「津山まなびの鉄道館」訪問記

今回は岡山県津山市にある「津山まなびの鉄道館」に訪問しましたのでそのレポートとなります。
なお、時系列としては「鳥取遠征2日目」の途中になりますが、活動内容が大きく異なるため別枠のレポートとしています。
遠征の全体にも興味がありましたら、「まほろば」の記事から順にご覧下さい。

「津山まなびの鉄道館」の概要

まず最初に、このレポートをご覧いただく前提として「津山まなびの鉄道館」の概要を説明してから本編に入っていきたいと思います。
「津山まなびの鉄道館」は津山駅に隣接する旧津山扇形機関車庫(近代化産業遺産)をリニューアルして開館した鉄道博物館の一種であり、目玉はやっぱり扇形車庫ですが、車庫内に展示されている保存車両や鉄道に関する物品の展示・解説なども見学できます。
運営しているのはJR西日本と公益社団法人津山市観光協会であり、現在の形として運営されるようになったのは2016年からのことです。

開館時間は9時~16時となっており、毎週月曜日(祝日の場合はその翌日)と12月29~31日の休館日以外は通年開館しています。
入館料は300円(2020年3月1日より310円)で、中学生以下は100円、小学生未満の幼児と障害者は無料となっています。
また、JR津山駅構内などにある優待証を持参すると大人240円、中学生以下80円になる割引がありますので、JRを使って津山を訪問する方は忘れずにもらってから訪ねましょう。
リーズナブルな価格設定ですが、施設の規模としては大宮や京都よりはかなり小さいので妥当な額ではないかと思います。

交通アクセスについては、津山駅から徒歩10分程度でたどり着ける他、コミュニティバス「ごんごバス」の小循環線も利用可能です。
目玉となる扇形車庫は津山駅構内からも見ることが出来ますが、出入口が駅とは反対側にしかないため近くに見える割には歩くと遠いですw
また、駐車場もあるようなので車での訪問も可能です。まあ、鉄道をテーマにした施設ですし、可能ならば列車で訪問してほしいかなとは個人的に思いますがw

訪問レポート

それでは、いよいよ本題に入っていくとしましょう。
私もJR津山駅から徒歩ルートでのアクセスを選びましたが、所々に看板は出ているもののちょっと分かりづらい部分もあったので、スマホを持っている人はナビアプリなどを使いながら進んだ方がいいかも知れません。


その道中で撮った1枚
背景のホテルが霞んで不思議な雰囲気の写真になりました。


更に進むと・・・出てきました!
ていうか、これって道路標識の案内標識ですよね。思いっきり歩道にかぶさっている配置が面白いですが、どちらかといえば駅から歩いてきた歩行者に見やすいようにということなんでしょうか。


更に進むこと100m、同じような標識が出てきたところを曲がれば到着です。


こちらが駐車場です。
思っていたよりは台数が確保されており、よほどの繁忙期・・・例えば連休のど真ん中とかで訪問しなければ駐車場に入れないなんてことにはならないのかなと思いました。


「津山まなびの鉄道館」の駐車場であることを明確にしたいのか、幟が立てられていました。


大型バスの停車位置についての注意でしたが、学生さんの社会科見学などで訪問する場合なんかを想定しているんでしょうか。
ちなみに、「津山まなびの鉄道館」では30名以上のグループを団体として扱うらしいですが、それ未満の人数でもバスで乗り付ける場合などは事前申し込みが必要らしいので要注意です。


駐車場の脇にバス停があり、そのまま「津山まなびの鉄道館」という停留所名です。


時刻表にも注目してみましょう。(文字が小さいので拡大表示推奨です)
メインで走っているのはコミュニティバス「ごんごバス」の小循環線ですが、1日7本しかなくちょうど時間が合わないと利用できないのがネックです。
まあ、駅まで歩いても10分ほどですし、健脚な人は徒歩で十分でしょう。

