4泊5日で実施した中国遠征の4日目です。
なお、1日目・2日目・3日目をご覧になっていない方はそちらから先にご覧になることをおすすめします。
本日の行程
4日目となる今日は昨晩宿泊した出雲市からスタートして、山陰本線・木次線を乗り継いで木次へ向かったら「奥出雲おろち」に乗って備後落合へ、更に「奥出雲おろち」で折り返して木次へ戻ってきたら木次線・山陰本線を乗り継いで出雲市へ戻り宿泊してゴールという内容で、行動としては出雲市~備後落合間を1往復するだけとなり、今回の遠征の中では最もシンプルな行程となる1日です。
まずは木次へ向かう
というわけで、まずは「奥出雲おろち」が出る木次を目指して移動開始です。
昨日は「奥出雲おろち」の延長運転に乗って通った区間を、今日は普通列車で通るわけです。
ようするに、延長運転がない日に出雲市から「奥出雲おろち」に乗るとこうなるという行程になるわけですね。
4日目の朝はこちら出雲市駅から始まります。
今回の遠征では何かと立ち寄る機会の多い駅となり、なんだか地元感も出てきましたw
↑そこへキハ40系がやってきました。
↑「やくも」の発車を撮ったらキハ126形に乗って宍道へ向かいます。
今回はただの移動ということで道中は端折って木次です。
木次に到着です。
ホームは「奥出雲おろち」を待つ人達で賑わっていました。
側線には「奥出雲おろち」が待機中でした。
これは延長運転の日は見られないので、延長運転とは別日の乗車にしてよかったかもしれません。
木次線の車両基地でもあるため、一般の列車も停車していました。
↑入線は動画でどうぞ
「奥出雲おろち号」に乗る!
それではいよいよ今日のメインとなる「奥出雲おろち号」に乗車します。
まずは木次駅構内で外観を中心に撮影し、それから乗車ですね。
ちなみに、キハ120形と同じ線路に入線しており、縦列停車しています。
留置車両とは言えホームから外れて停まっているのが面白いですね。
↑ここでディーゼル機関車のアイドリング音をお楽しみ下さい。
※動画自体は別のタイミングで撮影
この棒みたいなのはタブレットキャッチャーですかね。
タブレットというのは昔、通票閉塞という閉塞方式を使っていた時代に、区間ごとの通行証として使用されていた媒体のことで、その区間に進入する前に必ずこのタブレットを受け取る必要があったのですが、タブレットを受け取る駅を通過する場合は駅のホームにタブレットを設置しておき、車両側にあるタブレットキャッチャーで受け取るということをしていました。
また、今まで走行してきた区間のタブレットは駅に返す必要がありますが、その場合はホーム上にあるタブレットキャッチャーに引っ掛けるようにします。
銘板もありました。
新潟鉄工所製ですが、現在は新潟トランシスとなっていますね。
ホーム上にこんな表示がありました。
乗車位置案内かと思わせてただのメッセージなんですが、イラストまで描いてあるのがいいですね。
それでは車内です。
昨日の記事でも「奥出雲おろち」の車内を紹介しているので細かい部分は割愛しますが、相変わらずの満員御礼の大盛況でした。
昨日はラストランまで60日だったので当然ですが、今日は59日前となっています。
こちらは控車です。
やはりこちらはガラガラであり、これなら控車も発売すればより多くの人が最後の「奥出雲おろち」を楽しめるのになぁとか考えましたが、そうするといざ雨が降ったりしたらトロッコ車両の人の行き場が無くなるしなぁ・・・
それで今回はどちらに乗るかなんですが、今回の席はトロッコ車両の方でも・・・
窓側を向いた席に当たったのでこれはトロッコ車両一択ですね。
※画像は前回記事に使用のものを流用
↑窓を向いた席だったので車窓をどうぞ!
