置いていた名残とかですかね。


何か貼ってあるなと思ったら除雪スタッフの募集ポスターでした。
本来ならば駅というのは広告する上で効果的な場所と言えますが、当駅については利用者の平均が1日あたり3名以下という状態であり、利用者以外に私みたいに駅自体を目的に訪れるファンなどを考慮しても、広告の効果が甚だ疑問と言わざるを得ませんね。


駅舎の出入口を撮ったらホームへ向かいます。


あれがホームです。
かつては交換可能な島式1面2線だったようですが、今は島式ホームの片側のみを使用する1面1線となっています。


かつては貨物側線もあったらしく、その名残なのかホームと駅舎は微妙に離れています。


ホームへのスロープです。
交換駅だった頃はここは構内踏切だったんですかね。


ホームに上がりました。
こうしてみると、やっぱり島式ホームだったのが分かる雰囲気ですね。

と、そこへどこからともなくエンジン音とジョイント音が聞こえてきて、遠目にはヘッドライトが・・・列車だ!


↑はい、ちょうど列車の時間だったようです。
せっかくなので動画を撮りました。


留萌本線は基本的にキハ54系が充当されるはずですが、やってきたのはキハ150系でした。
そういえば、以前にも留萌本線にキハ150系が充当されているのを目撃していますが、たまたま代走していただけなのか、定期運用なのか・・・
いずれにせよ、今度はキハ150系で留萌本線を1往復してみるのもいいななんて思ったのでした。


↑せっかくなので発車シーンも撮ります。
通常は入線と発車はどっちかしか撮れない事が多いのですが、1両編成なのでどっちも撮るというワガママが実現してしまいますw
それにしても、最後の訪問駅で列車が現れるなんて、フィナーレを飾るには素晴らしい展開です。


そして、駅名標です。
駅名の由来ですが、そもそも当駅は大和田炭鉱という炭鉱からの石炭輸送を目的に設置された経緯があり、その受益者となる大和田炭鉱が寄付をして設置されました。
大和田炭鉱の所有者である大和田荘七氏の苗字がそのまま地名となり、それが駅名にも採用されたようです。
藤山駅に続いて人名由来の駅名でしたね。


縦型


駅名標付近を中心にホームをもう1枚


最後の名残に駅舎をもう1枚撮ったらこれにて活動終了!
やはりだいぶ暗くはなってしまいましたが、初日の東町駅日高幌別駅みたいに完全に真っ暗になる事態はなんとか回避できました。
なお、終点の留萌駅は以前の活動で訪れているので、今回は行きません。

あとはホテルのある岩見沢までひたすらドライブですが、その前にちょっと寄り道します。

夕日を見に黄金岬へ

留萌市の名所の1つに黄金岬というところがありそこから見る夕日が綺麗だとのことなので、まだ辛うじて水平線上にある太陽と競争する形になりますが、黄金岬へ行ってみることにします。
留萌市街に入ると流石に信号も増えて、交通量も多くなってそれほどのペースで走れなくなってきましたが、果たして夕日は拝めるのでしょうか!?


う~ん、ダメだ!w
まだ辛うじて空が明るいので完全な日没の前にはたどり着けましたが、肝心の太陽は雲に隠れていました。
見出しから綺麗な夕日の写真を期待した読者さんがいらしたらごめんなさい!


海岸線と街明かりを撮ったら留萌市を後にします。

前述の通り宿は岩見沢に取ったのですが、これは最終日は予備日程であり駅取材の取りこぼしがあったらその回収ができるようにという意味合いであり、留萌本線と日高本線両方にアクセスしやすい中間地点という意味で岩見沢にしました。
途中までは無料で通れる深川留萌自動車道を活用しますが、終点の深川まで行ってしまうと距離的には遠回りですし、道央道は普通に通行料がかかるので、あとはホテルに向かうだけで急ぐ必要もないため高速代をケチって沼田で降りてあとは一般道です。
ちょうどかつての札沼線に沿って新十津川まで進み、そこから滝川へ曲がったらあとは函館本線に沿って岩見沢まで進みます。
流石に札幌と旭川を結ぶ国道とあっては交通量も多く、今までのような快調な走りとはいきませんでしたが、それでも東京近辺の道路よりは断然走りやすいです。


そういえば、今回は北海道に来てまだ海鮮系を食べていないなと思って回転寿司店に入りました。
実は去年の活動でも訪れた店(ただし、前回の記事中では触れていません)だったりするのですが、北海道の新鮮なネタを使っているのか味は近所の全国チェーンの回転寿司とは段違いに美味しかったです。
まあ、お値段も相応にしますけどw
流石にお寿司を1皿ごとに撮影して回るわけにも行かないので写真はありませんw
というわけで、この駅巡りシリーズはこれにて完結となりますが、予備日程となっていた3日目にも何箇所か鉄道関係の場所を訪れましたので、そのレポートをしたいと思います。
この活動とは直接はつながらないので別のタイトルを付けるでしょうが、興味がありましたらぜひ続けてご覧ください。

それでは!
~追記~
この活動の続きはこちらから

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つばめ501号(管理人) について

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