あと、下に貼ってあるやつは特定日のみ運行の路線らしく、むしろ乗りバスしたくなってきますw


バスに興味を奪われかけましたが、この記事の本題である「津山まなびの鉄道館」へ入るとしましょう。
いかにもなゲートもなく、ただ入り口だけあるって感じなので、本当にここから入っていいのかちょっと不安になりましたが・・・


営業時間のおしらせという掲示物があるのでここが入口で良さそうです。


中へ入ると扇形車庫の壁面に施設名が書かれていました。
まあ、この位置にある方が記念撮影にはもってこいですかねw

ところで、入場ゲートのようなものがなくてちょっと不安だったのですが、扇形車庫の脇の道を進むと小屋のような建物が出てきて、そこで入場券を売っています。入場券は硬券となっていてマニア受けを狙っているなと思いましたが、まあ普通に嬉しいですw
なお、券面には「団体」という表記があったのですが、私も駅でもらってきた優待証を提示したので割引料金にしてもらったものと思いますから、団体と優待は同額だからチケットを流用しているんでしょうか?w

このような緩い感じだったので、以前に訪れた「三笠鉄道村」みたいに、屋外展示は無料で見学できて、資料館の内部を見学する場合だけ課金されるシステムかとも思いましたが、ここは敷地内の全ての施設が有料扱いみたいなので、緩いとはいえ忘れずに払いましょう。たったの300円のお手頃価格ですしね。

というわけで、無事にチケットを買ったら見学開始です。


敷地内の案内図になっていました。
ここでざっくり各ブースの概説をしておくと、メインの扇形車庫と転車台を中心に「まちなみルーム」「まなびルーム」「あゆみルーム」「しくみルーム」と4つのブースが存在しており、「まちなみルーム」は津山を中心にした地域を再現したジオラマが展示されており、「あゆみルーム」は鉄道や岡山の歴史を中心にした展示、「しくみルーム」は鉄道に関する技術や装置のしくみを解説する展示となっています。
ちなみに「まなびルーム」は校外学習などで訪れた学生向けに資料映像などを放映するスペースらしく、個人で訪問した人は基本的に関係ないみたいです。


いよいよ「津山まなびの鉄道館」の核心部とも言える扇形車庫の内側に入ります。


記念撮影スポットとなっているのか、C57形の動輪が展示されていました。
下に敷かれているのが枕木なのもいいですね。


鉄道記念物のプレート


そして、こちらが目玉の1つとも言える転車台です。
現在でも稼働できる状態で保存されているらしく、時々展示車両のうちの1両を上に乗せて回転させることもあるんだとか。
そういう時は告知されるみたいなので、転車台が回転する様子を見たい人はそれに合わせて訪問するといいでしょう。


扇形車庫の内部には数々の保存車両が展示されており、こうして並ぶと壮観ですね。
ただ、残念ながら車庫内へは入れないため、車両も見ることが出来るのは顔の部分だけとなります。
貴重な扇形車庫を展示のために大きく改変してしまうわけにもいかないですし、仕方ないでしょうが、大宮や京都の鉄道博物館みたいなイメージで来ると側面が見られないのは残念なところではありますね。


それでは展示車両を個別にご紹介していきましょう。
まずはキハ33形です。あまり聞き慣れない形式名かもしれませんが、JR西日本が50系客車を改造して製造した気動車であり、わずか2両しか存在しなかったこともあり、一部のマニア以外にはマイナーな存在と言えるでしょう。
しかし、日本で客車を改造した気動車というのはそれ自体がレアな存在であり、類似例としてはJR北海道のキハ141系などがあります。


公式の解説文もどうぞ
説明はざっくりしたものになっていますが、あんまり細かい解説をして喜ぶのはマニアだけですし、そのマニアは解説されるまでもなく知っているだろうということで、これは妥当な判断かな?w
でも、諸元は細かく乗っているので、気になる人はチェックしてみましょう。


続いては国鉄気動車特急の名車キハ181形です。
中国地方でも新型に置き換えられる前は多く走っていた車両でしたが、特急「はまかぜ」での運用を最後に引退となりました。