そして、10時08分、定刻通り「奥出雲おろち」は木次駅を出発していきます。
ここで「奥出雲おろち」について解説を入れておきましょう。
「奥出雲おろち」は木次線を走る観光列車であり、土休日を中心に木次~備後落合間を1往復しています。
また、連休などの繁忙期に限り備後落合行きのみ、始発駅を出雲市とする延長運転が実施されますが、これについては昨日の記事で紹介済みなのでそちらをご覧頂くとして、通常運転区間の木次~備後落合間について説明すると、この区間にはスイッチバックで有名な出雲坂根駅や、木次線の車窓の目玉となる「奥出雲おろちループ」などがあり、これらを楽しむ列車となっています。
車両はDE10形ディーゼル機関車が牽引して、12系客車の2両編成で運行されており、全車指定席となっています。
客車のうち1両はトロッコ車両となっていて、もう1両は控車と呼ばれる一般的な構造の客車となっており、トロッコ車両には窓ガラスがないため雨天時などは控車へ移動していいことになっており、その場合はトロッコ車両の指定席券に掛かれている座席番号と同じ控車の席を利用することになっています。
また、雨天でなくても控え車を利用しても問題ありません。
運行開始は1998年であり、2000年には「第7回しまね景観賞」を受賞し、2007年度には年間利用者数が2万人を突破し、島根県の観光資源としても定着していましたが、車両の老朽化に伴い2023年11月23日の運行をもって引退することが発表されました。
直接の後継車が登場する予定はありませんが、山陰本線を走る観光列車「あめつち」が木次線の宍道~出雲横田間に乗り入れる予定となっています。
25年間に渡って木次線を、ひいては島根県全体を盛り上げてきた「奥出雲おろち」でしたが、車両の老朽化には勝てず引退となってしまいましたから、最後にさよなら乗車をしようというわけで今回の遠征が決まった経緯があります。
鉄道ファン目線でも、今では珍しい機関車牽引の旅客列車ですし、木次線の車窓を窓ガラスのないオープンエアで楽しめるのも魅力です。
長閑な景色を進みます。
田舎の空気を感じながらの旅も乙なものです。
下久野駅から出雲八代駅の間ではちょっとした峠越えとなり、木次線にしては長い全長2241mの下久野トンネルで越えていきます。
この間に雲南市から奥出雲町へと移っていきます。
トンネルに入るとランタン風の照明が幻想的な雰囲気を醸し出してくれます。
トンネル通過時の轟音や猛烈に吹き込む風もトロッコの醍醐味ですね。
よく見ると天井には「ヤマタノオロチ」が浮かび上がっていました。
なかなか粋な演出ですね。
出雲八代駅では地元保育園児たちによるお出迎えがありました。
これは乗客たちもほっこりしていました。
あと、先生は「おろち号」の被り物をしていますねw
その先にある亀嵩駅ではそば弁当の販売があります。
私も買おうと思ったら完全予約制だったらしく、予約分を配り終えると行ってしまいましたw
下調べした時は当日購入も可能とあったんですが、いつの間にか変わったんですかね。
ちなみに、予約分を配り終えると車掌さんに向けて合図をしていたので、弁当配布が終わってから発車するという暗黙の了解があるみたいですね。
写真はないものの昨日も降りた八川駅でもお蕎麦の販売がありましたが、これも予約制みたいです。
当日でも買えると思って予約していなかったのでこれも食べられず・・・
八川を出て次はいよいよスイッチバックのある出雲坂根です。
2段目の線路が近づいてきました。
ここでは5分ほど停車時間があるので軽くホームへ出て撮影です。
とはいっても、昨日も出雲坂根駅で撮影をこなしており、大体同じような写真や動画は撮っているのでこれだけ撮って戻りました。
そうそう、昨日はここで焼き鳥を売っていたので今日も売っていると思ってそれを食べるつもりでいたのですが・・・
やってない!w
この日は「奥出雲おろち」の運転日ではありますがカレンダー上は平日でしたから、そのせいなのかもしれません。
隣にあったこの祠みたいなものですが、延命神社と呼ばれているようです。
延命水を祀っているということでしょうか?
駅舎を撮ったら列車に戻ります。
昨日は「奥出雲おろち」は見送りで撮るだけだったのでゆとりがありましたが、停車時間中に全てこなそうとしたらかなり慌ただしいですね。
これはやはり撮影と乗車を分けてよかったです。
あと、備後落合行きの「奥出雲おろち」では延長運転部分を別にすると車外に出られるほどの停車時間があるのは出雲坂根だけとなっています。
なので、乗車中に外へ出られる唯一の機会でもあるため、撮影だけでなく気分転換としても貴重な機会です。
向きを変えて2段目のスイッチバックに挑みます。
写真は3段目の線路が近づいてくるところです。
そして、「奥出雲おろち」最大の見所といえる「奥出雲おろちループ」です。
これは国道314号に存在するループ橋でして、木次線がスイッチバックを駆使して越える難所を、国道はループ線を駆使して攻略しています。
元々この区間にあった旧国道314号は狭く急カーブが連続する難所であり、大型バスの通行が難しいためにバスによる代替が難しいという理由で木次線は廃線を免れてきた経緯がありますが、「奥出雲おろちループ」の開通でこの難所も解消されると木次線の存続理由が消える事となりました。
しかし、今度はこの「奥出雲おろちループ」が車窓から見えることを売りにした「奥出雲おろち」を運行するようになりました。
なので、この「奥出雲おろちループ」は「奥出雲おろち」の誕生にも深く関わっていると言えますね。
ただ、私が乗った席は反対側だったので、写真はこんな感じですw
復路ではちゃんと「奥出雲おろちループ」の方の席なのでそちらでちゃんと見ることにしましょう。
まあ、昨日も普通列車で見ている景色なんですけどねw
JR西日本の最高地点にある駅となる三井野原駅付近は高原の景色になっていました。
三井野原駅の標高は727mとのことで、なんと東京スカイツリーよりも高いところを走っています。
県境を越えて広島県に入ると西城川に沿って進みますが、紅葉がかすかにですが色付いていました。
西城川の支流となる小鳥原川を渡ればもうすぐ終点の備後落合駅です。
備後落合駅に到着しました!