公式の解説文


続いては国鉄急行型気動車の代名詞的存在のキハ58
鉄道好きならば説明不要なほど有名ですね。


幕は「修学旅行」でした。
滅多に表示されないレア幕を持ってくるあたりは、マニア受けを狙っていますねw


解説文です。


そして、続いては・・・って「間違えて同じ写真を連続して貼ってるよ?」と自分で突っ込みそうになりましたが合ってますw
これはキハ28形という気動車で、外観こそキハ58形にそっくりですが、走行用エンジンを2基搭載するのがキハ58形で、1基だけだとキハ28形と呼ばれます。
・・・実を言うと私も車番を見ないと見分けられませんw


こちらの幕は「試運転」でした。
外観がほとんど同じだからせめて幕で差別化しようっていうこと?w


解説文


続いてはキハ52形です。
キハ20形のエンジン強化版ともいえる車両で、かつての国鉄ローカル線の代名詞的な車両でしたが、JR西日本が大糸線で運用していた3両が2010年に引退したのを最後にJRグループからは姿を消しました。
その3両のうちの1両がここにいるわけですが、他の2両の行方はというと、1両は糸魚川駅構内の「キハ52展示待合室」で静態保存されており、もう1両はいすみ鉄道に譲渡されて観光急行として活躍中です。
なので、ここに展示されている車両の中では、まだ現役で活躍する仲間がいるということになります。
いすみ鉄道は集客の目玉として走らせているので物理的に走れなくなるまでは活躍しそうですが、古い車両ですしいつまで持つか心配でもあります。
まだ乗りに行っていない方、もう乗ったけど最近ご無沙汰だななんて方は機会を見つけていすみ鉄道にキハ52形へ会いに行ってみてはいかがでしょうか?


行先はJR西日本での最後の活躍の舞台だった大糸線の表示になっていました。


解説文


鉄道ファンならずとも聞いたことはあるであろう「デゴイチ」ことD51形です。
SLといえばデゴイチをまず思い浮かべる方も多いであろうくらい有名ですね。


字体が独特すぎてなんと書いてあるのか分からなかったのですが「旅立ちの汽笛」と書いてあるらしく、開館日は毎日12時と15時に汽笛を鳴らす演出をしているそうです。
恐らくエアーコンプレッサーを使って鳴らすんでしょうけど、それでもいい演出ですよね。
時間が合えば迫力の汽笛を堪能するのもいいでしょう。


一応解説文です。


展示車両を入れ替える時に使う予備スペース的な感じなのか、何も車両が入っていない区画がありました。


この扇形車庫自体が近代化産業遺産です。


こちらはDF50形というディーゼル機関車です。
日本初の量産型電気式ディーゼル機関車です。
「電気式ディーゼル機関車」というと、電気で走るのかディーゼルで走るのかはっきりしろと言われそうですが、電気式ディーゼル機関車というのは、ディーゼルエンジンで発電してその電気でモーターを駆動して走るというもので、いわば発電機付きの電気機関車という感じです。今風に言えばハイブリッド車の概念に近いですね。
蒸気機関車の置き換えを目的に投入されましたが、本格的なディーゼル機関車の黎明期に製造されたことも合って出力不足は否めず、完全な蒸気機関車の代替とはなれず、国鉄時代のディーゼル機関車の代名詞とも言えるDD51形が登場すると徐々に活躍の場を狭め、1983年にJRグループ発足を見届けることなく引退しました。


長々と解説してしまいましたが、公式の解説文もどうぞ


続いてはDD13形です。初の量産型入換・小運転用ディーゼル機関車となりました。


解説文


こちらはDD15形です。
先程登場したDD13形をベースに除雪用のラッセルを取り付けたタイプとなります。


解説文


続いては国鉄のディーゼル機関車の代名詞的な存在のDD51形です。
出力不足で本来の役割を果たせなかったDF50形に変わって国鉄の無煙化を推進し、分割民営化の後もJRグループに引き継がれて寝台特急「出雲」や「北斗星」「カシオペア」「トワイライトエクスプレス」、更に非電化区間の貨物列車と様々な列車の先頭に立ちました。


マニアの方にはもはや説明不要な気もしますが、解説文です。


ここに来て急に小柄なやつが来ましたが、「10t貨車移動機」という機械です。
実は正式な鉄道車両ではなく駅構内や操車場などで貨車の入換をするためのもので、駅構内のみで使用する前提のため鉄道車両扱いになっておらず原則として本線上を走行することは出来ません。
鉄道貨物輸送が車扱いからコンテナ輸送に転換したことで貨車の入換自体の頻度が減って活躍の場は激減していますが、今でも僅かに活躍しているようです。


「重要機械」らしいです。


解説文


続いてはDE50形です。
投入予定路線の急速な電化により1両しか製造されなかったという鉄道業界の「島風」的な存在らしいです。


解説文


続いてはDD16形です。
除雪用だそうですが、ラッセルは付いていませんね・・・


解説文によるとラッセルは外してあるみたいですね。


機関庫を見渡します。


転車台と並べて


この転車台ももちろん近代化産業遺産です。


転車台の動力部の配電盤でしょうか?


すぐ脇は現役で使われている側線となっており、キハ40系などの気動車が留置されています。


「津山まなびの鉄道館」の敷地内とは柵で区切られています。


線路閉鎖の標識が取り付けられていましたが、柵の内側の線路も現役線扱いなんですかね。


扇形車庫は裏側にも回れるみたいです。


こちら側にも車両の頭が見えていましたが、先程のDD16形の後ですかね。
こういう展示は面白いです。


「いこいの広場」らしいです。


と言っても木のベンチがあるだけですけどね。
ちょっと一休みするには丁度いいでしょう。


不思議な形のオブジェがありました。


すぐ脇を津山線の線路が横切っています。

と、ここでスタッフの方が話しかけてくれて、もうしばらくすると列車が通過すると教えてくれました。
少し時間があるので寒い屋外で待たずにその間に「あゆみルーム」を見学してくるといいとオススメしてくれたので言われたとおり「あゆみルーム」へ向かいます。


敷地内の案内図を見る・・・までもなくすぐ目の前ですけどねw


目の前とはいえちゃんと案内が出ていました。


「あゆみルーム」の内部はこんな感じで津山を中心にした岡山の鉄道の歴史をパネル展示しています。


ただ解説パネルがあるだけではなくて、このように実物の資料も展示されています。
展示品はそんなに多くはないですが、逆に子供でも飽きずに全て見て回ることが出来るのではないでしょうか。


一番子どもたちの注目を引きそうなのがこちらの模型展示ですね。
蒸気機関車からディーゼル機関車、気動車に0系新幹線まで、鉄道車両の進化の軌跡を追うような展示になっています。
また、手元のボタンを押すと当該の部分が光るギミック付きです。

そして、この「あゆみルーム」最大の目玉は大型のテレビ画面に映し出された資料映像なんですが、映像を流しているところを写真にとってご紹介するのは著作権的にまずいと思いますので写真はなしです。
気になる人は現地で(ry

といったところでそろそろ津山線の列車が通過する時間なので外へ出てみましょう。
本当に「あゆみルーム」を見学していて丁度いい時間になりました。


↑というわけで通過シーンです
フェンスが低いのでなにげに撮影地として優秀だと思いました。

それでは、今度は「しくみルーム」を見学します。


こちらが「しくみルーム」の入口です。


「しくみルーム」はより実物展示が充実しており、スペースも「あゆみルーム」より大きく取られています。
まずは古風な駅の窓口から始まります。


国鉄の制服を着たマネキン駅員さんがお出迎えです。


満員なんて札も用意されていたんですね。
これは指定席の発売状況を知らせる目的なんでしょうか?