この日は「おでんうどん」を提供する”ドライブインおちあい”の営業日なんですが、21分後に折り返すため今回も無理ですね。
1時間くらい滞在時間があるならば食べに行けますが、駅から徒歩20分ほど掛かるのがネックです・・・
昔は駅構内でも提供されていたらしく、「奥出雲おろち」が来る日だけでも出張してくれたら嬉しいですが、切り盛りするのは老夫婦みたいですからそこまでの余裕はないのかもしれません。
駅前に出るとなんと大型バスがいました。
路線バスは駅前広場には乗り入れてこないはずなんですが・・・
反対側から
よく見るとバスだけでなく一般車もいますね。
撮りに来ただけかもしれませんが、家族が「奥出雲おろち」に乗っていて迎えに来たとか、逆にこれから乗る人を送ってきた可能性もありそうです。
ところで気になるのはあの大型バスですが、駅前広場は大型バスが転回できるほどの広さはないので、駅前の道路から鬼バックでここまで来たんでしょうかw
よく見ると団体ツアーの観光バスでした。
なるほど「奥出雲おろち」はツアーにも組み込まれているんですね。
駅の方は昨日も見ているのでこれくらいにして車内に戻りますが、ここで1つの懸案事項が・・・それはお昼ごはんです。
亀嵩と八川のそばは予約していなかったため食べられませんでしたし、期待していた出雲坂根の焼き鳥もやっておらず、ここまで食事にありつけずに来ていました。
復路の「奥出雲おろち」が終点に着くのが16時頃で、そこから乗り継いで出雲市に戻れるのが18時前くらいと、そこまで食べられないとなると実質お昼ごはんは抜きということになってしまいます。
備後落合駅も何かしら売りに来ているだろうと見てみたんですが・・・
唯一売っていた食料がこの「ヒバゴンのたまご」でした。
よくあるご当地銘菓ですが、こちらは比婆山周辺に生息すると噂される未確認生物「ヒバゴン」の名を冠したお菓子です。
食事というよりは完全におやつですが、何も食べないよりはいいだろうと買いました。
そうそう、お菓子の中身ですが、ココア味の殻に、練乳入りの白餡、さつま芋入りの黄身餡を包んだ3層構造となっていて、普通に美味しかったですね。
”DANGER”なんてパッケージに書いてありますが、「ヒバゴン」が危険な生物ということなんですかね?
未確認生物なので詳細は不明ですが、こうしてご当地銘菓の名前になっているということは地元では割と親しまれているんでしょうか。
包み紙も「ヒバゴン」についての新聞記事を模したものになっていました。
でも、個包装の方はなんとも可愛らしいイラストでした。
「ヒバゴン」は類人猿型の生物とされているらしく、猿をモチーフにしたイラストなんでしょうが、猿だとするならば哺乳類ですから”たまご”はおかしいのでは?というツッコミは野暮かなw
「奥出雲おろち」で木次へ戻る
そして、復路となりますが、今度は控車に乗ることにしました。
今回の遠征では3回「奥出雲おろち」に乗る機会がありますが、最後となる今回は控車を体験しておこうと思いました。
また、木製の椅子に長く座っていて少しお尻が痛くもなっていましたw
↑ところで、この座席は転換クロスシートなんですが、回転のさせ方が今の車両とは違うんですよね。
今の車両なら足元のペダルを踏んでから回しますが、これは一旦背もたれを押してから回すようです。
私はこれを知らずに一生懸命ペダルを探してしまいましたw
国鉄時代の車両ってみんなこういうタイプだったんですかね?
↑それでは車窓をどうぞ
今度は「奥出雲おろちループ」が見える方なのでお楽しみに!