急行「みささ」と「砂丘」の案内札です。
私の世代ではもうこういう案内札自体を見かけることはほとんどありませんでしたが、古い時代の映像でターミナル駅に膨大な数の札が掲げられている様子とかを見ると壮観でしたね。
今の電光掲示板や液晶モニターにはない味わいがあると思います。


駅事務室の内部を再現しています。
昔は今みたいにパソコンの画面を操作するだけで希望のきっぷが印刷されて出てくるなんて便利なシステムではなかったので、このような棚に予め印刷しておいたきっぷ(常備券といいます)をストックしておいて、その都度取り出して発売していました。
また、ストックの中にないきっぷを発売する場合は駅員さんが手書きで作成する補充券と呼ばれるものを使っていました。
これもまた古き良き昭和の風景ですね。


改札業務を体験するブースがありました。
テーブルに置かれているのは18キッパーなら必ずお世話になるスタンプですが、左側の壁面にあるのは入鋏に使うハサミですね
私が小さい頃なんかはまだ地方の駅では自動改札は普及しておらず入鋏してもらった経験も若干ありますし、昔の鉄道を題材にしたおもちゃだとおまけとしてハサミが入っていたものでしたが、今の子供達には「これな~んだ?」とクイズの題材にされてしまうような存在なんですね・・・
というか、最近の鉄道系のおもちゃを見るとICカード乗車券を再現したものまであって、時代の変化を実感します。


続いては時刻表を使って列車の時刻を調べる体験をするブースがありました。
今やスマホやPCで簡単に乗り換え検索ができる時代ですから、あえて時刻表で調べるというのはもはやマニアだけの世界になってしまったのでしょうか。


ますますマニア向けのダイヤグラムが展示されていました。
かつて実際に業務で使われていたものとかでしょうか?


そして、こちら。
1975年3月号の時刻表のレプリカで、山陽新幹線と津山線・伯備線のページを再現しているようです。
子供の乱暴な扱いを想定してか、プラスチック製になっており破れる心配はないみたいですw


とりあえず開いてみたのは索引地図です。
古い時代の路線図を見ると既に廃止になった路線が載っていたり、逆に今はある路線がまだ開通していなかったりと変化があって楽しんですよね。


まずは中国地方西部から見ていきましょう。
現在との最大の違いは幹線と地方交通線という区分がまだ存在しないため、鉄道路線は全て黒線で書かれていることですね。
路線そのものについては、可部線の可部~三段峡間が健在である一方、三江線がまだ全通しておらず、三江北線・三江南線に分かれています。
あとは、短いので見落としがちですが、美祢線の大嶺支線がまだあるのと、現在は第三セクター転換となっている錦川鉄道が国鉄岩日線になっているなどの違いがあります。

鉄道以外では仁堀連絡船も掲載されていますね。
当然しまなみ海道なんてまだありません。


続いて中国地方東部
一番分かりやすい違いは瀬戸大橋線がまだ開業しておらず、四国への連絡は宇高連絡船が担っていたことですね。
あとは、倉吉線がまだ存在していて、若桜線・北条線は国鉄線として載っているとかですかね。
私鉄に目をやれば下津井電鉄や片上鉄道などがまだ残っています。


続いて四国西部
最大の変化は現在は予讃線・土讃線となっている路線がそれぞれ予讃本線・土讃本線となっていることです。
これはJR四国発足時に従来使用していた「~本線」という呼称を廃止して「~線」に統一したためですが、国鉄時代は四国にも”本線”がいくつか存在していました。

路線図そのものの変化としては、現在は松山~宇和島間の短絡ルートを形成する内子線がまだ全通しておらず盲腸線になっていたり、現在は土佐くろしお鉄道に移管されている中村線が国鉄線だったりといったところでしょうか。
一方、宿毛線は土佐くろしお鉄道転換後に開通しているのでこの頃はまだありません。


続いて四国東部
ここは一番廃止路線が少ないようで、この範囲内で現在廃止されているのは小松島線だけですね。

一方で、瀬戸大橋線や土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線や阿佐海岸鉄道など、後年に新たに開業した路線の方が多いくらいです。

って、こっちのほうがよっぽど「あゆみルーム」らしいぞ?w


それでは時刻表も・・・
これは伯備線のページですが、現在でも運行されている特急「やくも」の他、急行「伯耆」というのもあったんですね。
「やくも」は岡山~出雲市間、「伯耆」は岡山~米子間での運転であり、停車駅にも当然差がありました。
現代だとそもそもJRグループにおける「急行」という種別自体が定期運行されなくなって久しいわけですが、昔は同じ線区に特急と急行が併存していて住み分けられていた時代もあったんですね。
今だと同じ線区に速達型と停車型の優等列車が複数設定される場合(常磐線における「ときわ」と「ひたち」や中央本線における「あずさ」と「かいじ」など)は、どっちも特急扱いにしてしまう場合がほとんどですが、この場合、停車駅が多い方は急行でもいいと思うんですけどね。

ついつい停車駅や運行区間ばかりに注目しがちですが、列車番号にも注目です。
ほとんどの列車の番号末尾が”D”になっているのにお気づきでしょうか?
これは気動車によって運行されるという意味であり、当時の伯備線は非電化だったのです。今でこそ電化されて381系115系あたりが活躍していますが、この頃はキハ181系とかキハ58系とかが当たり前に見られたんでしょうね。
更に驚くのは末尾に何もつかない数字だけの番号の列車があることですが、これは客車列車を意味しており、普通列車でも客車列車が普通に走っていた時代なんですね。

今では客車列車なんて観光用のSL列車とかトロッコ列車などしかなく、絶滅危惧種ですからねぇ・・・

時刻表のくだりだけで随分字数を使ってしまいましたが、先へ進むとしましょう。


続いては方向幕の展示です。


古くはサボに始まり、文字通りの方向までへと進むわけですが、今やLEDによる電光掲示板タイプが主流ですからね。
LEDって高速点滅しているせいでシャッタースピードをうまく調整しないと綺麗に写ってくれないので撮影者泣かせでもありますよねw


DD51形の構造を説明する模型がありました。
内部構造まで精巧に再現してくれてはいないようですが、ボタンを押すと動力の伝わり方が光で表現されていて、大まかな構造を知るにはいい展示だなと思いました。


伯備線や姫新線・津山線など岡山周辺の駅の縦型駅名標です。
いやぁ、国鉄時代ですねぇ。


車番や所属などのプレートです。
鉄道系の博物館では定番の展示品ですね。


これって急行「砂丘」の廃止時に使われたさよならヘッドマークなんですかね。


分岐器・・・いわゆるポイントの実演模型です。
手前の転轍てこを操作すると違う線路へ台車が進むというわけですが、実際に自分の操作で体験できるのはいいですね。
周りに他の来場者もおらず空いていたので、大人げもなくちょっと遊んでしまいましたw


こちらはバラストの役割についての展示です。
左右に透明な箱が用意されて、中に小石が入っていますが、左は実際に線路に敷かれるバラストであり、右はその辺の石ころを詰めているようです。
箱についている棒を握って揺り動かすことでバラストがいかにしっかりと線路を保持できるかを実演しているようです。
こればっかりは文章で説明するのは難しいので、実際に現地で体験してみて下さい。


続いては信号機など保安装置についての展示です。


タブレットのキャリアーがありました。


キャリアーがあるということは当然の流れではありますが、タブレット閉塞機もありました。
これも色んな施設で展示されている定番アイテムではありますが、ここで予期せぬ展開に!?

先程列車の時間を教えてくれたスタッフの方がここでも現れて、「よかったらタブレット閉塞機を操作してみませんか?」と提案してくれたのです。
知識としてタブレット閉塞機がどのように動作するのかは概ね知っていましたが、実際に操作した経験など皆無・・・これは千載一遇のチャンスなのでは!?