発車してしばらくすると早速アナウンスが始まりますが、「ハイケンスのセレナーデ」のチャイムが客車列車の旅を盛り上げてくれます。
「ハイケンスのセレナーデ」を聞くとブルートレインの思い出が蘇ります。
出雲坂根駅では18分間の停車です。
ここでもやっぱり食べ物は売っていないみたいなので、お昼は「ヒバゴンのたまご」だけで夕飯まで凌ぐことが決定しましたw
交換となるキハ120形を撮ったら乗り込みます。
ちなみに、この列車は昨日乗った列車ですね。
スイッチバックを終えると斐伊川に沿って進みます。
今はこんな小さな川ですが、日本海に注ぐ頃には大河川になっています。
続いては出雲三成駅でも19分間の停車です。
備後落合行きでは出雲坂根駅で5分停車するだけでほとんど乗りっぱなしでしたが、木次行きでは2駅も長時間停車する駅があって、しかもそれぞれ20分弱の停車なので車外に出られる機会は木次行きの方が多いですね。
副駅名は「大国主命」です。
色々な神話に出てくる神様ですが、「因幡の白兎」の伝説が有名でしょうか。
この伝説が特急「スーパーはくと」の愛称の由来でもありますね。
早速機関車を撮りに行こうとしたらこういう状態でしたw
いわゆる「カマ出し」ですねw
Wi-Fiもあるみたいですが、まるで「ヤマタノオロチ」がビームでも吐いているみたいにw
無人駅ということで出入口はこのような通路となっており改札口はありません。
両側は奥出雲町観光協会と仁多特産市となっていて、駅舎と一体化しています。
駅前は国道に沿う形でバス停がありますが、バスロータリーと呼ぶには小さいですし、巨大なバスベイと言ったほうがしっくり来そうな感じです。
駅前に乗り入れているのは奥出雲交通です。
三成と横田を結ぶ路線がある他、駅周辺のフィーダー路線もあるようです。
道の向かい側には巨大な屋根付きの歩道がありますが、あちら側にもバス停があるみたいで、乗り換え客の便宜を図っているみたいですね。
そして駅舎ですが、塔のような部分とか意外にも現代的な見た目ですね。
最後に駅名の看板を撮ったら列車に戻ります。
交換相手となる列車を撮ろうと思ったんですが、ホームの位置的に無理だったので諦めました。
ここでアナウンスが流れますが、チャイムはなんと「アルプスの牧場」でした。
気動車のチャイムというイメージが強いですが、12系客車にも搭載しているんですね。
更にアナウンスが終わると「鉄道唱歌」のチャイムで締めるという国鉄車内チャイムメドレーとなりました。
これは音鉄にも嬉しい展開です。
木次に到着です。
最後の「奥出雲おろち」とのお別れを惜しんで余韻を味わいたいところですが、宍道行きの接続列車は3分後の発車であり、余韻もへったくれもなく慌てて乗り換えですw
最初は1本見送って「奥出雲おろち」の車庫への引き上げを撮ろうかなとも思っていたんですが、それをやると1時間待ちぼうけとなる上、昨日木次駅を発車する「奥出雲おろち」の動画を撮っていたこともあって、結局3分後の列車に飛び乗ることにしました。
なんだかんだいっても、「ヒバゴンのたまご」以外食べずに来ているため早く出雲市へ戻って夕飯にありつきたいと言うのが大きかったですけどねw
最後に列車の最後尾から「おろち号」を撮りました。
さよならおろち号!ありがとうおろち号!
出雲市へ戻る
これにて活動としては終了ですが、出雲市までの移動があるのでそれをレポートして〆としたいと思います。
宍道までの木次線は「奥出雲おろち」から乗り継いできた人たちで混み合っていて賑やかな雰囲気でした。
音鉄的にはよろしくない状況ですが、昨晩の列車で綺麗な録音を確保済みなのでここは高みの見物ですw
↑ここで「やくも」の入線です。
これは岡山行きですが、ちょうど接続するダイヤなので「奥出雲おろち」から乗り継いでそのまま岡山方面へ帰りたいという人には便利ですね。
跨線橋から見た列車です。
右側のキハ126形に乗って出雲市へ向かいます。
ところで跨線橋にこんな場所がありました。
途中にICカード用の改札口があるので謎な配置でしたが、木次線はICOCAエリア外なので、ICカードで乗ってきてしまって木次線に乗り継ぐ人向けなのかなと思いきや・・・?
もう種明かしをしますと、実はこの先は”出口”なんです。
元々はこの先にもホームがあったため、この通路は跨線橋として作られたんだと思いますが、そのホームは廃止され跡地が駐車場になり、その駐車場から直接駅へ出入りできるようにかつての跨線橋を改札口として開放したという感じだと思います。
それではあとは出雲市へ移動します。
さて、これにて活動終了なんですが・・・
まずは「のどぐろ丼」で腹の虫をおさめます。
店名に「のどぐろ」を使っているだけあって美味しかったです。
その他に数品頼んで一人晩酌を楽しんだらホテルへ向かって4日目の夜も更けていきました。
明日はいよいよ帰路に就くわけで、島根での最後の晩餐を満喫しました。
というわけで4日目は以上です。
5日目は別記事として追ってレポートしますので、公開までしばらくお待ち下さい。