ちょうど別の(明らかにマニアという感じの)来場者がいて、2人でそれぞれ両端の駅の駅員役になって1つの列車を通すための閉塞扱いを一通りやってみることになりました。
なんでも因美線の閑散区間で比較的最近まで現役で使われていたことや、当時を知るOB有志の手でこまめにメンテナンスしているおかげで今でも現役当時と同じ稼働状態を維持できているんだとか。
その様子を動画撮影できれば最高でしたが、相方は見知らぬ来場者ですし、自分自身の姿も入ってしまうことから撮影は断念して体験に集中しました。
レバーを操作して実際にタブレットを取り出し、相手の駅に届いたら格納して元の状態に戻すまでの一連の流れを体験できました。
正直言って今日の訪問の中で最大の収穫とも言える体験でしたが、これは常設的にやっているわけではなくて、たまたま今日は人が少なくスタッフの方も手持ち無沙汰だったのと、たまたまマニアっぽい人が2人同時にタブレット閉塞機の近くにいたから実現したものだと思いますから、端からこの体験ができると期待して訪れるとがっかりしてしまう可能性は高いと思います。
本当に運が良かったと思います。


あと、閉塞機の内部も見せてくれました。
普段はアクリルか何かの板がハマっていて見ることは出来ないんですが、特別に外してくれたようです。


配線やリレーなどが詰まっていて、アナログな仕組みながら確実にタブレットの取り出し・格納を制御しているようです。
中身を見ることが出来たのも大きな収穫でしたね。
なお、これもいつでも見られるわけではないと思いますので、見てみたい人はなるべく人が少ない日にちや時間帯を選んで訪れるとスタッフの方への交渉次第で行けるかもしれません。

ちょうどもう1本津山線の列車が通る時間帯らしいのでそれを見送って撤収ですかね。


↑津山線の通過シーンです。


それでは最後に扇形車庫を見て帰り・・・ません!w
まだ見ていないブースが1つだけありますよね。


それがこちら。「まちなみルーム」です。
ようするに模型のジオラマが展示されているわけですが、ちょうどジオラマの走行実演の時間らしいのでこれを見学してから撤収することにしました。


津山駅とその周辺


この「津山まなびの鉄道館」がある扇形車庫ももちろん再現されています。


よく見ると駅前に展示されているSLやファミリーマートなんかも再現されていて、さっき実際に歩いてきた場所だけに再現度の高さに感心します。


ただ、これには思わず吹き出しそうになりましたw
先ほど貼った動画にも少し写っていたと思いますが、津山駅のそばにはα1(アルファーワン)というホテルがあります。
ちょうどそれと同じ位置にホテルっぽい建物が再現されていますが、その名もβ2(ベータツー?)というw
実際にホテルの名称として使うわけでもなく、ただジオラマの一要素として組み込むだけなんだから商標回避みたいな微妙なネーミングにしなくてよさそうですけど、むしろウケ狙いなんでしょうか?w
それならファミリーマートはそのまま使っているのはいいのかって話になりますしね。

とジオラマの細部も見たらそろそろ実演が始まるようです。
動画撮影もOKとのことなのでこれは動画でご紹介しましょう。


↑というわけで約5分間のジオラマの世界をお楽しみ下さい。
朝から夜にかけて一日を再現したもので、建物の灯りが点いたりしてなかなか凝ってます。
もちろん転車台も実際に動きます。

それでは一通り見学も終わったので撤収とします。
割とコンパクトな施設なので1時間ちょっとあれば一通り見て回れると思いますが、それでも見ごたえのある貴重な展示品も多く、鉄道好きならば訪れて損はないと思います。


帰り際にこんなキャラクターがお見送りしてくれました。
もしかして彫刻ですかね?

というわけで、レポートは以上です。
結局1万字を超えてしまいましたが、まあ平常運転ですねw

次回の記事についてですが、これ以降も単発で何度か活動しているのでそのレポートになるかと思います。
というか、まだ2019年中の旅の記事が2~3本は溜まっているというw
まあ、どうか気長にお待ち下さい。
それでは!

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つばめ501号(管理人) について

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